「印つけとメモ書き」についてのご質問に対する回答 5/24 ミニセミナーにて
はじめに
読解練習で文章を読むときには、「印つけとメモ書き」をすることを私は勧めています。
なぜ、線引きではなく「印つけ」としたかというと、指導者から「線を引いて読みなさい」と言われた面倒くさがりやの子どもたちや、受身な子どもたちは、文章を読むことを強く意識せずに、線引きだけをどんどんしてしまうという現実があるからです。
線引きと違い、「印つけ」をするときには、子どもたちの頭と心は「この文章のどこが一番大切なんだろう」と少し考えます。立ち止まって読み返します。この姿勢が必要なのです。
今までよりもポイントを絞って、「ここが大事」というところに「印つけ」をし、覚え書きとして「メモ書き」をすることが、12歳の子ども達を文章に向き合わせることにつながります。
初めてのトレーニングですから、800字前後の短めの文章で練習し始めることも大変重要なこととなります。
「線引きをし過ぎる」・ 「線引きをほとんどしない」というご質問への回答
「線の引き過ぎ」も「線をほとんど引かない」も、文章を読んでいないことにおいては同じです。
「引き過ぎ」の場合は、子どもたちは「線引きをすればいいのでしょう!」という気持ちでどんどん線を引いていきます。しかし、沢山線を引いてあるということは、線を引いていないのと同じことなのです。つまり、線引きはしたけれど、相変わらず文章を読んではいないということになります。
「引かない」場合は、先に先に目を進ませて文字を追う癖がどうしても抜けず、瞬間、瞬間
「印つけをしなくちゃ」と思い出しては適当なところに印をつけていきます。
この二つの相反する問題点を矯正するには、思い切って線引きを止めさせ、「印つけとメモ書き」を、これも思い切って、もっともっとシンプルに練習させる必要があります。
短い文章を、いやというほど繰り返し、「印つけとメモ書き」の手が勝手に動くようになるまで、つまり、繰り返すごとに文章を覚え、どこが大切なのかもわかるほどになるまで練習させます。
一つの文章で繰りかえし練習し、手によい習慣がついたら文章を変え、また練習をします。手がスムーズに動くようになった時に、「印つけとメモ書き」の練習を次の段階にあげます。
シンプルな印つけ
・物語文には、気持ち言葉に「印つけ」をして余白に+、−、△
気持ちの変化の原因になる出来事に ○
・説明的文章には、話題に(わ)、意見に(い)、結論に(結)
(しかし、つまり、ようするに )という言葉を○で囲む
これだけに限定します。
印つけが少なくて心もとないと思う部分や、その段落の重要な言葉(慣れるまでは教えてあげる)を上の余白に「メモ書き」をします。
具体的に
「印つけとメモ書き」はそれをすることが目的ではなく、文章にしっかり向き合わせることを目的とします。どこに線を引いたら良いか、どこに印をつけたらよいかと迷っていると、文章に向き合うことができません。上記のところだけに限定して「印つけとメモ書き」をすることを決め、文章を読み進めましょう。正確にできなくても大丈夫。読めればよいのです。
読み終えたら「印つけとメモ書き」を中心に、内容の確認をします。あやふやならばもう一回丁寧に読みます。
同じ文章を何回か読むことを繰り返すうちに、「ここが大事」というところがわかるようになります。「同じ文章で繰り返す」作業が、新しい習慣をつけるときには大変有効です。
「そんなに繰り返し読ませたら、いやになるのではないか」とお思いになる方も多いことでしょう。しかし、答探しだけをして、文章を読んでこなかった子どもたちは、じっくり学ぶことができなくなっているという現実があります。次々新しい問題をあてがわれ、反射的に解答しています。理解しているかどうかではなく、答があっているかどうかということを優先しているのです。このような時間に追われる学習習慣を正し、少なくとも「国語の問題文は丁寧に読む」ことをさせるためには、一時期このくらい思い切って根気よく繰り返し導く必要があります。
声かけ
シンプルな手作業をしながら、寄り添って丁寧に読むことが、子どもと国語の距離を近づけます。シンプルな練習なのですから、「はい、ここに印をつけようね」ということばをかけるくらいにします。淡々と文章を読み、わかるまで待ってあげます。わからなければ少し誘導します。なかなか理解ができそうにないときには、無理にやらないこととします。「今日はこれでおしまい」にします。その文章は止めて、次回は他の文章を選びます。
「そっと寄り添う」ことと、「隣に張りついて口をだす」ことには大きな違いがあります。
「わかったの!」あるいは、「まだわからないの!」とは言わないでください。そのようなことばをかけても子どもは成長しません。
文章から言葉を探し出し、反射的に解答欄に書く癖のついている子どもたちには、繰り返し読み、ゆっくり考える時間がどうしても必要です。「練習だからゆっくりね」という声かけをすることは、受験期の子どもをもつ親にとって、大変勇気がいることですが、練習段階のある時期に、このことを意識することは、実は一番の近道なのです。どうぞ勇気を持ってなさって下さい。
文章を選ぶこと
練習しやすい文章を選ぶ基準は、塾のテキストやプリントの中からお母様ご自身が「面白い」あるいは、「なかなか良いことが書いてあるわ」と思った文章、さらに、自分がよく理解できそうな文章を選ぶということになります。 問題集を一冊渡して「これやりなさいよ」ではなく、ご自身の目で選んであげてください。
練習の初めの段階では800字以内、少し慣れたら1000字程度の文章が適当です。
「そんなことでは長文を読む練習にはならない」とお思いでしょうが、この時点でこの程度の長さの文章を正確に読めなければ、入試の長文を正確に読み取る力はつきません。どうぞあせらず、短い文章からお始めください。
余談
お母様方が、どうしても「線引き」ということばになってしまうのは、そのことばが一般的なので仕方のないことなのですが、子どもたちに対しては「印つけ」と「メモ書き」とはっきり伝えないと、子どもの頭の中にイメージができません。「印つけ」と「メモ書き」とは、問題用紙を頭の中で画像処理するようなものです。
どうしてもうまくいかないとき
「印つけ」がどうしてもうまくいかないならば、それは一時期中止して、新しい習慣として
「メモ書き」をきちんとさせることに切り替えましょう。
その段落の重要な言葉を一緒に考え、さりげなく誘導し、上の余白に書かせます。
この「メモ書き」は入試問題を解くときに大いに役に立ちます。記述問題、選択肢問題で本文に戻る場所がすぐにわかります。探す必要がないのです。「メモ書き」を上手に導いて、それを頼りに正答する経験をすると、嫌がっていた「印つけ」も必ずできるようになります。
手作業をすることは面倒なこと、時間がかかること、しかし、最短の道でもあるのです。
どうぞ親子関係をこじらせずに、これからの練習の時間を大切になさって下さい。
尚、「お母さんが教える国語」(ダイヤモンド社)の第七章、第八章をご参照ください。 矯正するときには、本の参考例の「印つけとメモ書き」をもっと省いて、シンプルなものにするということを今回はお伝えいたしました。
07-05-28
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