LM-470 ワイヤー交換




LM−470のメンテナンス

クランクアップタワーとしてはメジャーなのがLM−470系のものでしょう。 FTI社によれば既に800本が販売されているということです。 
クランクアップタワーの最大のメリットはタワーを上げ下げできるということで、日本のように台風も多いようなところならその意味は大きいものがあります。
更に、最近では住宅環境の変化からタワーの確認申請もしなければならないことも多くなり、周辺住民との問題も多くはクリアーできます。
一方、最大の問題はワイヤーにかかる責任の大きさです。
間違えば命に関わるもので、この信頼性を高めることが重要になります。
アマチュアは建設時にはお金をかけてもメンテ費用についてはあんまり計算に入れていません。
昇降機、クレーンなどでは定期的にメンテナンスを行い、ワイヤー交換をするものです。
ところがアマチュアと」なるといい加減なものでご多分に漏れず私も気にせず使っていた結果タワーの落下事故になってしまいました。
調べてみると数局同じ経験をされたハムがおられるようで、やはり問題はメンテナンスにあるようです。
私は、クランクアップタワーを4本使用しており、古いもので10年になりますが新しい5年ものが落下したので驚いてしまいました。
ここでは、私の経験といろいろと調べた情報を提供しようと考えています。
くれぐれも、作業は危険であり慎重に行っていただきたいと思います。


ワイヤーについて

昇降機などに使われるワイヤーは安全率を最低でも4倍がとられています。 特に人名に関わるものであれば中には8−10倍の安全率を見ているものもあります。

LM-470もFTIによればアンテナを含めて4倍以上の安全率をみているとのことです。

私のワイヤー切断は明らかにメンテ不良であり、ワイヤーにサビが目立っていました。
何故サビたか
このタワーは建築から5年程度です。 しかし、1年のうちせいせい10回くらいしかタワーを上げていませんでした。
即ち、殆どが下げっぱなしであったのです。
これでドラムに巻かれたワイヤーの間に雨水が浸透してサビを誘発させてしまったのです。  頻繁に上下していたほうがこのサビは起こりにくいようです。  自宅のLM−470は逆に殆ど上げっぱなしなので同じようになります。

LM−470の場合、引き上げワイヤーには常に荷重がかかります。
これは上げた時だけではなく、いっぱいに下げた状態でも機械的に止めているのではなくリミッターでモーターの動作を止めているだけなので、常に引っ張られています。

今回の事故をきっかけにワイヤーメーカー、工業試験場などでいろんな情報を集めてみました。
やはり常時引っ張っているというところがワイヤーに疲労を与えるようです。 特に春夏秋冬がある日本においては引っ張られたまま熱膨張を経験するとワイヤーの強度を落とすということは否めないようです。
プロではこの程度のワイヤーでしたら2年で交換してしまうそうです。
我々のレベルでしたらそういうわけにもいきません。 そこで私の得た情報で判断した私なりのメンテ基準を作ってみました。
勿論、これで100%安全というわけにはいきませんし、責任ももてません。
交換を要するのは
まずは引き上げワイヤーです。 その他は数倍の時間使っていても安全でしょう。
メンテナンス
1)ワイヤーの交換
引き上げワイヤーは3年に一度交換する。
(メンテをして、よっぽどのことがなければ10年でも切れることはありません。 ただワイヤー代だけで安全と安心が買えるなら安いものです)
(ワイヤーにサビやささくれを発見したらワイヤーはそれ以下でも交換する
 
(使われているワイヤーは特殊で 6ミリの 7 X19 というものですので、1本あたりが細いのでサビは直ぐに浸透してしまいます)
2)グリスは十分に定期的に(1年に1度はモリブデン系のグリスアップをする)
3)同じ位置で長期間固定しない。
 
(上げっぱなし、下げっぱなしはなるべくしない)
4)長期間下げるときは、引き上げワイヤーの負荷を減らす
  (機械的なストッパーを入れる)
5)引き下げワイヤーの調整をする。
 (これをやらないとタワー同士で負荷がかかりワイヤーに衝撃加重が加わる)
6)ドラムなどのジンク処理(サビを見つけたら直ちにジンクスプレーで補修する)

その他の注意点
1) 風が強い時にタワーの上げ下げをしない
(余計な荷重がかかる)
2)上下する際に異音がしたら原因を見つけ処置する

3)大型アンテナは上げない。
4)タワーの上り下りは慎重に、ゆっくりと少人数で作業する


LM−470に使われているワイヤー

LM−470はタワーが4セクションに分かれています。
一番内側のセクション(最も高Kなる部分)をセクション1とし、最も外側(一番下の部分)をセクション4とします。

1)引き上げワイヤー  約24.5メートルの長さがあります。
2)引き下げワイヤー  約27メートルの長さがあります。
3)1−2セクションワイヤー  2本あります
4)1セクションワイヤー  2本あります。


全部で6本のワイヤーが使われています。 
この中で最も荷重がかかるのが1)の引き上げワイヤーです。
3)、4)については2本で引き上げられていますのでその耐久性は非常に高くなるでしょう。

2)もそんなに力はかかりませんし、切れてもタワーが落下することはありません。


引き上げワイヤーの交換

作業手順は以下のとおりです。

1)タワーを下ろす
最下点まで下ろしてください。
リミッターSWがありますので注意が必要です。
まず、どこまで下がってリミッタSWが作動して止まるかのチェックします。 

2)第3セクションを機械的に固定する
固定する場所はリミッターの働くポイントより上部になります。
私の場合は下部に足場用パイプを切ったものを垂直に固定しそこに第3セクションが乗っかり固定されるようにしました。
パイプは垂直荷重に対しては非常に丈夫です。
チェーンブロックなどがある方はそれで固定してもいいでしょう。 ただし、ブラスは弱いので使ってはいけません。

固定して、さらにドラムを半回転させたところで止めます。

3) 荷重が全て足場用パイプに加わり固定されます。
ワイヤーが緩みますので、下の写真、即ち第3セクションに固定されているワイヤーをボルトを外して取り外します。

4) 新旧ワイヤーの接続

写真のように取り外したワイヤーと新しいワイヤーをつなげます。
これは、ワイヤーの引き回しを間違えないように同じ経路を通って引き回していくためにつなげるのです。
こうしておけば引き回しを間違えることはありません。

4) 外したワイヤーを引き上げて新しいワイヤーに交換していきます。

第4セクション上部のプーリーで引き返します。
この作業は、一人が古いワイヤーを引っ張り、もう一人がワイヤーとともにタワーに登っていき、プーリーのところを通して今度は引き下げながら降りてきます。

5)下がってきたワイヤーは第3セクション下部の2つのプーリーを通って今度は上に上っていきます
この2つのプーリーに関しては外さないとワイヤーが通せません。
外してワイヤーを通したらもう一度固定します。 プーリーは回らなければ仕事になりませんので余り強くボルトを締めないでください。
(プーリーを入れなおしたとき、ワイヤーがちゃんとプーリーを通っているかチェックします。)

6)もう一度ワイヤーとともにタワーに登り、第4セクションにあるもう一つのプーリーを通して引き下げてきます。

7)古いワイヤーをドラムから外し、新しいものに交換します

ドラムに巻きつけて、引き出しガイドからワイヤーを出してボルトで固定します。
この時、どうしてもワイヤーが緩みます。 それでいいのです。 後でその分は引き下げワイヤーで調整します。

8)少々緩みがありますが、まず巻きついている部分をしっかりと隅から綺麗に巻いておいてください
ガイド部にあるワイヤーはハンマーなどでたたいてコーキングで固定します。

9)コントロールボックスの操作をLOCALにして手動コントロールでゆっくりとタワーを上げてください。 
この時緩んだワイヤーがドラムに巻きつくときスペースが出来ないようにワイヤーの上部(なるべくドラムから離れた位置)を手で押しながら綺麗に巻けるようにしてください。
10)タワーの第3セクションが5センチ程度上がったところで一度止めて落下防止の足場パイプを抜きます
(チェンブロックを外します)

注意

ここに書かれた作業方法はあくまでも私の経験からの記述であり実際の作業は其々の責任において行ってください。
作業における事故については当方は一切の責任は負いません。

引き下げワイヤーの調整

切断事故の様子