関数解析


11.位相線型空間

 K を位相体とし、K-線型空間 X が、X の加法に対する位相群になっていて、かつ K の元と X の元の乗法が K ´ X から X への連続写像になっているとき、XK 上の位相線型空間といいます。特に K が実数体のときを実位相線型空間K が複素数体のときを複素位相線型空間といい、本稿ではこのいずれかの場合のみを扱います。
 なお、本稿では省略記法として、線型空間 X の元 x, X の部分集合 A , B 及び aÎKC Ì K に対して

(11-1a)  A ± B { y ± z |  yÎA  Ù  zÎB }

(11-1b)  x ± A { x ± y |  yÎA }

(11-1c)  A ± x { y ± x |  yÎA }

(11-1d)  - A { - y |  yÎA }

(11-1e)  aA { ay |  yÎA }

(11-1f)  CA { cy | cÎC  Ù  yÎA }

といった記法を用います。

 位相線型空間 X は、位相アーベル群ですから、その位相は原点の近傍系のみで定まり、かつ右一様構造と左一様構造は一致します。これを X の位相に伴う一様構造といいます。X の原点の近傍系を U と書くと、X が位相群であることから

(11-2a)  UÎU  Þ  0ÎU

(11-2b)  U, VÎU  Þ  UÇVÎU

(11-2c)  UÎU  Þ  - UÎU

(11-2d)  UÎU  Þ  $VÎU : V + V Ì U

が成り立ち、更に K の元との積演算の連続性から

(11-2e)  UÎU  Þ  KU = X

(11-2f)  U, VÎU  Þ  UÇVÎU

 X を複素線型空間、f を複素線型汎関数とし、その実部を j 、虚部を y と書けば、これらは明らかに実線型で、

(11-1)  f(x) = j(x) + i y(x)

 f は複素線型ですから

(11-2)  j(i x) + i y(i x) = f(i x) = i f(x) = i (j(x) + i y(x)) = i j(x) - y(x)

が成り立ちます。この両辺の実部を比較すれば

(11-3)  y(x) = - j(i x)

 これを (11-1) に代入すれば、

(11-4)  f(x) = j(x) - i j(i x)

が成り立ちます。逆に、複素線型空間 X で定義された実線型汎関数 j に対し、X 上の複素数値関数 f(11-4) で定義すると、x, yÎXa + i bÎC ( a, bÎR ) に対して、j の実線型性により

(11-5a)  f(x + y) = j(x + y) - i j(i (x + y))

= j(x + y) - i j(i x + i y)

= j(x) + j( y) - i {j(i x) + j(i y)}

= {j(x) - i j(i x)} + {j( y) - i j(i y)}

= f(x) + f( y)

(11-5b)  f((a + i b)x) = j((a + i b)x) - i j(i (a + i b)x)

= j(ax + b i x) - i j(a i x - bx)

= aj(x) + bj(i x) - i {aj(i x) - bj(x)}

= (a + i b){j(x) - i j(i x)}

= (a + i b) f(x)

 すなわち f は複素線型汎関数です。以上により、複素線型空間上の実線型汎関数 j と複素線型汎関数 f は、(11-4) の関係により一対一に対応していることがわかりました。

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