Hilbetr空間
ノルム空間 X は、次の中線定理:
(14-1) || x |
を満たすときpre-Hilbert
空間といい、完備なpre-Hilbert
空間をHilbert
空間といいます。すなわちHilbert
空間とは (14-1)
を満たすBanach
空間のことに他なりません。
また、(pre-
)Hilbert
空間の位相線形空間としての基礎体 K が R
の場合を実(pre-
)Hilbert
空間、C
の場合を複素(pre-
)Hilbert
空間とよびます。
なお、条件 (14-1)
は、一見弱い条件:
(14-2a) || x |
又は条件:
(14-2b) || x |
と実は同値です。なぜなら x と y のところにそれぞれ + y - y2 で割れば、(14-2a)
からは (14-2b)
が、逆に (14-2b)
からは (14-2a)
が導かれ、結局どちらを仮定しても (14-1)
が得られるからです。
さて、最初に条件 (14-1)
の直接の応用として、Hilbert
空間 H の空でない凸閉集合 C に対して { || x || | x
ÎC }ÎC
まず、C は空でないので、
(14-3) |
が存在します。したがって、点列 { xn | n
ÎN } Ì C
(14-4) || xn || |
となるものが存在します。一方、(14-1)
の x に / 2/ 2
(14-5) |
|| |
xn |
|| |
² |
|| xn ||² |
|| xm ||² |
|| |
xn |
|| |
² |
となりますが、C は凸集合なので、
(14-6) |
xn |
したがって、(14-3)
により
(14-7) |
|| |
xn |
|| |
が成り立ちます。したがって、(14-5)
と (14-7)
により、
(14-8) |
|| |
xn |
|| |
² |
|| xn ||² |
|| xm ||² |
² |
となりますが、(14-4)
により、(14-8)
の右辺は ,
m ® ¥0 に収束します。よって { xn | n
ÎN }¥(14-4)
により
(14-9) || x |
が成り立つので、¥
また、,
yÎC
(14-10) || x || |
ところで C は凸集合なので、
(14-11) |
x |
したがって、(14-3)
により
(14-12) |
|| |
x |
|| |
が成り立ちます。したがって、(14-1)
と (14-10),(14-12)
により
(14-13) |
|| |
x |
|| |
² |
|| x ||² |
|| y ||² |
|| |
x |
|| |
² |
² |
² |
²= 0 |
となり、これは = y
さて次に、Hilbert
空間は内積とよばれる2変数関数の存在によって特徴付けられることを確かめましょう。
(14-14a) (x | y)R |
|| x |
( x, y |
と置いてこれを x と y の(実)内積と呼び、特に H が複素Hilbert
空間のときは、更に
(14-14b) (x | y)C |
|| x |
と置いてこれを x と y の(複素)内積と呼びます。このとき
(14-15a) ( y | x)R |
(14-15b) ( y | x)C |
(14-15c) (x | x) |
(14-15d) (x | y |
(14-15e) (x |
(14-15f) (x | ay)R |
(14-15g) (ax | y)R |
(14-15h) (x | ay)C |
(14-15i) (ax | y)C |
が成り立つことを証明しましょう。ただし ( · | · )
( · | · )
( · | · )R
( · | · )C
実際、|| x
- y || = || y - x ||(14-15a)
は明らかです。
また、定義式 (14-14a)
から明らかに
(14-16a) (x | y)R |
(14-16b) (x | |
(14-16c) (x | |
(14-16d) (ax | ay)R |
が成り立ち、特に (14-16d)
は、H が複素Hilbert
空間の場合は ÎC
(14-17) ( y | x)C |
となるので、定義式 (14-14b)
と (14-17)
を比較して (14-16a)
に注意すれば、(14-15b)
が得られます。
また、(14-15c)
については、定義式と || x
+ x ||² = || 2x ||² = 4 || x ||²(x | x)R
= || x ||²
(14-18) (x | i x)R |
|| x |
|| ( |
| |
|| x ||² |
ですから、これと定義式 (14-14b)
により (x | x)C
= (x | x)R = || x ||²(14-15c)
は証明されました。
次に、(14-1)
により
(14-19) || |
ですから、複号の + の式から - の式を辺々差し引いて両辺を 4 で割れば、実内積の定義式 (14-14a)
により
(14-20) ( |
が得られます。
そこで、 :º { t
ÎR | "x, yÎH : (x | ty)R = t (x | y) }
(14-21a) |
(14-21b) |
(14-21c) tt |
(14-21d) t |
(14-21e) s,t |
s |
が成り立つことを証明しましょう。
実際、(14-21a)
は (14-16c)
により明らか、また (14-21b)
は自明です。
また (14-21c)
は、任意の ,
yÎI0 でない任意の ÎI :º t-1 y(x | t
-1 y)R = t(x | z)R = (x | tz)R = (x | y)R-1-1ÎI
また (14-21d)
は、(14-16b)
により (x |
- ty)R = - (x | ty)R = - t(x | y)R
また (14-21e)
は、
(14-22) (x | |
s |
y)R |
|
|||||||||
|
||||||||||||
|
||||||||||||
|
||||||||||||
|
||||||||||||
となるので明らかです。
さて、まず (14-21a),(14-21b),(14-21e)
により、すべての正整数 n と 0 £ k £ 2n / 2nÎI[
0, 1](14-14a)
により内積も連続ですから I は閉集合であることがわかるので、まず [
0, 1] Ì I
このことから (14-21c)
によりすべての正実数が I に属すことがわかり、更に (14-21d)
により = R
(14-15f)
が証明されました。
次に、(14-15g)
は、(14-15f)
と (14-15a)
により明らかです。
また (14-20)
と (14-15g)
により、(
2x | y + z)R = 2 (x | y)R + 2 (x | z)R = (2x | y)R + (2x | z)R / 2(14-15d)
が実内積に対して得られます。
更に (x | i( y
+ z))R = (x | i y + i z)R = (x | i y)R + (x | i z)R(14-14b)
により、(14-15d)
は複素内積に対しても成り立つことがわかります。
また、(14-15d)
と、(14-15a)
又は (14-15b)
により (14-15e)
も得られます。
また H の元 x , y と複素数 a :º a + i
b( a, b
ÎR )
(14-23) (x | |
(x | (a |
(x | ay |
|
(x | ay)R |
|
(x | y)R |
|
(a |
|
(x | y)C ( ∵ (14-14b) ) |
となって (14-15h)
が得られます。
最後に (14-15i)
は (14-15h)
と (14-15b)
から得られます。以上で (14-15)
はすべて証明されました。
さて、逆に実線形空間 H において、 ´ H( · | · )
(14-24a) (x | x) |
(14-24b) (x | x) |
(14-24c) ( y | x) |
(14-24d) (x | y |
(14-24e) (x | ay) |
を満たすものが与えられたとします。ただし H が複素線形空間のときは、( · | · )
(14-24)
のうち (14-24c)
と (14-24e)
をそれぞれ
(14-24c)* ( y | x) |
(14-24e)* (x | ay) |
に置き換えたものを満たすものとします。このとき
(14-25) || x || |
と定義すれば、H は || · ||
pre-Hilbert
空間になります。
実際、まず
(14-26) || x |
(x |
(x |
|
(x |
|
(x | x |
|
(x | x)* |
|
(x | x)* |
|
|| x ||² |
ですから (14-1)
の中線定理が成り立ちます。
また、任意の実数 t に対して
(14-27) |
が成り立ちます。ただしここで (x | y)
+ ( y | x) = (x | y) + (x | y)* = 2Â((x | y))
ゆえに (14-27)
の右辺の2次式の判別式(「数学の基礎」第51節 (51-11a)
参照)は非負でなければなりません。
すなわち {
2Â((x | y))}² - 4 || x ||² || y ||² £ 04 で割って平方根を取れば、|
Â((x | y)) | £ || x || || y ||
(14-28) | (x | y) | |
が得られます。
また H が複素線形空間の場合は q :º arg (x | y)
a :º e
-i
q|
Â(a(x | y)) | = | Â((x | ay)) | £ || x || || ay || = || x || | a | || y || = || x || || y ||a(x | y)
ÎR|
Â(a(x | y)) | = | a(x | y) | = | a | | (x | y) | = | (x | y) |(14-28)
が成り立つことがわかります。
ゆえに、(14-27)
で = 1|| x
+ y ||² = || x ||² + 2Â((x | y)) + || y ||² £ || x ||² + 2| (x | y) | + || y ||² £ || x ||² + 2|| x || || y || + || y ||² = ( || x || + || y || )²(14-28)
を使いました。ゆえに両辺の平方根を取れば、三角不等式:
(14-29a) || x |
が得られます。また (14-24c)*,(14-24e)
により || ax ||²
= (ax | ax) = a(ax | x) = a(x | ax)* = aa*(x | x) = | a |² || x ||²
(14-29b) || ax || |
が得られ、更に (14-24b)
により
(14-29c) || x || |
が成り立ちます。ゆえに (14-29)
により || · ||
(14-30) || x |
(x |
(x |
|
(x |
|
(x | x |
|
(x | x)* |
|
(x | y)* |
|
(x | y) |
|
((x | y)) |
ゆえに H が実線形空間の場合は、(x |y)
ÎR(14-14a)
により (x | y)R
= (x | y)
また H が複素線形空間の場合は、(x | y)R
= Â((x | y))
(14-31) (x | y)C |
となって、実pre-Hilbert
空間でも複素pre-Hilbert
空間でも、ノルム || · ||
( · | · )