本節では、直観主義論理で(したがって古典論理でも)一般的に成り立つ定理を、自然推論で証明してみましょう。
| メタ定理7 | P とそれ自身は同値。特に |
P と仮定すれば、( 仮 定 ) により P である。よって ( Þ 導入) により Þ P
| メタ定理8 | |
メタ定理7で P を ^ とすれば ^ Þ ^Ø^
| メタ定理9 | Q が定理なら |
P と仮定すると、( 増 ) により Q はこの仮定のもとでも定理である。よって ( Þ 導入) により Þ Q
| メタ定理10 | P が定理なら Q と |
Q から Þ Q Þ 消去) による。
| メタ定理11 | P が定理なら |
メタ定理10で Q を ^ とすればよい。後半は、これとメタ定理8により明らか。
| メタ定理12 | |
^ を仮定すると、( ^ 消去) により P が得られるので、( Þ 導入) により ^ Þ P
| メタ定理13 | |
P と仮定すると、 Þ Q Þ 消去) により Q が得られ、 Þ R Þ 消去) により R が得られる。よって ( Þ 導入) により Þ R
| メタ定理14 | |
仮定により Þ ^^ Þ Q
| メタ定理15 | ( |
ØP のときはメタ定理14により、Q のときはメタ定理9により Þ Q Ú 消去) により)結論が得られる。
| メタ定理16 | (Q |
Þ R と仮定すると、メタ定理13により P Þ R Þ 導入) により (Q
Þ R) Þ (P Þ R)
| メタ定理17 | ( |
メタ定理16で R を ^ とすればよい。なお、(
ØQ) Þ (ØP) Þ Q
| メタ定理18 | {(P |
P と仮定する。 Þ Q Þ 消去) により Q が得られるので、( Þ 導入) により (P
Þ Q) Þ Q Þ 導入) により Þ {(P
Þ Q) Þ Q}
| メタ定理19 | |
メタ定理18で Q を ^ とすればよい。
| メタ定理20 | |
メタ定理19で P に ØPØP Þ ØØØPØØØP Þ ØP
| メタ定理21 | P と |
Ú P
次に P と仮定すると、( Ù 導入) により Ù P
最後に Ù P Ù 消去) により P だから、( Ú 導入) により Ú P
| メタ定理22 | (a) |
(b) |
(a)
Ù Q Ù 消去) により P であり、Q でもある。よって ( Ù 導入) により Ù P
(b)
Ú Q Ú 導入) により Ú P Ú P
| メタ定理23 | (a) (P (Q |
(b) (P (Q |
(a)
(P
Ù Q) Ù R Ù 消去) により Ù Q Ù 消去) により P と Q が成り立つ。よって ( Ù 導入) により Ù R Ù 導入) により Ù (Q
Ù R)
(b)
(P
Ú Q) Ú R
Ú Q Ú 導入) により Ú (Q
Ú R) Ú 導入) により Ú R Ú 導入) により Ú (Q
Ú R) Ú (Q
Ú R)
一方 R の場合は ( Ú 導入) により Ú R Ú 導入) により Ú (Q
Ú R)
よって、いずれにせよ Ú (Q
Ú R)
本メタ定理により、今後メタ定理23の (a)
や (b)
の左辺を記述するとき、括弧を省略することにします。
| メタ定理24 | (a) (P (P |
(b) (P (P |
(a)
(P
Ù Q) Ú R Ù Q Ù 消去) により P と Q が成り立つので ( Ú 導入) により Ú R Ú R Ù 導入) により (P
Ú R) Ù (Q Ú R) Ú 導入) により Ú R Ú R Ù 導入) によりやはり (P
Ú R) Ù (Q Ú R)(P
Ú R) Ù (Q Ú R)
逆に、(P
Ú R) Ù (Q Ú R) Ù 消去) により Ú R Ú R
ここでまず P の場合を考える。更に Q である場合は ( Ù 導入) により Ù Q Ú 導入) により (P
Ù Q) Ú R Ú 導入) により (P
Ù Q) Ú R(P
Ù Q) Ú R
次に R の場合を考えると、( Ú 導入) により (P
Ù Q) Ú R
よって、いずれにせよ (P
Ù Q) Ú R
(b)
(P
Ú Q) Ù R Ù 消去) により Ú Q Ù 導入) により Ù R Ú 導入) により (P
Ù R) Ú (Q Ù R) Ù 導入) により Ù R Ú 導入) により (P
Ù R) Ú (Q Ù R)(P
Ù R) Ú (Q Ù R)
逆に、(P
Ù R) Ú (Q Ù R) Ù R Ù 消去) により P と R が成り立つので、( Ú 導入) により Ú Q Ù 導入) により (P
Ú Q) Ù R Ù R Ù 消去) により Q と R が成り立つで ( Ú 導入) により Ú Q Ù 導入) により (P
Ú Q) Ù R(P
Ú Q) Ù R
| メタ定理25 | (a) |
(b) |
|
(c) |
|
(d) |
(a)
Ù ^ Ù 消去) により ^ が得られる。逆に ^ と仮定すると ( ^ 消去) により Ù ^
(b)
P と仮定すると、( Ú 導入) により Ú ^ Ú ^^ のときは ( ^ 消去) により P なので、いずれにせよ P が成り立つ。
(c)
Ù Ø^ Ù 消去) により P が得られる。逆に P と仮定すると、これとメタ定理8と ( Ù 導入) により Ù Ø^
(d)
メタ定理8と ( Ú 導入) により Ú Ø^
| メタ定理26 | |
P の場合は ( 同 一 ) により P であり、Q の場合は ØQØ消去) によりやはり P である。よって、いずれにせよ P である。
| メタ定理27 | (Q (P (P |
1番目と2番目の同値性がわかればメタ定理22 (a)
により2番目と3番目の同値性がわかるので、1番目と2番目の同値性だけ証明すればよい。
Þ (Q
Þ R) Ù Q Ù 消去) により P と Q が成り立つので、まず ( Þ 消去) により Þ R Þ 消去) により R が得られる。ゆえに ( Þ 導入) により (P
Ù Q) Þ R
逆に (P
Ù Q) Þ R Ù 導入) により Ù Q Þ 消去) により R が成り立つので、( Þ 導入) により Þ R Þ 導入) により Þ (Q
Þ R)
| メタ定理28 | ( (P ( |
メタ定理27で R を ^ とすればよい。
| メタ定理29 | (P |
メタ定理28で Q に ØP
| メタ定理30 | (a) (P (R |
(b) (P (P |
|
(c) (P (Q |
|
(d) ( (P |
(a)
Þ (P
Ù Q) Þ 消去) により Ù Q Ù 消去) により P と Q が成り立つ。ゆえに ( Þ 導入) により Þ P Þ Q Ù 導入) により (R
Þ P) Ù (R Þ Q)
逆に (R
Þ P) Ù (R Þ Q) Ù 消去) により Þ P Þ Q Þ 消去) により P と Q が得られるので ( Ù 導入) により Ù Q Þ 導入) により Þ (P
Ù Q)
(b)
(P
Ú Q) Þ R Ú 導入) により Ú Q Þ 消去) により R が得られ、従って ( Þ 導入) により Þ R Ú 導入) により Ú Q Þ 消去) により R が得られ、従って ( Þ 導入) により Þ R Ù 導入) により (P
Þ R) Ù (Q Þ R)
逆に (P
Þ R) Ù (Q Þ R) Ù 消去) により Þ R Þ R Ú Q Þ 消去) により R が得られ、Q の場合も ( Þ 消去) により R が得られるので、いずれにせよ R が得られる。従って ( Þ 導入) により (P
Ú Q) Þ R
(c)
P を仮定する。 Þ Q Þ 消去) により Q が得られるので ( Ú 導入) により Ú R Ú 導入) により Ú R Ú R
逆に Þ (Q
Ú R)
P を仮定すると、( Þ 消去) により Ú R Þ Q Ú 導入) により (P
Þ Q) Ú R Ú 導入) によりこれが成り立つので、( Ù 消去) によりいずれにせよこれが成り立つ。
また ØP Þ Q Ú 導入) により (P
Þ Q) Ú R
ゆえに Ú ØP(P
Þ Q) Ú R
次に R を仮定すれば、( Ú 導入) により (P
Þ Q) Ú R
また、ØR Þ 消去) により Ú RØR Þ 導入) により Þ Q Ú 導入) により (P
Þ Q) Ú R
ゆえに Ú ØR(P
Þ Q) Ú R
(d)
(
Ø P) Ú (Ø Q) Ù QÙ 消去) により P と Q が成り立つが、Ø PØ QÚ 消去) によりいずれにせよ矛盾し、Ø (P
Ù Q)
逆は、(Ú 消去) による P と Ø PØ QØ PØ QÙ 導入) により Ù Q(
Ø P) Ú (Ø Q)
| メタ定理31 | (P ( (( (( |
第1式と第2式の同値性はメタ定理30 (b)
で R を ^ とすればよい。
第2式を仮定すると、( Ù 消去) により ØPØQ(
ØP) Þ Q Þ 消去) により Q が得られ、これと ØQ Ø 導入) により 第3式が得られる。
最後に Ú QØP Þ 導入) により (
ØP) Þ Q Þ 導入) により (P
Ú Q) Þ {(ØP) Þ Q} Þ 消去) により第1式が得られる。
以上で第1〜第3式の同値性が示されたので、第1式又は第2式の P と Q に関する対称性により、これらと第4式の同値性が得られる。
| メタ定理32 | (P |
Ø(P
Ú ØP)(
ØP) Ù (ØØP) Ù 消去) により ØPØØP Ø 導入) により ØØ(P
Ú ØP)
| メタ定理33 | |
メタ定理26の Q に ØP(
ØØP) Þ P
| メタ定理34 | (P ( (( |
第2式と第3式の同値性は、メタ定理31の P に ØP
そこで、まず Ø(P
Þ Q)ØP Þ Q Ø 導入) により ØØP Þ Q Ø 導入) により ØQ Ù 導入) により第2式が得られる。
逆に第2式を仮定すると、( Ù 消去) により ØØPØQ Þ Q(
ØQ) Þ (ØP) Þ 消去) により ØPØØP Ø 導入) により Ø(P
Þ Q)
以下の証明では、推論規則として何を用いたかを一々書かないことにします。
| メタ定理35 | (a) |
(b) |
|
(c) |
|
(d) |
|
(e) ( (P |
|
(f) ( (P |
(a)
x は自由変数と仮定してよい(以下でも同様)。"xP$xP
(b)
x と y は相異なる自由変数と仮定してよい(以下でも同様)。$x$yP$yP$xP$y$xP
(c)
"x"yP"yP"xP"y"xP
(d)
$x"yP"yP$xP"y$xP
(e)
(
$xP) Ú ($xQ)$xP Ú Q$x(P
Ú Q)$xQ
逆に $x(P
Ú Q) Ú Q$xP(
$xP) Ú ($xQ)
(f)
(
"xP) Ù ("xQ)"xP"xQ Ù Q"x(P
Ù Q)
逆に "x(P
Ù Q) Ù Q"xP"xQ(
"xP) Ù ("xQ)
| メタ定理36 | x を Q に現れない自由変数とする。このとき |
(a) ( (Q |
|
(b) ( (P |
|
(c) ( (P |
|
(d) ( (P |
|
(e) ( (P |
|
(f) ( (P |
(a)
Þ (
"xP)"xP Þ P"x(Q
Þ P)
逆に "x(Q
Þ P) Þ P"xP Þ (
"xP)
(b)
(
$xP) Þ Q$xP Þ Q"x(P
Þ Q)
逆に "x(P
Þ Q)$xP Þ Q(
$xP) Þ Q
(c)
(
$xP) Ù Q$xP Ù Q$x(P
Ù Q)
逆に $x(P
Ù Q) Ù Q$xP(
$xP) Ù Q
(d)
(
$xP) Ú Q$xP Ú Q$x(P
Ú Q) Ú Q$x(P
Ú Q)$x(P
Ú Q)
逆に $x(P
Ú Q) Ú Q$xP(
$xP) Ú Q(
$xP) Ú Q(
$xP) Ú Q
(e)
(
"xP) Ù Q"xP Ù Q"x(P
Ù Q)
逆に "x(P
Ù Q) Ù Q"xP Ù Q(
"xP) Ù Q
(f)
(
"xP) Ú Q"xP Ú Q"x(P
Ú Q) Ú Q"x(P
Ú Q)"x(P
Ú Q)(
"xP) Ú Q Þ "x(P Ú Q)
次に Ú ØQ"x(P
Ú Q)(
"xP) Ú QØQ Ú Q"xP(
"xP) Ú Q
| メタ定理37 | (a) ( |
(b) ( |
|
(c) ( |
|
(d) ( |
(a)
メタ定理36 (b)
で Q に ^ を代入すればよい。
(b)
$x(
ØP)"xPØP
(c)
(b)
とメタ定理28から明らか。
(d)
(a)
とメタ定理28から明らか。
| メタ定理38 | |
(a) (( (P (Q (P |
|
(b) ( (P (( (P |
|
(c) ( |
(a)
メタ定理34で Q に ØQ
(b)
第1式を仮定すると、その対偶により (
ØØØQ) Þ (ØØØP)
また、メタ定理28で Q に ØQ
また、メタ定理28で P に ØØQØ((ØØP) Ù ØQ)
(c)
メタ定理37 (a)
で P に ØP
さて、次の推論規則を排中律といいます:
| (排中律) | P |
メタ定理32とメタ定理33により、古典論理の推論規則 (Ø消去) は (排中律) に置き換えてもよいことがわかります。
また、特定の命題 P に対して Ú ØP
| メタ定理39 | P と Q に対して共に排中律が成り立てば、 |
(a) |
|
(b) |
|
(c) (( (P (Q |
|
(d) (P ( ( ( |
|
(e) (( ( ( |
|
(f) ( (P ( |
|
(g) (P |
|
(h) (Q (P |
|
(i) (P |
|
(j) ( |
|
(k)x が Q に現れない自由変数なら、 ( (P |
その証明ですが、(a)
については、P の場合と ØPØQ
まず P と Q が成り立つ場合は Ù QØPØ(P
Ù Q)ØQ
次に P か Q のいずれかが成り立つ場合は Ú QØPØQØ(P
Ú Q)
また、ØP Þ QØQØ(P
Þ Q)
最後に ØP(
ØØP) Ú ØP
(b)
は、仮定とメタ定理33から得られます。
(c)
は (b)
とメタ定理38 (a)
から得られます。
(d)
は (c)
の否定と (a),(b)
から得られます。
(e)
はメタ定理31の否定と (a),(b)
から得られます。
(f)
は (a),(b)
とメタ定理38 (b)
から得られます。
(g)
は (f)
の否定と (a),(b)
から得られます。
(h)
は仮定とメタ定理30 (c)
から得られます。
(i)
の命題は、(f)
により {(
ØP) Ú Q} Ú {(ØQ) Ú P)}(b)
とメタ定理23 (b)
により {(
ØP) Ú P} Ú {(ØQ) Ú Q)}
(j)
は (b)
とメタ定理38 (c)
から得られます。
(k)
は仮定とメタ定理36 (f)
から得られます。
さて、次の推論規則を帰謬法又は背理法といいます:
(帰謬法) |
P |
(帰謬法) の前提と (Ø導入) から ØØPØ消去) を使うと P が得られ、(帰謬法) が導かれます。逆に ØØPØP├ ØPØP├ ØØPØ消去) が成り立つことを意味します。
すなわち古典論理の推論規則 (Ø消去) は (帰謬法) に置き換えることも可能です。
また、古典論理のもとで、P と ØPØQ├ PØQ├ ØPØ消去) に他なりません。
以上の点に注意し、古典論理で成り立つ定理(定理番号に *
を付けて区別することにします)をいくつか挙げてみます。
メタ定理40* |
古典論理では、メタ定理39の (a)~(k)が無条件で成り立つのに加え、次が成り立つ: |
(a) ( |
|
(b) ( |
|
(c) ( |
実際、(a)
はメタ定理39 (j)
の否定とメタ定理39 (b)
から得られます。
(b)
はメタ定理37 (a)
の否定とメタ定理39 (b)
から得られます。
(c)
の命題は、メタ定理39 (f)
により $x{(
Ø$xP) Ú P}(d)
により (
Ø$xP) Ú $xP
メタ定理39 (c),(f),(j)
により、古典論理では、論理記号 Ù と Þ と " は、Ø と Ú と $ を使って定義できることがわかります。
また、メタ定理39と40の各項目は、直観主義論理ではいずれも無条件では成り立たないことが知られています(付録9参照)。特に、メタ定理39 (h),(i),(k)
とメタ定理40 (c)
は、当の命題に含まれている論理記号 Þ,Ú,",$ に関する推論規則だけでは証明できず、当該命題に現れない Ø に対する推論規則 (Ø消去) を本質的に使って証明されています。言い換えると、推論規則 (Ø消去) は、当該論理記号 Ø の意味を規定するという以上の役割を果たしています。