数学の基礎


17.位相

 集合 X に対し、X の部分集合からなる集合 F ÎP (P (X )) は、その任意の有限部分集合 F ' の共分 ÇF ' { xÎX | "FÎF ' : xÎF } が元を持つとき有限交叉的であるといいます。特に空な共分を考えることにより、X 上に有限交叉的な集合が存在すれば X ¹ Æ です。
 有限交叉的な F は、その任意の有限部分集合 F ' に対して

(17-1)  "UÎP (X) ( ÇF ' Ì U  Þ  UÎ )

が成り立つときフィルターといいます。
 例えば、ある xÎX を含む X の部分集合の全体 Px(X ) { FÎP (X ) | xÎF } は明らかにフィルターです。また、有限交叉的な集合の部分集合は明らかに有限交叉的です。

 F ÎP (P (X ))X 上のフィルターであるための条件は

(17-2a)  AÎF  Þ  A ¹ Æ

(17-2b)  XÎF 

(17-2c)  A, BÎF  Þ  AÇBÎ

(17-2d)  ( AÎF  Ù  A Ì B )  Þ  BÎ

をすべて満たすことです。
 実際、(17-2a) は1個の共分、(17-2b) は空な共分、(17-2c) は2個の共分を考えれば明らかです。
 逆に、(17-2b),(17-2c) と帰納法により F の有限個の共分が F に属すことがわかり、これと (17-2a) から F の有限交叉性がわかり、(17-2d) から (17-1) の条件が得られます。
 条件 (17-2d) により、フィルター F は、AÎF かつ A = B なら BÎF 、すなわち集合の相等関係 =両立することがわかります。

 X 上の有限交叉的な F に対し、F の有限部分集合の共分を含む P (X ) の元全体を filF と書くと、これは明かに F を含む最小のフィルターです。これを F生成するフィルターといいます。

 集合 X 上のフィルター F , G は、F Ì G のとき GF より細かい、あるいは FG より粗いといいます。有限交叉的な集合 F , G についても、それらの生成するフィルターが細かい粗い、又は集合として等しいとき、それぞれ細かい粗い、又は等しいと呼んで F £ G , F ³ G 又は F @ G と書くことにします。

 また、X 上有限交叉的な集合の族 {Fi | I } は、すべての I に対して Fi Ì G となるフィルター G が存在するとき共終であるといいます。このとき ÈIFi Ì G ですから ÈIFi は有限交叉的です。
 逆に、ÈIFi が有限交叉的ならば、G º fil ÈIFi はすべての Fi を含む最小のフィルターになり、{Fi | I } は共終であることがわかります。またこの G のことを sup{Fi | I } と書いて、{Fi | I }上限フィルターと呼びます。
 特に2つの有限交叉的な F , G は、{F , G } が共終のとき共終であるといい、それらの上限フィルターを F Ú G と書きます。

 集合 X 上の有限交叉的な F と、X からある集合 Y への写像 f に対し、Ff による二重逆像  f#F f --(F ) º {BÎP (Y ) |  f -(B)ÎF } は有限交叉的です。実際、Gf#F の任意の有限部分集合とすると、(6-49c) により

(17-3)  f -(ÇG) = XÇ Ç{ f -(B) | BÎG }

で、右辺は有限交叉的な F の有限部分集合の共分なので元 a を持ち、したがって ÇGf(a) を元に持ちます。これは f#F が有限交叉的であることを示しています。

 また、Ff による  f ++(F ) º f +[F ] º { f +(A) | AÎF } { f [A] | AÎF } も有限交叉的です。実際、F の任意の有限部分集合 F ' に対し、(6-51c) により

(17-4)  f [ÇF '] Ì Ç{ f [A] | AÎF ' }

が成り立ち、左辺は元を持つからです。

 さて、一般に

(17-5)  fil f#F Ì fil f ++(F ) Ì f# fil

という関係が成り立ちます。
 実際、BÎf#F なら f -(B)ÎF 、したがって f [ f -(B)]Îf ++(F ) となりますが、f [ f -(B)] Ì B ですから BÎfil f ++(F ) が成り立ちます。
 また、BÎfil f ++(F ) なら、F の有限部分集合 F ' が存在して Ç{ f [A] | AÎF ' } Ì B となりますが、各 AÎF ' に対して A Ì f -( f [A]) が成り立ちますから ÇF ' Ì Ç{ f -( f [A]) | AÎF ' } = f -(Ç{ f [A] | AÎF ' }) Ì f -(B) となり、f -(B)ÎfilF すなわち BÎf# filF がわかります。

 さて、有限交叉的な F は、条件:

(17-6)  "A, BÎF : $CÎF : C Ì AÇB

を満たすときフィルター基底といいます。C Ì AÇB なら f [C] Ì f [AÇB] Ì f [A]Ç f [B] ですから、フィルター基底の像はやはりフィルター基底です。
 F がフィルター基底なら、(17-5) の後者の包含関係は等号:

(17-7)  fil f ++(F ) = f# filF 

になります。実際、BÎf# filF すなわち f -(B) Î filF とすると、F の有限部分集合 F ' が存在して ÇF ' Ì f -(B) となりますから、(17-6) と帰納法により A Ì f -(B) となる AÎF が存在することがわかり、f [A] Ì B ですから BÎfil f ++(F ) となります。
 特に、F がフィルターなら、filF = F ですから、(17-5) により fil f #F = f #F となるので、f#F もフィルターで

(17-8)  f#F = fil f ++(F )

が成り立つことがわかります。

 また、写像 f : X ® Yg : Y ® Z を考えると

(17-9)  g# ° f# = g-- ° f -- = ( f -° g-)- = (g ° f )-- = (g ° f )#

が成り立ちます。

 さて、集合 X の各点 x に対し、X のフィルター V (x) が与えられ、

(17-10a)  V (x) Ì Px(X )

(17-10b)  UÎV (x)  Þ  U°ÎV (x)

を満たすとき、X位相が与えられたといい、XV の組 ( X, V  ) を(あるいは略して X を)位相空間といいます。ただし X の部分集合 A に対し、

(17-11)  A° :º { xÎX | AÎV (x) }

と置きました。V (x) を、この位相における x近傍系とよび、その元を x近傍といいます。また X の部分集合 A に対し、A のすべての元の近傍になっている集合 UÎP (X ) のことを A の近傍とよび、A の近傍の全体を V (A) と書きます。

 また、A°A内部とよび、その元を A内点とよびます。特に O° = O となる OÎP (X )開集合といいます。このとき

(17-12a)  X ° = X

(17-12b)  A°Ì A

(17-12c)  A Ì B  Þ  A°Ì B°

(17-12d)  A°° = A°

(17-12e)  (AÇB)° = A°Ç B°

が成り立ちます。
 実際、(17-12a)xÎX ° Û  XÎV (x) により明らかです。
 また (17-12b)xÎA° Û  AÎV (x)  Þ  xÎA により明らかです。
 また (17-12c)xÎA° Û  AÎV (x)  Þ  BÎV (x)  Û  xÎB° により明らかです。
 また (17-12d) は、(17-10b) により xÎA° Û  AÎV (x)  Þ  A°ÎV (x)  Û  xÎA°° となることと、(17-12b)AA° を代入したものにより逆向きの包含関係が得られるので明らかです。
 また (17-12e)xÎ(AÇB)° Û  AÇBÎV (x)  Û  A, BÎV (x)  Û  xÎA°Ç B° により明らかです。

 特に、(17-12d) により、任意の集合の内部は開集合ですが、更に O Ì A となる任意の開集合 O に対して O = O°Ì A° ですから、A°A に含まれる最大の開集合であることがわかります。

 さて、逆に勝手な集合 X と、冪集合 P (X ) からそれ自身への写像 ° が与えられ、(17-12) を満たすとします。このとき

(17-13)  V (x) { UÎP (X ) | xÎU°}

と置くと、VX 上に位相を定めます。
 実際、UÎV (x) なら、定義と (17-12b) により xÎU°Ì U ですから、(17-10a) とフィルターの条件 (17-2a) が成り立ちます。
 また、(17-12a) により xÎX = X ° ですから (17-2b) も成り立ちます。
 また、U, VÎV (x) なら xÎU°ÇV ° となるので (17-12e) により xÎ(UÇV )° すなわち UÇVÎV (x) となって (17-2c) が成り立ちます。
 また、UÎV (x) , U Ì V なら xÎU° が成り立ち、更に (17-12c) により xÎV ° となるので VÎV (x) となって (17-2d) が成り立ちます。
 あとは (17-10b) を示せば証明が完成しますが、その前に、

(17-14)  { xÎX | AÎV (x) } = { xÎX | xÎA° } = A°

ですから、(17-13)V から (17-11) により定義した“A の内部”が、与えられた ° による A° と相等になることに注意します。このことと、フィルター V (x) が集合の相等と両立することにより、その一方が V (x) に属せば他方も属すことがわかります。
 ゆえに UÎV (x) すなわち xÎU° なら (17-12d) により xÎU°° すなわち U°ÎV (x) となって、条件 (17-10b) が成り立つことがわかります。

 以上で (17-13) で定義された VX 上の位相を定め、その位相により定義された“内部”が、与えられた ° と相等になることがわかりました。
 逆に、X に位相 V が与えられ、その位相による内部を ° と書くとき、位相 V '(17-13) の右辺で定義すると、

(17-15)  V '(x) = { UÎP (X ) | xÎU°} = { UÎP (X ) | UÎV (x) } = V (x)

となって、両位相は一致します。
 以上により、集合 X に位相 V を与えることと、X の冪集合上に (17-12) を満たす演算 ° を与えることは同等であることがわかりました。

 次に、O を、位相空間 ( X, V  ) の開集合全体からなる集合とします。このとき O は次の性質を満たします:

(17-16a)  ( UÎO  Ù  U = V )  Þ  VÎO

(17-16b)  XÎO

(17-16c)  U, VÎO  Þ  UÇVÎO

(17-16d)  O' Ì O  Þ  ÈO' ÎO

 実際、(17-16a) は、U° = U と、(17-12c) による U° = V ° により V ° = V となるので明らかです。
 また、(17-16b)(17-12a) により明らかです。
 また (17-16c) は、U , V が開集合なら (17-12e) により UÇV = U°ÇV° = (UÇV )° となるので明らかです。
 また (17-16d) は、UÎO' なら U Ì ÈO' なので、U が開集合であることと (17-12c) により、U = U°Ì ( ÈO' )° となり、従って ÈO' Ì ( ÈO' )° となりますから、これと (17-12b) により実は ÈO' = ( ÈO' )° となるので明らかです。

 逆に、(17-16) を満たす O ÎP (P (X )) が与えられたとします。このとき、各 A Ì X に対し、

(17-17)  A° :º È{ OÎO | O Ì A }

と置くと、°(17-12) を満たすことを証明しましょう。
 まず (17-16b) により (17-12a) は明らかです。
 また、定義式 (17-17) により (17-12b),(17-12c) は明らかです。
 また、(17-16d) により (17-17) の右辺は O に属すので、常に

(17-18)  A°ÎO

が成り立つことに注意します。このことから (12-12d) は明らかです。
 また、(17-12c) により (AÇB)° Ì A° かつ (AÇB)° Ì B° が成り立ち、(17-12e) の左辺が右辺に含まれることは明らかです。
 逆に、(17-18) により A°, B° ÎO であることと (17-16c) により、(17-12e) の右辺は AÇB に含まれる O の元ですから (17-12e) の左辺に含まれます。これで (17-12e) は証明されました。
 以上で (17-16) を満たす集合 OX に位相を定めることがわかりました。

 更に、(17-17)° について、(17-18),(17-16a) により O° = O  Û  OÎO ですから、O は、O が定める位相の開集合全体に一致します。
 逆に、位相空間が与えられ、その位相の開集合全体を O とすれば、集合 A の内部は A に含まれる最大の開集合でしたから、(17-17) の両辺は相等です。
 以上により、集合 X に位相 V を与えること、X の冪集合上に (17-12) を満たす演算 ° を与えること、(17-16) を満たす X の部分集合族を考えることはすべて同等であることがわかりました。そこで、今後は“位相 V ”というかわりに“位相 ° ”あるいは“位相 O ”という言い方もすることにします。

 ここで、開集合と近傍系を、間に ° を挟まずに直接関連付けてみましょう。
 Ux の近傍なら、U°x を元に持ち U に含まれる開集合です。逆に x を元に持つ開集合 O は、xÎO° ですからこれは Ox の近傍であることを意味し、近傍系はフィルターですから O を含む集合は x の近傍です。したがって、x の近傍とは、x を含む開集合を含む集合のことに他なりません。x を元に持つ開集合の全体はフィルター基底ですから、

(17-19)  V (x) = fil{ OÎO | xÎO }

と書くこともできます。

 次に位相空間におけるフィルターの収束、集積、及び位相空間から位相空間への写像に関する連続という概念を考察します。

 位相空間 X のフィルター F は、xÎX の近傍系 V (x) より細かいとき x に収束する、あるいは x を極限に持つといい、V (x)共終のとき x に集積する、あるいは x を集積点に持つといいます。また有限交叉的集合についても、それの生成するフィルターが収束又は集積するとき収束又は集積するといいます。
 明かに、x に収束するフィルターは x に集積します。また、x に収束するフィルターより細かいフィルターも x に収束し、逆に x に集積するフィルターより粗いフィルターも x に集積します。
 フィルターの収束点や集積点は、いつでも存在するとは限りませんし、また存在したとしても一意的とは限りません。

 次に、( X, V  )( Y, V ' ) を位相空間とするとき、写像 f : X ® Y は、x の近傍系の f による二重逆像が f(x) に収束するとき x で連続であるといいます(なお、(17-7) により、“二重逆像”というところを“像”と言い換えても同じです)。
 これは f#V (x) É V '( f(x)) すなわち f(x) の任意の近傍 V に対して f -(V )x の近傍である、言い換えると f(x) の任意の近傍 V に対して x の近傍 U が存在して f [U] Ì V となることを意味します。
 f : X ® Y は、A Ì X のすべての点で連続なとき A で連続X で連続なとき単に連続であるといいます。
 f は位相空間 ( X, V  ) から位相空間 ( Y, V ' ) への写像、g は位相空間 ( Y, V ' ) から位相空間 ( Z, V " ) への写像で fx で連続、gf(x) で連続とすれば、(17-9) により

(17-20)  (g ° f )#V (x) = g# f#(V (x)) É g#V '( f(x)) É V "( g( f(x)))

となりますから、g ° fx で連続であることがわかります。したがって連続関数の合成は連続です。

 次に f の連続性を ° や開集合の言葉で言い換えてみましょう。
 f : X ® Y が連続であるということは、"x "B [ BÎV ( f(x))  Þ  f -(B)ÎV (x) ] と表わされますが、これは更に "B "x [  f(x)ÎB°  Þ  xÎf -(B)° ] と変形できるので、f が連続であることと、任意の BÎP (Y ) に対して

(17-21)  f -(B°) Ì  f -(B)°

が成り立つこととは同値です。
 特に、B として開集合 O を取れば、f -(O) = f -(O°) Ì  f -(O)° となるので、これと (17-12b) により f -(O) は開集合であることがわかります。逆に開集合の逆像が常に開集合なら、任意の BÎP (Y ) に対して f -(B°) = f -(B°)° Ì  f -(B)° すなわち (17-21) が成り立ちます。すなわち f が連続であるための条件は、開集合の f による逆像が常に開集合になることです。

 さて、集合 X 上の位相 O と、写像 f : X ® Y に対し、f の二重逆像 f# を用いて

(17-22)  f#O { UÎP (Y )  |  f -(U )ÎO }

と置くと、U = V  Þ  f -(U ) = f -(V )f -(Y ) = Xf -(UÇV ) = f -(U ) Ç f -(V )f -( ÈO' ) = È{ f -(O) | OÎO' } が成り立つので f#O(17-16) を満たします。さらに、Y にも位相 O' が与えられたとき、f が連続であるための条件は、

(17-23)  O' Ì f#O

と書くことができます。また、X 上の位相の族 { Oi | I } に対し、その包含関係に関する下限である共分:

(17-24)  inf { Oi | I } = Ç{ Oi | I }

は明らかに (17-16) を満たし、X の位相を定めます。(17-22),(17-24) により

(17-25)  f#(inf { Oi | I }) = f --(Ç{ Oi | I }) = Ç{ f --(Oi ) | I } = inf { f#Oi | I }

が成り立ちます。

 さて次に、位相と両立する同値関係について考察します。位相空間 ( X, V  ) の同値関係 = は、

(17-26)  x = y  Þ  V (x) = V ( y)

を満たすとき、位相と両立するといい、位相空間に位相と両立する同値関係を併せて考えたものを同値関係を持つ位相空間ということにします。
 また、位相空間 ( X, V  ) において (17-26) の右辺により X の2項関係 x = y定義すると、これは明らかに X の位相と両立する(関係の包含関係として)最大の同値関係です。これを、X の位相に伴う同値関係ということにします。

 なお、ここで

(17-27)  [ ( "UÎV (x) : yÎU )  Ù  ( "UÎV ( y) : xÎU ) ]  Û  V (x) = V ( y)

が成り立つことに注意します。
 実際、Ü(17-10a) により明らかですし、左辺を仮定すれば、任意の UÎV (x) に対し、(17-10b) により U°ÎV (x) となるので仮定により yÎU° すなわち UÎV ( y) がわかり、V (x) Ì V ( y) が得られます。同様にして V ( y) Ì V (x) もいえるので、(17-27) の右辺が導かれます。

 さて、f を位相空間 ( X, V  ) から位相空間 ( Y, V ' ) への連続写像、=X の位相と両立する同値関係、='Y の位相に伴う同値関係とすれば、f は、これらの同値関係に関して関数になります。
 実際、x = y と仮定します。任意に UÎV '( f(x)) を取ると、f の連続性と =X の位相と両立することにより f -(U )ÎV (x) = V ( y) となります。ゆえに (17-10a) により yÎ f -(U ) すなわち f( y)ÎU が得られます。同様に、任意に UÎV '( f( y)) を取ると f(x)ÎU が導かれます。ゆえに (17-27) により V '( f(x)) = V '( f( y)) すなわち f(x) =' f( y) がわかります。

 さて、同値関係 x = y が位相と両立するための条件を ° 又は O によって表現してみましょう。(17-11) により、(17-26)

(17-28)  x = y  Þ  "AÎP (X ) : ( xÎA° Û  yÎA° )

が成り立つことと同値です。したがって、開集合を使って書けば

(17-29)  x = y  Þ  "OÎO : ( xÎO  Û  yÎO )

とも同値です。これは“同値関係がすべての開集合と両立する”ということに他なりません。

 さて、同値関係を持つ位相空間を対象、連続関数を射とよべば、これは一つの圏を構成します。この圏を位相空間の圏とよぶことにします。
 位相空間において、その位相構造を“忘れ”ると、集合の圏と考えることができます。(17-25),(17-9) の関係は、それぞれ第9節の (9-18a),(9-18b) に他なりませんから、第9節の議論が適用できて、位相空間の圏は完備かつ余完備であり、位相構造を“忘れる”関手は極限保存関手かつ余極限保存関手であることがわかります。

 なお、等号を持つ集合 Y から位相空間 ( X, V  ) への一対一関数 i : Y ® X による Y 上の導入位相を部分(位相)空間といいます。
 双対的に、位相空間 ( X, V  ) から等号を持つ集合 Z への上への関数 p : X ® Z による Z 上の余導入位相を商(位相)空間といいます。

 さて、次に第9節の議論(の双対)により f# から作られる f # を具体的に調べてみましょう。これは (9-20)

(17-30)  f #O Ì O'  Û  O Ì f#O'

によって特徴づけられます。右辺は { f -(O) | OÎO } Ì O' と書くことができますが、この { f -(O) | OÎO } { O'ÎP (X ) | $OÎO : O' = f -(O) } という集合は明らかに (17-16) を満たしますから、

(17-31)  f #O = { f -(O) | OÎO }

となることがわかります。
 特に、(17-31) を位相空間 X の部分空間 Y に適用すれば、Y の開集合とは、X の開集合 O の埋め込み写像 i : Y ® X による逆像 i-(O) = YÇO の形の集合のことであることがわかります。

 さて、(17-31)(17-19) を組み合わせると、位相 f #O の近傍系を ( f #V )(x) と書けば、

(17-32)  ( f #V )(x) = fil{  f -(O) | OÎO , xÎf -(O) } = fil{  f -(U ) | UÎV ( f(x)) }

となることがわかります。また、{ Vi | iÎI }X の位相の族とするとき、

(17-33)  V (x) = fil( È{ Vi(x) | iÎI })

と置けば、これは (17-10) を満たします。
 実際、(17-10a) は明らかです。
 また、(17-10b) を示すために UÎV (x) とすると、I の有限部分集合 J と、各 iÎJ に対する ViÎVi(x) が存在して Ç{ Vi | iÎJ } Ì U となり、各 iÎJ に対し、Wi{ zÎX | ViÎVi(z) }ÎVi(x) ですから WÇ{ Wi | iÎJ }ÎV (x) となります。 一方、Vi(z) Ì V (z) ですから Wi Ì { zÎX | ViÎV (z) } となり、従って W Ì { zÎX | "iÎJ : ViÎV (z) } Ì { zÎX | UÎV (z) } ですから { zÎX | UÎV (z) }ÎV (x) となります。

 以上で、(17-33)V (x){ Vi | iÎI } の上限位相を定めることがわかりました。

 さて、位相空間から位相空間への写像は、任意の開集合の像が開集合になるとき開写像といいます。f : X ® Y開写像であるための必要十分条件は

(17-34)  "AÎP (X ) :  f [A°] Ì  f [A]°

が成り立つことです。
 実際、f が開写像なら、左辺は f [A] に含まれる開集合ですから f [A] の内部に含まれます。逆に (17-34) が成り立てば、特に A として開集合を取れば、左辺は f [A] となり、これは自分自身の内部に含まれ、従って一致するので開集合となります。
 一方、(17-34)

(17-35)  "BÎP (Y ) :  f -(B)° Ì  f -(B°)

とも同値です。
 実際、(17-34) を仮定し、任意の BÎP (Y ) に対して Af -(B) と置くと、f [A] Ì B なので、f [A°] Ì  f [A]° Ì B° つまり A° Ì  f -(B°) となるので (17-35) が得られ、逆に (17-35) を仮定し、任意の AÎP (X ) に対して Bf [A] と置くと、A Ì f -(B) なので、A° Ì f -(B)° Ì  f -(B°) つまり f [A°] Ì B° となるので (17-34) が得られます。

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