数学の基礎


20.完備性とコンパクト性

 一様空間 ( X, U ) の2つのフィルター F , G は、F ÏGU より細かい有限交叉的集合であるとき(この一様構造に関して)同値であるといって F  » G と書き、特に自分自身と同値なフィルターをコーシー・フィルターとよびます。コーシー・フィルターより細かいフィルターは明らかコーシー・フィルターです。

 フィルターの同値性については

(20-1a)  F  » G  Þ  G »

(20-1b)  ( F  » G  Ù  G » )  Þ  F » H

が成り立ちます。
 実際、F  » G なら、任意の UÎU に対し、(19-2b) を満たす V を取ると、A ´ B Ì V となる AÎFBÎG が存在しますが、B ´ A Ì V - Ì U となるので G » F がわかり、(20-1a) が成り立ちます。
 また F  » G かつ G » H  なら、任意の UÎU に対し、(19-2c) を満たす V を取ると、A ´ B Ì V かつ C ´ D Ì V となる AÎFB, CÎGDÎH  が存在しますが、G はフィルターなので aÎBÇC が存在し、A ´ D Ì V ° V Ì U となるので F » H  がわかり、(20-1b) が成り立ちます。

 さて、F  » G なら (20-1a) により G » F となるので、これらと (20-1b) により F  » が導かれるので、あるフィルターと同値なフィルターはコーシー・フィルターであり、関係 »X のコーシー・フィルター全体からなる集合上の同値関係であることがわかります。また明らかに

(20-2)  ( F  » G  Ù  F Ì F '  Ù  G Ì G ' )  Þ  F ' » G'

が成り立ちます。

 さて、F  と G を一様空間 ( X, U ) の共終なコーシー・フィルターとすれば、F , G のいずれよりも細かいフィルター H  が存在し、F  » F Ì H  ですから (20-2) により F  » H  が成り立ち、同様に G » H  が成り立ちますから、(20-1) により F  » G です。すなわち共終な2つのコーシー・フィルターは同値であることがわかりました。

 また、一様構造 U が定める位相を V とすれば、{x}´ U(x) Ì U ですから、Px(X )V (x) は同値、従って特に x の近傍系はコーシー・フィルターです。このことから更に、収束フィルターはコーシー・フィルターであることもわかります。

 また、x に収束するフィルターと同値なフィルター F  は x に収束します。
 実際、任意の UÎU に対して x の近傍 VAÎF が存在して V ´ A Ì U となりますが、xÎV ですから A Ì U(x) となり、これは U(x)ÎF を意味し、F  は x に収束することがわかります。
 このことから、x に集積するコーシー・フィルターは x に収束することもわかります。なぜなら、そのようなフィルターと V (x) は共終なコーシー・フィルターなので、同値になるからです。

 次に、f : X ® Y を一様空間 ( X, U ) から一様空間 ( Y, U' ) への一様連続写像、F  を X のコーシー・フィルターとすれば、f#F = fil f ++(F )Y のコーシー・フィルターです。
 実際、任意の UÎU' に対して ( f ´ f )-(U )ÎU ですから、A ´ B Ì ( f ´ f )-(U ) となる A, BÎF が存在します。ゆえに f [A] ´ f [B] Ì U となり、これは f#FY のコーシー・フィルターであることを意味しています。

 また、集合 X と一様空間の族 { ( Xi , Ui ) | iÎI } および写像の族 {  fi : X ® Xi | iÎI } が与えられたとき、これらの写像により X に導入された一様構造を U とします。このとき X のフィルター F  は、すべての iÎI に対して fi#FXi のコーシー・フィルターならばコーシー・フィルターです(従って特に、一様空間の部分空間や、一様空間たちの極限におけるフィルターは、その標準写像による二重逆像がすべてコーシー・フィルターならばコーシー・フィルターです)。
 実際、U = fil È{ fi #Ui | iÎI } ですから、任意の UÎU は、ある有限集合 J Ì I と各 iÎJ に対する ViÎUi に対して Ç{( fi ´ fi)-(Vi ) | iÎJ }Ì U が成り立ち、仮定により各 iÎJ に対し、fi[Ai] ´ fi[Bi] Ì Vi となる Ai , BiÎF が存在します。
 ゆえに AÇ{Ai | iÎJ } , BÇ{Bi | iÎJ } と置けば、A, BÎF  かつ A ´ B Ì U となるので、F  はコーシー・フィルターであることがわかります。

 一様空間 ( X, U ) は、任意のコーシー・フィルターが収束するとき完備であるといいます。

 完備一様空間 X の閉部分空間 F は完備です。実際、F のコーシー・フィルター F  を X の冪集合の部分集合とみなせば、これは X で有限交叉的ですから、その生成する X 上のフィルター F ' は明らかに X のコーシー・フィルターなので、ある xÎX に収束します。しかも FÎF ' ですから xÎF となり、F は閉なので xÎF となります。

 また逆に、一様空間 X の完備部分空間 F は、X に伴う同値関係 = と両立すれば、X の閉集合です。実際、xÎF とすると、F を元に持ち、x に収束するフィルター F  が存在します。F '{ FÇA | AÎF } と置くと、F  は X のコーシー・フィルターなので F 'F のコーシー・フィルターです。よって仮定により F ' はある yÎF に収束します。ゆえに F 'Xxy の両方に収束するので x = y となり、F= と両立するので xÎF が得られ、F は閉であることがわかります。

 また、同値関係を持つ完備一様空間の族 { Xi | iÎI } の積 X は完備です。実際、F  を X のコーシー・フィルターとすると、各 iÎI に対し、それの標準写像 pi : X ® Xi による二重逆像は Xi のコーシー・フィルターですから収束します。そこで、各 iÎIpi#F の極限(の一つ)を対応させる写像を x と書くと、pi#Fpi(x) に収束するので、(18-9) の下の注意により、Fx に収束します。
 また (18-12) によれば、一様構造に伴う同値関係を持つ一様空間からなる図式の極限はそれらの積の閉部分空間と同一視できますから、一様構造に伴う同値関係を持つ完備一様空間の族からなる図式の極限は完備であることがわかります。

 さて、Y を一様空間 X の稠密な部分空間とするとき、Y のコーシー・フィルターが生成する X のコーシー・フィルターがすべて X で収束すれば X は完備です。
 実際、FX の任意のコーシー・フィルターとし、Gfil{ U[A] | AÎF , UÎU } と置くと、G は明らかに F より粗いフィルターですが、任意の UÎU に対して V ° V ° V -1 Ì U となる VÎUA ´ A Ì V となる AÎF を取れば V[A] ´ V[A] Ì U となるので、G はコーシー・フィルターです。
 一方、Y = X なので、任意の xÎXUÎU に対して U(x)ÇY ¹ Æ ですから AÎF  Þ  U[A]ÇY ¹ Æ となるので H{ BÇY | BÎG }Y のコーシー・フィルターです。
 ゆえに仮定から H が生成する X のフィルター IX で収束しますが、GI より粗いので集積し、しかもコーシー・フィルターなので実は収束します。ゆえに G より細かい も当然収束し、X は完備であることがわかりました。

 また、一様空間 ( X, U ) の稠密な部分空間 Y から完備一様空間 ( Z, U ' ) への一様連続写像 f は、Z の一様構造に伴う同値関係のもとで、X から Z への一様連続な写像に一意的に拡張できます。
 実際、任意の xÎX に対して Fx{ UÇY | UÎV (x) }Y のコーシー・フィルターなので、f#Fx はコーシー・フィルターです。ゆえに Z の完備性により、Z の同値関係に関して一意に定まる極限 j(x) を持ち、xÎY なら明らかに j(x) = f(x) です。
 一方、任意の閉な U'ÎU ' に対し、f の一様連続性から、開な UÎU が存在して ( f ´ f )[UÇY ²] Ì U' となります。そこで任意に (x, y)ÎU を取ると、U は開なので、xyX における近傍 V , V' が存在して V ´ V' Ì U となり、これは A ´ B Ì U' となる AÎf#FxBÎf#Fy が存在することを意味し、このことから (j(x), j( y))ÎU' = U' が得られ、j は一様連続であることがわかります。
 最後に y も一様連続な f の拡張とすると、{ xÎX | y(x) = j(x) } = (y, j)-(DX )X で稠密な Y を含む閉集合ですから X に一致し、一意性 y = j も証明されました。

 さて、一様構造に伴う同値関係を持つ完備一様空間を対象、一様連続関数をとよべば一つの圏を構成しますが、この圏から一様空間の圏への関手を考えるとき、任意の一様空間に対する普遍構造が存在することを証明しましょう。
 与えられた一様空間 ( X, U ) に対し、X 上のコーシー・フィルターの全体を X と書き、各 UÎU に対し、

(20-3)  U { (x, h)Î(X)² | UÎfil(xÏh) }

と置くとき、{ U | UÎU }(19-2) を満たし、従って U fil{ U | UÎU }X の一様構造になることを証明しましょう。そのために任意に UÎU を取ります。
 まず任意の X はコーシーフィルターですから、U Ì fil(xÏx) すなわち (x, x)ÎU となるので DX Ì U が得られます。
 次に、V -1 Ì U となる V に対して (x, h)ÎV  Þ  VÎfil(xÏh)  Þ  V -1Îfil(hÏx)  Þ  UÎfil(hÏx)  Þ  (h, x)ÎU となるので (V)-1 Ì U となります。
 また、V ° V Ì U となる V に対して (x, h), (h, z)ÎV を取ると、AÎxB, CÎhDÎz が存在して A ´ B Ì V かつ C ´ D Ì V となります。h はフィルターなので BC は共通元を持つので、A ´ D Ì V ° V Ì U となり、これは (x, z)ÎU を意味しますから、V° V Ì U が得られます。
 最後に U' ° U' ° U' Ì U となる U'ÎU を取り、この U' に対して U' È CV' = X ² となる V'ÎU を取り、最後に V ° V ° V Ì V' となる VÎU を取ります。
 さて、任意に x, X を取ると、x , h 共にコーシーフィルターですから A ´ A Ì U'ÇV , B ´ B Ì U'ÇV となる AÎx , BÎh が存在します。A , B は元を持つので xÎAyÎB を任意に取ります。このとき (x, y)ÎU' 又は (x, y)ÏV' となります。
 前者のときは、A ´{x}Ì U' , {x}´{ y}Ì U' , { y}´ B Ì U' ですから A ´ B Ì U' ° U' ° U' Ì U すなわち (x, h)ÎU となります。
 後者のときは、(x, h)ÎV と仮定すると、C ´ D Ì V となる CÎxDÎh が存在し、x , h はフィルターなので、ある x'ÎAÇC , y'ÎBÇD が存在します。ところが (x, x')ÎA ´ A Ì V , (x', y')ÎC ´ D Ì V , ( y', y)ÎB ´ B Ì V なので (x, y)ÎV ° V ° V Ì V' となって矛盾します。つまり (x, h)ÏV となることがわかりました。
 以上で U È CV = (X がわかり、UX の一様構造になっていることがわかりました。

 次に、X の点 xx の近傍系を対応させる写像を i : X ® X と書くと、任意の UÎU に対して

(20-4)  (i ´ i)-(U ) = { (x, y)ÎX ² | $V, V'ÎU : V(x) ´ V'( y) Ì U }

ですから、V ° V ° V -1 Ì U となる VÎU を取れば

(20-5)  V Ì (i ´ i)-(U ) Ì U

となるので、X の一様構造は X からの i による導入一様構造になっていて、特に i は一様連続です。また Xi[X] は、それぞれの一様構造から定まる同値関係のもとで一様空間として同型であることもわかります。

 一方、任意の UÎUX に対し、V ° V Ì U となる VÎUA ´ A Ì V となる AÎxxÎA を取ると、A ´ V(x) Ì V ° ( A ´ {x}) Ì V ° V Ì U すなわち (x, i(x))ÎU ですから、これは

(20-6)  ____
i[X ]
= X

が成り立つことを意味しています。

 さて、X は完備であることを証明しましょう。そのためには、既に示したことから、i[X] の任意のコーシー・フィルター F が生成する X のフィルター F ' が収束することを示せば十分です。
 x :º fil{ i-(B) | BÎF } と置くと、(20-5) により、xX のコーシー・フィルター、すなわち X です。F 'x に収束することを証明しましょう。
 任意の UÎU に対し、V ° V Ì U となる VÎUA ´ A Ì V となる A = i-(B)Îx ( BÎF )xÎA を取ると、A ´ V(x) Ì U すなわち (x, i(x))ÎU で、しかも i(x)ÎB ですから、BÇU(x) ¹ Æ となり、これは F 'x に集積することを示しています。ところが F ' はコーシー・フィルターなので、実は x に収束します。

 さて、f : X ® ZX から一様構造に伴う同値関係を持つ完備一様空間 Z への一様連続関数とします。Xi[X] は一様空間として同型なので、fi[X] から Z への一様連続関数とみなせます。一方 i[X]X で稠密ですから、既に示したように、fX から Z への一様連続関数 jに一意的に拡張できて j ° i = f となります。

 以上で ( X, U )i の組が一様空間 ( X, U ) の普遍構造になっていることがわかりました。この普遍構造を ( X, U )完備化といいます。

 なお、以上の議論により、一様空間 X の部分集合 A に対し、i[A]X における閉包は A の完備化になっていることもわかりました。

 また、f を一様空間 X から Y への一様連続写像とし、X の完備化を ( X, i )Y の完備化を ( Y, j ) とすると、j ° f = f ° i となる X から Y への一様連続写像 f が一意的に存在しますが、これは具体的に ff ++ で与えられることに注意します。
 実際、f は一様連続なので、特に連続で、従って xÎX の近傍の f による像は f(x) の近傍ですから j ° f = f ++° i は明らかです。従って、一意性により、あとは ff ++ の一様連続性を確かめれば十分です。
 ところが ( f ´ f )[U ] Ì VUÎfil (xÏh) ならば、A ´ B Ì U となる AÎxBÎh が存在し、従って f [A] ´ f [B] Ì V なので VÎfil ( f ++(x)Ï f ++(h)) となり、これは ( f ++ ´ f ++ )[U] Ì V を意味するので f ++ は一様連続です。

 さて、一様空間の点列は、それに伴うフィルターがコーシー・フィルターであるときコーシー列といい、任意のコーシー列が収束する一様空間は列的に完備であるといいます。
 完備ならもちろん列的に完備ですが、一様空間 ( X, U )U可算基底を持つときは、逆に列的に完備なら完備です。
 実際、{ Un | nÎN }U の基底とし、 をコーシー・フィルターとすると、各 n に対して An ´ An Ì Un となる { An | nÎN } Ì が存在します。そこで anÎ Ç{ Ai | i £ n } となるように点列 { an | nÎN } を取れば、これは明らかにコーシー列ですから収束し、それより粗いフィルター fil { An | nÎN } は集積し、これはコーシー・フィルターですから収束します。したがってこれより細かい も収束し、X は完備であることがわかりました。

 次に、( X, U ) を一様空間とし、UÎU とするとき、X の部分集合 A は、A² Ì U となるとき U-小集合といいます。また X は、任意の UÎU に対し、有限個のU-小集合で覆われる(=合併集合と表わせる)とき、全有界であるといいます。明らかに全有界な集合 A , B の合併は全有界です。

 f : X ® Y を全有界な一様空間 ( X, U ) から一様空間 ( Y, U' )上への一様連続関数とすれば、( Y, U' ) も全有界です。
 実際、UÎU' とすれば、f の一様連続性により ( f ´ f )-(U )ÎU ですから ( f ´ f )-(U )-小集合からなる X の有限被覆 A が存在します。ゆえにその像 f ++( A)U-小集合からなる Y の有限被覆となり、Y は全有界であることがわかりました。

 また、集合 X と全有界な一様空間の族 { ( Xi , Ui ) | iÎI } および写像の族 {  fi : X ® Xi | iÎI } が与えられたとき、これらの写像により X に導入された一様構造を U とすると、( X, U ) も全有界です(従って特に、全有界一様空間の部分空間や、全有界一様空間たちの極限は全有界です)。
 実際、UÎU とすると、I の有限部分集合 J と、各 iÎJ に対する ViÎUi が存在して Ç{ ( fi ´ fi) -(Vi) | iÎJ } Ì U となり、各 iÎJ に対し、Vi-小集合からなる Xi の有限被覆 Ai が存在します。
 ゆえに各 iÎJ に対し、{ fi-(A) | AÎAi }( fi ´ fi )-(Vi)-小集合からなる X の有限被覆ですから、{ ÇiÎJ fi-(Ai) | "iÎJ : AiÎAi }U-小集合からなる X の有限被覆です。

 また、一様空間 ( X, U ) は、任意の UÎU に対し、X の有限部分集合 F が存在して X = U[F] となるときプレコンパクトであるといいます。明らかにプレコンパクト集合 A , B の合併はプレコンパクトであり、有限集合はプレコンパクトです。
 また、任意の U に対して V -° V Ì U となる VÎU を取れば、任意の xÎX に対して V(x)U-小集合で、X = V[F] となる有限集合 F を取ると、X は有限被覆 { V(x) | xÎF } を持ちますから、プレコンパクトなら全有界です。

 全有界の場合と同様に、f : X ® Y をプレコンパクトな一様空間 ( X, U ) から一様空間 ( Y, U' )上への一様連続関数とすれば、Y もプレコンパクトです。
 実際、任意の UÎU' に対し、( f ´ f )-(U )ÎU ですから、仮定により X の有限部分集合 F が存在して X = ( f ´ f )-(U )[F ] となりますが、f が上への写像であることから Y = U [ f [F ]] となって、Y はプレコンパクトであることがわかります。

 逆に、一様空間 X が上への写像 f : X ® Y によるプレコンパクト空間 (Y, U ) からの導入一様構造ならば、X もプレコンパクトです。
 実際、任意の UÎU に対し、Y の有限部分集合 F が存在して Y = U [F] と書けます。一方、f [X ] = Y ですから、X の有限部分集合 F' が存在して F = f [F' ] となります。よって X = ( f ´ f )-(U )[F' ] と書け、これは Xf による Y からの導入一様構造でプレコンパクトであることを示しています。

 また、{ ( Xi , Ui ) | I }可識な添字集合 I に対する、元を持つ一様空間の族とすれば、それらの積 X º ÕI Xi はプレコンパクトです。
 実際、X の一様構造を U とし、pi : X ® Xi を標準写像とすれば、任意の UÎU を取ると、I の有限部分集合 J{ k(i) | i < n } と各 i < n に対する UiÎUk(i) が存在して Ç{ (pk(i) ´ pk(i) )-(Ui) | i < n } Ì U となります。
 一方、I に対する条件により、各 I に対して J(i) { i < n | i º k(i) } は有限集合です。ゆえに、"iÎI : U (i)Ç{ Ui | iÎJ(i) }ÎUi となり、Xi はプレコンパクトですから、その有限部分集合 Fi が存在して Xi = U (i)[Fi ] となります。他方 J'I \ J と置けば、I に対する仮定により I = JÈJ' となり、更に各 Xi が元を持つことから X º ÕJ' Xi は元 z を持ちます。
 ゆえに F{z} ´ ÕJ Fi と置けば、これは有限集合であり、しかも "yÎX : "iÎJ : pi( y)ÎXi ですから、$xÎFi : (x, pi( y))ÎU (i) となりますから、 $xÎF : "iÎJ : [ (pi(x), pi( y))ÎU (i)  Ù  pi(x)ÎFi ] となります。
 これは、(x, y)ÎÇ{ (pi ´ pi )-(U (i) ) | iÎJ } = Ç{ (pk(i) ´ pk(i) )-(Ui) | i < n } Ì U かつ xÎF を意味しますから、X = U [F] となり、U は任意ですから X はプレコンパクトです。

 また、一様空間のプレコンパクト部分集合の閉包はプレコンパクトです。
 実際、A を一様空間 (X, U ) のプレコンパクトな部分集合とすると、任意の UÎU について、V -1 ° V Ì U となる VÎU を取ると、A の有限部分集合 F が存在して A Ì V [F] となります。
 一方、任意の xÎA に対して V(x)ÇA ¹ Æ ですから、xÎV -1[A] Ì V -1[V [F]] Ì U [F] 、すなわち A Ì U [F] となるので A はプレコンパクトです。

 また逆に、プレコンパクト空間の稠密な部分空間はプレコンパクトです。
 実際、A をプレコンパクト空間 X の稠密な部分集合とすると、任意の UÎU に対して V ° V Ì U となる VÎU を取ると、X = V [F] となる X の有限部分集合 F が存在し、AX で稠密ですから、A の有限部分集合 F' が存在して F Ì V [F' ] となります。よって X = V [V [F' ]] Ì U [F' ] となるので A はプレコンパクトであることがわかります。

 また、U可算基底を持つプレコンパクト空間可分です。
 実際、{ Un | nÎN }U の基底とすると、各 n に対し X = Un [Fn ] となる有限集合 Fn が存在するので、これらの合併を F とすれば、これは X で稠密な可算集合です。

 さてここで、プレコンパクト空間の部分集合がプレコンパクトになるための十分条件を考えます。一様空間 ( X, U ) の部分集合 A は、条件:

(20-7)  "UÎU : $VÎU : "xÎX : ( AÇU(x) ¹ Æ  Ú  AÇV(x) = Æ )

を満たすとき、可視的であるということにします。これは古典論理では、V = U とすれば自明に成り立ちますから無意味な条件になります。

 さて、A , B が可視的ならその合併 AÈB も可視的です。
 なぜなら、任意の UÎU に対し、"xÎX : ( AÇU(x) ¹ Æ  Ú  AÇV(x) = Æ ) となる VÎU"xÎX : ( BÇU(x) ¹ Æ  Ú  BÇW(x) = Æ ) となる WÎU を取れば、VÇWÎU で、しかも場合分けにより "xÎX : { (AÈB)ÇU(x) ¹ Æ  Ú  (AÈB)Ç(VÇW )(x) = Æ } が成り立つからです。

 また、X のプレコンパクト部分集合 A は可視的です。
 実際、任意の UÎU に対し、(19-2d) を満たす V と、W -1 ° W Ì V となる WÎU と、A Ì W [F] となる有限集合 F Ì A を取ると、任意の xÎX に対し、(19-2d) と帰納法により $yÎF : yÎU(x) 又は "yÎF : yÏV(x) となります。
 前者の場合は U(x)ÇF ¹ Æ ですから F Ì A により U(x)ÇA ¹ Æ となり、後者の場合は W [F]ÇW(x) = Æ ですから A Ì W [F] により AÇW(x) = Æ となり、A が可視的であることがわかります。

 また、A が可視的なら A も可視的です。
 実際、任意の UÎU に対し、(20-7) を満たす VÎU を取り、更に W ° W Ì V となる WÎU を取ります。もし AÇU(x) ¹ Æ ならば AÇU(x) ¹ Æ ですが、AÇV(x) = Æ ならば AÇW(x) = Æ です。なぜなら yÎAÇW(x) とすると、W( y)ÇA ¹ Æ となって、その元は A にも (W ° W )(x) Ì V(x) にも属すことになり、仮定に反するからです。

 次に、{ ( Xi , Ui ) | I }可識な添字集合 I に対する元を持つ一様空間の族とし、各 I に対し、Xi可視的部分集合 Ai が与えられているものとすれば、それらの積 A :º ÕI Ai も可視的です。
 実際、{ ( Xi , Ui ) | I } の積を ( X , U ) とし、pi : X ® Xi を標準写像とします。任意の UÎU に対し、I の有限部分集合 J{ k(i) | 0 £ i < n } と各 i < n に対する UiÎUk(i) が存在して Ç{ (pk(i) ´ pk(i) )-(Ui) | i < n } Ì U となります。
 一方、I に対する条件により、各 I に対して J(i) { i < n | i º k(i) } は有限集合ですから各 I に対し、U (i)Ç{ Ui | iÎJ(i) }ÎUi となりますが、仮定により V (i)ÎUi が存在して "xÎXi : { Ai ÇU (i)(x) ¹ Æ  Ú  Ai ÇV (i)(x) = Æ } となります。
 ここで
VÇ{ (pi ´ pi )-(V (i) ) | J } と置きます。任意に xÎX を取ると、J は有限集合ですから、帰納法により "iÎJ : Ai ÇU (i)(pi(x)) ¹ Æ 又は $iÎJ : Ai ÇV (i)(pi(x)) = Æ となります。
 前者の場合は Ç{ (pi ´ pi )-(U (i) ) | J } = Ç{ (pk(i) ´ pk(i) )-(Ui) | i < n } Ì U なので AU は交わり、後者の場合は AV は交わらないので、A は確かに可視的であることがわかりました。

 さて、プレコンパクト空間 ( X , U ) の可視的部分集合 A はプレコンパクトです。
 実際、任意の UÎU に対し、V ° V -1 Ì U となる VÎU を取ります。A は可視的ですから "xÎX : ( AÇV(x) ¹ Æ  Ú  AÇW(x) = Æ ) となる WÎU が存在します。VÇW を改めて W と書くことにより、W Ì V と仮定することができます。ここで更に X はプレコンパクトですから X = W [{ xi | 0 £ i < n }] となる有限集合 { xi | 0 £ i < n } Ì X が存在します。
 そこで 0 £ i < n に対して f(i)εk[(AÇV(xi) ¹ Æ  Ù  k º 1)  Ú  (AÇW(xi) = Æ  Ù  k º 0)] と置き、If -({1}) と置けば、I は有限集合です。また、各 iÎI に対し、ziÎAÇV(xi) を取れば、F{ zi | iÎI }A の有限部分集合です。
 さて、任意に xÎA を取ります。xÎW(xi) となる i が存在しますが、f(i) º 0 と仮定すると矛盾するので f(i) º 1 、従って iÎI です。(xi, x)ÎW Ì V かつ (xi, zi)ÎV ですから (zi , x)ÎV ° V -1 Ì U すなわち xÎU(zi) となり、これは A Ì U [F] すなわち A がプレコンパクトであることを示しています。

 一様空間は、プレコンパクトかつ完備なときコンパクトであるといいます。
 プレコンパクト空間の完備化はプレコンパクト空間の一様連続写像による像の閉包なのでプレコンパクト、従ってコンパクトです。逆に X の完備化 (X, i) がプレコンパクトなら、その稠密な部分集合 i[X ] もプレコンパクトで、ここへの上への写像 i による導入一様構造をもつ X もプレコンパクトです。すなわち一様空間がプレコンパクトであるための必要十分条件は、完備化がコンパクトになることです。

 また、上で示してきたことにより、コンパクト空間の可視的閉部分空間はコンパクトであること、可識な添字集合 I に対する、元を持つコンパクト一様空間族の積はコンパクトである(チホノフの定理)こともわかります。

 一様空間は、各点が(プレ)コンパクトな近傍を持つとき局所(プレ)コンパクト、可算個のコンパクト集合の合併と表わされるときσコンパクトであるといいます。

 この節の最後に、関数空間について考察しましょう。
 ( S , U )プレコンパクト一様空間、( X , V  ) を一様空間とするとき、S から X への一様連続写像の全体を C(S, X ) と書くことにします。このとき、各 VÎV に対し、

(20-8)  VS { (u, v)ÎC(S, X )² | "xÎS : (u(x), v(x))ÎV }

と定義すると、VSfil { VS | VÎV }C(S, X ) の一様構造になることが証明できます。
 実際、

(20-9a)  C(S, X = XS ÎVS

(20-9b)  US ÇVS = (UÇV )S

(20-9c)  U Ì V  Þ US Ì VS

(20-9d)  DC(S, X ) = { (u, u) | uÎC(S, X ) } = { (u, v)ÎC(S, X )² | "xÎS : (u(x), v(x))ÎDS } = (DS )S

(20-9e)  US-1 = (U -1 )S

(20-9f)  US ° VS Ì (U ° V )S

が成り立つので、特に VS(19-2a)~(19-2c) を満たします。
 残る (19-2d) を示すために、任意の VÎV に対し、V' ° V' ° V' Ì V かつ V' -1 = V' となる V'ÎV を取り、更に

(20-10)  V' È CW = X ²

となる WÎV を取ります。このとき

(20-11)  VS È CWS = C(S, X

が成り立つことを証明しましょう。
 実際、任意の u, vÎC(S, X ) に対して、uv は一様連続なので

(20-12)  U(u ´ u)-(V' )Ç(v ´ v)-(V' )ÎU

となります。一方、S はプレコンパクトなので、S の有限部分集合 F が存在して

(20-13)  S = U [F]

となりますが、F は有限集合なので、(20-10) と帰納法により、"zÎF : (u(z), v(z))ÎV' 又は $zÎF : (u(z), v(z))ÏW が成り立ちます。
 後者の場合は (u, v)ÏWS を意味し、前者の場合は、任意の xÎS に対して (20-13) により (z, x)ÎU となる zÎF が存在し、(u(z), v(z))ÎV' となりますが、(20-12) により (u(z), u(x)), (v(z), v(x))ÎV' ですから、(u(x), v(x))ÎV' ° V' ° V' Ì V となり、x は任意ですから (u, v)ÎVS がわかり、(20-11) は証明されました。
 以上で C(S, X ) は一様空間になることがわかりました。

 次に、C(S, X ) のコーシー・フィルター F が各点 xÎS で写像 u : S ® X の像 u(x) に収束していれば、uÎC(S, X ) で、しかも FC(S, X ) の一様構造に伴う位相で u に収束することを証明しましょう。
 実際、任意の VÎV に対し、V' ° V' ° V' ° V' ° V' Ì V かつ V' -1 = V' となる V'ÎV を取ると、F はコーシー・フィルターなので、ΦÎF が存在して

(20-14a)  v, v'ÎΦ , xÎS  Þ  (v(x), v'(x))ÎV'

が成り立ちます。一方、各 xÎSFu(x) に収束することから、ΨÎF が存在して

(20-14b)  v'ÎΨ  Þ  (v'(x), u(x))ÎV'

となります。F はフィルターですから ΦÇΨ ¹ Æ なので、v' をこの左辺から選べば、(20-14) により

(20-15)  vÎΦ , xÎS  Þ  (v(x), u(x))ÎV' ° V' Ì V

となります。一方 Φ ¹ Æ なので、ここから任意に v を選ぶと、v は一様連続なので、UÎU が存在して、(x, y)ÎU なら (v(x), v( y))ÎV' となります。
 ゆえに (x, y)ÎU なら、(20-15) から (u(x), v(x)), (v( y), u( y))ÎV' ° V' がわかるので、(u(x), u( y))Î(V' ° V' ) ° V' ° (V' ° V' ) Ì V となって u の一様連続性は証明されました。
 また、(20-15) により、FC(S, X )u に収束していることもわかります。

 以上の結果から、特に X が完備なら C(S, X ) も完備であることがわかります。

 最後に ( S' , U' ) をプレコンパクト一様空間とするとき、S ´ S' から X への写像 u と、S の元に S' から X への写像を対応させる写像 u の間に

(20-16)  u(x)( y) = u(x, y)       ( xÎS , yÎS' )

の関係で一対一対応が付きますが、この同一視により

(20-17)  C(S ´ S', X ) = C(S, C(S', X ))

が成り立つことを証明しましょう。
 実際、u が左辺に属すための必要十分条件は、

(20-18)  "VÎV : $UÎU : $U'ÎU' : "(x, x' )ÎU : "( y, y' )ÎU' : (u(x, y), u(x', y' ))ÎV

が成り立つことです。一方、u が右辺に属すための必要十分条件は

(20-19a)  "VÎV : "xÎS : $U'xÎU' : "( y, y' )ÎU'x : (u(x, y), u(x, y' )) = ( u(x)( y), u(x)( y' ))ÎV

(20-19b)  "VÎV : $UÎU : "(x, x' )ÎU : "yÎS' : (u(x, y), u(x', y)) = ( u(x)( y), u(x' )( y))ÎV

が成り立つことです。実際 (20-19a)u(x)C(S', X ) に属すことを、(20-19b)u が一様連続であることを意味しています。
 さて、(20-18) が成り立てば (20-19) が成り立つことは明らかです。
 逆に (20-19) が成り立つとします。このとき任意の VÎV に対し、V' ° V' ° V' Ì V かつ V' -1 = V' となる V'ÎV を取ります。
 ここで (20-19b) により、

(20-20)  "(x, x' )ÎU : "yÎS' : (u(x, y), u(x', y))ÎV'

を満たす UÎU が存在します。ここで、WÎUW ° W Ì U となるように選ぶと、S はプレコンパクトですから、有限集合 F Ì S が存在して

(20-21)  S = W [F]

となります。また、(20-19a) により、各 zÎF に対して

(20-22)  "( y, y' )ÎU'z : (u(z, y), u(z, y' ))ÎV'

となる U'zÎU' が存在します。そこで W'Ç{ U'z | zÎF } と置くと、F は有限集合なので、これは U' の元です。
 ここで任意に (x, x' )ÎW( y, y' )ÎW' を取ると、(20-21) により (z, x)ÎW となる zÎF が存在しますが、( y, y' )ÎW' Ì U'z ですから (20-22) により

(20-23a)  (u(z, y), u(z, y' ))ÎV'

が成り立ちます。一方、(z, x)ÎW Ì U ですから (20-20) により

(20-23b)  (u(z, y), u(x, y))ÎV'

が成り立ち、他方、(z, x)ÎW かつ (x, x' )ÎW なので (z, x' )ÎW ° W Ì U となるので、(20-20) により

(20-23c)  (u(z, y' ), u(x', y' ))ÎV'

が成り立ちます。ゆえに (20-23) により (u(x, y), u(x', y' ))ÎV' ° V' ° V' Ì V となって、(20-18) が導かれました。

 なお、VÎV に対して

(20-24)  (VS' )S = { ( u, v )ÎC(S, C(S', X ))² | "xÎS : ( u(x), v(x))ÎVS' } = { (u, v)ÎC(S ´ S', X )² | "xÎS : "yÎS : ( u(x, y), v(x, y))ÎV } = VS ´ S'

が成り立つので、(20-17) は一様構造も含めて成立していることがわかります。

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