数学の基礎


22.位相群と位相環

 (Ω, | · |, Λ )-空間の圏としての圏を選んだときの位相(Ω, | · |, Λ )-空間を位相群といいます。すなわち G が位相群であるとは、群であって、群の演算、すなわち乗法演算と逆元を取る演算が共に連続であるような位相空間のことです。
 位相群 G の任意の元 a に対し、la : G ® Gra : G ® G

(22-1a)  la(x)ax

(22-1b)  ra(x)xa

で定義すれば、la , ra は共に連続で、

(22-2a)  la ° la-1 = la-1 ° la = idG

(22-2b)  ra ° ra-1 = ra-1 ° ra = idG

が成り立つので、la , ra は共に位相同型です。従って、単位元の近傍 V (e) と任意の点 aÎG の間には

(22-3)  V (a) = aV (e) = V (e)a

という関係が成り立ちます。ただし aÎG ; A, B Ì G ; A Ì P (G) に対し、aA{ ax | xÎA } , Aa{ xa | xÎA } , AB{ xy | xÎA, yÎB } , A² = AA , A-1{ x-1 | xÎA } , aA{ aA | AÎA } , Aa{ Aa | AÎA } などと書くことにします。
 この (22-3) により、位相群の位相は単位元の近傍系 V  :º V (e) を指定すれば定まることがわかります。この V は次の条件を満たします:

(22-4a)  "UÎV : eÎU

(22-4b)  "UÎV : U -1Î

(22-4c)  "UÎV : $VÎV : V ² Ì U

(22-4d)  "UÎV : "aÎX : aUa-1Î

 実際、(22-4a) は近傍の定義から明らかで、(22-4b),(22-4c) は群の逆元を取る操作と乗法の e における連続性から明らかで、(22-4d)x に対して a-1xa を対応させる写像 fx = e で連続であることと、f -(U ) = aUa-1f(e) = e により明らかです。

 逆に、(22-4) を満たす群 G のフィルター V が与えられれば、G には e の近傍系が V に一致するような位相群の構造がただ一つ存在することが証明できます。
 実際、(22-4d) の右から a を乗じることにより aV Ì V a が得られ、(22-4d)aa-1 に置き換えて左から a を乗じることにより V a Ì aV が得られるので、各 aÎG に対して

(22-5)  V (a)aV = V a

と置きます。V (a) は明らかに a を元に持つフィルターになります。
 また、任意の UÎV に対して (22-4c) を満たす VÎV を取ると、xÎaV なら xV Ì aVV Ì aU ですから aUÎV (x) すなわち xÎ(aU )° 、したがって aV Ì (aU )° すなわち (aU )°ÎV (a) すなわち (17-10b) を満たすので、V (a) ( aÎG )G の位相を定めます。
 また、任意の aÎG と任意の UÎV に対し、(22-4b) により U -1ÎV ですから U -1a-1ÎV (a-1) で、(U -1a-1)-1 = aU となるので、G の逆元を取る演算は、この位相で連続になります。
 更に、任意の a, bÎG と任意の UÎV に対し、aVa -1 Ì U となる VÎV と、W ² Ì V となる WÎV を取ります。このとき aWÎV (a) 及び WbÎV (b) で、(aW )(Wb) = aW ²b Ì aVb = aVa-1ab Ì Uab となるので、G の乗法は、この位相で連続になります。
 以上で V (a) ( aÎG ) の定める位相により G は位相群になることがわかりました。この位相群を、V が定める位相群ということにします。

 ちなみに GAbel群のときは、条件 (22-4d) は、自明に成り立つので不要です。

 さて、V の定める位相群がHausdorff空間であるための条件は

(22-6)  ÇV = {e}

となることです。実際、GHausdorffxÎÇV とすれば、V (x)V (e) = V は共終ですから、仮定により x = e となり、(22-6) が成りたちます。
 逆に、(22-6) が成り立つと仮定し、V (a)V (b) は共終であるとします。このとき任意の UÎV に対し、VV -1 Ì U となる VÎV を取ると、aVÎV (a) かつ bVÎV (b) ですから aVÇbV ¹ Æ となるので、共通元 cÎaVÇbV が存在し、a-1c, b-1cÎV となります。
 よって、a-1b = (a-1c)(c-1b) = (a-1c)(b-1c)-1ÎVV -1 Ì U となりますが、UÎV は任意ですから (22-6) により a-1bÎ{e} すなわち a = b となって、GHausdorffであることがわかります。

 位相群 G から位相群 G' への準同型 f は、ある点 aÎG で連続ならすべての点で連続です。
 実際、任意の xÎG に対し、f(x) の任意の近傍 V を取ると、V'f(a) f(x)-1Vf(a) の近傍で、fa で連続なので、U'f -(V' )a の近傍です。ゆえに Uxa-1U'x の近傍で、f [U ] = f(x) f(a-1 ) f [U' ] Ì f(x) f(a)-1V' = V となり、これは fx で連続であることを示しています。

 さて、位相群 G

(22-7)  "aÎG : "UÎV (a) : $VÎV (a) : U È CV = G

を満たすとき、G強位相群とよぶことにします(これは、古典論理では V = U と置けば自明に成り立つので、無意味な条件になります)。(22-4) を満たす V が定める位相群が強位相群となるための条件は、

(22-8)  "UÎV : $VÎV : U È CV = G

が成り立つことです。

 位相強群において、x, yÎG それぞれの近傍で交わらないものが存在するとき x ¹ y と書けば、これは、

(22-9a)  $UÎV : xy-1ÏU

(22-9b)  $UÎV : yx-1ÏU

(22-9c)  $UÎV : x-1yÏU

(22-9d)  $UÎV : y-1xÏU

のいずれとも同値になります。
 実際、x ¹ y なら、定義により UxÇVy = Æ となる U, VÎV が存在し、従って特に {x}ÇVy = Æ かつ UxÇ{ y} = Æ すなわち xy-1ÏV かつ yx-1ÏU が成り立ちます。
 同様に、x ¹ y なら、定義により xUÇyV = Æ となる U, VÎV が存在し、従って特に xUÇ{ y} = Æ かつ {x}ÇyV = Æ すなわち x-1yÏU かつ y-1xÏV が成り立ちます。
 逆に (22-9a) が成り立てば、V -1V Ì U を満たす VÎV を取れば、xy-1ÏV -1V すなわち VxÇVy = Æ が成り立ち、これは x ¹ y を意味します。他の場合も同様です。

 このことから、¹不等号(第8節 (8-33) 参照)になることがわかります。
 実際、(8-33a),(8-33b) は明らかです。次に x ¹ y と仮定し、任意に zÎG を取ると、まず (22-9c) により、x-1yÏW となる WÎV が存在します。ここで U ² Ì W となる UÎV を取り、更に (22-8) を満たす V を取れば、x-1zÏV  Ú  x-1zÎU かつ z-1yÏV  Ú  z-1yÎU が成り立ちます。
 ここで場合分けを行うと、 x-1zÎU かつ z-1yÎU の場合だけは x-1y = x-1zz-1yÎU ² Ì W となって矛盾するので、結局 x-1zÏV 又は z-1yÏV が、言い換えると x ¹ z 又は z ¹ y が成り立つことがわかり、(8-33c) は証明されました。
 これを強位相群に伴う不等号とよぶことにします。

 なお、(22-8) により、¹ に伴う同値関係を @ と書くと、x @ y

(22-10a)  "UÎV : xy-1ÎU

(22-10b)  "UÎV : yx-1ÎU

(22-10c)  "UÎV : x-1yÎU

(22-10d)  "UÎV : y-1xÎU

のいすれとも同値になることがわかります。これを強位相群に伴う同値関係とよぶことにします。

 さて、強位相群 GU Ì G に対し、

(22-11a)  UL { (x, y)ÎG ² | x-1yÎU }

(22-11b)  UR { (x, y)ÎG ² | xy-1ÎU }

と置き、

(22-12a)  UL fil{ UL | UÎV  }

(22-12b)  UR fil{ UR | UÎV  }

と置くと、ULUR は、共に G の一様構造を定めます。
 実際、ULÇVL = (UÇV )L により、まず { UL | UÎV  } が有限交叉的であることに注意します。
 また、(22-4a) により、UÎV なら (x, y)ÎDX  Þ  x = y  Þ  x-1y = eÎU  Þ  (x, y)ÎUL ですから { UL | UÎV  } の元は (19-2a) を満たします。
 また、(22-4b) により、UÎV なら VU -1ÎV ですから (x, y)ÎVL  Þ  x-1yÎV  Þ  y-1x = (x-1y)-1ÎV -1 = U  Þ  ( y, x)ÎUL ですから VL-1 Ì UL となるので { UL | UÎV  } の元は (19-2b) を満たします。
 更に、(22-4c) により、UÎV なら V ² Ì U となる VÎV が存在し、(x, y), ( y, z)ÎVL  Þ  x-1y, y-1zÎV  Þ  x-1z = (x-1y)( y-1z)ÎV ² Ì U  Þ  (x, z)ÎUL ですから VL ° VL Ì UL となるので { UL | UÎV  } の元は (19-2c) を満たします。
 最後に、(22-8) により、UÎV なら U È CV = G となる VÎV が存在し、x-1yÎU  Þ  (x, y)ÎUL 及び x-1yÏV  Þ  (x, y)ÏVL が成り立ちます。したがって UL È CVL = G ² となるので { UL | UÎV  } の元は (19-2d) を満たします。
 以上で ULG の一様構造を定めることがわかりました。UR についても同様です。

 さて、(x, y)ÎUL  Þ  x-1yÎU  Þ  (la(x))-1la( y) = (ax)-1ay = x-1a-1ay = x-1yÎU  Þ  (la(x), la( y))ÎUL ですから、一様構造 UL のもとで la は一様連続になります(更に (22-2b) によれば、実は一様構造の同型です)。同様に、一様構造 UR のもとで ra は一様連続(同型)です。
 このことから、UL を強位相群 G左一様構造URG右一様構造といいます。GAbel群の場合は、左一様構造と右一様構造は一致するので、これを単に強位相AbelG の一様構造といいます。
 また G に伴う不等号は、これら左右どちらの一様構造に伴う不等号とも一致します。ゆえに群の算法は、この不等号に対して強関数となり、強位相群は強群(第14節参照)になることがわかりますが、もっと一般に、群構造を持つ一般の位相代数系が強位相群になっていれば、この強位相群に伴う不等号を与えたものは、強代数系になることがわかります。

 位相群において、逆元を取る操作は右(左)一様構造から左(右)一様構造への一様連続写像ですから、左右の一様構造は逆像を取る演算により同型になります。従って特に、左右の一様構造の一方が完備なら他方も完備です。

 また、一般に、局所コンパクト一様空間は完備であるとは限りませんが(例えば後で定義する実数体 R から一点を除いた空間)、局所コンパクト強位相群は(左右いずれの一様構造に対しても)完備です。
 実際、F を左一様構造に関するコーシー・フィルターとします。e のコンパクトな近傍 K を取ると、A ´ A Ì KL すなわち A-1AÌ K となる AÎF が存在します。A ¹ Æ なので元 aÎA が存在し、a-1A Ì K すなわち A Ì aK = la[K ] となります。
 一方 la は一様構造 UL のもとで同型ですから、aK = la[K ] はコンパクト、従って特に完備です。ゆえに fil { AÇaK | AÎF }aK のコーシー・フィルターなので収束し、これは FG で収束することを意味しています。

 強位相群 G から強位相群 G' への連続な準同型 f は、左(右)一様構造から左(右)一様構造への一様連続写像になります。
 実際、VG' の単位元の近傍とすれば、Uf -(V )G の単位元の近傍ですが、(22-11a)f が準同型であることにより ( f ´ f )-(VL ) = UL が成り立ち、同様に (22-11b) により ( f ´ f )-(VR ) = UR が成り立つからです。

 また、G を強位相Abel群とすると、G の乗法と逆元を取る演算は、共に一様連続です。
 実際、G の乗法を加法的に書くと、任意の UÎV に対し、V + V Ì U となる VÎV を取ると、((x, y), (x', y' ))Î(V ´ V )L すなわち x - x', y - y'ÎV ならば、(x + y) - (x' + y' ) = (x - x' ) + ( y - y' ) ÎV + V Ì U すなわち (x + y, x' + y' )ÎUL となり、G の加法は一様連続です。
 また、G の逆元を負号的に書くと、任意の UÎV に対し、V :º - UÎV となるので、(x, x' )ÎVL すなわち x - x'ÎV = - U すなわち (- x) - (- x' )ÎU すなわち (- x, - x' )ÎUL となり、G の逆元を取る演算は一様連続です。

 ゆえに、強位相Abel群の完備化を G と書けば、G の加法と逆元を取る演算は (G 又は G から G への一様連続な演算に一意的に拡張できますが、更に群の律である (14-2),(14-3),(14-4) も満たします。実際、(G から G への写像 f , g

(22-13a)  f(x, y, z) = (x + y) + z

(22-13b)  g(x, y, z) = x + ( y + z)

で定義すれば、L{ (x, y, z)ÎG ³ |  f(x, y, z) = g(x, y, z) }(G の稠密な部分集合 i[G を含み、しかも h(x, y, z) ( f(x, y, z), g(x, y, z)) で定義される (G から (G への連続写像による閉集合 DG の逆像ですから閉集合です。つまり L = (G となり、これは G が加法の結合律すなわち (14-2) を満たすことを意味しています。(14-3),(14-4) についても同様です。
 ゆえに G は、その定める位相により位相群になることがわかりました。

 ところで j(x, y)x - y は、G ² から G への写像一様連続ですから、その (G への拡張 j は、x, G に対して x - h = { A - B | AÎx , BÎh } と置くとき j(x, h) = fil (x - h) で与えられます。

 このことを用いて、位相群 G の一様構造は一様空間 G の完備化としての一様構造と一致することを確かめましょう。
 まず、G の原点の近傍系を V と置くと、一様空間 G の完備化としての一様構造 U は、

(22-14)  U = fil{ (UL ) | UÎV  }

で与えられます。ただし、具体的な完備化の構成における (20-3) に従って

(22-15)  (UL ) = { (x, h)ÎG ´ G | $AÎx : $BÎh : A ´ B Ì UL }

= { (x, h)ÎG ´ G | $AÎx : $BÎh : B - A Ì U }

= { (x, h)ÎG ´ G | $CÎh - x : C Ì U }

= { (x, h)ÎG ´ G | UÎfil (h - x) }

= { (x, h)ÎG ´ G | fil (h - x)ÎU* }

= (U*)L

と置きました。ここで、U*U を元に持つ G のコーシーフィルターの全体を表わします。
 さて、一様空間 G の完備化 G の原点 0 とは G の原点の近傍系、すなわち V に他なりませんから、

(22-16)  (UL )(0) = { G | $VÎV : $BÎh : B - V Ì U }

 ゆえに、V - V Ì U となる U, VÎV に対して

(22-17)  V* Ì (UL )(0) Ì U*

がわかります。したがって、G が導入する位相における原点の近傍系 V *

(22-18)  V * = fil{ U* | UÎV  }

 ゆえに (22-15) により、G の一様構造と、それに伴う位相により位相群とみなしたときの G の一様構造は一致することがわかりました。

 ところで G は一様空間ですから、任意の UÎV に対し、(UL ) È C(VL ) = (G となる VÎV が存在します。ゆえにこの式の両辺に 0 を代入すると、(UL )(0) È C(VL )(0) = (G)²(0) = G となりますが、(22-17) により、任意の UÎV に対し、U* È CV* = G を満たす VÎV が存在することがわかりました。これは G が強位相群であることを示しています。

 次に位相環、すなわち (Ω, | · |, Λ )-空間の圏としての圏を選んだときの位相(Ω, | · |, Λ )-空間を考えます。位相環 R の原点の近傍系を V と書くと、位相Abel群であることによる (22-4) の性質:

(22-19a)  "UÎV : U

(22-19b)  "UÎV : - UÎ

(22-19c)  "UÎV : $VÎV : V + V Ì U

に加えて、環の乗法の連続性による

(22-19d)  "UÎV : $VÎV : VV Ì U

(22-19e)  "UÎV : "aÎR : aV Ì U

(22-19f)  "UÎV : "aÎR : Va Ì U

が成り立ちます。実際、(22-19d) は乗法の原点における連続性から、(22-19e),(22-19f) はそれぞれ xax 又は xa を対応させる写像の原点における連続性から明らかです。
 逆に、環 R の原点を元に持つフィルター V(22-19) を満たせば、aÎR に対して V (a)a + V と置けば、これは R 上の位相を定め、その位相により R は位相環になります。
 実際、加法と加法の逆元を取る操作の連続性は既に証明したとおりなので、乗法の連続性を証明すれば十分です。そこで、任意の UÎV に対して (22-19c) を2回使って V + V + V Ì U となる VÎV を取り、(22-19d)~(22-19f)V がフィルターであることから、任意の a, bÎR に対し、WW Ì V , aW Ì V , Wb Ì V を満たす WÎV を取れば、x - a, y - bÎW なら

(22-20)  xy - ab = (x - a)( y - b) + a( y - b) + (x - a)b Ì WW + aW + Wb Ì V + V + V Ì U

となるので、R の乗法は連続であることがわかりました。

 さて、R(22-7)GR に置き換えた式を満たすとき、これを強位相環とよぶことにします。R は、その加法群により強位相群になるので一様空間とみなすことができます。このとき、R の完備化 R は強位相環になることを証明しましょう。

 その証明の前に、UR の原点の近傍なら、U の完備化 UR の原点の近傍になることに注意します。実際、このとき R の原点の開近傍 O が存在して i-(O) Ì U となり、これは i[R]ÇO Ì i[U] を意味するので、更に (18-4) により O Ì O = _______ 
i[R]ÇO
Ì ____
i[U]
=
U
となるからです。

 さて、R が位相環になることの証明ですが、まず aÎR を固定したときの関数 la(x) = axxÎR の一様連続写像ですから R からそれ自身への一様連続写像 la に拡張され、しかも lala±b(x) = la(x) ± lb(x)la(x + y) = la(x) ± la( y)lab(x) = la(lb(x)) を満たすので、

(22-21a)  la(i(x)) = i(la(x)) = i(ax)       ( xÎR )

(22-21b)  la±b(x) = la(x) ± lb(x)       ( R )

(22-21c)  la(x ± h) = la(x) ± la(h)       ( x, R )

(22-21d)  lab(x) = la(lb(x))       ( R )

が成り立ちます。そこで、R に対して mx(x) = lx(x) ( xÎR ) と置けば、

(22-22a)  mi(a)(x) = i(xa)

(22-22b)  mx(x ± y) = mx(x) ± mx( y)

(22-22c)  mx±h(x) = mx(x) ± mh(x)

(22-22d)  mx(xy) = mmx( y)(x)

が成り立ちます。
 さて、R の原点の任意の近傍 U に対し、V + V Ì U となる R の原点の近傍 V を取り、更に (22-19d) により WW Ì V となる R の原点の近傍 W を取ります。
 このとき V + V Ì U が成り立ち、また lx[W ] = xW Ì V ( xÎW ) なので lx[W] Ì V ( xÎW ) が成り立ちます。
 任意の R に対して xÎi(a) + W となる aÎR を取り、(22-19f) により W'a Ì V かつ W' Ì W となる R の原点の近傍 W' を取り、x = i(a) + h ( W ) と書けば、

(22-23)  mx[W' ] = mi(a)[W' ] + mh[W' ] Ì i[W'a] + { lx[W] | xÎW' } Ì i[V ] + V Ì V + V Ì U

となるので、これと (22-22b) により、mx は一様連続であることがわかります。ゆえにこれの R への拡張を mx と書いて mx(h) のことを R乗法と呼んで hx と書けば、mx の定義により mx ° i = mx ですから、これと (22-22a) により

(22-24)  i(a)i(b) = mi(b)(i(a)) = mi(b)(a) = i(ab)

 すなわち、この乗法は R の乗法の拡張になっています。また、(22-22b),(22-22c) により

(22-25a)  (x ± h)z = xz + hz

(22-25b)  x(h ± z) = xh ± xz

 すなわちこの乗法は分配律を満たします。また、(22-23) から mx[W' ] Ì U すなわち

(22-26)  W'x Ì U

 また、W のときは a = 0 に取れ、従って W' = W に取れるので、

(22-27)  WW Ì U

が成り立ちます。また、任意の R に対して zÎi(b) + W' となる bÎR を取り、(22-19e) により bW" Ì V かつ W" Ì W となる R の原点の近傍 W" を取り、z = i(b) + t ( W' ) と書けば、lb[W" ] = bW" Ì V ですから lb[W" ] Ì V となるので、W" なら

(22-28)  zx = i(b)x + tx =mx(i(b)) + tx = mx(b) + tx = lb(x) + tx ÎV + W"W' Ì V + V Ì U

 すなわち

(22-29)  zW"Ì U

が得られます。(22-26),(22-27),(22-29) は、R に対する条件 (22-19d)~(22-19f) に他ならず、これは R の乗法が連続であることを示しています。

 さて、(22-22d) において、z :º i(z) と置けば、

(22-30)  {i(x)i( y)}i(z) = mi(z)(i(xy)) = mi(z)(xy) = mmi(z)( y)(x) = mmi(z)(i( y))(i(x)) = i(x){i( y)i(z)}

が得られます。
 ゆえに (x, h, z)Î(R の関数 (xh)zx(hz) は共に連続で、かつ (i[R ])³ 上で一致しますから、集合 { (x, h, z)Î(R )³ | (xh)z = x(hz) }(R の稠密な部分集合 (i[R ])³ を含む閉集合となり、したがって (R に一致します。すなわち R の乗法は結合律も満たすことがわかったので、R は環であることが証明されました。

 なお、R が単位的環、又は可換環であれば R も単位的環、又は可換環になります。
 実際、R が単位的環なら、a1 = 1a = a すなわち l1(a) = la(1) = a となるので、i を施して l1(i(a)) = la(i(1)) = i(a) すなわち mi(a)(1) = mi(1)(a) = i(a) すなわち mi(a)(i(1)) = mi(1)(i(a)) = i(a) すなわち i(1)i(a) = i(a)i(1) = i(a) となります。
 ゆえに R の関数 i(1)xxi(1) は共に連続で、かつ i[R ] 上で一致しますから、集合 { R | i(1)x = xi(1) }R の稠密な部分集合 i[R ] を含む閉集合となり、したがって R に一致します。すなわち R は乗法の単位元 i(1) を持つことがわかりました。
 また、R が可換環なら、ab = ba つまり la(b) = lb(a) なので、i を施して la(i(b)) = lb(i(a)) つまり mi(b)(a) = mi(a)(b) よって mi(b)(i(a)) = mi(a)(i(b)) すなわち i(a)i(b) = i(b)i(a) となります。
 ゆえに (x, h)Î(R の関数 xhhx は共に連続で、かつ (i[R ])² 上で一致しますから、集合 { (x, h)Î(R )² | xh = hx }(R の稠密な部分集合 (i[R ])² を含む閉集合となり、したがって (R に一致します。すなわち R の乗法は交換律も満たすことがわかったので、R は可換環であることがわかりました。

 この節の最後に、位相環 R の任意のプレコンパクト集合 A , B に対し、R の乗法は A ´ B 上で一様連続であることを証明しましょう。
 任意の UÎV に対し、V + V + V + V Ì U となる VÎV を取ります。次に、(22-19d) により WW Ì V となる WÎV が存在し、AB はプレコンパクトですから、A Ì F + W かつ B Ì F' + W となる有限集合 F, F' Ì R が存在します。
 一方 (22-19e),(22-19f) により、各 aÎFbÎF' に対して aWa Ì V , W'bb Ì V となる Wa , W'bÎV が存在します。W , Wa ( aÎF ) , W'b ( aÎF ) すべての共分を W' とすれば、W'ÎV で、x, x'ÎA かつ y, y'ÎB かつ x - x', y - y'ÎW' ならば、

(22-31)  x'y' - xy = x'( y' - y) + (x' - x)y Î (F + W )W' + W'(F' + W ) Ì FW' + WW + W'F' + WW Ì V + V + V + V Ì U

となり、これは R の乗法が A ´ B 上で一様連続であることを示しています。

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