数学の基礎


27.連結性

 位相空間 X において、元を持つ開集合全体を O+ で表すとき、条件:

(27-1)  "O, O'ÎO+ : ( OÈO' = X  Þ  OÇO' ¹ Æ )

を満たす X連結であるといいます。また、元を持つ X の閉集合全体を C + で表すとき、条件:

(27-2)  "F, F'ÎC + : ( FÈF' = X  Þ  FÇF' ¹ Æ )

を満たす X強連結であるということにします。

 X強連結なら連結です。
 実際、O, O'ÎO+ かつ OÈO' = X なら、O, O'ÎC + , OÈO' = X となるので、X の強連結性により OÇO' ¹ Æ となります。ゆえに OÇO' の元 a を取ると、 aÎOÈO' ですから aÎO 又は aÎO' で、前者の場合は Oa の近傍で、aÎO' ですから、OO' は交わります。後者の場合も同様です。

 また連結空間の連続像は連結強連結空間の擬連続像は強連結です。
 実際、X が連結、f : X ® Y は連続とし、O , O'Y の元を持つ開集合で OÈO' = f [X] となったとすると、f -(O)Èf -(O' ) = X で、f の連続性により f -(O)f -(O' )X の開集合ですから、X の連結性により両者は共通点 a を持ち、f(a)ÎOÇO' となるので、f [X] は連結です。
 同様に、X が強連結、f : X ® Y は擬連続とし、F , F'Y の元を持つ閉集合で FÈF' = f [X] となったとすると、f -(F)Èf -(F' ) = X で、f の擬連続性により f -(F)f -(F' )X の閉集合ですから、X の強連結性により両者は共通点 a を持ち、f(a)ÎFÇF' となるので、f [X] は強連結です。

 また、XY を(強)連結位相空間とすれば、その積 X ´ Y も(強)連結です。
 実際、C , C' を元を持つ X ´ Y の開(閉)集合で X ´ Y = CÈC' となるものとします。仮定から (a, b)ÎC , (a', b' )ÎC' が存在し、(a, b' )Î CÈC' なので (a, b' )ÎC 又は (a, b' )ÎC' となります。
 どちらでも同じなので、前者が成り立つと仮定します。xÎX(x, b' )ÎX ´ Y を対応させる写像は、それに X 又は Y への射影を合成した写像が連続なので、位相空間の積位相の定義により連続です。よって、D{xÎX | (x, b' )ÎC } , D'{xÎX | (x, b' )ÎC' }X の開(閉)集合で、aÎD , a'ÎD' かつ DÈD' = X ですから X の(強)連結性により DÇD' ¹ Æ となり、これは CÇC' ¹ Æ を意味しています。

 このことから、{ Xi | iÎI }可識な添字集合 I に対する連結空間の族とすれば、それらの積 X º ÕiÎI Xi は連結であることがわかります。
 実際、O , O'X の開集合で、aÎO , a'ÎO' , X = OÈO' を満たすとします。OO' は、それぞれ aa' の近傍ですから、I の有限部分集合 J , J' と各 iÎJjÎJ' に対する XiXj の開集合 OiO'j が存在して、aÎ ÕiÎJ Oi ´ ÕiÎI \ J Xi Ì O かつ a'Î ÕiÎJ' O'i ´ ÕiÎI \ J' Xi Ì O' となります。
 一方、a, a'ÎX なので、X したがって各 Xi は元を持ち、ÕiÎI \ (JÈJ') Xi は元 c を持ちます。
 そこで b(ai)iÎJÈJ' , b'(a'i)iÎJÈJ' と置けば、(b, c)ÎO かつ (b', c)ÎO' となり、xÎX' :º ÕiÎJÈJ' Xi(x, c)ÎX を対応させる写像は連続なので、 G{xÎX' | (x, c)ÎO } , G{xÎX' | (x, c)ÎO' } と置くと、これらは X' の開集合で、bÎG , b'ÎG' , X' = GÈG' となります。
 ところで X' は連結空間の有限個の積ですから、上に示したことと帰納法により連結で、従って GÇG' ¹ Æ 、すなわち OÇO' ¹ Æ がわかり、X は連結であることが証明されました。

 さて、位相空間 X の部分集合 A は、部分位相空間として(強)連結であるとき(強)連結集合といいます。A が(強)連結集合であるための条件は、A と交わる X の開(閉)集合 C , C'A Ì CÈC' を満たせば AÇCÇC' ¹ Æ となることです。

 位相空間 X連結集合の閉包は連結集合です。実際、A を連結集合、O , O'A と交わり A Ì OÈO' となる X の開集合とします。O , O' は共に A の点の近傍ですから A と交わり、A Ì OÈO' ですから、A が連結であることから AÇOÇO' ¹ Æ となるので AÇOÇO' ¹ Æ となり、これは A が連結であることを意味しています。

 さて、位相空間 X の(強)連結な部分集合の族 { Ai | iÎI } を考えます。もし、この族が共通元 c を持てば、その合併 AÈ{ Ai | iÎI } も(強)連結であることを証明しましょう。
 実際、A と交わる X の開(閉)集合 C , C' により A Ì CÈC' となったとすると、ある i, jÎIaÎAi ÇC , bÎAj ÇC' が存在します。ところで cA の元ですから cÎCÈC' となります。どちらでも同じですから cÎC と仮定すると、cÎAj ですから、CC' は共に Aj と交わり、Aj Ì CÈC' ですから、Aj の(強)連結性により CÇC'ÇAj ¹ Æ すなわち CÇC'ÇA ¹ Æ となるので A は(強)連結です。

 このことから、任意の位相空間 X の任意の点 a に対して、a を元に持つ最大の(強)連結部分集合 Xa が存在することがわかります。実際、a を元に持つ(強)連結部分集合全体からなる族の和集合を Xa とすればよいからです。明らかに {a}a を元に持つ(強)連結部分集合ですから aÎXa です。この Xaa(強)連結成分、あるいは単に(強)成分とよび、ある点の(強)成分となっている部分集合を(強)成分といいます。
 X の2点 x , y が同一の(強)成分に属すとき x ~ y と書けば、~ は同値関係になります。実際、x ~ xx ~ y  Þ  y ~ x は明らかです。また x ~ y かつ y ~ z とすると、x, zÎXy ですから x ~ z となります。

 なお、成分は連結なのでその閉包は連結であることと、成分がその元を含む最大の連結集合であることから、成分の閉包はそれ自身に一致し、従って成分は閉集合であることがわかります。

 位相空間 X は、各点の近傍系が(強)連結な集合からなる基底を持つとき局所(強)連結であるといいます。X の各(強)成分 C の任意の元に対し、その点の連結な近傍 VC と交わるので、CÈV は(強)連結、従って C に含まれるので、局所(強)連結空間の(強)成分は開集合であることがわかります。

 さて、次に実数値関数に関する中間値の定理について解説します。

 まず、R の連結集合 A の2点 a < b に対し、AÇ[a, b][a, b] で稠密であることを証明しましょう。
 実際、任意の cÎ[a, b] と任意の e > 0 に対し、O] ¬, c + e [ および O'] c - e, ® [ と置けば、これらは R の開集合で、実数の性質 (23-15b) により aÎO , bÎO' , OÈO' = R を満たすので、O , O' は共に A と交わり、A が連結であることから A Ç ] c - e, c + e [ = AÇOÇO' ¹ Æ となり、これは AÇ[a, b][a, b] で稠密であることを意味しています。

 ところで f を(強)連結空間 X で定義された実数値(擬)連続関数とすると、その像 f [X] は(強)連結、従って連結ですから、今得られた結果を適用すれば、次のような第1中間値の定理が得られます:


 f を(強)連結空間 X で定義された実数値(擬)連続関数とする。
 もし a, bÎX において f(a) < f(b) が成り立っているならば、f(a) £ r £ f(b) であるような任意の実数 r と任意の e > 0 に対して

(27-3a)  | f(c) - r | < e

かつ

(27-3b)  f(a) £ f(c) £ f(b)

を満たす cÎX が存在する。



 さて、上記の第1中間値の定理は、よく知られている古典論理における中間値の定理とは異なり、近似値しか得られない形になっています。そこで、正確に f(c) = r となる c が存在するための十分条件を考えることにします。

 位相空間 X は、強連結性より更に強い条件:

(27-4)  "F, F'ÎC + : ( _____ 
FÈF'
= X  Þ  FÇF' ¹ Æ )

を満たすとき極強連結であるということにします(排中律を仮定していないので、閉集合同士の合併は閉集合とは限らないことに注意)。
 また、位相空間 X から不等号 ¹ を持つ集合 Y への写像 f は、任意の cÎX の任意の近傍 V に対し、f(a) ¹ f(b) となる a, bÎV が存在するとき、局所非定数であるということにします。

 特に YR で、¹ が実数の不等号である場合を考えると、任意の実数 r と任意の cÎX の任意の近傍 V に対し、f(a) ¹ f(b) となる a, bÎV が存在しますが、(23-12) により f(a) < f(b) 又は f(a) > f(b) が成り立つので、(23-15b) により、前者の場合は r < f(b) 又は r > f(a) が、後者の場合は r < f(a) 又は r > f(b) が成り立ちます。
 これは、F{ xÎX |  f(x) £ r } , F'{ xÎX |  f(x) ³ r } と置くと、FÈF'X で稠密であることを意味しています。そこで、もし f が擬連続なら FF' も閉集合ですから、もし更に FF' が元を持ち、X が極強連結なら、FF' は共通元を持つ、言い換えると f(c) = r となる c が存在し、次のような第2中間値の定理が成り立つことがわかります:


 f を極強連結空間 X で定義された局所非定数な実数値擬連続関数とする。
 もし a, bÎX において f(a) £ f(b) が成り立っているならば、f(a) £ r £ f(b) であるような任意の実数 r に対して

(27-5)  f(c) = r

を満たす cÎX が存在する。



 次に、極強連結空間の例として、実数の閉区間が極強連結であることを証明しましょう。

 まず証明に先立って、初等解析でよく用いられる実数の極限に関する補題を2つ証明しておきます。まず最初に

(27-6)  - 1 < a < 1  Þ  an ® 0       ( n ® ¥ )

を証明します。
 実際、(23-15b) により | a | < 1/2 又は | a | > 1/3 ですから、前者のときは d :º 1 、後者のときは d :º (1 - | a |) / | a | と置けば、0 £ | a | £ 1/(1 + d) となり、(12-32) により (1 + d)n ³ 1 + nd ですから、任意の e > 0 に対し、n > (1/e - 1)/d なる限り、| an | = | a |n £ 1/(1 + d)n £ 1/(1 + nd) < e となります。
 次に、

(27-7)  - 1 < a < 1  Þ  ¥
å
n = 0
an  = 1
——–
 1 -
a

を証明します。ただし Þ の右辺は、0 £ n £ m に対する部分和の m ® ¥ に対する極限が存在して = の右辺に一致する、という意味です。
 実際、m までの部分和に 1 - a を乗じると、項がキャンセルして 1 - am+1 となるので、部分和は (1 - am+1)/(1 - a) となることがわかり、(27-6) により (27-7) が得られます。

 さて、以上の準備の下で、実数の閉区間 [a, b](27-4) を満たすことを証明しましょう。(27-4) の前提を仮定すると、F, F'ÎC + ですから、a0ÎF , b0ÎF' を取ることができます。実数 M > 0| a0 - b0 | £ M となるように取り、以下 an , bnÎX

(27-8a)  anÎF

(27-8b)  bnÎF'

(27-8c)  | an - an-1 | , | bn - bn-1 | , | an - bn | £ (2/3)nM

を満たすように構成していきます。
 ai , bii < n まで定まったと仮定し、c(an-1 + bn-1 ) / 2 と置くと、cÎX で、I[ c - 2n-2M /3n , c + 2n-2M /3n ] と置けば、これは c の近傍なので、(27-4) の仮定により、IFÈF' と交わります。
 IÇF ¹ Æ の場合は anÎIÇF を取り、bnbn-1 と置きます。このとき (27-8a),(27-8b) の成立は明らかです。更に

(27-9a)  | an - an-1 | £ | an - c | + | c - an-1 | £ 2n-2
——
3n
M + | bn-1 - an-1 |
—————–
 
£ 2n-2
——
3n
M + 2n-1
———
2 · 3n-1
M = 2n
—–
3n
M

(27-9b)  | an - bn | = | an - bn-1 | £ | an - c | + | c - bn-1 | £ 2n-2
——
3n
M + | an-1 - bn-1 |
—————–
 
£ 2n-2
——
3n
M + 2n-1
———
2 · 3n-1
M = 2n
—–
3n
M

ですから (27-8c) も成り立ちます。
 また IÇF' ¹ Æ の場合は、 bnÎIÇF' を取り、anan-1 と置けば、同様にして (27-8) が成り立つことがわかります。
 以上で (27-8) を満たす点列 { an }{ bn } の存在がわかりました。ここで m > n なら

(27-10a)  | am - an | £  m
å
i = n+1
| ai - ai-1 | £  m
å
i = n+1
2i
—–
3
i
M £ 2n+1
——
3n+1
M
———
1 - 2/3
= 2M 2n
—–
3n
® 0       ( n ® ¥ )

 同様に、m > n のとき

(27-10b)  | bm - bn | ® 0       ( n ® ¥ )

がわかるので、{ an }{ bn } は共にコーシー列で、しかも (27-8c) により、これらは同値なコーシー列です。ゆえに R の完備性により、これらは共通の極限 c を持ちます。
 一方、{ an } Ì FF は閉集合ですから cÎF となり、同様に { bn } Ì F'F' は閉集合ですから cÎF' となるので、FF' は共通元 c を持ち、[a, b](27-4) を満たす、すなわち極強連結であることがわかりました。

 ところで、位相空間 X の任意の2点 a , b に対し、この2点を含む X の(強)連結集合が存在すれば X は(強)連結です。
 なぜなら、元を持つ X の開(閉)集合 C , C'X = CÈC' を満たすとすると、ある aÎC , bÎC' が存在し、仮定により a, bÎA となる(強)連結集合 A が存在しますが、A Ì CÈC' なので、A の(強)連結性により、AÇCÇC' ¹ Æ よって特に CÇC' ¹ Æ となるからです。

 この事実に注目して、任意の a, bÎX に対し、有限列 { ci | 0 £ i £ n }Ì X ( ただし c0 = a , cn = b )及び ji(0) = ci かつ ji(1) = ci+1 を満たす実数の閉区間 [0, 1] から X への(擬)連続写像の族 { ji | 0 £ i < n } が存在するとき、X弧状(擬)連結であるということにします。明らかに弧状連結なら弧状擬連結です。
 既に示したように、実数の閉区間は強連結ですから、その擬連続像 ji[[0, 1]] も強連結です。また ci Îji-1[[0, 1]]Ç ji[[0, 1]] ですから、帰納法により AÈ{ ji[[0, 1]] | 0 £ i < n } は(強)連結で、しかも a, bÎA です。従って上の注意により、弧状(擬)連結なら(強)連結です。

 また、弧状(擬)連結空間の(擬)連続像は弧状(擬)連結です。
 実際、弧状(擬)連結空間 X の(擬)連続像 f [X] の任意の2点 a , b を取ると、f(a) = a , f(b) = b となる a, bÎX が存在し、X の弧状(擬)連結性により、有限列 { ci | 0 £ i £ n }Ì X ( ただし c0 = a , cn = b )及び ji(0) = ci かつ ji(1) = ci+1 を満たす実数の閉区間 [0, 1] から X への(擬)連続写像の族 { ji | 0 £ i < n } が存在します。
 そこで yif ° ji , gif(ci ) と置けば、g0 = a , gn = b で、yi は、yi(0) = gi , yi(1) = gi+1 を満たす [0, 1] から f [X] への(擬)連続写像です。

 また位相空間 X の弧状(擬)連結部分集合の族 { Ai | iÎI } が共通元 c を持てば、その合併 AÈ{ Ai | iÎI } は明らかに弧状(擬)連結です。
 このことから、(強)成分のときと同様に、任意の位相空間 X の任意の点 a に対して、a を元に持つ最大の弧状(擬)連結部分集合が存在することがわかります。この最大の弧状(擬)連結部分集合を弧状(擬)連結成分とぶことにします。

 位相空間 X は、各点の近傍系が弧状(擬)連結な集合からなる基底を持つとき局所弧状(擬)連結であるといいます。X の各弧状(擬)連結成分 C の任意の元に対し、その点の弧状(擬)連結な近傍 VC と交わるので、CÈV は弧状(擬)連結、従って C に含まれるので、局所弧状(擬)連結空間の弧状(擬)連結成分は開集合であることがわかります。

 さて、X を弧状連結な位相空間、Y を不等号 ¹ を持つ集合とします。このとき局所的に定数であるような写像 f : X ® Y は(大域的に)定数であることを証明しましょう。
 この証明のためには、任意に取った a, bÎX に対して f(a) = f(b) であることを証明すれば十分です。
 しかも X は弧状連結なので、連続写像 ji : [0, 1] ® X ( 0 £ i < n ) で、j0(0) = a , ji-1(1) = ji(0) , jn-1(1) = b となるものが存在し、f ° jiji の連続性により局所的に定数ですが、これが 01 で同じ値を取ることを示せば十分です。すなわち局所定数写像 g : [0, 1] ® Y について g(0) = g(1) を証明すればよいわけですが、更に不等号に伴う同値関係 = の定義により、g(0) ¹ g(1) と仮定して矛盾を導けば十分です。
 そこで a0 :º 0 , b0 :º 1 と置き、以下 an , bnÎ[0, 1] を、{ an } は単調増加、{ bn } は単調減少で、bn - an = 1/2n かつ g(an ) ¹ g(bn ) となるように定義していきます。
 ai , bii < n まで定まったと仮定し、c(an-1 + bn-1 ) / 2 と置くと、g(an-1 ) ¹ g(bn-1 ) なので、不等号の性質 (13-30c) により、g(c) ¹ g(an-1 ) 又は g(c) ¹ g(bn-1 ) となります。
 そこで、前者の場合は anan-1 , bnc と置き、後者の場合は bnbn-1anc と置けばよいことがわかります。
 すると、{ an } , { bn } は共に [0, 1] のコーシー列になり、しかも同値なので、共通の極限値 cÎ[0, 1] を持ちます。一方 g は局所的に定数なので、c のある近傍 V で一定値を取ります。ところが、ある n に対して an , bnÎV となるので g(an ) ¹ g(bn ) となり、gV 上で一定であることに反します。

 さて本節の最後に、上述の結果を、正整数 n に対する R+ から R への連続写像 j(t)tn に適用してみましょう。
 任意の a ³ 0 に対し、

(27-11a)  j(0) = 0 £ a

及び (12-32) により

(27-11b)  j(1 + a) = (1 + a)n = n
å
k=0
nCk ak ³ nC1 a = na ³ a

が成り立ちます。一方

(27-12)  0 £ s < t  Þ  j(s) < j(t)

が成り立ちます。
 実際、n - 1 で正しいと仮定し、t > 0 に注意すれば、(23-24k)(23-24i) により sn = sn-1s £ sn-1t < tn-1t = tn ですから (27-12) は証明されます。

 ゆえに j は局所非定数なので、中間値の定理 (27-5) により、ある sÎ[0, 1 + a] に対して j(s) = a となります。
 また、(27-12)st の役割を入れ替えることにより s ¹ t  Þ  j(s) ¹ j(t) が得られるので j(s) = a となる s ³ 0 の一意性もわかります。よってこのような san乗根とよんで

(27-13)  a1/n º nÖa

と書きます。特に n = 2 のときは平方根といい、習慣的に 2 を省略して Öa と書きます。
 なお、a > 0 のときは、an乗根を s とすれば、sn = a > 0 ですから、(23-24i) と帰納法により s > 0 となるので、正数のn乗根は正であることがわかります。
 また、正整数 n , n' と、整数 m , m' に対し、m/n = m'/n' すなわち n'm = nm' が成り立っているとすれば(ただし m が負のとき、これは m' が負であることと同値ですが、この場合は a > 0 を仮定します)、(15-36b) により

(27-14)  {(a1/n )m }n n' = {(a1/n )n }m n' = am n' = am' n = {(a1/n' )n' }m' n = {(a1/n' )m' }n' n

となり、両辺のnn' 乗根を取れば、(a1/n )m = (a1/n' )m' となるので、am/nが、mn > 0 の選び方によらず

(27-15)  am/n (a1/n )m

で定義できることがわかります。

 最後にn乗数でない自然数のn乗根は無理数であることを証明しましょう。ただしn乗数とは、ある自然数のn乗と表される自然数のことです。
 実際、mn乗数でない自然数とし、m の(正の)n乗根を a とします。ここで任意に有理数 r を取ると、r £ 0 なら r ¹ a は明らかなので、r > 0 と仮定します。このとき、互に素な自然数の組 ( p, q) が存在して r = q/p と書けます。
 ここで rn = m と仮定すると、両辺に pn を乗じれば qn = pn m が得られ、pq と互いに素なので qn | m となります。すなわち自然数 k が存在して m = qn k と書けます。これは qn = pn qn k を意味しますから、両辺を qn ¹ 0 で割れば、pn k = 1 となります。
 ゆえに p = 1 となり、これは m = qn を意味しますから、mn乗数でないという仮定に反します。
 ゆえに Ø rn = m が得られますが、有理数体における ¹ の定義により、これは rn ¹ m = an と書けます。一方、n乗する演算は連続なので強関数ですから、これは r ¹ a を意味します。以上で a は無理数であることが証明されました。

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