数学の基礎


31.単調関数と凸関数

 R の部分集合 S で定義された実数値関数 j は、

(31-1a)  "s, tÎS : [ s £ t  Þ  j(s) £ j(t) ]

を満たすとき単調非減少であるといい、

(31-1b)  "s, tÎS : [ s £ t  Þ  j(s) ³ j(t) ]

を満たすとき単調非増加であるといいます。
 明らかに定数関数は単調非減少であり、単調非減少(非増加)関数同士の和や単調非減少(非増加)関数に非負実数を乗じたものも単調非減少(非増加)で、単調非減少(非増加)関数に正でない実数を乗じたものは単調非増加(非減少)です。

 また j は、

(31-2a)  "s, tÎS : [ s < t  Þ  j(s) < j(t) ]

を満たすとき単調増加であるといい、

(31-2b)  "s, tÎS : [ s < t  Þ  j(s) > j(t) ]

を満たすとき単調減少であるといいます。
 明らかに恒等関数は単調増加であり、単調増加(減少)関数と単調非減少(非増加)関数の和や単調増加(減少)関数に正の実数を乗じたものも単調増加(減少)で、単調増加(減少)関数に負の実数を乗じたものは単調減少(増加)です。

 なお、(31-1) の仮定における s £ ts < t に置き換えることができます。実際、js £ ts < t に置き換えた (31-1a) を満たすとし、s £ t なのに j(s) > j(t) となったとすると、更に s < t と仮定すれば j(s) < j(t) となって矛盾するので s ³ t となりますが、このとき s = t となるので、j が関数であることから j(s) = j(t) となって矛盾し、従って j(s) £ j(t) が得られるからです。(31-1b) についても同様です。
 このことから、特に単調増加関数は単調非減少であることがわかります。同様に単調減少関数は単調非増加です。

 さて、(31-2a) において [ ] の中の対偶を取ることにより、j(s) ³ j(t)  Þ  s ³ t となり、これと st を入れ替えたものにより j(s) = j(t)  Þ  s = t が得られるので、単調増加関数は単射です。単調減少関数についても同じです。

 j が単調増加(減少)な連続関数で、その定義域が区間 I の場合、 j局所非定数(第27節参照)ですから、任意の [a, b] Ì I に対して中間値の定理 (27-5) が成り立ちます。しかも j は単射ですから、j は、単調増加なら [j(a), j(b)] で、単調減少なら [j(b), j(a)] で定義された逆関数 j-1 を持ちます。
 また、更に j単調増加なら、$e > 0 : "t < s + e : j(t) < j(s) ですから、j(s) < j(t)  Þ  t ³ s + e > s となるので j-1 も単調増加です。しかも、このとき [s, t] Ì D(j) ならば j [ [s, t] ] = [j(s), j(t)] で、sn ¯ s かつ tn t なら j(sn ) ¯ j(s) かつ j(tn ) j(t) ですから j[ ] s, t [ ] = ] j(s), j(t) [ すなわち有界開区間を開区間に写すので、開集合を開集合に写す、すなわち開写像であることがわかり、j-1 は連続であることがわかります。
 区間で定義された単調減少な連続関数についても、同様に逆関数は単調減少で連続です。

 さて、R の区間 I で定義され、連続で、少なくとも I の内部で微分可能な実数値関数が単調非減少であるためには、導関数が至るところ非負であることが必要十分であることを証明しましょう。
 実際、必要性は明らかなので十分性を証明します。I から任意に s < t を取り、j(s) > j(t) と仮定すると、Δj(s, t) < 0 なので、e :º - Δj(s, t) / 2 > 0 と置けば、(30-8) により j'(c) £ Δj(s, t) + e = - e < 0 となる cÎ] s, t [ が存在し、j' が非負であることに反します。ゆえに j(s) > j(t) の否定、すなわち j(s) £ j(t) が得られ、j が単調非減少であることがわかります。
 同様に、R の区間 I で定義された連続かつ I の内部で微分可能な実数値関数が単調非増加であるためには、導関数が至るところ正でないことが必要十分です。
 ゆえに両者を併せると、R の区間 I で定義された連続で I の内部で微分可能な実数値関数が定数であるためには、導関数が恒等的に 0 であることが必要十分であることがわかります。

 なお、X を局所凸空間とするとき、R の区間 I で定義され、X に値を持つ連続かつ I の内部で微分可能な関数 f についても、これが定値であるためには導関数が恒等的に 0 であることが必要十分です。
 実際、必要性は明らかなので十分性を証明します。aÎIX の一様構造を定めるセミノルム || · || を任意に選んで j(t) || f(t) - f(a)|| と置きます。

(31-3)  |j(s) - j(t)| £ ||{ f(s) - f(a)} - { f(t) - f(a)}|| = || f(s) - f(t)||

ですから | Δj(s, t) | £ || Δf(s, t) || となり、右辺は t ® s のとき || f '(s)|| = 0 に収束するので左辺も 0 に収束し、これは js で微分可能で j'(s) = 0 であることを意味します。s は任意ですから、上で得られた結果から実数値関数 j は定数であることがわかり、j(a) = 0 ですから j は恒等的に 0 です。ゆえに || · || の任意性により、すべての t に対して f(t) = f(a) となることがわかります。

 また、R の区間 I で定義された連続かつ I の内部で微分可能な実数値関数が単調増加であるためには、導関数が、至るところ非負かつ I の稠密な集合上で正値を取ることが必要十分です。
 実際、必要性は、単調増加なら単調非減少なので、まず j' が非負であることがわかります。次に j の任意の点の任意の近傍 U を取り、s < t となる s, tÎU を取ると、単調増加性により Δj(s, t) > 0 です。ゆえに e :º Δj(s, t) / 2 と置いて (20-8b) を適用することにより、ある cÎ] s, t [ Ì U において j'(c) > 0 となることがわかります。
 また十分性は、j の定義域に任意に a < b を取ると、j'(c) > 0 となる cÎ] a, b [ が存在します。 ゆえに、[c - e, c + e] Ì ] a, b [ を満たす e > 0 で、 0 < | h | < e  Þ  | Δj(c, c + h) - j'(c) | < j'(c) / 2 を満たすものが存在し、これは Δj(c, c + h) > 0 かつ c, c + hÎ] a, b [ ( h ¹ 0 ) となることを意味し、j' は非負なので単調非減少ですから j(a) £ j(c) < j(c + h) £ j(b) がわかり、ab の任意性により j は単調増加であることがわかります。
 同様に、R の区間 I で定義された連続かつ I の内部で微分可能な実数値関数が単調減少であるためには、導関数が、至るところ正でなく、かつ I の稠密な集合上で負値を取ることが必要十分です。

 さて、S を不等号 ¹ を持つ集合 X の部分集合とするとき、xÎS に対する命題 P は、ある可算集合 A = { an | nÎN } Ì X に対して "xÎS \\ A : P が成り立つとき可算個の例外点を除いて P が成り立つといいます。

 さて、R の区間 I稠密な部分集合 S で定義された任意の単調非減少(非増加)関数 j に対し、I
(31-4)  j*(a)  
lim

t ® a
j(t)

が存在するとき j連続点とよびます。もし連続点 aj の定義域に属していれば、明らかに j(a) = j*(a) が成り立ちます。
 このとき、I の点は、可算個の例外点を除いて j の連続点であることを証明しましょう。
 端点は除いてよいので、I が開区間の場合のみを考えれば十分ですが、更に (23-35) により、任意の開区間は可算個の有界閉区間の合併と表され、j が単調非増加なら - j は単調非減少であり、後者が連続なら前者も連続ですから、I = [a, b]abj の定義域に属し、かつ j が単調非減少関数の場合について証明できれば十分です。
 更に j のかわりに t の関数 j(t) + t を考えれば、これは単調増加で、しかもこれが連続なら j も連続ですから、j は単調増加と仮定しても一般性を失いません。更に、定義域と値域で定数倍、平行移動を行うことにより、a = 0 , b = 1 , j(a) = 0 , j(b) = 1 と仮定することができます。
 最初に 0 £ a < b £ 1 であるような任意の実数の組 a , b が与えられたとき、

(31-5a)  tÎS , t < c  Þ  j(t) < b

(31-5b)  tÎS , t > c  Þ  j(t) > a

を共に満たす cÎ [a, b] が存在することを証明しましょう。
 まず、a0 :º 0 , b0 :º 1 と置きます。次に n ³ 1 に対し、SI で稠密ですから、In] (2an-1 + bn-1 )/3 , (an-1 + 2bn-1 )/3 [ と置くと cnÎSÇIn が存在しますが、このとき j(cn ) < b 又は j(cn ) > a が成り立つので、前者なら ancn , bnbn-1 と置き、後者なら anan-1 , bncn と置きます。
 このとき、0 £ bn - an £ (2/3)n で、{ an | nÎN } は非減少列、{ bn | nÎN } は非増加列なので、これらは同値なコーシー列になり、climn an = limn bn が存在します。しかも帰納法により

(31-6a)  "nÎN :  j(an ) < b

(31-6b)  "nÎN :  j(bn ) > a

が成り立っていることがわかります。
 ゆえに、t < c を満たす任意の tÎS に対し、t < an となる n が存在するので、(31-6a)j の単調非減少性により (31-5a) が得られます。
 同様に、t > c を満たす任意の tÎS に対し、t > bn となる n が存在するので、(31-6b)j の単調非減少性により (31-5b) が得られます。
 さて、0 £ a < b £ 1 であるような有理数の組 (a, b) の全体を一列に並べて { (an , bn ) | nÎN } とし、各 (an , bn ) に対して (31-5a) を満たす ccn とし、C{ cn | nÎN }È{0, 1} と置きます。このとき、任意の tÎI \\ Cj の連続点であることを証明しましょう。
 実際、任意に e > 0 を取り、有理数の有限列 { ai | i £ k }0 = a0 < a1 < ¼ < ak = 1 かつ ai+1 - ai < e となるように取り、有理数の組 (ai , ai+1 ) に対して (31-5a) を満たす cÎCci とします。ここで更に c-1 :º 0 , a-1 :º - e , ck :º 1 , ak :º 1 + e と置きます。
 このとき、ci < t < ci+1 となる i がただ一つ存在しますが、sÎS かつ ci < s < ci+1 なら、(31-5) により ai < j(s) < ai+2 が成り立ちます。これは、j による t の近傍 [ ci , ci+1 ] の像が 2e-小集合になっていることを意味するので、t の近傍の j による像の全体はコーシー・フィルターになっていることがわかり、これは tj の連続点であることを意味しています。

 さて、R の区間 I で定義された実数値関数 j は、I に属す任意の a < b に対して

(31-7a)  0 £ t £ 1  Þ  j(ta + (1 - t)b) £ tj(a) + (1 - t)j(b)

を満たすとき下に凸あるいは凸関数といい、

(31-7b)  0 £ t £ 1  Þ  j(ta + (1 - t)b) ³ tj(a) + (1 - t)j(b)

を満たすとき上に凸あるいは凹関数といいます。
 明らかに凸(凹)関数同士の和や凸(凹)関数に非負実数を乗じたものは凸(凹)関数であり、凸(凹)関数に正でない実数を乗じたものは凹(凸)関数です。

 また j は、I に属す任意の a < b に対して

(31-8a)  0 < t < 1  Þ  j(ta + (1 - t)b) < tj(a) + (1 - t)j(b)

を満たすとき真に凸な関数といい、

(31-8b)  0 < t < 1  Þ  j(ta + (1 - t)b) > tj(a) + (1 - t)j(b)

を満たすとき真に凹な関数といいます。
 明らかに真に凸(凹)な関数と凸(凹)関数の和や、真に凸(凹)な関数に正実数を乗じたものは真に凸(凹)な関数であり、真に凸(凹)な関数に負の実数を乗じたものは真に凹(凸)な関数です。

 なお、(31-7) の仮定における 0 £ t £ 10 < t < 1 に置き換えることができます。実際、j0 £ t £ 10 < t < 1 に置き換えた (31-7a) を満たすとし、0 £ t £ 1 なのに

(31-9)  j(ta + (1 - t)b) > tj(a) + (1 - t)j(b)

となったとすると、更に 0 < t と仮定し、更に t < 1 と仮定すると (31-7a) の右辺が成り立つので (31-9) と矛盾するので t ³ 1 すなわち t = 1 となり、今度は (31-7a) の右辺が自明に成り立つのでやはり (31-9) と矛盾します。よって t £ 0 すなわち t = 0 となって、やはり (31-7a) の右辺が自明に成り立つので (31-9) と矛盾します。ゆえに (31-9) の否定が得られ、(31-7a) の右辺が成り立つことがわかります。(31-7b) についても同様です。
 このことから、特に真に凸な関数は凸関数であることがわかります。同様にして真に凹な関数は凹関数です。

 さて、jという条件は、

(31-10a)  "a, b, cÎI : a < b < c  Þ  (a - b)j(c) + (b - c)j(a) + (c - a)j(b) £ 0

が成り立つことと同値であることに注意します。実際、t(c - b) / (c - a) と置くと、0 < t < 1 かつ b = ta + (1 - t)c となり、(31-10a) の両辺を c - a > 0 で割って移項すれば j(b) £ tj(a) + (1 - t)j(c) となり、逆に a < c0 < t < 1 が与えられれば a < bta + (1 - t)c < c となるからです。
 同様に、jという条件は

(31-10b)  "a, b, cÎI : a < b < c  Þ  (a - b)j(c) + (b - c)j(a) + (c - a)j(b) ³ 0

と同値であり、j真に凸という条件は、

(31-10c)  "a, b, cÎI : a < b < c  Þ  (a - b)j(c) + (b - c)j(a) + (c - a)j(b) < 0

と同値であり、j真に凹という条件は、

(31-10d)  "a, b, cÎI : a < b < c  Þ  (a - b)j(c) + (b - c)j(a) + (c - a)j(b) > 0

が成り立つことと同値です。

 ところで I に属す a , b , c に対して

(31-11)  (a - b)j(c) + (b - c)j(a) + (c - a)j(b) = (a - b){j(c) - j(b)} + (b - c){j(a) - j(b)} = (a - b)(b - c){Δj(b, a) - Δj(b, c)}

ですから、(a - b)(b - c) > 0 に注意すれば、j が凸であるという条件は

(31-12a)  a < b < c  Þ  Δj(b, a) £ Δj(b, c)

とも書けます。
 また (31-11) の左辺が a , b , c について巡回的であることに注意すれば、b < c < a に対しても (31-10a) が成り立つので、(a - b)(b - c) < 0 に注意すれば、j が凸であるという条件は

(31-12b)  b < c < a  Þ  Δj(b, c) £ Δj(b, a)

とも同値です。
 また、再度巡回させて、c < a < b に対しても (31-10a) が成り立つことと (a - b)(b - c) < 0 に注意すれば、j が凸であるという条件は

(31-12c)  c < a < b  Þ  Δj(b, c) £ Δj(b, a)

とも同値になります。

 また、t ± e が凸関数 j の定義域に属せば、0 < h < e に対して (31-12) により Δj(t, t - e) £ Δj(t, t - h) £ Δj(t, t + h) £ Δj(t, t + e) すなわち

(31-13)  Δj(t, t - e)h £ j(t) - j(t - h) £ j(t + h) - j(t) £ Δj(t, t + e)h

が成り立つので、これは jt で連続であることを示しています。すなわち凸関数は定義域の内点で連続であることがわかります。

 また、j が凸なら

(31-14)  a, b > 0  Þ  j(t + a) + j(t + b) £ j(t) + j(t + a + b)

が成り立ちます。実際、(31-12a) により Δj(t, t + a) £ Δj(t + a, t + a + b)Δj(t, t + b) £ Δj(t + b, t + a + b) が得られるので、それぞれの両辺に ab を乗じて辺々加えれば bj(t + a) - bj(t) + aj(t + b) - aj(t) £ aj(t + a + b) - aj(t + a) + bj(t + a + b) - bj(t + b) となりますから、両辺を a + b で割れば (31-14) が得られます。
 また、s , t , s + h , t + h がすべて j の定義域に属せば

(31-15)  s < t , h ¹ 0  Þ  Δj(s, s + h) £ Δj(t, t + h)      

が成り立ちます。
 実際 h > 0 の場合は、(31-14)t , a , b にそれぞれ s , h , t - s を代入すれば、j(s + h) + j(t) £ j(s) + j(t + h) となるので、移項して両辺を h > 0 で割れば (31-15) が得られます。
 また h < 0 の場合は、(31-14)t , a , b にそれぞれ s + h , - h , t - s を代入すれば、j(s) + j(t + h) £ j(s + h) + j(t) となるので、移項して両辺を h < 0 で割ると、やはり (31-15) が得られます。

 なお、(31-12)~(31-15) は、凸関数を凹関数に、£³ に置き換えても成り立ち、凸関数を真に凸な関数に、£< に置き換えても成り立ち、凸関数を真に凹な関数に、£> に置き換えても成り立ちます。

 さて、R の区間 I で定義され、連続で、少なくとも I の内部で2階微分可能な j凸関数であるためには、2階の導関数が至るところ非負であることが必要十分であることを証明しましょう。
 実際、j が凸で、[s, t]j が2階微分可能なら、h > 0 が十分小さければ、s + ht - h は共に I の内部に属し、かつ s < t - h とできるので、(31-15)tt - h に置き換えた式が成り立つので、h ® 0 とすれば j'(s) £ j'(t) であることがわかり、従って Δj'(s, t) ³ 0 となるので、t ® s とすれば j"(s) ³ 0 が得られます。
 逆に I の内部で j" ³ 0 が成り立つとし、I から任意に a < b < c を選び、Δj(b, a) > Δj(b, c) と仮定します。この左辺と右辺の差を e > 0 とすると、(30-8) により j'(a) ³ Δj(b, a) - e / 3 となる ] a, b [j'(b) £ Δj(b, c) + e / 3 となる ] b, c [ が存在し、j'(a) > j'(b) となります。
 一方 a < b ですから、Δj'(a, b) < 0 となるので、(30-8) により j"(g) < 0 となる ] a, b [ Ì [a, c] が存在し、仮定 j" ³ 0 に反します。よって Δj(b, a) > Δj(b, c) の否定、すなわち Δj(b, a) £ Δj(b, c) が得られ、(31-12a) が成り立つので、j は凸です。
 同様に、j が凹であるためには、j" が至るところ正でないことが必要十分です。

 また、R の区間 I で定義された連続かつ I の内部で2階微分可能な実数値関数が真に凸であるためには、2階導関数が、至るところ非負かつ I の稠密な集合上で正値を取ることが必要十分です。
 実際、必要性は、真に凸なら凸なので、まず j" が非負であることがわかります。
 また、j の任意の点の任意の開近傍 U を取り、s < t となる s, tÎU を取り、十分小さい e > 0 を取ると、s < t - e となります。一方、j が真に凸なので、(31-15)£< に置き換えた式が成り立ち、tt - e を代入して Δj(s, s + e) < Δj(t - e, t) が成り立ちます。 一方、(31-12b),(31-12c) により、0 < h < e なら Δj(s, s + h) < Δj(s, s + e) < Δj(t - e, t) < Δj(t - h, t) ですから、h ¯ 0 とすれば、j'(s) £ Δj(s, s + e) < Δj(t - e, t) £ j'(t) すなわち Δj'(s, t) > 0 となります。よって、e :º Δj'(s, t) / 2 と置いて (30-8)j' に適用すれば、j"(c) > 0 となる cÎ] s, t [ Ì U が存在することがわかります。
 次に十分性ですが、まず j" が非負であることから j は凸です。ゆえに I の内点 a < b を任意に取ると、0 < h < b - a なら、(31-12b),(31-12c) により Δj(a, a + h) £ Δj(a, b) £ j(b - h, b) となるので h ¯ 0 とすれば

(31-16)  j'(a) £ Δj(a, b) £ j'(b)

が得られます。また、j' は、その導関数が非負で、稠密な部分集合上で正値を取るので単調増加です。よって a < b が共に I の内点なら

(31-17)  j'(a) < j'(b)

となります。ゆえに (31-17) により、(31-16) の2つの £ のうちの一方は < に置き換えられますが、実は

(31-18)  j'(a) < Δj(a, b) < j'(b)

が成り立つことが証明できます。実際、例えば j'(a) < Δj(a, b) が成り立つとすれば、十分小さい d > 0 に対して Δj(a, a + d) < Δj(a, b) となりますが、これは (b - a){j(a + d) - j(a)} < d{j(b) - j(a)} と書け、これは更に (b - a - d){j(b) - j(a)} < (b - a){j(b) - j(a + d)} と変形されるので、Δj(a, b) < Δj(a + d, b) が得られますが、(31-16)aa + d に置き換えた式により Δj(a + d, b) £ j'(b) が成り立つので、(31-18) の右側の < も得られます。逆の場合も同様です。
 さて、j の定義域に任意に a < b < c を取り、更に a < a < b < b < c となる a , b を取ると、j は凸なので、(31-12b),(31-12c)(31-18) により、

(31-19)  Δj(a, b) £ Δj(a, b) < j'(b) < Δj(b, b) < Δj(b, c)

となって、(31-12a)£< に置き換えた式が成り立つので、j は真に凸であることがわかりました。
 同様に、R の区間 I で定義された連続かつ I の内部で微分可能な実数値関数が真に凹であるためには、2階の導関数が、至るところ正でなく、かつ I の稠密な集合上で負値を取ることが必要十分です。

 最後に、任意の凸(凹)関数 j は可算個の例外点を除いて微分可能であることを証明しましょう。
 実際、j が凹関数なら - j は凸関数ですから、凸関数の場合に証明すれば十分です。
 そこで凸関数 j の定義域を I とします。もし I が端点を持つ場合は、端点を除外してもかまわないので、I は開区間と仮定できます。また (23-35) により、I は、ある d > 0 に対して [a - d, b + d] Ì I となるような閉区間 [a, b] の列の可算個の合併と表されるので、このような a , b , d に対して区間 [a, b] において可算個の例外点を除いて微分可能であることを示せば十分です。
 また、関数 y(t) t² は2階微分可能で y"(t) = 2 > 0 ですから真に凸な関数です。ゆえに j + y も真に凸で、しかも j + y が微分可能な点では j も微分可能ですから、j は真に凸であると仮定することができます。
 さて、各自然数 n に対して

(31-20a)  ln(t) Δj(t, t - 2-n d) = Δj(t - 2-n d, t)       ( a - d + 2-n d £ t £ b + d )

(31-20b)  rn(t) Δj(t, t + 2-n d)       ( a - d £ t £ b + d - 2-n d )

と置くと、(31-15)£< に置き換えた式により、lnrn も単調増加関数であることがわかります。また、定義から明らかに

(31-21)  ln(t + 2-n d) = rn(t)

が成り立ち、更に (31-12)£< に置き換えた式により

(31-22)  l0(t) < l1(t) < ¼ < ln(t) < ¼ < rn(t) < ¼ < r1(t) < r0(t)

が成り立ちます。さて、a :º l0(a) , b :º r0(b) と置きます。a = l0(a) < l0(b) < r0(b) = b ですから a < b です。任意の [a, b] に対し、単調非減少な実数列 { an | nÎN } と単調非増加な実数列 { bn | nÎN }

(31-23a)  bn - an = 2-n d

(31-23b)  rn(an ) = ln(bn ) = g

を満たすものを構成しましょう。
 そこで n - 1 まで構成できたと仮定します。rn は連続で、しかも単調増加ですから局所非定数で、g ³ a = l0(a) = r0(a - d) > rn(a - d) が成り立ち、 g £ b = r0(b) = l0(b + d) £ ln(b + d) = rn(b + d - 2-n d) が成り立つので、中間値の定理 (27-5) により、rn(an ) = g となる anÎ[a - d, b + d - 2-n d] が存在します。 ゆえに bnan + 2-n d と置けば、これは ln の定義域に属すので、(31-21) により (31-23b) が成り立ちます。
 次に、(31-23b),(31-22) により rn-1(an-1 ) = g = rn(an ) < rn-1(an ) ですから、rn-1-1 の単調増加性により an-1 < an が得られます。
 同様に、ln-1(bn-1 ) = g = ln(bn ) > ln-1(bn ) ですから、ln-1-1 の単調増加性により bn-1 > bn が得られます。
 よって { an | nÎN }{ bn | nÎN } は同値なコーシー列になるので、共通の極限値 c を持ち、an £ c £ bn が成り立ちます。よって rnln が単調非減少であることと (31-23b) により

(31-24)  ln(c) £ g £ rn(c)

が成り立ちます。さて、任意に正整数 k を取ります。0 £ i £ k に対して gki :º a + i(b - a)/k と置き、gki に対して (31-24) を満たす ccki と書きます。すなわち

(31-25)  ln(cki) £ gki £ rn(cki)

 そこで C{ cki | k ³ 1 , 0 £ i £ k } と置くと、] a, b [ \\ C において j は微分可能であることを証明しましょう。
 実際、任意に tÎ] a, b [ \\ C を取ります。任意の正整数 k に対し、ck0 > a と仮定すると a = l0(a) < l0(ck0 ) £ gk0 = a となって矛盾するので

(31-26a)  ck0 £ a

です。また、ckk < b と仮定すると b = r0(b) > r0(ckk ) ³ gkk = b となって矛盾するので

(31-26b)  ckk ³ b

となります。一方 (31-26a) により t > a ³ ck0 であり、任意の i £ k に対し、t < cki 又は t > cki ですから、t > cki となる最大の i が存在します。しかも (31-26b) により i ¹ k ですから i + 1 £ k で、

(31-27)  cki < t < ck i+1

が成り立ちます。そこで n

(31-28)  cki + 2-n d < t < ck i+1 - 2-n d

が成り立つように取ります。ここで (31-12) により、0 < | h | < 2-n d ならば

(31-29)  ln(t) < Δj(t, t + h) < rn(t)

ですから、(31-25),(31-21),(31-28),(31-29) により

(31-30)  gki £ rn(cki) = ln(cki + 2-n d) < ln(t) < Δj(t, t + h) < rn(t) < rn(ck i+1 - 2-n d) = ln(ck i+1 ) £ gk i+1

となります。一方

(31-31)  gk i+1 - gki = b - a
——–
 k

ですから、k が任意にとれることにより、{ { Δj(t, t + h) | 0 < | h | < e } | e > 0 } はコーシー・フィルターの基底を成すことがわかるので、R の完備性により収束し、jt で微分可能であることがわかります。

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