数学の基礎


42.微分積分学の基本定理

  fR の区間 J の稠密な部分集合で定義された実数値の単調非減少関数、X を局所凸空間、g º ( gl )ΛJ の充満集合で定義された X-値準写像とし、f の連続点 a £ b に対して特性写像 ca, b と各 gl の積を l 成分に持つ準写像 ca, b gf に関してStiltjes可積分であるとします。
  f の任意の連続点 a, bÎJ に対し、f の連続点 cÎJc £ a, b となるように選び、ga から b への f による定積分

(42-1)  ò  b

a
g df  :º ò cc, b g df  - ò cc, a g df

で定義します。
 まず、cinf {a, b} と置けばよいので、このような c は存在します。また、別の c' £ a, b となる f の連続点 c'ÎJ に対して c"inf {c, c'} と置くと、c"f の連続点で、cc", c + cc, a = cc", a  a.e. かつ cc", c + cc, b = cc", b  a.e. ですから

(42-2a)  ò cc, b g df  - ò cc, a g df  = ò ( cc", b - cc", c ) g df  - ò ( cc", a - cc", c ) g df  = ò cc", b g df  - ò cc", a g df

 同様に、

(42-2b)  ò cc', b g df  - ò cc', a g df  = ò cc", b g df  - ò cc", a g df

が成り立つので、(42-2a)(42-2b) の左辺は一致し、(42-1) の左辺は c の取り方に依存せずに定まることがわかります。
 特に、b = a のときは、(42-1) から明らかに

(42-3a)  ò  a

a
g df = 0

となり、a £ b のときは、ca と置けば、ca, a = 0  a.e. ですから

(42-3b)  ò  b

a
g df = ò ca, b g df

となり、a ³ b のときは、cb と置けば、cb, b = 0  a.e. ですから

(42-3c)  ò  b

a
g df = - ò cb, a g df  = - ò  a

b
g df

が成り立ちます。更に、a, b, cÎJ がすべて f の連続点なら、dinf {a, b, c} と置けば、

(42-3d)  ò  b

a
g df + ò  c

b
g df = ò cd, b g df  - ò cd, a g df  + ò cd, c g df  - ò cd, b g df  = ò cd, c g df  - ò cd, a g df  = ò  c

a
g df

が成り立つことがわかります。

 さて、定積分の積分範囲の b を変数 x に置き換えて、x の関数とみなしたもの:

(42-4)  F(x) ò  x

a
g df

f の連続点で定義されますが、これを f による g不定積分といいます。不定積分 F はその定義域で連続です。
 実際、x, x + hÎJ を共に f の連続点とすると、それらの下限を c と置けば、(42-3c),(42-3d),(42-1) により

(42-5)  F(x + h) - F(x) = ò  x+h

a
g df  - ò  x

a
g df  = ò  x+h

a
g df  + ò  a

x
g df  = ò  x+h

x
g df  = ò ( cc, x+h - cc, x ) g df

が成り立ちます。
 一方、ca, b :º cinf{a, b}, sup{a, b} É | cc, a - cc, b | ですから cx, x+h は可積分です。また xf の連続点であることと、h ® 0 のとき sup{x, x + h}inf{x, x + h}x に収束することから、

(42-6)  mf ( | cc, x+h - cc, x | ) = mf ( cx, x+h ) = mf ( cinf{x, x+h}, sup{x, x+h} ) =  f( sup{x, x + h}) - f( inf{x, x + h}) ® 0   ( h ® 0 )

となり、(39-25m)Acx, x+h について適用すれば、F(x + h) - F(x) ® 0   ( h ® 0 ) が成り立つことがわかります。
 以上で f の連続点で F は連続であることが証明されました。また、上記の証明により、f一様連続なら F一様連続であることがわかります。

 また、更に xf微分可能かつ g連続なら、Fx で微分可能で、

(42-7)  F'(x) = g(x) f '(x)

が成り立ちます。ただしこの式は、各 Λ に対して Fl :º pl ° F と置くとき、Fl'(x) = gl(x) f '(x) が成り立つことを意味します。
 実際、各 Λ に対し、h ¹ 0x + hÎJf の連続点なら、(42-5) により、

(42-8)  Fl(x + h) - Fl(x) = ò x+h

x
gl df  = ò x+h

x
{ gl - gl(x)}df  + gl(x) ò x+h

x
df  = ò x+h

x
{ gl - gl(x)}df  + gl(x){ f(x + h) - f(x)}

ですから、Xl のノルムを | · | と書くことにし、右辺第2項を左辺に移項してノルムを取り、両辺を | h | で割れば、glx で連続であることから、任意の e > 0 に対して | t - x | £ d  Þ  | gl(t) - gl(x) | < e となるように d > 0 を取れば、0 < | h | < d のとき

(42-9)  ½
½
Fl(x + h) - Fl(x)
———————
 h 
- gl(x)  f(x + h) - f(x)
——————
h
½
½
= 1
——
| h |
½
½
ò x+h

x
{ gl - gl(x) }df ½
½
£ e
——
| h |
mf ( cx, x+h ) £ e  f( sup{x, x + h}) - f( inf{x, x + h})
——————————————
| h |

となりますが、fx で微分可能ですから、ここで h ® 0 とすれば、右辺は e f '(x) に収束し、e > 0 は任意ですから、左辺は h ® 0 のとき 0 に収束することがわかります。以上で Fx で微分可能で (42-7) が成り立つことがわかりました。

 次に、a < b を実数又は ± ¥ とし、f は区間 J] a, b [ の稠密な部分集合で定義され、a :º lim t ¯ a f(t)b :º lim t b f(t) が存在するものとします。
 また、{ ai | iÎN }a に収束する非増加列、{ bi | iÎN }b に収束する非減少列とし、J の充満集合で定義された X-値準写像 g º ( gl )Λ は各 i に対して区間 [ai , bi ] で可積分で、任意の Λ に対して

(42-10)   
lim

i ® ¥
ò  bi

ai
| gl | df

が存在するものとします。このとき g は可積分で

(42-11)  ò g df =  
lim

i ® ¥
ò  bi

ai
g df

が成り立ちます。
 実際、lim i ® ¥ mf ( cai , bi ) = b - a ですから、1 = lim i ® ¥ cai , bi は可積分で、mf (1) = b - a となり、従って lim i ® ¥ mf (1 - cai , bi ) = 0 ですから、これは { cai , bi gl | iÎN }gl に測度収束する L(J, Xl ) のコーシー列になっていることを意味するからです。

 さて、特に f が恒等写像 f(x)x のときの f による定積分、不定積分を、単に g定積分不定積分といいます。不定積分 F一様連続で、しかも f ' = 1 ですから、Fg が連続な点 x で微分可能で

(42-12)  F'(x) = g(x)

が成り立つことがわかります。
 一般に、(42-12) を満たす関数 Fg原始関数といいますが、上の議論により、準写像 g は、連続でLebesgue可積分ならば、その不定積分が(一つの)原始関数になることがわかります。

 2つの原始関数の差は定数です。実際、FG が共に g の原始関数なら、その差 F - G は、微分すると恒等的に 0 になりますから、第31節で示したように、これは定数でなければならないからです。

 さて、g : J ® X は至るところ微分可能で、しかも g'J で連続かつLebesgue可積分であるとします。このとき g' の不定積分も g も共に g' の原始関数ですから、その差は定数です。すなわちその定数を C と書けば、

(42-13)  ò  x

a
g'(t) dt = g(x) + C

となります。ここで x = a と置けば、(42-3a) により、左辺は 0 となるので、C = - g(a) であることがわかります。すなわち

(42-14)  ò  x

a
g'(t) dt = g(x) - g(a)

が成り立ちます。(42-12)(42-14)微分積分学の基本定理とよぶことがあります。

 さて、R の区間 [a, b] で定義され、局所凸空間 X に値を持つ連続関数 f : [a, b] ® X絶対連続であるとは、fL([a, b] , X ) の位相で微分可能、すなわち f(sup{a, inf{t, b}}) を改めて f(t) と定義し直すことによって f の定義域を R 全体に拡張し、任意の実数 h ¹ 0 に対して

(42-15)  Δh f(t) =  f(t + h) - f(t)
—————–

h
      ( a < t < b )

と置くとき、Δh fh ® 0 のとき L([a, b] , X ) で収束する、すなわちLebesgue可積分な準写像 g º ( gl )ΛÎL([a, b] , X ) が存在して

(42-16)   
lim

h ® 0
ò  b

a
| Δh fl(t) - gl(t) | dt = 0       ( Λ )

が成り立つことをいいます。ただし fl :º pl ° f です。また、この gf導準写像といい、紛れのない限り f ' と書くことにします。
 逆に、任意の g º ( gl )ΛÎL([a, b] , X ) に対して

(42-17)   f(t) ò  t

a
g(t) dt       ( a £ t £ b )

と置くと、f は絶対連続で、g はその導準写像になります。実際、g の定義域を t < at > b に対して 0 として拡張しておき、fl :º pl ° f と書けば

(42-18)  Δh fl(t) - gl(t) = h-1 ò t+h

t
{ gl(t) - gl(t)}dt = | h |-1 ò | h |

0
{ gl(t + se) - gl(t)}ds

 ただし e は、h > 0 のとき 1h < 0 のとき - 1 を表します。ゆえにFubiniの定理により

(42-19)  || Δh fl - gl || ò  b

a
| Δh fl(t) - gl(t) | dt £ | h |-1 ò  b
  dt
a
ò | h |

0
| gl(t + se) - gl(t) | ds = | h |-1 ò | h |
  ds
0
ò  b

a
| gl(t + se) - gl(t) | dt

となります。
 一方、可積分関数 glL(R, Xl ) の位相において、特性写像に Xl の元を乗じたものの有限和でいくらでも近似でき、各特性写像 cL(R) の位相において、区間 [a, b] の外で 0 となる K(R) の元でいくらでも近似できますから、任意の e > 0 に対して、区間 [a, b] の外で 0 となる K(R) が存在して

(42-20)  òR | c(t) - j(t) | dt < e

が成り立ちます。一方、jR で一様連続ですから、d > 0 が存在して、

(42-21)  | j(t + s) - j(t) | < e       ( tÎR , | s | < d )

となるので、(42-20),(42-21) により、0 < s < d なら

(42-22)  ò  b

a
| c(t + se) - c(t) | dt £ ò  b

a
| c(t + se) - j(t + se) | dt + ò  b

a
| j(t + se) - j(t) | dt + ò  b

a
| j(t) - c(t) | dt £ e + (b - a)e + e

 すなわち任意の e > 0 に対して d > 0 が存在して

(42-23)  ò  b

a
| gl(t + se) - gl(t) | dt < e       ( tÎR , | s | < d )

となることがわかります。ゆえにこの結果を (42-19) の右辺に用いれば、| h | < d のとき

(42-24)  || Δh fl - gl || £ e | h |-1 ò | h |
   ds = e
0

となり、e > 0 は任意ですから (42-16) が成り立つことが証明されました。

 以上の結果により、逆に任意の絶対連続関数 f : [a, b] ® X は、その導準写像 f ' の不定積分の形に表せる、すなわち

(42-25)   f(t) = f(a) + ò  t

a
 f '(t) dt       ( a £ t £ b )

が成り立つことが証明できます。実際、任意の Λ に対して

(42-26)  j(t) fl(t) - ò  t

a
 f 'l(t) dt       ( a £ t £ b )

と置いたとき、j] a, b [ で定数であることを示せば十分ですが、そのためには、j(s) ¹ j(t) となる s, tÎ] a, b [ が存在すると仮定して矛盾を導けば十分です。
 j は関数ですから s ¹ t で、従って s < t と仮定してよく、e :º | j(s) - j(t) | / 3 > 0 と置くと、j は連続ですから、正数 d < inf{s - a, b - t} が存在して

(42-27a)  | j(t) - j(s) | < e       ( | t - s | < d )

(42-27b)  | j(t) - j(t) | < e       ( | t - t | < d )

が成り立ちます。そこで

(42-28)   y(r) 1
—–
2d
ò r+d

r-d
j(t) dt

と置くと、r = s, t に対して

(42-29)   y(r) - j(r) = 1
—–
2d
ò r+d

r-d
{j(t) - j(r)}dt

ですから、(42-27) により

(42-30)  | y(r) - j(r) | £ 1
—–
2d
ò r+d

r-d
| j(t) - j(r) | dt £ e
—–
2d
ò r+d
     dt = e
r-d

となり、

(42-31)  | y(s) - y(t) | ³ | j(s) - j(t) | - | j(s) - y(s) | - | y(t) - j(t) | ³ 3e - e - e = e

となります。ところが (42-28) により、任意の rÎ] a, b [ に対して

(42-32)  Δhy(r) = 1
—–
2d
ò r+d

r-d
Δhj(t) dt

が成り立ちますが、(42-26) により、j は絶対連続で、h ® 0 のとき

(42-33)  Δhj ® f 'l - f 'l = 0     in L([a, b] , X )

ですから、(42-32) の右辺は h ® 0 のとき 0 に収束し、yr で微分可能で y'(r) = 0 となることがわかります。
 ここで r は任意ですから、y の微分は至るところ 0 であり、従って第31節の結果により y は定数であることがわかりますが、これは (42-31) に反します。以上で証明は完成しました。この (42-25)微分積分学の基本定理とよぶことがあります。

 この (42-25)(42-6) 直後の注意により、絶対連続関数は一様連続であることがわかります。また、f 'x で連続なら fx で微分可能で、その微分係数は f '(x) ですから、一般に絶対連続関数 f の導準写像のことを f ' と書くことは理にかなっているといえます。

 さて、f を区間 [a, b]単調非減少絶対連続関数とすれば、Stiltjes測度 df が定義できますが、このとき [a, b] 上の df について可積分な X-値の準写像 g に対して

(42-34)  ò  b

a
g(t) f '(t) dt = ò  b

a
g df

が成り立つことを証明しましょう。
 実際、まず最初に g が区間 [a, b] の特性写像である場合は、(41-18)(42-25) により両辺共に f(b) - f(a) に一致するので成立します。
 次に g が実数値の一様連続写像である場合は、区間の特性関数の有限和で一様に近似できますから、やはり成立します。
 次に g が実数値の可積分写像 g である場合を考えると、{ gn | nÎN } Ì K( ] a, b [ )

(42-35a)  ån ò  b

a
| gn | df < ¥

(42-35b)  ån gn Ì g

を満たすものが存在しますが、gn| gn | は一様連続なので、これらについては (42-34) が成り立ちます:

(42-36a)  ò b

a
gn(t) f '(t) dt = ò b

a
gn df

(42-36b)  ò b

a
| gn(t) |  f '(t) dt = ò b

a
| gn | df

 ゆえに (42-35)(42-36b)f '(t) ³ 0 により

(42-37a)  ån ò  b

a
| gn(t) f '(t) | dt  < ¥

(42-37b)  ån gn  f '  Ì g f '

が成り立ちますが、(42-36a)(42-35),(42-37) は、g f '] a, b [Lebesgue測度について可積分で

(42-38)  ò  b

a
g(t) f '(t) dt = ån ò  b

a
gn(t) f '(t) dt = ån ò b

a
gn df  = ò b

a
g df

が成り立つことを意味するので、g(42-34) を満たすことがわかり、従って特に、各 Λ に対して Xl-値の階段写像についても成り立つことがわかります。
 ゆえに、df について可積分な任意の g( gl )ΛÎL( [a, b], X ) に対し、[a, b]σ-有限ですから、第38節 (38-33) 直後の注意と (39-25g)により gÎL1( [a, b], X ) ですから、各 Λ に対し、Xl-値の階段写像の列 { gn | nÎN } が存在して、(42-35)~(42-38)ggl に置き換えたものが成り立ちます。これは、g について (42-34) が成り立つことを示しています。

 次に、微分の公式を利用して、積分に関する公式を導いておきましょう。
 まず、f を実数値、gX-値の J で定義された微分可能関数で、導関数は共に一様連続であるとします。このとき g' の各セミノルムは有界ですから、(42-14) により、g は一様連続であることがわかります。f についても同様です。一方 (29-12b) により

(42-39)  { f g}' =  f 'g +  f g'

ですから、これを a から b まで積分すれば、(42-14) により

(42-40)   f(t) g(t) ½
½
b

a
f(b) g(b) -  f(a) g(a) = ò  b

a
{ f(t) g(t)}' dt = ò  b

a
 f '(t) g(t) dt + ò  b

a
 f(t) g'(t) dt

が得られます。これを部分積分の公式といいます。

 次に、f は区間 [a, b] で定義された微分可能な関数で、導関数が一様連続、gf [[a, b]] を含む区間で定義された一様連続関数とします。
 このとき、g の不定積分を G とすれば、G' = g ですから、(29-18g) により (G ° f )' = ( g ° f ) f ' となるので、(42-14) により、

(42-41)  ò  f(b)

 f(a)
g(t) dt = G( f(b)) - G( f(a)) = ò b

a
(G ° f )'(s) ds = ò b

a
{( g ° f ) f ' }(s) ds = ò b

a
g( f(s)) f '(s) ds

が得られます。これは、左辺で形式的に t =  f(s) を代入すると、dt/ds =  f '(s) ですから、形式的に分母を払えば右辺の式が得られます。そこでこの (42-41)置換積分の公式といいます。

 さて、(42-34)gg ° f を代入して (42-41) と組み合わせると、

(42-42)  ò  f(b)

 f(a)
g(t) dt = ò b

a
( g ° f ) df

が得られますが、実は (42-42)[a, b]単調非減少な一様連続関数 fLebesgue可積分な準写像 g( gl )ΛÎL( [ f(a), f(b)], X ) に対しても成立することがわかります。ただし、その場合の (42-42) は、各 Λ に対して両辺に現れる ggl に置き換えた式が成り立つことを意味します。
 実際、まず最初に g が実数値の一様連続関数 g である場合について証明します。
 任意の e > 0 に対し、gf の一様連続性により、ある d > 0h > 0 が存在して

(42-43a)  x, yÎ[ f(a), f(b)] , | y - x | < d  Þ  | g( y) - g(x) | < e

(42-43b)  s, tÎ[a, b] , | t - s | < h  Þ  |  f(t) - f(s) | < d

が成り立ちます。そこで、a = c0 < c1 < c2 < ¼ < ck = b かつ ci+1 - ci < h ( 0 < i £ k ) を満たす有限列 { ci | 0 < i £ k } を取ると、

(42-44a)  ò  f(b)

 f(a)
g(t) dt = åi < k ò  f(ci+1 )

 f(ci )
g(t) dt = åi < k g( f(ci )) ò  f(ci+1 )

 f(ci )
dt + åi < k ò  f(ci+1 )

 f(ci )
{ g(t) - g( f(ci ))}dt

(42-44b)  ò b

a
( g ° f ) df  = åi < k ò ci+1

ci
( g ° f ) df  = åi < k g( f(ci )) ò ci+1

ci
d + åi < k ò ci+1

ci
{( g ° f ) - g( f(ci ))}df

が成り立ちます。ここで (42-44) 両者の右辺第1項は、共に åi < k g( f(ci )){ f(ci+1 ) - f(ci )} に一致し、また (42-44) の右辺第2項は、(42-43) によって、それぞれ

(42-45a)  ½
½
åi < k ò  f(ci+1 )

 f(ci )
{ g(t) - g( f(ci ))}dt ½
½
£ åi < k ò  f(ci+1 )

 f(ci )
| g(t) - g( f(ci ))| dt £ e åi < k ò  f(ci+1 )

 f(ci )
dt = e åi < k { f(ci+1 ) - f(ci )} = e{ f(b) - f(a)}

(42-45b)  ½
½
åi < k ò ci+1

ci
{( g ° f ) - g( f(ci ))}df ½
½
£ åi < k ò ci+1

ci
| ( g ° f ) - g( f(ci )) | d £ e åi < k ò ci+1

ci
df  = e åi < k { f(ci+1 ) - f(ci )} = e{ f(b) - f(a)}

ですから、これらと e > 0 の任意性により、一様連続な g に対しては (42-42) が成り立つことがわかります。

 次に g が可積分な実数値関数の場合に (42-42) が成り立つことを証明しましょう。
 実際、{ gn | nÎN } Ì K( ] a, b [ )

(42-46a)  ån ò  f(b)

 f(a)
| gn(t) | dt < ¥

(42-46b)  ån gn Ì g

を満たすものが存在しますが、gn| gn | は一様連続なので、これらについては (42-42) が成り立ちます:

(42-47a)  ò  f(b)

 f(a)
gn(t) dt = ò b

a
( gn ° f ) df

(42-47b)  ò  f(b)

 f(a)
| gn(t) | dt = ò b

a
| gn ° f | df

 ゆえに (42-46)(42-47b) により

(42-48a)  ån ò  f(b)

 f(a)
| gn ° f | df  < ¥

(42-48b)  ån gn ° f  Ì g ° f

が成り立ちますが、(42-47a)(42-46),(42-48) は、g ° f] a, b [f によるStiltjes測度について可積分で

(42-49)  ò  f(b)

 f(a)
g(t) dt = ån ò  f(b)

 f(a)
gn(t) dt = ån ò b

a
( gn ° f ) df  = ò b

a
( g ° f ) df

が成り立つことを意味するので、g(42-38) を満たすことがわかり、従って特に、各 Λ に対して Xl-値の階段写像についても成り立つことがわかります。
 最後に、Lebesgue可積分な任意の g( gl )ΛÎL( [ f(a), f(b)], X ) に対し、[ f(a), f(b)]σ-有限ですから、第38節 (38-33) 直後の注意と (39-25g)により gÎL1( [ f(a), f(b)], X ) となり、従って各 Λ に対し、Xl-値の階段写像の列 { gn | nÎN } が存在して、(42-46)~(42-49)ggl に置き換えたものが成り立ちます。これは、g について (42-42) が成り立つことを示しています。

 さて、本節の最後に、第30節で考察したTaylor展開を、積分を用いて表現してみましょう。

 gR の区間 I で定義され、局所凸空間 X に値を取るn + 1階微分可能な関数で、g 自身とそのn + 1階以下のすべての導関数は I に含まれる任意の有界閉区間で一様連続であるとします。このとき、任意の a, xÎI に対して

(42-50)  g(x) = n
å
k=0
g(k)(a)
———
 k! 
(x - a)k + ò  x

a
g(n+1)(t)
———
 n! 
(x - t)n dt

が成り立ちます。
 実際、n = 0 のときは、これは (42-14) に他なりません。
 また、n まで正しいと仮定すると、

(42-51)  d
—–
 d
t
  (x - t)n+1
———–
 (n + 1)! 
= -  (x - t)n
———
 n! 

ですから、(42-50) の右辺の積分は、部分積分により

(42-52)  - ò  x

a
g(n+1)(t)  d
—–
 d
t
  (x - t)n+1
———–
 (n + 1)! 
dt = - g(n+1)(t)   (x - t)n+1
———–
 (n + 1)! 
½
½
x

a
+ ò  x

a
dg(n+1)(t)
———–
 d
  (x - t)n+1
———–
 (n + 1)! 
dt = g(n+1)(a)   (x - a)n+1
———–
 (n + 1)! 
+ ò  x

a
g(n+2)(t)    (x - t)n+1
———–
 (n + 1)! 
dt

となるので、(42-50) の右辺は nn + 1 に置き換えた式に変形されます。以上で帰納法は完成し、(42-50) は証明されました。

 なお、X のセミノルム | · |l に対して Mln(a, x) sup { | g(n)(t) |l |  inf {a, x} £ t £ sup {a, x} } と置くと、

(42-53)  ½
½
g(x) - n
å
k=0
g(k)(a)
———
 k! 
(x - a)k ½
½
l
= ½
½
ò  x

a
g(n+1)(t)
———
 n! 
(x - t)n dt ½
½
l

£ Mln+1(a, x) ò  ca, x(t)  | x - t |n
———
 n! 
dt

= Mln+1(a, x) ò sup {a, x}

inf {a, x}
 | x - t |n
———
 n! 
dt

= Mln+1(a, x)   | x - a |n+1
———–
 (n + 1)! 

という評価式が得られます。
 ただし最後の等号は次のようにして確かめられます。
 まず x ¹ a の場合は、x < a の場合とx > a の場合に分け、前者のときは積分範囲が x から a までで | x - t | = t - x かつ | x - a | = a - x となり、後者のときは積分範囲が a から x までで | x - t | = x - t かつ | x - a | = x - a となることに注意すれば等号の成立は明らかです。
 そこで、(42-53) の最後の等号を ¹ に置き換えた式を仮定すると、更に x ¹ a を仮定すれば今示したことから (42-53) の等号が成り立って矛盾するので x = a となりますが、この場合は (42-53) の最後の等号の両辺は共に 0 となり、等号が成り立ってしまうのでやはり矛盾します。ゆえに仮定の否定、すなわち (42-53) の最後の等号が導かれます。

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