さて、X を任意のBanach
環とし、i
をその複素化 C
XÎX
(47-1a) sin x |
eix |
i sinh(ix)= |
å k=0 |
( |
(exp ix) |
(47-1b) cos x |
eix |
cosh(ix)= |
å k=0 |
( |
(exp ix) |
で定義します。冪級数の表示により、これらは確かに X に値をとる関数であることがわかります。
また、cos
x
(47-1c) sec x |
(47-1d) tan x |
で定義し、sin
x
(47-1e) csc x |
(47-1f) cot x |
で定義します。以上6個の関数を総称して X 上の三角関数とよびます。定義式から明らかなように
(47-2) exp( |
(47-3a) sin |
(47-3b) cos |
が成り立ちます。また、(46-48),(47-1a),(47-1b),(45-48)
により
(47-4a) || sin x || |
(47-4b) || cos x || |
が成り立ち、(46-49)
の x に i
x(47-1)
により
(47-5a) cos² x |
(47-5b) |
(47-5c) cot² x |
が得られます。また定義から明らかに、sin
は奇関数、cos
は偶関数です。従って tan
, csc
, cot
は奇関数、sec
は偶関数です。
また、x と y が可換 なら、(46-51a)~(46-51d)
の x に i
x(47-1a),(47-1b)
を用いると、cos
と sin
の加法定理:
(47-6a) cos(xy |
(47-6b) sin(xy |
が得られ、更に cos
xcos
ycos(x
± y)(46-51e)
の x に i
x(47-1d)
を用いれば
(47-6c) tan(x |
という tan
の加法定理が得られます。sin
xsin
ysin(x
± y)(46-51f)
の x に i
x(47-1f)
を用いれば
(47-6d) cot(x |
という cot
の加法定理が得られます。特に特にこれらの + y :º x(47-5a)
を用いれば
(47-7a) sin(x |
(47-7b) cos(x |
(47-7c) tan( |
(47-7d) cot( |
が得られます。また cos
x(46-53)
の x に i
x(47-1a),(47-1b),(47-1d)
を用いれば
(47-8a) sin( |
(47-8b) cos( |
が得られ、sin
xcos
x(46-54a)
の x に i
x(47-1d),(47-1e),(47-1f)
を用いれば
(47-9a) cot x |
(47-9b) cot x |
が得られます。
また、任意の ÎX(47-2),(46-13)
と二項展開の公式 (12-32)
により
(47-10) cos(nx) |
einx |
|||||||||||
(eix )n |
||||||||||||
(cos xn |
||||||||||||
|
||||||||||||
|
が得られます。ただし三角関数の場合も双曲線関数と同様に、(sin x)
nsin
n x(47-10)
の実部と虚部をそれぞれ比較すれば、三角関数の倍角公式:
(47-11a) cos(nx) |
k£n/2 |
æ è |
n |
ö ø |
(n |
(47-11b) sin(nx) |
k<n/2 |
æ è |
n |
ö ø |
( |
が得られます。
さて、(47-6a),(47-6b)
において、それぞれの式と y を - y2 で割れば、可換な x , y に対して
(47-12a) cos x cosy |
cos(x |
(47-12b) sin x siny |
cos(x |
(47-12c) sin x cosy |
sin(x |
が得られます。
また (47-12)
で、任意の可換な u , v に対して :º (
u + v)
/ 2 :º (
u - v)
/ 22 を乗じ、両辺を入れ替えれば、それぞれ
(47-13a) cos u |
2 |
cos |
2 |
(47-13b) cos v |
2 |
sin |
2 |
(47-13c) sin u |
2 |
cos |
2 |
が得られ、(47-13a),(47-13b)
で u , v をそれぞれ 2u2u(47-7b),(47-5a)
を用いれば、
(47-14a) cos(u |
cos( |
{ |
cos²u - sin²v = cos²v - sin²u |
(47-14b) sin(u |
cos( |
{ |
sin²u - sin²v = cos²v - cos²u |
が得られます。
さて、X が特に付値体 K の場合は、(47-1)
の両辺を微分して、右辺の冪級数表示に項別微分の公式 (29-37)
を用いれば
(47-15a) |
dz |
sin zz |
(47-15b) |
dz |
cos zz |
が得られ、従って特に sin
と cos
は無限階微分可能で、帰納法により、任意の自然数 k に対して
(47-16a) sin(z |
(47-16b) sin(z |
が成り立つことがわかります。また、tan
, cot
, sec
, csc
の微分についても、双曲線関数の場合と同様に
(47-17a) |
dz |
tanz |
sin' z cos zz |
cos² zz |
cos²z |
sec² zz |
(47-17b) |
dz |
cotz |
cos' z sin zz |
sin² zz |
sin²z |
csc² zz |
(47-17c) |
dz |
secz |
cos' zz |
sin zz |
sech z tanz |
(47-17d) |
dz |
cscz |
sin' zz |
cos zz |
csch z cotz |
が成り立ちます。
さて、ここで特に K が実数体 R
である場合を考察しましょう。
sin
と cos
の組は、第44節の常微分方程式の解の一意性により、連立常微分方程式:
(47-18a) sin' tt |
(47-18b) cos' tt |
(47-18c) sin 0 = 0 |
(47-18d) cos 0 = 1 |
を満たす唯一組の実数値関数であることがわかります。また (47-5a)
により
(47-19a)t |
(47-19b)t |
が成り立つことがわかります。
次に、R
任意の有界閉区間で、t の関数 1 / (
1 + t²) > 0
(47-20) arctant |
t |
d |
が定義できます。これを t の逆正接関数といいます。(47-3)
の両辺を t で微分すれば、微分積分学の基本定理により、
(47-21) |
dt |
arctant |
1 + ² |
が得られます。一方
(47-22a) arctant |
n k=0 |
(k t 2k + 1 |
t |
d |
n k=0 |
t |
( |
t |
æ è |
1 + t ² |
( |
ö ø |
dt |
t |
( |
となり、| t |
£ 1
(47-22b) |
| | | | |
t |
( |
| | | | |
|t| |
dt = |
| t | 2n + 1 |
2n + 1 |
( n |
ですから、逆正接関数の冪級数展開:
(47-23) arctant |
å k=0 |
(k t 2k + 1 |
( | t | |
が得られます。
さて、R
++t = 1 / sd
t = - ds / s²
(47-24) arctan t |
t |
d |
1 |
d |
1 |
d |
1 / |
d |
arctan |
t |
となりますから、円周率とよばれる正数 p を
(47-25) |
0 |
dt |
å k=0 |
(k |
で定義すれば、(47-24)
は
(47-26) arctan t |
t |
arctan1 + arctan1 = |
2 |
となります。一方 arctan
は連続で、
(47-27) arctan |
ですから、1 / (
1 + t²)t について R
+
(47-28) |
0 |
d |
lim t ® ¥ |
arctant |
2 |
lim t ® ¥ |
arctan |
t |
2 |
となります。一方、(47-20)
の t に - tt から s = - t
(47-29) arctan( |
0 |
d |
t |
d |
arctant |
ですから、arctan
は奇関数です。ゆえに
(47-30) |
lim t ® -¥ |
arctant |
lim t ® -¥ |
arctan ( |
lim t ® ¥ |
arctant |
2 |
一方、(47-21)
の右辺は正ですから arctan
は単調増加で、従って (47-28),(47-30)
により、開区間 ]
- p/2 , p/2 [
(47-31a) T(t) |
(47-31b) T( |
(47-31c) T(t) |
が成り立ちます。また逆関数の微分の公式 (29-19b)
により T は微分可能で、(47-21)
により
(47-32) T '(t) |
arctan' T(t) |
(t)² |
が成り立ちます。そこで、- p/2 < t < p/2
(47-33a) C(t) |
Ö 1 + (t)² |
{1 + T (t)²}-1/2 |
(47-33b) S(t) |
T(t) |
(t)T(t) |
と置くと、(47-32),(47-33)
と合成関数の微分の公式 (29-18g)
により
(47-34a) C'(t) |
2 |
{ |
(47-34b) S'(t) |
また (47-31b),(47-33)
により
(47-35a) S( |
(47-35b) C( |
となるので、S , C の組は、(47-18)
の sin
, cos
と同じ常微分方程式を満たします。ゆえに常微分方程式の解の一意性により
(47-36a) S(t) |
(47-36b) C(t) |
が成り立ちます。ゆえに (47-31),(47-33)
により
(47-37a) sin t |
(47-37b) sin t |
(47-37c) cos t |
が成り立つことがわかります。また (47-33b),(47-36)
により
(47-38) T(t) |
S(t) |
sin tt |
tan t ( |
となります。従って特に、開区間 ]
- p/2 , p/2 [tan
の定義域に含まれ、arctan
は、tan
を開区間 ]
- p/2 , p/2 [
さて、(47-37)
により、
(47-39a) tan t |
(47-39b) tan |
(47-39c) tan t |
また (47-28),(46-29)
と、tan
が arctan
の逆関数であることにより
(47-40a) |
lim t ュ p/2 |
tant |
(47-40b) |
lim t ¯ - p/2 |
tant |
ゆえにこれと (47-33),(47-36),(47-38),(47-31c)
と、sin
, cos
の連続性により、
(47-41a) cos |
2 |
lim t ュ p/2 |
cost |
lim T ® ¥ |
Ö 1 + ² |
(47-41b) sin |
2 |
lim t ュ p/2 |
sint |
lim T ® ¥ |
T ² |
lim T ® ¥ |
Ö1/T ²+ 1 |
このことから、Banach
環 X の元 x に対して、(47-6a),(47-6b)
と (47-41)
により
(47-42a) sin |
æ è |
x |
2 |
ö ø |
sin x cos |
2 |
cos x sin |
2 |
cosx |
(47-42b) cos |
æ è |
x |
2 |
ö ø |
cos x cos |
2 |
sin x sin |
2 |
sinx |
が得られます。ただし (
p/2)1p/2
(47-43a) sin |
æ è |
x |
n 2 |
ö ø |
ì í î |
(x |
( n |
||
(x |
( n |
(47-43b) cos |
æ è |
x |
n 2 |
ö ø |
ì í î |
(x |
( n |
||
(x |
( n |
が成り立ちます。更に、x を - x- n- k(47-43)
は n が任意の整数でも成り立ちます。
また、これらの一方の逆元を他方に乗じることにより
(47-44a) tan |
æ è |
x |
n 2 |
ö ø |
ì í î |
tanx |
( n |
||
cotx |
( n |
(47-44b) cot |
æ è |
x |
n 2 |
ö ø |
ì í î |
cotx |
( n |
||
tanx |
( n |
が成り立ちます。
さて、再び実変数の場合に戻り、sin
の定義域を ]
- p/2, p/2 [(47-18a)
と (47-37c)
により単調増加で ]
- 1, 1 []
- 1, 1 [arcsin
これを微分すると、逆関数の微分の公式 (29-19b)
と (47-18a),(47-5a),(47-37c)
により
(47-45) |
dt |
arcsint |
sin' arcsint |
cos arcsint |
Ö1 - sin² arcsint |
Ö1 - ² |
が成り立ちます。arcsin
0 = 00 から t まで積分して
(47-46) arcsint |
t |
d |
( | t | |
という表示式が得られ、特に
(47-47) |
2 |
lim x ュ 1 |
arcsinx |
0 |
d |
となります。
なお、(47-43a),(47-44a)
で = 1- tcos t
= sin(p/2 - t)cot t
= tan(p/2 - t)cos
と cot
は共に ]
0, p [arccos
, arccot
と書きます。
(47-48a) s |
æ è |
2 |
ö ø |
2 |
arcsint |
(47-48b) s |
æ è |
2 |
ö ø |
2 |
arctant |
ですから
(47-49a) arccost |
2 |
arcsint |
(47-49b) arccott |
2 |
arctant |
が成り立ちます。
さて、一般にBanach
環 X あるいはその部分集合で定義された関数 f は、X の元 ¹ 0ÎX(x
+ c) = f(x)0 でない整数倍は周期です。
上記の (47-43)
は R
上の関数 sin
と cos
が周期 2p(47-44)
は R
上の関数 tan
と cot
が周期 p の周期関数であることを示しています。
さて、(47-7a)
の x と (47-37)
の t に /2
(47-50a) sin t |
(47-50b) sin t |
がわかりますすから、これらと sin
が周期 2p を持つことにより、
(47-51a) (t |
となることがわかります。従って
(47-51b) sin tt |
が成り立ちます。
実際、任意の ÎR
- 1 < t/p < l + 1 < t/p/p < n + 1 - 1 < t/p < n + 1
ここで sin
t = 0/p < n - 1 < t/p < n(47-51a)
の仮定が成り立ってしまい、sin
t ¹ 0
ゆえに /p ³ n/p £ n = np
また、(47-43a)
で = - 1sin(t
t- p/2) = - cos
(47-52a) cos t |
(47-52b) cos t |
(47-53a) (t |
(47-53b) cos t |
が得られます。
さて、先ほどとは逆に、c が R
上の関数 sin
の周期なら、(47-6b)
により、任意の実数 t に対して
(47-54) sin tc |
が成り立たなければなりませんから、 = 0 = p/2(47-18c),(47-18d),(47-41)
を用いることにより
(47-55a) sinc |
(47-55b) cosc |
でなければならないことがわかります。
従って (47-55a)
と (47-51b)
により c は p の整数倍であることがわかりますが、(47-43b)
で n に 4n + 20 を代入すると、右辺は - 1(57-54b)
により c は p の奇数倍ではない、すなわち p の偶数倍でなければないことがわかります。
従って、sin
の周期は 2p の整数倍であることがわかりました。また、(47-42a)
により、cos
の周期も 2p の整数倍であることがわかります。
ゆえにこれらの逆数である sec
と csc
の周期も 2p の整数倍であることがわかります。
また、c が tan
又は cot
の周期なら、tan t
= tan(t + c)cot t
= cot(t + c)
(47-56a) sin t cos(t |
となるので、右辺から左辺を引いて sin
の加法定理を用いれば、
(47-56b)c |
となるので、(47-51b)
により、c は p の整数倍でなければならない、すなわち tan
及び cot
の周期は p の整数倍であることがわかりました。
さて次に、
(47-57) x² |
を満たす任意の実数の組 x , y に対し、
(47-58a) xt |
(47-58b) yt |
を満たす実数 t が 2p
まず (47-57)
により ¹ 0 ¹ 0
前者の場合、- 1 < y < 1 > 0 :º arcsin
y(47-58b)
が成り立ち、²
t= 1 - y² = 1 - sin² t = cos² -p/2 < t < p/2cos
t > 0(47-58a)
も得られます。
また < 0 :º p - arcsin
y = sin(
tp - t) = sin (47-58b)
が得られ、従って同様に ²
t= cos² p/2 < t < 3p/2cos
t < 0(47-58a)
が得られます。
後者の場合、- 1 < x < 1 > 0 :º arccos
x(47-58a)
が成り立ち、²
t= 1 - x² = 1 - cos² t = sin² 0 < t < psin
t > 0(47-58b)
も得られます。
また < 0 :º - arccos
x = cos(
t- t) = cos (47-58a)
が得られ、従って同様に ²
t= sin² - p < t < 0sin
t < 0(47-58b)
が得られます。
また、s も t と同じく (47-58)
を満たすとすれば、sin
と cos
の加法定理により
(47-59a) sin(st |
(47-59b) cos(s |
(47-55)を満たし、従って
以上の結果の応用例として、少なくとも一方が 0 と異なる実数 a , b が与えられたとき、 :º a / ________
Öa²
+ b²
:º b / ________
Öa²
+ b²
(47-57)
を満たすので、(47-58)
を満たす t が存在します。よって
(47-60) |
と書けることがわかります。
次に X が複素数体 C
である場合を考察します。まず、(47-2)
で :º R
CX
= C
(47-61) ei |
が得られます。これをEuler
の公式といいます。特に q = p
(47-62) ei |
さて、 = x ± i y
ÎC(46-10),(47-61),(46-51a)~(46-51d),(47-6a),(47-6b),(47-1a),(47-1b)
により
(47-63a) ez |
(47-63b) sinh zy |
(47-63c) cosh zy |
(47-63d) sin zy |
(47-63e) cos zy |
となります。また (46-59),(46-49a),(47-5a)
により
(47-64a) | ez |x |
(47-64b) | sinh z |²y |
(47-64c) | cosh z |²y |
(47-64d) | sin z |²y |
(47-64e) | cos z |²y |
が成り立ちます。また (47-63a)
から
(47-65) ez |
が成り立つことがわかります。
実際、右辺から左辺は、(46-20b),(47-18)
と 2npsin
と cos
の周期であることから明らかです。
逆に左辺を仮定すると、| ez |
= 1(46-61)
により = 0e
x = 1(47-63a)
により cos
y = 1sin
y = 0 = 0(47-58)
の下の注意により、一般の y は、ある整数 n により = 2np(47-65)
の右辺が得られます。
最後に指数関数、双曲線関数、三角関数を複素数体 C
上で考えた場合の周期について考察しましょう。a を複素数体 C
における exp
の周期とすれば、(46-10)
により
(47-66) ez |
となりますが、e
ze
a = 1(47-65)
により指数関数 exp
の周期 a は 2pi
一般に、exp
が複素数 a の整数倍を周期に持てば、z の関数 e
-za の整数倍を周期に持ち、従ってそれらの和、差も同様なので、特に sinh
, cosh
も a の整数倍を周期に持ちます。
逆に sinh
が b の整数倍を周期に持てば、sin
は bi
sin(z
+ p/2)cos
も bi
cosh
は b の整数倍を周期に持ちます。cosh
と sinh
の役割を入れ替えても同様です。
従って sinh
が b の整数倍を周期に持つことと cosh
が b の整数倍を周期に持つことは同値であり、従ってこのとき、それらの和である exp
も b の整数倍を周期に持ちます。
以上により、複素数体においては、sinh
と cosh
の周期も exp
と同様に 2pi
sin
と cos
の周期は共に 2p
また、(47-56)
は複素変数についても成り立ちますから、tan
と cot
の周期 a は sin
a = 0(47-1a)
により ei
a = e-iae
2i
a = 1(47-65)
により a は p の整数倍であることがわかります。
以上により、tan
と cot
の周期は p の整数倍であり、従って tanh
と coth
の周期は共に pi