古典力学


0.運動方程式

 本稿では、古典力学について解説します。古典力学(Newton力学ともいう)というのは、相対論とか量子論の効果が現れない場合の理論であり、これらの理論におけるある定数を極限にもっていった場合(相対論では光速を ¥ にした場合、量子論ではプランク定数を 0 にした場合)の近似理論でもあります。

 さて、古典力学では、時間とよばれる実数をパラメターとし、空間とよばれる3次元ユークリッド空間に値を持つ質点運動について考察します。

 質点とは、3次元ユークリッド空間に値を持つ時間 t の関数 s = s(t) のことです。この関数を t について微分したもののことを、その質点の速度と呼んで、v = v(t) と表します:

(V)  v º v(t) = ·
s(t)
º
 
ds
—–
d
t

 ただし、文字の上のドットは時間微分を表します。また、速度の時間微分を加速度といいます。

 さて、質点 s に及ぼされると呼ばれる(一般には時間に依存する)3次元ベクトル F が与えられているものとします。このとき、質点の加速度が、その質点に及ぼされる力に比例するという式:

(D)  F = m dv
—–
d
t

を仮定して、これをNewtonの運動方程式といいます。この式に出てくる比例定数 m を、その質点の質量といいます。

 さて、複数の質点を考えるときに、というものに対して2つの理論があります。
 その一つは、各質点 si が他の質点 sj から力 Fij を受け、質点 si が受ける力 FiFijj について足しあげたものであり、Fij の間には、作用・反作用の法則

(N1)  Fij = - Fji

(N2)  Fij  //  si - si

が成り立っている、と考える遠隔作用論です。
 もう一つは、各質点 sj が時間と空間のベクトル値関数である力の場 Ej = Ej(t, s) というものを生み、各質点 si が受ける力は、それぞれの質点が作る場から受ける力:

(F)  Fij = qiEj(t, si)

j について足しあげたものである(ただし qi は力を受ける質点ごとに定まった定数)、と考える近接作用論です。

 現代の物理学では、ミクロなスケールでの力はすべて、電磁力、弱い力、強い力、重力の4種類の力の組み合わせで表現できると考えられており、これら4つの力はいずれも近接作用論によって記述されています。
 しかしながら、例えば電磁力の場合、場が定常な場合には、力は遠隔作用論で記述できる(「電磁気学」第4節参照 )ので、遠隔作用論も、近似理論として十分価値のあるものです。そこで、次節からは、この遠隔作用論も考慮した議論を展開することにします。

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