前節で出てきた慣性テンソル I は時間と共に変化します。そこで、これを時間によらないテンソルで表すことを考えます。(4-27)
と (4-38)
により、
(5-1)I { |As'i o|²As'i o)(As'i o) } { |s'i o|² o(s'i o)A } { |s'i o|²AA o(s'i o)A } |
ゆえに
(5-2) I |
ただし
(5-3) Io |
は時刻 t = 0 における慣性テンソルで、t に依存しません。o
(5-4) Io |
æ ç ç è |
I 0 0 |
I2 0 |
0 I3 |
ö ÷ ÷ ø |
D |
と対角化できます。Ii ( i
=1,2,3 )o
( i
=1,2,3 )
(5-5) AD |
で定義すると、
(5-6) (IeD |
æ ç ç è |
I 0 0 |
I2 0 |
0 I3 |
ö ÷ ÷ ø |
(e |
æ ç ç è |
I 0 0 |
I2 0 |
0 I3 |
ö ÷ ÷ ø |
(I |
となるので、ei は固有値 Ii に対する長さ 1 の固有ベクトルです。これら
(5-7) ω'ω |
(5-8) ω"ω' |
と置けば、(5-4),(5-2),(4-41)
により
(5-9) ω" |
æ ç ç è |
I 0 0 |
I2 0 |
0 I3 |
ö ÷ ÷ ø |
ω"D |
æ ç ç è |
I 0 0 |
I2 0 |
0 I3 |
ö ÷ ÷ ø |
Dω'Iω |
となりますが、(4-40)
により > 0
(5-10)Ii |
すなわち慣性モーメントは正であることがわかります。また、ω が慣性主軸の方向を向いていれば、ある i に対して
(5-11)ω |
と書けるので、これを (4-39)
に代入して (5-6)
を使えば
(5-12)L' |
となって、s を中心にした角運動量と角速度の方向は一致します。
さてここで、外力 Fi が存在しない場合を考えてみましょう。まず (1-9)
により p は一定、従って (3-30)
により Kg
も一定です。一方、(4-46)
で = 0(3-32)
により K' も一定です。ところで、(5-10)
により、
(5-13) ξ Ioξ |
を満たす ξ の全体は一つの楕円体を構成します。これを慣性楕円体といいます。(5-7)
により、ω' は剛体に固定した座標から見た角速度ですが、(5-9)
は /Ö2K
また、(3-24),(3-28)
により L' は一定、したがって、(4-39)
により
(5-14) Iω |
これと ω の内積をとれば、(5-9)
により
(5-15) L' · ω |
となりますが、ξ の方程式:
(5-16) L' ·ξ |
は t に依存しない平面の方程式ですから、角速度 ω はこの平面上を動くこともわかります。また、(5-14)
は、(5-2),(5-7)
により
(5-17) AIoω' |
と書けるので、両辺にそれぞれの転置行列を左から乗じると、A が直交行列であることと Io
が対称行列であることにより、
(5-18) ω' (Io)²ω' |
となって、(5-9) とは別の楕円体の式が得られます。すなわち、ω' は、(5-9),(5-18) という2つの楕円体の交線上を動くことがわかります。
次に、剛体が特別な形(質量分布)をしている場合について、慣性モーメントを計算してみましょう。(5-3)
は、質量密度が r の連続的な分布をしている場合には、積分によって
(5-19) Io |
(|s|² |
と表わせます。ここで r が z-
軸に対して回転対称、すなわち積分の変数を円筒座標 (r,
q, z)
(5-20a) x |
(5-20b) y |
(5-20c)z |
で表わしたとき、r が q に依存しない場合を考えます。
(5-21) |s|² |
が成り立ちますから、
(5-22) |s|² |
æ ç ç è |
|s|² - |
|s|² |
- |s|² |
ö ÷ ÷ ø |
æ ç ç è |
r²sin² |
²sin |
cos |
ö ÷ ÷ ø |
よって (5-19)
は、
(5-23) Io |
dz -¥ |
(r, z)rdr 0 |
0 |
æ ç ç è |
r²sin² |
²sin |
cos |
ö ÷ ÷ ø |
d |
dz -¥ |
ò | 0 |
æ ç ç è |
r² 0 |
r ² |
0 2 ² |
ö ÷ ÷ ø |
(r, z)rdr |
従って z-
軸は慣性主軸の一つであり、これを3番目の座標に持つ直交座標の座標軸はすべて慣性主軸です。このときの慣性モーメントについては
(5-24)I |
が成り立ち、1 = I23 の値は、z-
軸を3番目の座標に持つ任意の直交座標について、それぞれ共通です。
なお、sin(
q + p/2) = cos qcos(
q + p/2) = - sin qr が q に依存する場合でも、q に関して周期 p/2
さて、(5-24)
が成り立つとき、ω' を z-
軸に平行な成分 w'//
z-
軸方向の単位ベクトル ) と垂直な成分 ^
(5-25) ω'z |
と分解すれば、(5-24)
により
(5-26) Ioω'z |
が成り立ちます。