微分多様体


18.de Rhamの定理

 n次元多様体 M 上のp形式 w の全体を Ωp(M ) と書いて、外微分 d : Ωp(M ) ® Ωp+1(M ) に対して次のような図式:

(18-1)  0 ® Ω0(M ) d
®
Ω¹(M ) d
®
Ω²(M ) d
®
¼ d
®
Ωn(M ) d
®
0

を考えると、dd = 0 ですから矢印を2個繋ぐと零射になります。そこで、

(18-2a)  Zq(Ω(M )) = Ker { d : Ωq(M ) ® Ωq+1(M ) }

(18-2b)  Bq(Ω(M )) = Im { d : Ωq-1(M ) ® Ωq(M ) }

と置くと、Bq(Ω(M )) Ì Zq(Ω(M )) となるので、

(18-3)  Hq(Ω(M )) = Zq(Ω(M ))/Bq(Ω(M ))

というアーベル群を考えることができます。Hq(Ω(M )) を、Mde Rhamコホモロジー群とよびます。
 第16節で考察したPoincaréの補題、すなわち dw = 0 なら w = dh と書ける、という主張が M でも成り立つためには、このde Rhamコホモロジーが消える、すなわち Hq(Ω(M )) = 0 となることが必要十分ですが、以下で示すように、この問題が被覆のコホモロジーを計算することに帰着されるのです。これをde Rhamの定理といいますが、本節ではこの定理について解説します。

 さて、O = { Oi | iÎI }M の標準被覆で、p ³ 0 とします。各 uÎI p+1 に対し、

(18-4)  wu = 0       ( Ou = Æ 又は u の成分の中に同じ添字があるとき )

(18-5)  wsu = (-)swu       ( u の成分はすべて異なり、su の成分に対する置換で、(-)s はその符号 )

であるような wuÎΩq(Ou) を対応させる写像 w の全体を C pq(O)) と書くことにします。

 次に、C pq(O)) に対して dpC pq+1(O)) を、

(18-6)  (dpw)u = d(wu)

で定義します。ただし右辺の d は多様体 Ouq形式に対する外微分です。
 また、dp : C p(O) ® C p0(O)) を、各 cÎC p(O) に、uÎI p+1 に対して Ou 上で一定値 cu をとる0形式 wu を対応させる写像とします。このとき

(18-7)  dpdp = 0

が成り立ちます。
 更に、q ³ 1 のとき、C pq(O)) に対して IpC pq-1(O)) を、

(18-8a)  (Ipw)u = I(wu)

で定義します。ただし右辺の I は、Rn の凸領域と微分同型な Ou において (16-8) で定義される演算子です。
 また、Ou ¹ Æ であるような各 uÎI p+1 に対し、suÎOu を任意に選んで固定しておき、C p0(O)) に対し、IpC p(O)

(18-8b)  (Ipw)u = wu(su)

で定義します。第16節 (16-17a) により、C p0(O)) ならば

(18-9)  (w - Ipdpw)u = wu - Id(wu) = wu(su) = Ipwu = (dpIpw)u

であることと、(16-17b),(16-17c) により

(18-10)  w = Ipdpw + dpIpw       ( C pq(O)) )

が得られます。また、

(18-11)  c = Ipdpc       ( cÎC p(O) )

が成り立ちます。

 次に、C pq(O)) に対する dqC p+1q(O))

(18-12)  (dqw)u = p+1
å
r=0
(-1)rwu[r]

で定義し、dq : Ωq(M ) ® C 0q(O)) を、Ωq(M ) に対し、“各 iÎIwOi への制限 wi を対応させる写像”を対応させる写像とします。このとき、(17-4) と同様にして

(18-13)  dqdq = 0

が成り立つことがわかります。
 更に、p ³ 1 のとき、mq : C pq(O)) ® C p-1q(O)) を、
(18-14a)  ( mqw)u =  
å
iÎI
ciwi,u 

で、また mq : C 0q(O)) ® Ωq(M ) を、
(18-14b)  mqw =  
å
iÎI
ciwi 

でそれぞれ定義します。ただし右辺に出てくる ci は、O に乗った1の分解、すなわち
(18-15a)   
å
iÎI
ci = 1

(18-15b)  supp ci Ì Oi

を満たす滑らかな M 上の関数です。このような ci の存在は次のようにして証明できます。M のパラコンパクト性と前節補題1により、O より細かい相対コンパクト集合からなる局所有限開被覆 { Ul | Λ }Vl ÌÌ Ul であるような開被覆 { Vl | Λ } が存在します。第11節 (11-12) により、各 l に対して

(18-16a)  jl > 0     on  Vl

(18-16b)  supp jl Ì Ul

であるような関数 jl が存在します。各 Λ に対し、Ul Ì Oi となる iÎI が存在しますから、その一つを選んで i(l) と書くことにし、
(18-17)  yj =  
å

i(l)=j
jl 

と置けば、右辺は台が局所有限な開被覆に含まれる関数の和ですから局所的に有限和、従って滑らかで、かつ各々の台 Fl Oi に含まれる閉集合ですから、これらが局所有限であることから、その合併 F は閉集合、従って左辺の台は F に含まれ、これは Oi に含まれます。ここでさらに O が局所有限であることを用いると、
(18-18)  y =  
å
iÎI
yi 

は局所的に有限和なので M 上の滑らかな関数となり、かつ M 上至る所 y > 0 です。そこで ci = yi/y と置けば (18-15) が満たされることがわかります。
 さて、(18-14) の右辺の å 内の各項は、wi,uwi の定義域外で 0 と置くことにより、(18-15b) により OuM 全体で滑らかな関数になりますが、さらに各点の十分小さい近傍では 0 でない項は有限個になることから、左辺が矛盾なく定義できることがわかります。
 さて、C pq(O)) のとき

(18-19)  ( mqdqw)u =  
å
iÎI
ci(dqw)i,u =  
å
iÎI
p+1
å
r=0
(-1)rciw(i,u)[r] =  
å
iÎI
ciwu +  
å
iÎI
 p
å
r=0
(-1)r+1ciw(i,u)[r+1] = wu -  
å
iÎI
 p
å
r=0
(-1)rciwi,u[r]

 特に p = 0 の場合、

(18-20)  ( mqdqw)j = wj -  
å
iÎI
ciwi = wj - mqw = wj - (dq mqw)j

 また p ³ 1 なら

(18-21)  (dq mqw)u=  p
å
r=0
(-1)r( mqw)u[r] =  p
å
r=0
 
å
iÎI
(-1)rciwi,u[r]

 ゆえに (18-19)~(18-21) により

(18-22)  w = mqdqw + dq mqw       ( C pq(O)) )

が成り立ちます。また、(18-14b),(18-15a) により

(18-23)  w = mqdqw       ( Ωq(M ) )

が成り立つことがわかります。

 また、dpdq について

(18-24a)  dp+1dq = dq+1dp       on  C pq(O))

(18-24b)  d0dq = dq+1d       on  Ωq(O)

(18-24c)  dp+1d = d0dp       on  C p(O)

が成り立つことは明らかです。更に、C pq(O)) 上の恒等作用素を id と書けば、(18-10),(18-13) により

(18-25a)  dqIpdpdq = dq(id - dpIp )dq = dqdq - dqdpIpdq = - dqdpIpdq

 同様に、(18-7),(18-22) により

(18-25b)  dp mqdqdp = dp(id - dq mq )dp = dpdp - dpdq mqdp = - dpdq mqdp

が成り立ちます。

 そこで fp : Ωp(M ) ® C p(O) 及び gp : C p(O) ® Ωp(M )

(18-26a)  fp = Ipd0Ip-1d1¼I1dp-1I0dp

(18-26b)  gp = mpd0 mp-1d1¼m1dp-1m0dp

で定義します。このとき、

(18-27)  fpd = Ipd0Ip-1d1¼I1dp-1I0dpd

= Ipd0Ip-1d1¼I1dp-1I0d0dp-1       ( ∵ (18-24b) )

= - Ipd0Ip-1d1¼I1dp-1d0I0dp-1       ( ∵ (18-25a) )

= - Ipd0Ip-1d1¼I1d1dp-2I0dp-1       ( ∵ (18-24a) )

= Ipd0Ip-1d1¼d1I1dp-2I0dp-1       ( ∵ (18-25a) )

¼

= (-1)p-1Ipd0Ip-1d1dp-2¼I1dp-2I0dp-1

= (-1)p-1Ipd0Ip-1dp-1d0¼I1dp-2I0dp-1       ( ∵ (18-24a) )

= (-1)pIpd0dp-1Ip-1d0¼I1dp-2I0dp-1       ( ∵ (18-25a) )

= (-1)pIpdpdIp-1d0¼I1dp-2I0dp-1       ( ∵ (18-24c) )

= (-1)pdIp-1d0¼I1dp-2I0dp-1       ( ∵ (18-11) )

= (-1)pd fp-1       ( ∵ (18-26a) )

となります。したがって、

(18-28a)   fp(Z p(Ω(M ))) Ì Z p(O)

(18-28b)   fp(B p(Ω(M ))) Ì B p(O)

が成り立つので、fpH p(Ω(M )) から H p(O) への線形写像 fp' を定義します。対称的に、gpH p(O) から H p(Ω(M )) への線形写像 gp' を定義します。このとき fp'gp' が互いに逆写像になっていることを証明しましょう。そのために、p を固定して

(18-29a)  jk = Ipd0Ip-1d1¼Ip-k+1dk-1Ip-kdkmkdp-kmk-1dp-k+1¼m1dp-1m0dp

(18-29b)  yk = Ipd0Ip-1d1¼Ip-k+1dk-1Ip-kdp-kmk-1dp-k+1¼m1dp-1m0dp

と置くと、

(18-30)  jp = fp gp

(18-31)  jk = Ipd0¼Ip-k(id - mkdk)dp-kmk-1dp-k+1¼m1dp-1m0dp       ( ∵ (18-22) )

= yk - Ipd0¼Ip-kmkdkdp-kmk-1dp-k+1¼m1dp-1m0dp

= yk - Ipd0¼Ip-kmkdp-k+1dk-1mk-1dp-k+1¼m1dp-1m0dp       ( ∵ (18-24a) )

= yk + Ipd0¼Ip-kmkdp-k+1mk-1dk-1dp-k+1¼m1dp-1m0dp       ( ∵ (18-25b) )

= yk + Ipd0¼Ip-kmkdp-k+1mk-1dp-k+2dk-2¼m1dp-1m0dp       ( ∵ (18-24a) )

¼

= yk + (-1)k-1Ipd0¼Ip-kmkdp-k+1mk-1dp-k+2¼d1m1dp-1m0dp

= yk + (-1)kIpd0¼Ip-kmkdp-k+1mk-1dp-k+2¼m1d1dp-1m0dp       ( ∵ (18-25b) )

= yk + (-1)kIpd0¼Ip-kmkdp-k+1mk-1dp-k+2¼m1dpd0m0dp       ( ∵ (18-24a) )

= yk + (-1)k+1Ipd0¼Ip-kmkdp-k+1mk-1dp-k+2¼m1dp m0d0dp       ( ∵ (18-25b) )

= yk + (-1)k+1Ipd0¼Ip-kmkdp-k+1mk-1dp-k+2¼m1dp m0dp+1d       ( ∵ (18-24c) )

(18-32)  yk = Ipd0Ip-1d1¼Ip-k+1dk-1(id - dp-kIp-k)mk-1dp-k+1¼m0dp       ( ∵ (18-10) )

= jk-1 - Ipd0Ip-1d1¼Ip-k+1dk-1dp-kIp-kmk-1dp-k+1¼m0dp

= jk-1 - Ipd0Ip-1d1¼Ip-k+1dp-k+1dk-2Ip-kmk-1dp-k+1¼m0dp       ( ∵ (18-24a) )

= jk-1 + Ipd0Ip-1d1¼dp-k+1Ip-k+1dk-2Ip-kmk-1dp-k+1¼m0dp       ( ∵ (18-25a) )

¼

= jk-1 + (-1)k-1Ipd0Ip-1dp-1¼dk-3Ip-k+1dk-2Ip-kmk-1dp-k+1¼m0dp

= jk-1 + (-1)kIpd0dp-1Ip-1¼dk-3Ip-k+1dk-2Ip-kmk-1dp-k+1¼m0dp       ( ∵ (18-25a) )

= jk-1 + (-1)kIpdpdIp-1¼dk-3Ip-k+1dk-2Ip-kmk-1dp-k+1¼m0dp       ( ∵ (18-24c) )

= jk-1 + (-1)kdIp-1¼dk-3Ip-k+1dk-2Ip-kmk-1dp-k+1¼m0dp       ( ∵ (18-11) )

(18-33)  y0 = Ipdp = id       ( ∵ (18-11) )

が成り立ちますから、k に関する p から 0 への下向きの帰納法により、ある j , y が存在して

(18-34)  fp gp = id + jd + dy

と書けることがわかります。これは

(18-35a)  fp' gp' = id

を意味しており、対称的に

(18-35b)  gp' fp' = id

も成り立つので、fp'gp' は互いに逆写像であることがわかりました。以上により、次のde Rhamの定理が証明されました:


 de Rhamの定理1

 n次元パラコンパクト多様体 M の任意の標準被覆 O に対し、H p(Ω(M ))H p(O) は同型である。

 次に、M 上の台がコンパクトな p 形式 w の全体を Ωpo(M ) と書いて、外微分 d : Ωpo(M ) ® Ωp+1o(M ) に対して次のような図式:

(18-36)  0 ¬ Ωno(M ) d
¬ 
Ωn-1o(M ) d
¬ 
Ωn-2o(M ) d
¬ 
¼  d
¬ 
Ω0o(M ) d
¬ 
0 

を考えると、dd = 0 ですから矢印を2個繋ぐと零射になります。そこで、

(18-37a)  Zqo(M )) = Ker{ d : Ωqo(M )®Ωq+1o(M ) }

(18-37b)  Bqo(M )) = Im{ d : Ωq-1o(M )®Ωqo(M ) }

と置くと、Bqo(M )) Ì Zqo(M )) となるので、

(18-38)  Hqo(M )) = Zqo(M ))/Bqo(M ))

という群を考えることができます。これもde Rhamコホモロジーといいます。

 さて、O = { Oi | iÎI }M の標準被覆で、p ³ 0 とします。各 uÎI p+1 に対し、(18-4),(18-5) を満たす wuÎΩqo(Ou) を対応させる写像 w で、有限個の u を除いて wu = 0 となるものの全体を Cpqo(O)) と書くことにします。

 次に、Cpqo(O)) に対して dpCpq+1o(O))(18-6) で定義します。また、dp : Cpno(O)) ® Cp(O) を、各 Cpno(O)) に対し、“ uÎI p+1

(18-39)  cu º ò

Ou
wu 

を対応させる写像”を対応させる写像として定義します。また、Stokesの定理により

(18-40)  (dpdpw)u = ò

Ou
dwu = ò

Ou
wu = 0       ( Cpn-1o(O)) )

ですから、(18-7) が成り立ちます。
 更に、q ³ 1 のとき、Cpqo(O)) に対して JpCpq-1o(O)) を、

(18-41a)  (Jpw)u = J(wu)

で定義します。ただし右辺の J は、Rn の凸領域と微分同型な Ou において (16-25) で定義される演算子です。
 また、Ou ¹ Æ であるような各 uÎI p+1 に対して (16-41c) に用いられている r(x)dx¹ ^ ¼ ^ dxn を使って、cÎCp(O) に対し、JpcÎCpno(O))

(18-41b)  (Jpc)u = cu r(x)dx¹ ^ ¼ ^ dxn

で定義します。第16節 (16-41c) により、Cpno(O)) ならば

(18-42)  (w - dpJpw)u = wu - dJ(wu) = ì
í
î
r(x) ò

Ou
wu  ü
ý
þ
dx¹ ^ ¼ ^ dxn = (Jpdpw)u

ですから、これと (16-41a),(16-41b) により、

(18-43)  w = Jpdpw + dpJpw       ( Cpqo(O)) )

が得られます。また、r(x)dx¹ ^ ¼ ^ dxn の積分は 1 ですから、

(18-44)  c = dpJpc       ( cÎCp(O) )

が成り立ちます。

 次に、Cp+1qo(O)) に対する qCpqo(O))

(18-45)  (qw)u = ( p+2)  
å
iÎI
wi,u 

で定義し、q : C0qo(O)) ® Ωqo(M ) を、

(18-46)  qw =  
å
iÎI
wi 

で定義します。これらの右辺は有限和なので、うまく定義されていることに注意します。このとき (17-10) と同様にして

(18-47)  qq = 0

が成り立つことがわかります。

 更に、(18-14)1 の分解 ci を用いて nq : Cpqo(O)) ® Cp+1qo(O))

(18-48a)  (nqw)u = 1
——
 p+2
p+1
å
r=0
(-1)rcu(r)wu[r]

で、また nq : Ωqo(M ) ® C0qo(O)) を、各 iÎI に対して

(18-48b)  (nqw)i = ciw

で定義します。ただし、(18-48a) の右辺で、u の左から第 r + 1 番目の成分を u(r) と書きました。(18-48b) で、w の台はコンパクトなので、被覆の局所有限性により、左辺が 0 でないような iÎI は高々有限個、したがって nqw はうまく定義されていることがわかります。
 さて、Cpqo(O)) のとき

(18-49)  (qnqw)u = ( p+2)  
å
iÎI
(nqw)i,u =  
å
iÎI
p+1
å
r=0
(-1)rc(i,u)(r)w(i,u)[r] =  
å
iÎI
ciwu +  
å
iÎI
p
å
r=0
(-1)r+1c(i,u)(r+1)w(i,u)[r+1] = wu -  
å
iÎI
p
å
r=0
(-1)rcu(r)wi,u[r]

 また、p ³ 1 のとき

(18-50a)  (nqqw)u = 1
——
 p+1
p
å
r=0
(-1)rcu(r)(qw)u[r] = p
å
r=0
 
å
iÎI
(-1)rcu(r)wi,u[r]

 また、p = 0 のとき

(18-50b)  (nqqw)i = ciqw =  
å
 jÎI
ciwj 

 ゆえに、(18-49)~(18-50) により

(18-51)  w = nqqw + ¶qnqw       ( Cpq(O)) )

が成り立ちます。また、(18-15a),(18-46),(18-48b) により、

(18-52)  w = ¶qnqw       ( Ωqo(M ) )

が成り立つこともわかります。

 また、dp ( p ³ 0 )q ( q £ n ) について

(18-53a)  dpq = ¶q+1dp+1       on  Cp+1qo(O))

(18-53b)  dq = ¶q+1d0       on  C0qo(O))

(18-53c)  dpn = ¶dp+1       on  Cp+1no(O))

が成り立つことは明らかです。したがって、C p(O)Cp(O) に、Ωq(M )Ωn-qo(M ) に、C pq(O))Cpn-qo(O)) に置き換え、 さらに写像については d , d をそれぞれ d , に、dp , dq , Ip , mq はそれぞれ dp , n-q , Jp , nn-q に置き換えた上で矢印の向きを逆にすれば、前半の議論がそのまま使えます。
 すなわち (18-26) と対称的に、Fp : Cp(O) ® Ωn-po(M ) 及び Gp : Ωn-po(M ) ® Cp(O)

(18-54a)  Fp = ¶n-pJ0n-p+1J1¼¶n-1Jp-1nJp

(18-54b)  Gp = dpnndp-1nn-1¼d1nn-p+1d0nn-p

で定義すれば、(18-27) と対称的に

(18-55)  dFp = (-1)pFp-1

が成り立つので、(18-28) と同様に

(18-56a)  Fp(Zp(O)) Ì Z n-po(M ))

(18-56b)  Fp(Bp(O)) Ì B n-po(M ))

が成り立つので、FpHp(O) から H n-po(M )) への線形写像 Fp' を定義し、GpH n-po(M )) から Hp(O) への線形写像 Gp' を定義します。また、(18-34) と対称的に

(18-57)  GpFp = id + ¶Φ + Ψ

となる ΦΨ が存在し、これは

(18-58a)  Gp'Fp' = id

を意味しており、対称的に

(18-58b)  Fp'Gp' = id

も成り立つので、Fp'Gp' は互いに逆写像であることがわかります。以上により、次の結果が証明されました:


 de Rhamの定理2

 n次元パラコンパクト多様体 M の任意の標準被覆 O に対し、H n-po(M ))Hp(O) は同型である。

 次にカレントの空間に対するde Rhamコホモロジー H q' q(M )) 及び H q' qo(M )) を考えます。
 各 uÎI p+1 に対し、(18-4),(18-5) を満たす wuÎΩ' q(Ou) を対応させる写像 w の全体を C p' q(O)) と書くことにします。また、各 uÎI p+1 に対し、(18-4),(18-5) を満たす wuÎΩ' qo(Ou) を対応させる写像 w のうち、有限個の u を除いて wu = 0 となるものの全体を Cp' qo(O)) と書くことにします。

 さて、C p(O)Cp(O) は、それぞれ R の添字集合 Ip = { uÎI p+1 | Ou ¹ Æ かつ u の成分はすべて異なる } に対する直積及び直和と同型ですから、この同一視により線形位相空間になり、かつ互いに他の位相的双対空間になっています。
 同様に、Cpn-qo(O))C p' q(O)) は、それぞれ Õ{ Ωn-qo(Ou) | uÎIp }Õ{ Ω' q(Ou) | uÎIp } に同型ですから、自然な線形位相を入れることができて、後者は前者の位相的双対空間になります。
 また、C pq(O))Cp' n-qo(O)) は、それぞれ Õ{ Ωq(Ou) | uÎIp }Õ{ Ω' n-qo(Ou) | uÎIp } に同型ですから、自然な線形位相を入れることができて、後者は前者の位相的双対空間になります。

 さらに、上記の議論で作った写像はすべてこれらの位相について連続ですから、それらの双対写像を考えることができ、de Rhamの定理1の証明で作った写像の双対はde Rhamの定理2の証明で作った写像と同じ性質を持ち、de Rhamの定理2の証明で作った写像の双対はde Rhamの定理1の証明で作った写像と同じ性質を持ちますから、両定理の双対的な結果として次の結論が得られます。


 de Rhamの定理3

 n次元パラコンパクト多様体 M の任意の標準被覆 O に対し、H p'(M ))H p(O) は同型である。


 de Rhamの定理4

 n次元パラコンパクト多様体 M の任意の標準被覆 O に対し、H n-p'o(M ))Hp(O) は同型である。

 以上4つの定理により、H p(Ω(M )) @ H p'(M )) 及び H po(M )) @ H p'o(M )) が成り立つことや、H p(O)Hp(O) が標準被覆の取り方によらないことがわかります。
 また、O が有限被覆の場合(例えば M がコンパクトな場合など)は、H p(O)Hp(O) は共に有限次元で、かつ互いに双対の関係にあり、次元も等しい(従って、線形空間として同型)ので、H p(Ω(M )) @ H p'(M ))H n-po(M )) @ Hn-p'o(M )) も有限次元で、かつこれらはすべて線形空間として同型であることがわかります。これをPoincaréの双対定理とよぶことがあります。

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