電磁気学


0.Lorentz力とMaxwell方程式

 現代の物理学では、すべての力は4種類の力のいずれかであると考えられており、その中でも原子を繋ぎとめてマクロな物質を構成するなどで最も身近な力となっているのが電磁気力です。
 電磁気力は、電荷とよばれるものを持った粒子(荷電粒子)に働くもので、空間的に広がりを持った荷電粒子 i電荷密度 ri と速度の場 vi を持つとき、電場(電界の強さ)とよばれるベクトル場 E磁束密度とよばれるベクトル場 B から、単位体積当たり

(Li)  fi = ri(E + vi ´ B)

という力を受けます。この式で表される力をLorentzといい、EB を併せて電磁場といいます。電荷については電荷の保存則

(Ci)  div Ji + ¶ri
—–
t 
= 0        (  Ji = ri vi  )

が成り立ちます。Ji = ri vi を荷電粒子 i に対する電流密度といいます(div や以下に出てくる rot , grad 等については「微分多様体」第27節 (27-25)(27-27) を参照)。また、

(R)  r = åi ri 

(J)  J = åi Ji 

(F)   f = åi  fi 

と置けば、(Li)(Ci) により、

(L)   f = rE + J ´ B

および全電荷に対する連続の式:

(C)  div J + ¶r
—–
 ¶
t
= 0

が得られます。また、電磁場は、真空中のMaxwell方程式とよばれる4つの方程式:

(M1)  rot H - D
—–
t
= J

(M2)  div D = r

(M3)  rot E + B
—–
t
= 0

(M4)  div B = 0

を満たします。ただし HD は、それぞれ磁場(磁界の強さ)及び電束密度とよばれるベクトル場で、EB との間には、真空の誘電率及び真空の透磁率とよばれる定数 eomo により、

(D)  D = eoE

(H)  H = B 
—–
mo

という比例関係があります。なお、関係式 (C) は、(M1)div(M2) の時間微分をとっても導かれます。

 さて、上に挙げた電磁場の量は、例えば電荷密度の単位となる量を変えることによって、同一の電荷密度を表す r の数値は変化します。その変化率を a とすると、(C)(M1) により J , D , H を表す数値も a 倍され、従って (L) により(その左辺は力学的量ゆえ不変なので)、E , B を表す数値は逆に 1 / a 倍されます。
 従って、(D)(H) により、eo の数値は a² 倍、mo の数値は 1 / a² 倍されますから、それらの積 eo mo は不変、言い換えると電磁的量の単位の取り方に依存しない定数です。この定数をしばしば 1 / c² と書きます。
 一般に、物理量 X の単位を [ X ] と書き、長さの単位を [ L ] 、時間の単位を [ T ] と書くと、(M1) により [ H ] / [ L ] = [ D ] / [ T ] で、(M3) により [ E ] / [ L ] = [ B ] / [ T ] ですから、[ eo mo ] = ( [ D ] / [ E ] )( [ B ] / [ H ] ) = ( [ D ] / [ H ] )( [ B ] / [ E ] ) = ( [ T ] / [ L ] )² となるので、定数 c速度の次元を持つことがわかります。

 以上を出発点にして、次節から様々な電磁現象を解析的に導いていくことにします。

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