電磁気学


14.静電磁界のMaxwell方程式と導体

 定常な電磁場を静電磁界といいます。本節から第23節までは、定常状態の Maxwellの方程式:

(14-1a)  div D = r

(14-1b)  rot E = 0

(14-2a)  div B = 0

(14-2b)  rot H = J

を考えることにします。(14-2b) の発散を取ると、

(14-3)  div J = 0

が得られます。また静電磁界の電磁ポテンシャルは

(14-4a)  E = - grad j

(14-4b)  B = rot A

となり、実電荷と実電流に働く Lorentzf は、

(14-5)  f = f e + f m

 ただし、

(14-6a)  f e = rE

(14-6b)  f m = J ´ B

です。さらに、DEBH の間に対称テンソル εμ による線形の関係:

(14-7a)  D = ε · E

(14-7b)  B = μ · H

があれば、これらは静電界の方程式群 (14-1a),(14-1b),(14-4a),(14-6a),(14-7a) および静磁界の方程式群 (14-2a),(14-2b),(14-3),(14-4b),(14-6b),(14-7b) に分けて考察することができます。
 そこで前者を第15〜17節で、後者を第18〜20節で扱うことにします。

 次は導体の定義です。まず、第11節で考えたOhmの法則

(14-8)  J = σ · E

が成り立っているものとします。ただし、第11節では σ は非負のスカラーでしたが、もう少し一般化して非負定符号の対称行列であるとします。また、σ-1 ® 0 の極限を σ = + ¥ で表すことにします。
 Ohmの法則の導出において、荷電粒子に対する抵抗、すなわち (11-7)ki が小さい、すなわち s が大きいほど電流は流れやすいということになりますから、

(14-9a)  σ = 0 である領域を絶縁体

(14-9b)  σ > 0 である領域を導体

(14-9c)  σ = + ¥ である領域を完全導体

と呼ぶことにします。さて、台がコンパクトな J に対し、全空間で J · E を積分すると、(14-4a)(14-3) により、

(14-10)  ò J · E dV = - ò J · grad j dV = ò j div J dV = 0

 ただし2番目の等号で部分積分を行いました。(14-10) の左辺に (14-8) を代入すれば、

(14-11)  ò E · σ · E dV = 0

 したがって、静電磁界では、導体内では

(14-12)  E = 0

が成り立っていることがわかります。一方 (14-8) を逆に解けば

(14-13)  E = σ-1 · J

ですから、今度は (14-10)(14-13) を代入すれば、

(14-14)  ò J · σ-1 · J dV =  0

 従って、σ < + ¥ すなわち σ-1 > 0 なら J = 0 ですから、電流が流れているのは完全導体の中だけであることがわかります。
 一方、完全導体内では (14-13) により、場が定常でなくても (14-12) が成り立つので、一般の場合のMaxwell方程式 (M3) により、

(14-15)  B
—–
t
= - rot E = 0

 すなわち B は時間によらず一定ということになります。これは、B の初期値が 0 ならずっと 0 のままであるということを意味しています。従って

(14-16)  B = 0

が成り立っていると仮定してよいことがわかります。
 以上の議論では、Ohmの法則を利用しているものの、結論はシンプルな形をしています。そこで今後は、静電界や静磁界においては、Ohmの法則や σ を持ち出さなくても、

(14-17a)  E = 0 が成り立っている領域を導体

(14-17b)  B = 0 が成り立っている領域を完全導体

と呼ぶことにします。

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