Lorentz-Lorenzの公式
本節では、物質中の誘電率が対称なテンソル ε になるメカニズムを解説します。
誘電体は空間的に一様な双極子の分布によってできているものとします。各双極子の存在する場所に、その当該双極子以外の影響によって作られるミクロな電場を実効電場と呼んで E' と書きます。この実効電場によって、当該双極子に分極が生じます。
まず、双極子 p と実効電場 E' の関係を求めてみましょう。
双極子は、固定された +q の点電荷と、電界と束縛力によって動く -q の電荷からなるものとし、-q の電荷に対する束縛力は、その重心が +q の電荷の位置にあるときに最小値 0 をとるポテンシャル・エネルギー U を持つものとします。+q の電荷の位置を原点に取った -q の電荷の重心の位置座標を xi とし、その2次の項まで取れば、
(28-1)U |
2 |
Kijxixj |
ただし = (Kij)
-q の重心 s の運動方程式は、
(28-2)m |
d²s |
ただし m は -q の電荷の質量です。実効電場に = Eo'e
-iw t = aE' = aEo'e
-iw t(28-2)
に代入すれば、
(28-3)a |
すなわち
(28-4) a |
特に K がスカラー K なら、= mwo²
(28-5)a |
K ² |
m ( |
と書かれます。さて、
(28-6) α |
と置けば、双極子モーメント p は、(1-17)
により、
(28-7)p αE' |
あるいは
(28-8) p |
(28-9) po |
となります。ゆえに単位体積当りの双極子の個数を N とすれば、分極ベクトル P と実効電場 E' の間には
(28-10) PE' |
の関係があることがわかります。
次に実効電場 E' とマクロな電場 E の関係について調べてみましょう。
E' から外部電場 (e)
- E (e)
(27-10)
を適用することにより、
(28-11) E' |
ただし (27-16)
により
(28-12) Πe(p) |
[pi]ri |
(28-13) pi |
(28-14) [pi] |
です。なお、考えている点に位置する双極子は除いて考えているので、その位置に分極は無く、(28-11)
の右辺には (27-10)
の P に該当する項はありません。また (28-12)
の右辺の和においても、考えている点における双極子は除外します。(28-12)
を (28-11)
に代入して、和を積分に置きかえると、
(28-15) E' |
rot rot |
[P' ]r |
dV' |
|
rot rot |
[P' ]r |
dV' |
ただし、左辺の場の空間変数を s とし、
(28-17) r |
(28-18) [P'] |
とおき、dV'
の肩符は、s' に関する積分であることを表わし、rot
は s による微分演算子を表わします。
一方、マクロな電場 E から外部電場 E (e)
を差し引いた - E (e)
(27-10),(27-16)
により、
(28-18) E |
P |
(28-19) Πe |
[P' ]r |
dV' |
と書かれます。(28-19)
を (28-18)
に代入すると、
(28-20) E |
[P' ]r |
dV' |
P |
となります。さてここで、次の公式:
(28-21) rot rot |
[P' ] r |
dV' |
|
rot rot |
[P' ] r |
dV' |
3 |
を証明しておきましょう。r の関数 1/r を、 < h1/rh
(28-22) rot rot |
[P' ] r |
dV' |
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(28-23) rot rot |
[P' ] r |
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ただし微分演算子の肩符は、変数 s' に対する微分であることを意味します。また P の空間変数は s です。よって、これを領域 < h
(28-24) |
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rot rot |
[P' ] r |
dV' |
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ただし n は球面 = h = s' - s(28-22)
と (28-24)
を合わせれば (28-21)
が得られます。
さて、(28-20)
から (28-15)
を辺々引いて (28-21)
を用いれば、
(28-25)E |
4pe o |
3 |
P |
P |
E' に (28-10)
を代入すれば、
(28-26)E |
P |
æ è |
α N |
3e o |
ö ø |
P |
ゆえに、
(28-27) DE |
ただし
(28-28) ε |
æ è |
α N |
3e o |
ö ø |
o1 + 3e oNα(3e o1 - N α)-1 = e o(3e o1 + 2N α)(3e o1 - N α)-1 |
です。右辺の形から明らかなように、ε は対称行列です。
なお、ポテンシャル・エネルギー U が空間的に等方的ならば、K が、したがって a がスカラーなので、(28-28)
により e もスカラーになります。
さて、ε から Nα
を逆に解けば、
(28-29) |
α N |
3e o |
(ε- e o1 )-1 = |
(ε |
すなわち
(28-30) Nα |
となります。(28-28)
又は (28-30)
をClausius-Mossotti
の式といいます。
特に誘電率がスカラー e である場合を考えると、光速度 c は
(28-31)c |
Öme |
で、m = mo
(28-32) co |
Öme o |
ですから、その比を屈折率とよんで
(28-33)n |
co c |
e o |
と書けば、(28-30)
は
(28-34) N |
n² n ²+ 2 |
と表わせます。これをLorentz-Lorenz
の公式といいます。この場合、(28-28)
は
(28-35) |
o+ 2Na 3e o- Na |
o+ |
oNa 3e o- Na |
o² 3e o- Na |
o |
となりますから、0 < a < 3eNo
/e > eo
e は(従って n も)a の増加関数です。
一方 (28-5),(28-6)
により
(28-36) |
q² |
ですから、w < wo
a > 0a は w の増加関数です。
従って、e がスカラーであるような誘電体では、a や e が発散しない範囲では常に e > eo
> 1w が増加するほど e と n も大きくなることがわかります。