本節では、反射と屈折の問題を扱います。
二つの領域 Ω+ と Ω- が面 S を境にして接しているものとし、±e± 、透磁率はそれぞれ m± でそれぞれ定数であり、S 上には面電荷も面電流もないものとします。+i
,Hi
と反射波 Er
,Hr
が、-t
,Ht
が存在するものとして、それぞれの関係を調べてみましょう。
(32-1)E |
í î |
Ei |
(32-2i) Ei |
(32-2r) Er |
(32-2t) Et |
(32-3i) Di |
(32-3r) Dr |
(32-3t) Dt |
(32-4)H |
í î |
Hi |
(32-5i) Hi |
(32-5r) Hr |
(32-5t) Ht |
(32-6i) Bi |
(32-6r) Br |
(32-6t) Bt |
S には面電荷も面電流もないという仮定とMaxwell
方程式により、rot
Erot
Hdiv
Ddiv
B(26-5),(26-10)
により、
(32-7e) nS |
(32-7h) nS |
(32-7d) n · DiS |
(32-7b) n · BiS |
ただし n は波の進行方向側を向いた S の法線です。入射波が 0 でなければ、これら (32-7)
に出てくるすべての項が 0 となることはないので、Ei
等のうちのいずれかのある方向成分を Zi
等と書けば、(Zi , Zr , Zt )
¹ 0
(32-8) ZiS |
が成り立ちますが、(32-2),(32-3),(32-5),(32-6)
により、Zi
= Zioeiwi (fi - t )
(32-9) ZioeiS |
となります。さて、wi
, wr
, wt
の中で最小のものを w と書き、hi
= wi
/whr
= wr
/wht
= wt
/w(32-9)
の両辺を t で微分して - i
wwi
等に比べて ¶Ztio
/¶
(32-10)S |
再度両辺を t で微分して - i
w
(32-11)S |
ゆえに (32-9)
〜(32-11)
と (Zi , Zr , Zt )
¹ 0on
S により、
(32-12) |
ç ç è |
h i h i² |
h r h r² |
h t h t² |
÷ ÷ ø |
( |
ゆえに hi
, hr
, ht
のいずれか2つが等しいことがわかるので、例えば hi
= hr
まず、(32-7)
の右辺がすべて 0 の場合は、屈折波が存在しないので、ht
= hi
= hr
また、(32-7)
の右辺の中に 0 でないものがある場合は、それを Yt
とすれば、
(32-13) YioeiS |
これの両辺を t で微分して - i
w
(32-14)S |
となるので、(32-13),(32-14)
と t
¹ 0on
S 、従って特に (Yi
+ Yr , Yt ) ¹ 0on
S により、
(32-15) |
è |
h i |
h t |
ø |
t |
となって、いずれにせよ hi
= hr
= ht
(32-16) |
となることがわかります。つまり入射波、反射波、屈折波の周波数はすべて一致していることがわかりました。次に (32-9)
の両辺に ei
を乗じれば、
wt
(32-17) ZioeiS |
この両辺を S に含まれる任意の曲線に沿って微分すれば、光学近似により、
(32-18)S |
再度微分すると、光学近似により、
(32-19)S |
ゆえに、先程と同様にして
(32-20)S |
であることがわかります。S 上の曲線の選び方は任意でしたから、ある定数 a , b により、S 上で
(32-21)S |
と書けます。ここに現れる定数は、因子 e
を Z-iawro
の方に、因子 e
を Z-ibwto
の方に含めてしまうことにより、a = b = 0
(32-22)S |
ここで第26節で得られた境界条件 (26-12)
を用いると、
(32-23) nS |
が成り立ちます。ただし
(32-24i) κi |
(32-24r) κr |
(32-24t) κt |
です。(32-23)
のベクトルを a と書けば、n , κi
, κr
, κt
はすべて a と直交しますから、法線および、入射波、反射波、屈折波の進行方向はすべて同一平面上にあることがわかります。入射波、反射波、屈折波の位相速度をそれぞれ vi
, vr
, vt
と書き、それぞれの波の進行方向と n のなす角を qi
, qr
, qt
と書けば、(32-23)
と (30-8)
により、
(32-25) |
sin |
sin |
sin |
が成り立ちます。これをSnell
の法則といいます。また (30-21),(30-22)
により、
(32-26) vi |
|
(32-27) vt |
|
ですから、(21-25)
はまた
(32-28) |
____ sinq i= |
____ sinq r= |
____ sinq t= onS |
と書けます。また、入射波と屈折波は n の方向に、反射波はこれとは反対の方向に進んでいるので、
(32-29i) |
cos |
____ |
(32-29r) |
cos |
____ |
(32-29t) |
cos |
____ |
よって (32-28),(32-29)
により、
(32-30) |
2 |
i= p - q r< |
2 |
ところで e-m- < e+m+qi
の大きさによっては sin
qt > 1ft
が実数値である限り解は無く、ft
が複素数値をとる(すなわち減衰を考える)ことを許さなければなりません。すなわち
(32-31) κt |
と書いたとき、 ´ κt
kt
^ は実数ですが、sin
qt > 1
(32-32) |
ですから kt//²
< 0kt//
は純虚数 i
K になります。よって屈折波の急変動部分の因子は
(32-33) ei |
となって、境界面の法線 n の方向に向かって急激に減衰していくことがわかります。このような状態を全反射とよびます。
さて、次に電磁場の緩やかな変動部分(添字 o
を付けたベクトル場)を求めてみましょう。入射波について、 · Eio
= 0 · Hio
= 0
n · Eio
= 0 の場合:
まず (32-7d)
を共通の因子 ei
で除し、w(f-t)(32-3)
と仮定 · Eio
= 0
(32-34)S |
また、(32-7e)
を共通の因子 ei
で除したものの各項に w(f-t)(32-23)
の各項を乗じれば、
(32-35) (nS |
一方、(32-3i)
と第30節 (30-9b)
により
(32-36) κi · Eio = |
κi · Dio |
onS |
ですから
(32-37) (n |
となりますが、仮定 · Eio
= 0
(32-38i) (nS |
が成り立ちます。また (32-37)
と同様に
(32-38r) (n |
(32-38t) (n |
が得られます。そこで (32-35)
に (32-38)
を代入すれば、
(32-39) (n · κr)(n · Ero)S |
となりますが、(32-29)
により、e± > 0 · κt
> 0 · κr
< 0(32-34)
と (32-39)
により
(32-40) n · EioS |
がわかります。一方、(32-7e)
を共通の因子 ei
で除し、左から w(f-t) ´
(32-41) nS |
これを展開して (32-40)
を用いれば、
(32-42) EioS |
がわかります。一方 (32-7h)
を共通の因子 ei
で除し、w(f-t)(32-6)
を用いれば、
(32-43) |
nio m+ |
nro m+ |
nto m- |
この両辺に (30-9c)
を代入すれば、
(32-44) |
n(κi |
n(κr |
n(κt |
これを展開して (32-40)
を用いれば、
(32-45) |
n· κi |
Eio |
n· κr |
Ero |
n· κt |
Eto |
ここで、(32-42)
の両辺に · κt
/m-(32-45)
を辺々引けば
(32-46) |
æ è |
n· κt |
n· κi |
ö ø |
Eio |
æ è |
n· κt |
n· κr |
ö ø |
Ero |
となるので、これを Ero
について解けば次のようになります。
(32-47) Ero |
n· κi |
Eio |
_____ cos _____ cos _____ cos _____ cos |
Eio |
ただしここで、(32-29)
及び、(32-30)
から得られる cos
qr = - cos qim+ = m-(32-28)
により、
(32-48) Ero |
cot |
Eio |
sin |
Eio |
sin( |
Eio |
これと (32-42)
により Eto
も求まります。
· Hio
= 0 の場合:
対称性により、(32-42),(32-47)
と同様に、
(32-49) HioS |
(32-50) Hro |
n· κi |
Hio |
_____ cos _____ cos _____ cos _____ cos |
Hio |
特に m+ = m-(32-28)
により、
(32-51) Hro |
sin |
Hio |
sin( |
Hio |
cos( |
Hio |
tan( |
Hio |
という解が得られます。ただしここで、三角関数の公式:
(32-52a) sin( |
(32-52b) sin( |
で a = qi
+ qt
b = qi
- qt
qi
+ qt = p/2ro
= 0ro
= 0qi
をBrewster
角といいます。一般の入射波は、 · Eio
= 0 · Hio
= 0Brewster
角のとき、反射波は前者のみの光による偏光になることがわかります。
なお、sin
qt > 1cos²
qt < 0cos
qt(32-47),(32-50)
の右辺の係数は絶対値 1 の虚数となります。したがって、入射波と反射波の位相はずれますが、
(32-53a) |Ero| |
(32-53b) |Hro| |
の一方が成り立ちます。ところが (32-6i),(30-9c),(32-36)
により、
(32-54) ( |
同様に、
(32-55) ( |
が成り立ち、(32-23),(32-29i),(32-29r),(32-30)
により
(32-56) |κi|² |
が成り立ちますから、(32-53)
の一方が成立すれば他方も成立し、入射波と反射波のエネルギー密度は変わらないことがわかります。
この節の最後に、Ω- が s > 0(30-9a)
を導くのに用いた (30-3a)
のかわりに、 = sE
(32-57) |
æ è |
rotH |
¶ |
ö ø |
rot Hto- |
to ¶ |
iwÑf ´ H to+ iwD to- s to |
から光学近似によって得られる式:
(32-58) κt |
が成り立ちます。これは、上記の議論で e- を複素数:
(32-59) is/w |
に置き換えた式が成立することを意味します。置き換えた式の (32-28)
と (32-29t)
から、
(32-60) a² |
よって kt//
= n · κt(32-33)
と同様にして屈折波は指数関数的に減少することがわかります。これを導体の表皮効果といいます。
一方、(32-59)
により、s ® ¥|
es| ® ¥(32-60)
により
(32-61a) |n · κt |
(32-61b) |n · κt |
したがって、(32-47)
と (32-61a)
により、
(32-62) Ero |
n· κi |
Eio |
これと (32-42)
により
(32-63) Eto |
また、(32-50)
と (32-61b)
により、
(32-64) Hro |
n· κi |
Hio |
これと (32-49)
により
(32-65) Hto |
が成り立つことがわかりました。(32-62),(32-64)
によれば、完全導体の極限で、(32-53)
がこの場合にも成り立つことがわかります。これは良導体がよい鏡になる、ということを意味しています。