問13 答


( 1 ) 真空中の光速度を c とするとき、媒体 Ω における光速度は c / n 、媒体 Ω' における光速度は c / n' ですから、それぞれの媒体を光がある距離を進むのに要する時間は距離を速度で割れば求まるので、

(P13-1a)  T(x) = s | x - s |  n
—–
 c

(P13-1b)  T '(x) = s' | x - s' |  n'
—–
 c

となります。ただし ssÎΩ のとき 1 を、sÎΩ' のとき - 1 を表し、s's'ÎΩ' のとき 1 を、s'ÎΩ のとき - 1 を表します。
 従って、T(x) + T '(x)xÎS によらず一定値を取るという条件は

(P13-2)  L(x) = ns | x - s | + n's' | x - s' |

が一定値を取る、という形に表現できます。そこで、両辺の x に関する微分を取ると、

(P13-3)  dL(x) = ns ( x - s ) · dx
—————
| x - s |
+ n's' ( x - s' ) · dx
—————
| x - s' |

 ゆえに、x において S に垂直で Ω 側から Ω' 側へ向かう単位長さの法線を ν と書くと、

(P13-4)  dL(x) = 0  Û  ns ( x - s ) ´ ν
—————
| x - s |
+ n's' ( x - s' ) ´ ν
—————
| x - s' |
= 0  Û  ns x - s
———
| x - s |
´ ν = n's' s' - x
———
| s' - x |
´ ν

 一方、l(x)ÇΩx に向かって進む光線であるとすれば、その光線の方向を向いた単位ベクトルは s( x - s ) / | x - s | ですから、この光線に対する第30節 (30-4)κ は、同節 (30-8) により、これに光速の逆数を乗じて

(P13-5a)  κ º  n
—–
 c
s x - s
———
| x - s |

となります。
 また、l'(x)ÇΩ'x から発する光線であるとすれば、その光線の方向を向いた単位ベクトルは s'( s' - x ) / | s' - x | ですから、この光線に対する第30節 (30-4)κ は、これに光速の逆数を乗じて

(P13-5b)  κ' º  n'
—–
 c
s' s' - x
———
| s' - x |

となります。従って (P13-4)

(P13-6)  dL(x) = 0  Û  κ ´ ν = κ' ´ ν

と書け、この右辺は屈折波の条件式である第32節 (32-23) の式に他なりません。従って (P13-6) は、 L の値が x に依存しないことと、光線が正しい屈折の法則に従っていることが同値であることを示しています。

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( 2 ) so を原点に取り、球の中心の位置ベクトルを r とすれば、球面 S は、式

(P13-7)  | x - r | = | r |

で表され、点 xÎS における法線 ν

(P13-8)  ν = x - r
——–
| r |

となります。ここで (P13-4) の性質を持つ点 s' が存在するとすれば、(P13-8)(P13-4) の2番目の式に代入して両辺に | r | を乗じれば、

(P13-9)  ns ( x - s ) ´ ( x - r )
———————–
| x - s |
+ n's' ( x - s' ) ´ ( x - r )
———————–
| x - s' |
= 0

 ここで分子を展開し、分母を | x - s | » | s | º s 及び | x - s | » | s' | º s' で近似すれば、(P13-9)

(P13-10)  ns s ´ r
——–
s
+ n's' s' ´ r
——–
s'
= x ´ æ
è
ns r - s
——–
s
+ n's' r - s'
——–
s'
ö
ø

となります。xÎS は任意なので、特に x = 0 と置けば

(P13-11)  ns s ´ r
——–
s
+ n's' s' ´ r
——–
s'
= 0

 ゆえに (P13-10) の左辺、従って右辺は 0 となりますが、x は3次元の独立な3個のベクトル値を取れるので、(P13-10) の括弧の中は 0 でなければなりません:

(P13-12)  ns r - s
——–
s
+ n's' r - s'
——–
s'
= 0

 逆に (P13-12) が成り立てば、両辺の r との外積を取れば (P13-11) が得られるので、(P13-10) が成り立つための必要十分条件は (P13-12) が成り立つことであることがわかります。(P13-12) は書き直せば

(P13-13)  æ
è
ns
—–
 s
+ n's'
——
 s'
ö
ø
r = ns s
—–
s
+ n's'  s'
—–
 s'

となります。
 ここで x-軸の負の部分が媒体 Ω 、正の部分が媒体 Ω' であるとして、r = (r, 0, 0) , s = (x, h, z) , s' = (x', h', z' ) と置いて、h , zx に比べて十分小さく、h' , z'x' に比べて十分小さいとすれば、(P13-13)

(P13-14)  æ
è
ns
—–
| x |
+ n's'
——
| x' |
ö
ø
(r, 0, 0) = ns (x, h, z)
———–
| x |
+ n's' (x', h', z' )
————
| x' |

となりますが、| x | / s = - x , | x' | / s' = x' ですから、成分に分けて (P13-14) を書き直せば

(P13-15a)  n'
—–
x'
- n
—–
x
=  n' - n
——–
 r

(P13-15b)  n (h, z)
——–
x
= n' (h', z' )
———
x'

という2個の方程式になり、与えられた rx, h, z に対して、まず (P13-15a) を解けば x' が求まり、これを (P13-15b) に代入して解けば h'z' が求まります。

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( 3 ) レンズの中心点を原点、光軸を x-軸に取り、レンズの半径 R の球面がある方を x-軸の負の方向になるように座標軸を設定します。

 まずレンズの外部の空間の屈折率を no とし、r = (R, 0, 0) , n = no , s = (- f, y, z) , n' = non , s' = (X, Y, Z ) と置いて、これらが (P13-12) を満たすとすれば、対応する方程式 (P13-15)

(P13-16a)  n
—–
X
+ 1
—–
f
= n - 1
——–
R

(P13-16b)  - ( y, z)
——–
f
= n (Y, Z )
———
X

となります。この場合、s' はレンズの中を通る光線の共通の交点になります。
 そこで今度はレンズの中を通る光線がレンズの右側の境界面で屈折して得られる光線の交点を求めると、この交点の x-座標が f ' ですから、r = (- R', 0, 0) , n = non , s = (X, Y, Z ) , n' = no , s' = ( f ', y', z' ) と置いて、これらが (P13-12) を満たすとすれば、対応する方程式 (P13-15)

(P13-17a)  1
—–
  f '
- n
—–
X
= 1 - n
——–
-
R'

(P13-17b)  n (Y, Z )
———
X
= ( y', z' )
———
  f '

となります。ゆえに (P13-16)(P13-17) の対応する式を辺々加えて X, Y, Z を消去すれば、次の関係式が得られます:

(P13-18a)  1
—–
f
+ 1
—–
  f '
= (n - 1) æ
è
1
—–
R
+ 1
—–
 R'
ö
ø

(P13-18b)  ( y', z' )
———
  f '
= - ( y, z)
——–
f

 さて、(P13-18a) の右辺は f によらない定数ですから、特に f無限大、すなわち入射光が光軸に平行な平行光線のときの実像の位置を、このレンズの焦点とよびます。従ってレンズの中心点から焦点までの距離を fo と書けば、

(P13-19)  1
—–
f
+ 1
—–
  f '
=  1 
—–
 fo

という式が得られます。従って逆に f ' が無限大、すなわち屈折光が光軸に平行な平行光線になるような光源とレンズの中心との距離も fo と一致することがわかります。このときの光源の位置も(レンズの反対側の)焦点といいます。
 なお、(P13-8b) の式は

(P13-20)    f '
——
-
=  y'
—–
 y
=  z'
—–
 z

と書き直せますから、これは像と光源が相似の位置にあることを意味しています。

 最後に凹レンズの場合は、上記の議論から明らかなように、RR' を負の値に取れば、上記の公式はすべてそのまま使えます。ただし ff ' が負となる場合は、レンズの反対側にその点が存在することを意味します。特に f ' < 0 のときは、各屈折光線の延長線が一点に集まる点 ( f ', y', z' ) のことを、もとの光源の虚像とよびます。

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