問14 答


( 1 ) 球の中心を原点に取り、入射光線に平行に x-軸を取り、入射光線が x-軸の正の方向からやってくるように x-軸の向きを選び、入射光線が x-y平面内に含まれ、光線の方程式が y = r , z = 0 と現されるように座標を取ります。

 ここで、入射光が球面と交差する点を a = (R cos a, R sin a, 0) 、球の内側から反射する点を b = (R cos b, R sin b, 0) 、この光が球の外に出る点の座標を c = (R cos g, R sin g, 0) とします(ただし 0 £ a, b < 2p )。
 このとき入射光の向きの単位ベクトルは
i = (- 1, 0, 0) で、球から出る光の方向の単位ベクトルは t = (cos q, sin q, 0) となります。
 まず明らかに

(P14-1)  sin a = r
—–
R
> 0

 また入射波と a の向きが逆であることから

(P14-2)  0 > a · i = - cos a

となり、従って

(P14-3)  0 < a < p
—–
2

がわかります。一方、屈折の法則(第32節 (32-23) 参照)により

(P14-4)  (0, 0, R sin a) = a ´ i = n a ´ b - a
———–
| b - a |

 また

(P14-5)  a ´ (b - a) = (0, 0, a ´ b) = (0, 0, R²cos a sin b - R²cos b sin a) = (0, 0, R²sin(b - a))

ですから、(P14-3) により sin a > 0 となることに注意すれば、(P14-4)z-成分を比較して、sin(b - a) > 0 従って

(P14-6)  0 < b - a < p

がわかります。更に

(P14-7)  | b - a= R²(cos b - cos a+ R²(sin b - sin a= 2R² - 2R²cos(b - a) = 4R²sin² b - a
——–
2

ですから、(P14-6)(P14-7) により | b - a | = 2R sin((b - a)/2) となります。
 ゆえに (P14-5)sin(b - a) = 2 sin((b - a)/2) cos((b - a)/2) に注意して (P14-4)z-成分を比較すれば、

(P14-8)  sin a = n cos b - a
——–
2
= n sin p + a - b
————
2
      ( 0 < p + a - b
————
2
< p
—–
2
)

 左辺に (P14-1) を代入して全体を n で割り、arcsin を取れば、

(P14-9)  arcsin  r
—–
 nR
= p + a - b
————
2

 これを b について解き、a = arcsin(r/R) に注意すれば、

(P14-10)  b = arcsin  r
—–
 R
- 2 arcsin  r
—–
 nR
+ p

 さて、光の反射角の対称性により、a を角度 - b だけ回転し、x-軸に対して折り返し(すなわち角度の符号を変え)、角度 b だけ回転させれば c に重なります。
 it の関係も同様ですが、ただし向きは逆になるので、最後に角度に p を加えれば t に重なります。
 ゆえに後者の場合に i = (cos p, sin p, 0) と書けることに注意すれば

(P14-11a)  g = - (a - b) + b = 2b - a

(P14-11b)  q = - (p - b) + b + p = 2b

 ゆえに、(P14-11b)(P14-10) を代入して qr で表せば

(P14-12)  q = 2 arcsin  r
—–
 R
- 4 arcsin  r
—–
 nR

となります。ただし角度に 2p を加えても同じ角度を表すので無視しました。

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( 2 ) 入射光線と球の中心の距離が rr + dr の間に挟まれる光線は同心円状に分布するので、そのエネルギーの合計は 2prdr に比例します。
 一方、入射光線とのなす角が qq + dq の間にある部分の立体角は 2p sin q dq ですから、入射光線となす角が q であるような反射光の強度は、屈折、反射によるロスを l(r) と書けば

(P14-13)  {1 - l(r)} 2prdr
————–
2p sin q dq
= {1 - l(r)}r
—————
(¶q/¶r) sin
q

に比例します。従って、¶q/¶r = 0 となる r があれば、その r に対する q が求める角度になります。
 実際に (P14-12)r について微分すれば、

(P14-14)  ¶q
—–
 ¶
r
=  2 
———
ÖR² -
r²  
-  4 
————
Ön²R² -
r²  

 従って

(P14-15)  1
—–
2
æ
è
 1 
———
ÖR² -
r²  
+  2 
————
Ön²R² -
r²  
ö
ø
¶q
—–
 ¶
r
= 1
———
R² -
r²
- 4
————
n²R² -
r²
= 3r² - (4 - n²)R²
————————
(R² - r²)(n²R² - r²)

ですから、条件により 1 < n < 2 なので、

(P14-16)  rn º Ö———–
4 - n²
——–
3    
 R

と置けば、0 £ r < rn¶q/¶r < 0r = rn¶q/¶r = 0rn < r < R¶q/¶r > 0 となり、これは qrn で最小値を取ることを意味しています。しかも r = 0 のとき q = 0 ですから、この最小値は負の値を持ちます。そこで、この最小値の符号を変えたものが求める qn である、すなわち

(P14-17)  qn = 4 arcsin  rn
—–
 nR
- 2 arcsin  rn
—–
 R

であることを確かめましょう。
 明らかに qn > 0 ですから、あとは qn £ p であることを示せば十分です。
 実際、(P14-12) の右辺は n の増加関数ですから、n = 1 のとき最小値を取ります。すなわち

(P14-18)  q > 2 arcsin  r
—–
 R
- 4 arcsin  r
—–
 R
= - 2 arcsin  r
—–
 R
³ - 2 arcsin 1 = - p

となり、これは qn < p となることを意味しています。

 最後に光の角周波数 w が大きいほど qn が小さくなることを確かめましょう。
 実際、w が大きいほど n も大きくなるので(本文第28節の最後の注意参照)、qnn の減少関数であることを確かめれば十分です。
 既に確かめたように、0 £ r < R ならば

(P14-19)  - qn £ 2 arcsin  r
—–
 R
- 4 arcsin  r
—–
 nR

 ゆえに、1 < n < n' < 2 なら、これを特に r = rn' に対して適用すれば、

(P14-20)  - qn £ 2 arcsin  rn'
—–
 R
- 4 arcsin  rn'
—–
 nR
< 2 arcsin  rn'
—–
 R
- 4 arcsin  rn'
—–
 n'R
= - qn'

となるので、n < n'  Þ  qn > qn' が成り立つことが確かめられました。

 虹は、広域にわたって空中を漂う多数の水滴に太陽光線(近似的には平行光線)が当たり、水滴の中で一回反射した反射光のうち、上で示したように太陽光線と qn の角度を持つ反射光が特に強いことによって生じます。
 具体的に n = 1.33 とすると、(P14-16) により rn = 0.86238 となり、従って (P14-17) により qn = 0.742051 rad = 42.51838° という鋭角になり、太陽の反対側の、太陽光線の方向に対して仰角 qn のところにある水滴に反射した光が特に強く見えることになりますが、このような水滴は弧状に分布しているので、太陽と反対側の空に、弧が輝いているように見えます。
 しかも周波数が低い赤に対する qn は大きく、逆に周波数が高い紫に対する qn は小さいので、弧が周波数の違い、すなわち色の違いによって同心円状に分離し、弧の外側が赤、弧の内側が紫に見えることになります。

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