偏微分方程式


1.Fourier変換と超関数

 Rn の元 x に対して
(1-1)  á x ñ = Ö________
1 + | x

と置きます。1 + | x ± y = 1 + | x + | y + 2 x · y £ 1 + 2 | x + 2 | y £ 2(1 + | x |²)(1 + | y |²) ですから

(1-2a)  á x ± y ñ £ Ö2 á x ñ á y ñ

 また、(1-2a)xx ± y を代入することにより、

(1-2b)  1
———–
á x ± y ñ
£ Ö2 á y ñ
——
á x ñ

が成り立ちます。
 さて、Rn 上のC¥関数 j のうち、すべての整数 p と自然数 q に対して

(1-3)  ||j||p, q º   
sup
|α| £ q, xÎR
n
 á x ñ p ½
½
  a1
——–
x1a1
  an
——–
xnan
j(x) ½
½
< ¥

を満たすものを急減少関数といい、その全体を Sn と書くことにします。ただし (1-3)|α| = a1 + ¼ + an と置きました。
 台がコンパクトなC¥関数や、Gaussの分布関数 e- a|x (a>0) は急減少関数です。Sn は環であり、微分演算、多項式との積、変数の正則な線形変換や平行移動について閉じています。
 また、任意の自然数 q に対し、ある自然数 p が存在して ||j||-p, q < ¥ となるC¥関数 j緩増加関数と言います。急減少関数や多項式は緩増加関数であり、緩増加関数の全体も微分演算、多項式との積、変数の正則な線形変換や平行移動について閉じています。また、急減少関数と緩増加関数の積は急減少関数です。

 次に、SnFourier変換 £j を次のように定義します:

(1-4)  £j(k) º  Ù
j(k) º
 
ò Rn e-ik·x j(x) dx1¼dxn

 急減少関数 j は評価式:

(1-5)  |j(x)| £ ||j||n+1, 0
————
á x ñn+1

を満たし、この右辺は可積分ですから、(1-4) の右辺は収束します。さらに部分積分により、

(1-6a)  £ é
ë
 ¶j 
—–
 ¶
xi
ù
û
(k) = ò Rn e-ik·x   
—–
 ¶
xi
j(x) dx1¼dxn = - ò Rn æ
è
 
—–
 ¶
xi
e-ik·x  ö
ø
j(x) dx1¼dxn = iki ò Rn e-ik·x j(x) dx1¼dxn = iki£j(k)

 同様に、

(1-6b)  £[xij](k) = ò Rn e-ik·x xij(x) dx1¼dxn = i ò Rn  
—–
 ¶
ki
e-ik·x j(x) dx1¼dxn = i  
—–
 ¶
ki
ò Rn e-ik·x j(x) dx1¼dxn = i  £j(k)
———–
ki

ですから、ある定数 Cp, q により

(1-7)  ||£j||p, q £ Cp, q ||j||q, p

が成り立ち、£Sn であることもわかります。

 次に、n次の定数係数の正則な正方行列 An次元の定ベクトル b に対して

(1-8)  jA, b(x) = j(Ax + b)

と置き、y = Ax + b と変数変換し、A-1 の転置行列を A' と書けば、

(1-9)   Ù
 jA, b(k)
 
= ò Rn e-ik·x j(Ax + b) dx1¼dxn

= det A-1 ò Rn e-i(y-bA' k j(y) dy1¼dyn

= eib·A' k det A-1 ò Rn e-iy·A' k j(y) dy1¼dyn

= eib·A' k det A-1  Ù
j(A' k)
 

 特に、A が単位行列 1 のときは、

(1-10)   Ù
j1, b(k) =
eib·k  Ù
j(k) 

 また、

(1-11)  ò Rn j(k)  Ù
y(k) dk1¼dkn =
ò Rn ò Rn e-ik·xj(k) y(x) dx1¼dxndk1¼dkn = ò Rn  Ù
j(x) y(x) dx1¼dxn

 ゆえに

(1-12)  ò Rn   Ù
 j(k)
 
 Ù
y(k) dk1¼dkn =
ò Rn  Ù
 Ù
j(x) y(x) dx1¼dxn
 

 jy を入れ替えることにより、

(1-13)  ò Rn  Ù
 Ù
j(x) y(x) dx1¼dxn =
 
ò Rn j(x)  Ù
 Ù
y(x) dx1¼dxn
 

が得られます。さてここで、具体的な関数:

(1-14)  ga, y, z(x) = eiy·x - a|x-z

Fourier変換を計算してみましょう。Cauchyの積分定理による積分路の変更により、

(1-15)   Ù
ga, y, z(k)
= ò Rn ei(y-kx - a|x-z dx1¼dxn

= eiz·(y-k) - |k-y/(4a) ò Rn e-a{x-z - i(y-k)/(2a)}² dx1¼dxn

= eiz·(y-k) - |k-y/(4a) ò Rn e-a|s ds1¼dsn

= eiz·(y-k) - |k-y/(4a) æ
ç
è
ò  ¥


e-as² ds ö
÷
ø
n

= eiz·(y-k) - |k-y/(4a) æ
ç
è
1
—–
Ö
a
ò  ¥


e-s² ds ö
÷
ø
n

= æ
è
p
—–
 a
ö
ø
n

2
eiz·(y-k) - |k-y/(4a) 

= æ
è
p
—–
 a
ö
ø
n

2
eiz·y g1/(4a), -z, y(k)

 したがって

(1-16)   Ù
 Ù
ga, y, z(x) =
 
æ
è
p
—–
 a
ö
ø
n

2
eiz·y £ [g1/(4a), -z, y ](x) = æ
è
p
—–
 a
ö
ø
n

2
eiz·y (4ap) n

2
e-iy·z ga, -y, -z(x) = (2p)n ga, y, z(-x)

 一方、任意の有界連続関数 j に対して

(1-17)  an ò Rn ga², 0, z(x) j(x) dx1¼dxn
= an ò Rn e-a² |x-z j(x) dx1¼dxn

= ò Rn e-|s j æ
è
s
—–
a
+ z ö
ø
ds1¼dsn 

® j(z) ò Rn e-|s ds1¼dsn      ( a ® ¥ )

= pn/2 j(z)

が成り立ちますから、(1-13)yp-n/2 an ga², 0, z を代入して a ® ¥ とすれば、

(1-18)   Ù
 Ù
j(z) = (2p)n j(-z)
 
 

 これは、Fourier変換して変数に負号を付け、(2p)n で割る演算:

(1-19)  £ -1y(x) º  1 
——–
 (2p)n
£y(-x) =  1 
——–
 (2p)n
ò Rn eik·x y(k) dk1¼dkn

が、Fourier変換の逆演算になっていることを示しています。(1-19) の変換をFourier逆変換と呼びます。

 以上の準備のもとで超関数を定義します。Sn は、|| · ||p, q をセミノルムとして完備距離局所凸空間(F-空間)になります。そこで Sn 上の連続な線形汎関数のことを(緩増加)超関数と呼び、その全体を S'n と書くことにします。
 また、Sn , FÎS'n のとき、F(j) のかわりに á j, F ñ あるいは

(1-20)  á j, F ñ = ò Rn F(x)j(x) dx1¼dxn

とも書くことにします。遠方で高々多項式のオーダーを持つ局所可積分な関数 F は、(1-20) の右辺で左辺を定義することにより、超関数とみなすことができます。特に、緩増加関数は超関数とみなせます。

 超関数 F に対し、開集合 Ω に台を持つどんな C¥関数 j に対しても á j, F ñ = 0 であるとき、FΩ0 であるといいます。その上で 0 であるような最大の開集合の補集合を、超関数 Fとよびます。

 次に、超関数 F と緩増加関数 y の積と呼ばれる超関数 yF

(1-21)  á j, yF ñ = á jy, F ñ

で定義します。また、超関数 F の微分 Fxi

(1-22)  á j,  F
—–
 ¶
xi
ñ = - á  ¶j 
—–
 ¶
xi
, F ñ

で定義します。これは (1-20) の書き方で

(1-23)  ò Rn  ¶F(x) 
——–
xi
j(x) dx1¼dxn = - ò Rn F(x)  ¶j(x) 
——–
xi
dx1¼dxn 

と書くことができますから、F が区分的に級な連続関数なら、部分積分により、実際の微分に一致することがわかります。

 また、超関数 FFourier変換と呼ばれる超関数 £F

(1-24)  á j, £F ñ = á£j, F ñ

で定義します。F が急減少関数のときは、(1-11) により、本来のFourier変換に一致することがわかります。また、F が有界な測度のときは、Fubimiの定理により

(1-25)  á j, £F ñ = á£j, F ñ = ò Rn dF(k) ò Rn e-ik·xj(x) dx1¼dxn = ò Rn j(x) dx1¼dxn ò Rn e-ik·x dF(k)

となりますから、£F

(1-26)  £F(x) = ò Rn e-ik·x dF(k)

で与えられ、Lebesgueの収束定理により、有界な連続関数であることがわかります。
 また、任意の j, Sn に対し、kÎRn をパラメターとする関数族 yk

(1-27)  yk(x) º c(x)e-ik·x

で定義すると、kj(k)yk を対応させる写像は、Rn から局所凸空間 Sn への台がコンパクトな連続関数ですから、局所凸空間 Sn に値を持つ可積分関数です。ゆえに、任意の FÎS'n に対し、F の連続性により

(1-28)  á j, £(cF) ñ = á£j, cF ñ = á c£j, F ñ = á ò Rn j(k)yk dk1¼dkn , F ñ = ò Rn j(k) á yk , F ñ dk1¼dkn

 これは、£(cF)C¥関数:

(1-29)  £(cF)(k) = á yk , F ñ = ò Rn c(x)e-ik·xF(x) dx1¼dxn

で与えられることを意味しています。
 そこで Sn , c(0) = 1 , e > 0 のとき、ce(x) = c(ex) と置くと、ceÎSn であり、任意の Sn に対して、e ® 0 のとき Sn の位相で cej ® j ですから、(1-21) により FÎS'n に対して S'n の位相で ce F ® F です。したがって

(1-30)  £F(k) =  
lim

e®0
£(ce F)(k) =  
lim

e®0
ò Rn ce(x)e-ik·xF(x) dx1¼dxn

S'n の位相で成り立ちます。このことから特に、c の台をコンパクトにとっておけば、Fk = c1/k£( c1/k£ -1F ) は台がコンパクトな急減少関数で、しかも k ® ¥ のとき S'n の位相で F に収束することがわかります。つまり SnS'n において列的に稠密です。

 さてここで、複素Hilbert空間 L²(Rn) における Parsevalの等式について解説しましょう。(1-12)(1-18) により、

(1-31)  ò Rn   Ù
 j(k)
 
 Ù
y(k) dk1¼dkn = (2p)n
ò Rn j(-x) y(x) dx1¼dxn

 任意の急減少関数 χ をとり、j(x) º c(-x)* (ただし * は複素共役を表す)と置くと、

(1-32)   Ù
j(k) =
 
ò Rn e-ik·x c(-x)* dx1¼dxn = ò Rn eik·y c(y)* dy1¼dyn = æ
ç
è
ò Rn e-ik·y c(y) dy1¼dyn ö
÷
ø
* = Ù
c(k)*
 

が成り立ちますから、(1-31) は、

(1-33)  ò Rn   Ù
 c(k)*
 
 Ù
y(k) dk1¼dkn = (2p)n
ò Rn c(x)* y(x) dx1¼dxn

となります。そこで、L²(Rn) の内積を ( · | · ) で表し、

(1-34)  ( u | v )' º  1 
——–
 (2p)n
( u | v )

(1-35)  || u ||' º 1 
 —–——
 Ö
(2p)n
|| u || º 1 
 —–——
 Ö
(2p)n
Ö( u | u ) = Ö( u | u )'

と置けば、(1-33)

(1-36)  (£c |£y )' = ( c | y )

 したがって特に

(1-37)  ||£y ||' = || y ||

が成り立ちます。これらをParsevalの等式といいます。
 さて、(1-37) により、Fourier変換は SnL²(Rn ) からの導入位相で位相同型であり、Sn のすべての元と直交する L²(Rn ) の元は 0 のみなので、SnL²(Rn ) で稠密です。
 よって、任意の fÎL²(Rn ) に対し、列 { fk }ÌSnfk® f in L²(Rn ) となるものが存在しますが、{ fk }L²(Rn )Cauchy列、したがって (1-37) により {£fk }L²(Rn )Cauchy列ですから、ある gÎL²(Rn )L²(Rn ) の位相で、したがって S'n の位相で収束します。
 ところが fk® f in S'n ですから、£S'n での連続性により、{£fk }£f に収束するので g = £f でなければなりません。これは£L²(Rn ) をそれ自身に写すことを意味し、しかも位相同型で、Parsevalの等式 (1-36),(1-37)L²(Rn ) の元に対しても成り立つことがわかります。

 さて、超関数 F は、そのFourier変換が緩増加関数になるとき、急減少超関数とよぶことにします(一般的な用語とは多少異なるので注意してください)。明かに、急減少関数は急減少超関数です。
 Φ , Ψ は超関数で、その少なくとも一方は急減少超関数であるとき、ΦΨ畳み込みとよばれる超関数 Φ * Ψ を、

(1-38)  Φ * Ψ = £ -1(  Ù Ù
ΦΨ )

で定義します。明かに交換法則:

(1-39)  Φ * Ψ = Ψ * Φ

が成り立ち、また Χ が超関数、Φ , Ψ が急減少超関数なら、明かに結合法則:

(1-40)  (Φ * Χ )* Ψ = Φ *(Χ * Ψ )

も成り立ちます。定義から明らかに、急減少超関数同士の畳み込みは急減少超関数であり、急減少超関数と急減少関数の畳み込みは急減少関数です。

 また、(1-6a) により、

(1-41)  £ é
ë
 
—–
 ¶
xi
(Φ * Ψ) ù
û
= i ki  Ù Ù
ΦΨ
 
= £ é
ë
 Φ
—–
 ¶
xi
ù
û
 Ù
Ψ =
 
 Ù
Φ £
 
é
ë
 Ψ
—–
 ¶
xi
ù
û

ですから、このFourier逆変換をとれば、

(1-42)    
—–
 ¶
xi
(Φ * Ψ ) =  Φ
—–
 ¶
xi
* Ψ = Φ *  Ψ
—–
 ¶
xi

が得られます。

 さて、超関数 F と急減少関数 j の畳み込みについて、具体的な表示式を求めてみましょう。

(1-43)  yx(k) º eik·x   Ù
 j(k)
——–
 (2p)
n
 

と置くと、

(1-44)  £yx( y) =  1 
——–
 (2p)n
ò Rn  eik·(x-y)  Ù
j(k) dk1¼dkn = £ -1
 Ù
j(x - y) = j(x - y)
 

が成り立ちますから、(1-29) により

(1-45)  (F * j)(x) =£ -1[  Ù Ù
Fj ](x) =
 
 1 
——–
 (2p)n
ò Rn  Ù
j(k) eik·x
 
 Ù
F(k) dk1¼dkn = á yx ,
 
 Ù
F ñ = á
 
 Ù
yx , F ñ = á j(x - ·), F ñ =
 
ò Rn F( y)j(x - y) dy1¼dyn

という表示式が得られます。一方、(1-3) により、

(1-46)  ||j(β)(x - ·)||p, q
=   
sup
|α| £ q, yÎR
n
 á y ñp ½
½
  a1+b1
———–
y1a1+b1
  an+bn
———–
ynan+bn
j(x - y) ½
½

£   
sup
|α| £ q, yÎR
n
 á x - y ñp ½
½
½
½
  a1+b1
———–
y1a1+b1
  an+bn
———–
ynan+bn
j(x - y) ½
½
  
sup
 yÎR
n
á y ñp
———
á x - y ñ
p

£ C ||j||p, q+|β| á x ñp

ですから、(1-44) の右辺の β 階の微分は、ある自然数 p に対して á x ñp の定数倍で押さえられることがわかります。
 これは、超関数と急減少関数の畳み込みは緩増加関数であることを示しています。さらに、そのFourier変換をとることにより、超関数と急減少関数の積は急減少超関数であることもわかります。台がコンパクトな超関数は、その台の近傍で恒等的に 1 であるような関数を乗じても変わりませんから、特に台がコンパクトな超関数は急減少超関数であることもわかります。

 さて、Φ を超関数、Ψ を急減少超関数、j を急減少関数とすると、(1-45) により、

(1-47)  {(Φ * Ψ )* j}(x) = {Φ *(Ψ * j)}(x) = ò Rn Φ( y)(Ψ * j)(x - y) dy1¼dyn ò Rn Φ( y) dy1¼dyn ò Rn Ψ(z)j(x - y - z) dz1¼dzn

 ところで j-(x) º j(-x) と置けば、(1-45) により

(1-48)  á j, F ñ = (F * j-)(0)

が得られますから、(1-47) により、

(1-49)  á j, Φ * Ψ ñ = {(Φ * Ψ)* j-}(0) = ò Rn ò Rn Φ( y)Ψ(z)j( y + z) dz1¼dyndz1¼dzn

という表現が得られます。これは、形式的に、

(1-50)  (Φ * Ψ )(x) = ò Rn Φ( y)Ψ(x - y) dy1¼dyn

と書くことができます。

 さてここで、具体的な超関数の例として、デルタ関数とよばれる超関数 d

(1-51)  á j, d ñ º j(0)

で定義します。これは有界な測度なので、(1-26) により、

(1-52)  Ù
d(k) =
ò Rn e-ik·x d(x) dx1¼dxn = 1

 よって (1-19) により、dFourier逆変換は、

(1-53)  £ -1d =  1 
——–
 (2p)n
(£d)- =  1 
——–
 (2p)n

となります。(1-52) により、任意の超関数 F に対して

(1-54)   Ù
F
Ù
d =
Ù
d
 Ù
F =
 Ù
F

ですから、このFourier逆変換をとれば、

(1-55)  F * d = d * F = F

すなわち、デルタ関数は、畳み込み演算の単位元になっていることがわかります。また、

(1-56)  á j, yd ñ = á yj, d ñ = y(0)j(0) = y(0) á j, d ñ

ですから、

(1-57)  yd = y(0)d

が成り立ちます。特に

(1-58)  xid(x) = 0

 ところで「微分多様体」第13節 (13-22)によって本節の超関数についても変数の平行移動を定義すれば、

(1-59)  ò Rn d(x - a)j(x) dx1¼dxn = ò Rn d(x)j(x + a) dx1¼dxn = j(a)

が成り立ちます。

 さて、fR で定義され、遠方で高々多項式のオーダーで増加する関数で、有限個の点 a1 < a2 < ¼ < am を除いて 級で、x ® ai ± 0 に対する極限が存在し、かつai ( i = 1, ¼, m ) 以外の点で f の導関数に等しいとして定義した関数 f'R で局所可積分であるとします。このとき

(1-60)  á j, df
—–
d
x
ñ
= - á dj
—–
 d
x
, f ñ

= - òR j'(x) f(x) dx1¼dxn

= -  m
å
i=0
ò  ai+1


ai
{(j f )' - j f' }(x) dx1¼dxn

= -  m
å
i=0
j f ½
½
½
ai+1- 0

 ai
+ 0
+ òR j(x) f'(x) dx1¼dxn

=  m
å
i=1
j(ai){ f(ai + 0) - f(ai - 0) } + òR j(x) f'(x) dx1¼dxn

ですから( ただし a0 = - ¥am+1 = ¥ )、(1-59) により

(1-61)  df
—–
d
x
(x) =  m
å
i=1
{ f(ai + 0) - f(ai - 0) }d(x - ai) + f'(x)

が成り立つことがわかります。特に f が連続なら df/dx = f' が成り立ちます。(1-61) の応用例として、実数 a に対して

(1-62)  (xa )+ = ì
í
î 
xa   ( x > 0 )

0    ( x £ 0 )

と置けば、この関数は a > 0 のとき連続で、a > - 1 のとき局所可積分ですから、

(1-63)  d
—–
 d
x
(xa )+ = a(xa-1 )+      ( a > 0 )

が成り立ちます。また、Heaviside関数 とよばれる1次元の関数 H

(1-64)  H(x) = ì
í
î 
1   ( x > 0 )

0   ( x £ 0 )

で定義すると、(1-61) により、

(1-65)  d
—–
 d
x
H(x - a) = d(x - a)

が成り立ちます。

 次に、台が原点のみである超関数 F はデルタ関数の微分の有限和と表わされることを示しましょう。
 F は台がコンパクトですから、(1-3)f の連続性により、正数 C と自然数 q が存在して、任意の急減少関数 j に対して

(1-66)  | á j, F ñ | £ C ||j||0, q

となります。さて、任意の急減少関数 j に対し、Taylor展開により、

(1-67)  j(x) =  
å

|α|£q
j(α)(0)
———–
α!
xα  + y(x)

と展開でき、|α| £ q であるような任意の α に対して

(1-68)  y(α)(0) = 0

および

(1-69)  | y(α)(x) | £ C' | x |q-|α|+1

が成り立ちます。一方、c を原点の近傍で 1 で、台が単位球に含まれるようなC¥関数とし、

(1-70)  ce(x) :º c æ
è
 x
—–
e
ö
ø

と置きます。このとき、e に依存しない定数 K , K' が存在して

(1-71)  || cey ||0, q £  
K   sup | ce(β)(x)y(α-β)(x) | £
 |β|£|α|£q, xÎR
n
 
K'   sup  e-|β| | x |q-|α|+|β|+1 = K'e
 |β|£|α|£q, |x|£e

となります。他方、F の台は原点のみなので ceF = F となりますから、(1-66) により

(1-72)  | á y, F ñ | = | á yce , F ñ | £ C || cey ||0, q £ CK'e

 e > 0 は任意ですから、á y, F ñ = 0 がわかります。したがって (1-67) により

(1-73)  á j, F ñ =  
å

|α|£q
j(α)(0)
———–
α!
á xα, F ñ

 これは

(1-74)  F =  
å

|α|£q
á xα, F ñ
———–
 α! 
(-1)|α| d(α) 

となっていることを意味します。

 最後に偏微分方程式の基本解というものを定義します。超関数 f と、微分演算子 Di = - i ¶/¶xi の定数係数多項式 P(D) が与えられたとき、偏微分方程式:

(1-75)  P(D)u = f

の超関数解 u を求める問題を考えます。特に f = d に対する任意の解を方程式 (1-75) に対する基本解とよんで E と書けば、

(1-76)  P(D)E = d

となります。基本解が一つ求まれば、E との畳み込みが定義できる任意の超関数 f に対して

(1-77)  u º E * f

と置けば、(1-42),(1-76),(1-55) により、

(1-78)  P(D)u = P(D)(E * f ) = {P(D)E}* f = d * f = f

となって、(1-75) の一つの解(特殊解)が求まります。

INDEX   NEXT