Fourier変換と超関数
R
n の元 x に対して
(1-1) ________ 1 + | x |² |
と置きます。1 + |
x ± y |²
= 1 + | x |²
+ | y |²
+ 2 x ·
y £ 1 + 2 | x |²
+ 2 | y |²
£ 2(
1 + | x |²)(1 + | y |²)
(1-2a) |
また、(1-2a)
で x に ± y
(1-2b) |
á x ± y ñ |
á x ñ |
が成り立ちます。
さて、R
n 上のC
¥j のうち、すべての整数 p と自然数 q に対して
(1-3) || |
n |
½ |
¶x1a1 |
¶ |
(x) |
½ |
を満たすものを急減少関数といい、その全体を Sn と書くことにします。ただし (1-3)
で |α|
= a1 + ¼ + an
台がコンパクトなC
¥Gauss
の分布関数 e
- a|x|²(a
>0)
また、任意の自然数 q に対し、ある自然数 p が存在して ||
j||-p, q < ¥C
¥関数 j を緩増加関数と言います。急減少関数や多項式は緩増加関数であり、緩増加関数の全体も微分演算、多項式との積、変数の正則な線形変換や平行移動について閉じています。また、急減少関数と緩増加関数の積は急減少関数です。
次に、jÎSnFourier
変換 j
(1-4) £ |
(k)º |
Rn |
exn |
急減少関数 j は評価式:
(1-5) | |
|| ||n+1 ,0 á x ñn+1 |
を満たし、この右辺は可積分ですから、(1-4)
の右辺は収束します。さらに部分積分により、
(1-6a)£ |
é ë |
¶ |
ù û |
(k) |
Rn |
e |
¶ |
(x) dxxn |
Rn |
æ è |
¶ |
e |
ö ø |
(x) dxki |
Rn |
e |
同様に、
(1-6b) £[xi |
Rn |
e |
Rn |
¶ |
e |
¶ |
Rn |
e |
(k) ¶ |
ですから、ある定数 ,
q
(1-7) ||£ |
が成り立ち、jÎSn
次に、n次の定数係数の正則な正方行列 A とn次元の定ベクトル b に対して
(1-8) |
と置き、 = Ax + b-1 の転置行列を A' と書けば、
(1-9) |
A, b(k) |
|
||||
|
||||||
|
||||||
|
||||||
特に、A が単位行列 1 のときは、
(1-10) |
|
eib·k |
(k) |
また、
(1-11) |
Rn |
(k) |
(k) dkkn |
Rn |
Rn |
ekn |
Rn |
(x)xn |
ゆえに
(1-12) |
Rn |
(k) |
(k) dkkn |
Rn |
(x)xn |
j と y を入れ替えることにより、
(1-13) |
Rn |
(x)xn |
Rn |
(x) |
が得られます。さてここで、具体的な関数:
(1-14) ga, y, z(x) |
のFourier
変換を計算してみましょう。Cauchy
の積分定理による積分路の変更により、
(1-15) |
ga, y, z(k) |
|
||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
したがって
(1-16) |
g a, y, z(x) |
æ è |
a |
ö ø |
n |
eiz·y £ [g |
æ è |
a |
ö ø |
n |
eiz·y ( |
n |
e |
一方、任意の有界連続関数 j に対して
(1-17)an |
Rn |
ga²,xn |
|
||||||||||
|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
が成り立ちますから、(1-13)
の y に p-nan ga/
2 ²,
z0, ® ¥
(1-18) |
(z) |
これは、Fourier
変換して変数に負号を付け、(
n2p)
(1-19) £ |
(n |
£( |
(n |
Rn |
eik·xkn |
が、Fourier
変換の逆演算になっていることを示しています。(1-19)
の変換をFourier
逆変換と呼びます。
以上の準備のもとで超関数を定義します。Sn は、|| · ||p,
q-
空間)になります。そこで
また、jÎSnÎS'n(
j)á j,
F ñ
(1-20) ,F ñ = |
Rn |
F(x)xn |
とも書くことにします。遠方で高々多項式のオーダーを持つ局所可積分な関数 F は、(1-20)
の右辺で左辺を定義することにより、超関数とみなすことができます。特に、緩増加関数は超関数とみなせます。
超関数 F に対し、開集合 Ω に台を持つどんな C
¥j に対しても á j,
F ñ = 00 であるといいます。その上で 0 であるような最大の開集合の補集合を、超関数 F の台とよびます。
次に、超関数 F と緩増加関数 y の積と呼ばれる超関数 yF
(1-21)F |
で定義します。また、超関数 F の微分 ¶F/¶xi
(1-22) |
, |
¶ |
¶ |
,F |
で定義します。これは (1-20)
の書き方で
(1-23) |
Rn |
(x) ¶ |
(x) dxxn |
Rn |
F(x) |
(x) ¶ |
dxxn |
と書くことができますから、F が区分的にC¹
級な連続関数なら、部分積分により、実際の微分に一致することがわかります。
また、超関数 F のFourier
変換と呼ばれる超関数
(1-24)F |
で定義します。F が急減少関数のときは、(1-11)
により、本来のFourier
変換に一致することがわかります。また、F が有界な測度のときは、Fubimi
の定理により
(1-25)F |
Rn |
dF(k) |
Rn |
exn |
Rn |
(x) dxxn |
Rn |
e |
となりますから、
(1-26) £F(x) |
Rn |
e |
で与えられ、Lebesgue
の収束定理により、有界な連続関数であることがわかります。
また、任意の j,
cÎSnÎR
nyk
(1-27)x |
で定義すると、k に jk(k)
yR
nÎS'n
(1-28)F |
Rn |
(k)y dkF |
Rn |
(k)á yk ,F ñ dkkn |
これは、(
cF)C
¥
(1-29) £(F |
Rn |
(x)exn |
で与えられることを意味しています。
そこで cÎSnc(
0) = 1e > 0ce(x)
= c(ex)ceÎSnjÎSne ® 0cej ® j(1-21)
により ÎS'nce F ® F
(1-30) £F(k) |
|
£()(k)= |
|
Rn |
(x)exn |
が c の台をコンパクトにとっておけば、 = c1£/
k(
c1F )/
k£ -1 ® ¥
さてここで、複素Hilbert
空間 L²(Rn)
Parseval
の等式について解説しましょう。(1-12)
と (1-18)
により、
(1-31) |
Rn |
(k) |
(k) dkn |
Rn |
(xn |
任意の急減少関数 χ をとり、j(x)
º c(
-x)**
は複素共役を表す)と置くと、
(1-32) |
(k)= |
Rn |
exn |
Rn |
eik·yyn |
æ ç è |
Rn |
eyn |
ö ÷ ø |
* |
(k)* |
が成り立ちますから、(1-31)
は、
(1-33) |
Rn |
(k)* |
(k) dkn |
Rn |
(x)*xn |
となります。そこで、L²(Rn)
( · | · )
(1-34) ( u | v )' |
(n |
( u | v ) |
(1-35) || u ||' |
Ö (n |
|| u || | Ö (n |
( u | u ) |
( u | u )' |
と置けば、(1-33)
は
(1-36)(£ |
したがって特に
(1-37) ||£ |
が成り立ちます。これらをParseval
の等式といいます。
さて、(1-37)
により、Fourier
変換は L²(Rn )
L²(Rn )
0 のみなので、L²(Rn )
よって、任意の ÎL²(Rn )
{ fk }
ÌSn® fin
L²(Rn )
{ fk }
L²(Rn )
Cauchy
列、したがって (1-37)
により {£fk }
L²(Rn )
Cauchy
列ですから、ある ÎL²(Rn )
L²(Rn )
ところが ® fin
{£fk }
= £fL²(Rn )
Parseval
の等式 (1-36),(1-37)
が L²(Rn )
さて、超関数 F は、そのFourier
変換が緩増加関数になるとき、急減少超関数とよぶことにします(一般的な用語とは多少異なるので注意してください)。明かに、急減少関数は急減少超関数です。
Φ , Ψ は超関数で、その少なくとも一方は急減少超関数であるとき、Φ と Ψ の畳み込みとよばれる超関数 * Ψ
(1-38) Φ |
ΦΨ ) |
で定義します。明かに交換法則:
(1-39)Φ |
が成り立ち、また Χ が超関数、Φ , Ψ が急減少超関数なら、明かに結合法則:
(1-40) (Φ |
も成り立ちます。定義から明らかに、急減少超関数同士の畳み込みは急減少超関数であり、急減少超関数と急減少関数の畳み込みは急減少関数です。
また、(1-6a)
により、
(1-41) £ |
é ë |
¶ |
(Φ |
ù û |
iki |
ΦΨ |
é ë |
¶ |
ù û |
Ψ |
Φ £ |
é ë |
¶ |
ù û |
ですから、このFourier
逆変換をとれば、
(1-42) |
¶ |
(Φ |
¶ |
¶ |
が得られます。
さて、超関数 F と急減少関数 j の畳み込みについて、具体的な表示式を求めてみましょう。
(1-43) |
(k)n |
と置くと、
(1-44) £ |
(n |
Rn |
eik·(x |
(k) dkkn |
(x |
が成り立ちますから、(1-29)
により
(1-45) (F |
F ](x) |
(n |
Rn |
(k) eik·x |
F (k) dk |
F |
,F (xF |
Rn |
F( y) |
という表示式が得られます。一方、(1-3)
により、
(1-46) || |
|
||||||||||||
|
|||||||||||||
|
ですから、(1-44)
の右辺の β
階の微分は、ある自然数 p に対して á x ñp
これは、超関数と急減少関数の畳み込みは緩増加関数であることを示しています。さらに、そのFourier
変換をとることにより、超関数と急減少関数の積は急減少超関数であることもわかります。台がコンパクトな超関数は、その台の近傍で恒等的に 1 であるような関数を乗じても変わりませんから、特に台がコンパクトな超関数は急減少超関数であることもわかります。
さて、Φ を超関数、Ψ を急減少超関数、j を急減少関数とすると、(1-45)
により、
(1-47) {(Φ |
Rn |
Φ( y)(Ψyn |
Rn |
Φ( y) dyyn |
Rn |
Ψ(z)zn |
ところで j-(x)
º j(-x)(1-45)
により
(1-48) |
が得られますから、(1-47)
により、
(1-49) |
Rn |
Rn |
Φ( y)Ψ(z)zn |
という表現が得られます。これは、形式的に、
(1-50) (Φ |
Rn |
Φ( y)Ψ(xyn |
と書くことができます。
さてここで、具体的な超関数の例として、デルタ関数とよばれる超関数 d を
(1-51) |
で定義します。これは有界な測度なので、(1-26)
により、
(1-52) |
(k)= |
Rn |
exn |
よって (1-19)
により、d のFourier
逆変換は、
(1-53)£ |
(n |
(£ |
(n |
となります。(1-52)
により、任意の超関数 F に対して
(1-54) |
F |
F |
F |
ですから、このFourier
逆変換をとれば、
(1-55)F |
すなわち、デルタ関数は、畳み込み演算の単位元になっていることがわかります。また、
(1-56) |
ですから、
(1-57) |
が成り立ちます。特に
(1-58) xi |
ところで「微分多様体」第13節 (13-22)
によって本節の超関数についても変数の平行移動を定義すれば、
(1-59) |
Rn |
(xxn |
Rn |
(x) |
が成り立ちます。
さて、f は R
で定義され、遠方で高々多項式のオーダーで増加する関数で、有限個の点 1 < a2 < ¼ < amC¹
級で、 ® ai ± 0( i
= 1, ¼, m )R
で局所可積分であるとします。このとき
(1-60) |
, |
dfx |
|
||||||||||
|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
ですから( ただし 0 = - ¥m+1 = ¥ )、(1-59)
により
(1-61) |
dfx |
(x) | m i |
{ f(ai |
が成り立つことがわかります。特に f が連続なら df
x/d = f'(1-61)
の応用例として、実数 a に対して
(1-62) (x |
í î |
x( x |
と置けば、この関数は a > 0a > - 1
(1-63) |
dx |
(x |
が成り立ちます。また、Heaviside
関数 とよばれる1次元の関数 H を
(1-64) H(x) |
í î |
( x |
で定義すると、(1-61)
により、
(1-65) |
dx |
H(x |
が成り立ちます。
次に、台が原点のみである超関数 F はデルタ関数の微分の有限和と表わされることを示しましょう。
F は台がコンパクトですから、(1-3)
と f の連続性により、正数 C と自然数 q が存在して、任意の急減少関数 j に対して
(1-66) | |
となります。さて、任意の急減少関数 j に対し、Taylor
展開により、
(1-67) |
å |α| |
(α)( |
xα(x) |
と展開でき、|α|
£ q
(1-68) |
および
(1-69) | |
が成り立ちます。一方、c を原点の近傍で 1 で、台が単位球に含まれるようなC
¥
(1-70) |
æ è |
x |
ö ø |
と置きます。このとき、e に依存しない定数 K , K' が存在して
(1-71) || |
n |
|
となります。他方、F の台は原点のみなので ceF = F(1-66)
により
(1-72) | |
e > 0á y,
F ñ = 0(1-67)
により
(1-73)F |
å |α| |
(α)( |
,F ñ |
これは
(1-74)F |
å |α| |
,F ñ α ! |
( |
となっていることを意味します。
最後に偏微分方程式の基本解というものを定義します。超関数 f と、微分演算子 = - xii
¶/¶(D)
(1-75) P(D)u |
の超関数解 u を求める問題を考えます。特に = d(1-75)
に対する基本解とよんで E と書けば、
(1-76) P(D)E |
となります。基本解が一つ求まれば、E との畳み込みが定義できる任意の超関数 f に対して
(1-77)u |
と置けば、(1-42),(1-76),(1-55)
により、
(1-78) P(D)u |
となって、(1-75)
の一つの解(特殊解)が求まります。