本節では、楕円型偏微分方程式として、次の方程式:
(4-1) |
を考えます。ただし、D はn次元のLaplacian
で、方程式 (4-1)
をPoisson
方程式と呼びます。特に = 0(4-1)
をLaplace
方程式と呼び、その解を調和関数といいます。
さて、(4-1)
を空間変数に対してFourier
変換すれば、
(4-2) k² |
u (k) |
f (k) |
この解は原点に台を持つ超関数で、²F(k)
= 0
(4-3) k² |
G (k) |
(k)= 1 |
が成り立ちます。そこで、まず ³ 3-2 は R
n で局所可積分で Sn'
に属すので、(4-3)
の両辺を k²
で割ってFourier
逆変換すれば、
(4-4) G(x) |
(2p )n |
lim |
Rn |
eik·x |
dk |
一方、
(4-5) |
et = 0 |
k ² |
ですから、(4-4)
は、
(4-6) G(x) |
|
|||||||||||||
|
||||||||||||||
|
||||||||||||||
|
||||||||||||||
|
||||||||||||||
|
||||||||||||||
|
||||||||||||||
|
と書くことができます。ちなみに (4-6)
の右辺で形式的に = 1
(4-7) G(x) |
(r |
(r |
r |
| x | |
となりますが、
(4-8) G'(x) |
H( |
(4-9) |
(-x )- d (x) 2 |
(x) |
となるので、これは実際に = 1(4-1)
の基本解になっています。
次にに = 2
(4-10) |
GT (k) |
e-k ²T k ² |
( |
Te |
と置くと、
(4-11) |
GT , |
|
||||||||||
|
||||||||||||
この右辺の被積分関数について、評価式:
(4-12) | |
が成り立ちますから、(4-11)
は ® ¥(4-10)
により、
(4-13) k² |
GT (k) |
e |
ゆえに、(4-10)
のFourier
逆変換を GT と書けば、GT は、® ¥
(4-14) G(x) |
|
|||||||||||||||
|
||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
|
基本解に定数を加えても基本解ですから、ここから定数を除くことにより、 = 2- log r
/(2p)
■ 楕円型方程式の特殊解 ■ 楕円型方程式
で、それぞれ与えられる。特に、
また、基本解 G を用いると、方程式
で与えられる。 |
楕円型方程式の基本解はGreen
関数と呼ばれることがあります。
さて、Green
関数 (4-15),(4-16)
の一つの応用例として、半径 r のn次元球の表面積 Sn-1 を求めてみましょう。Gauss
の定理により、
(4-20) |
|
|||||||||
|
ただしここで、G 関数の性質:
(4-21) (n |
を使いました。ゆえに
(4-22)Sn |
/2rn G (n |
ちなみに、n次元球の体積を Vn と書くと、div
x = nGauss
の定理により、
(4-23)nVn |
|x| |
div x dV |
|x| |
x· dS |
|x| |
dS |
ゆえに
(4-24)Vn |
rSn n |
/2rn nG (n |
/2rn G (n |
および
(4-25)Sn |
dVnr |
が成り立ちます。
さてここで、楕円型偏微分方程式の一つとして、実定数 w ¹ 0Heaviside
方程式:
(4-26) ²u = - |
を考えます。E を双曲型方程式 (3-1)
の基本解とすると、
(4-27) |
²E ¶ ² |
(t) |
この式の両辺を t に関してFourier
変換すれば、
(4-28) |
E ( |
E ( (x) |
ゆえに、
(4-29) G |
E ( |
と置けば、G-w が方程式 (4-26)
の一つの基本解になります。(3-36)
によれば、n が奇数の場合、
(4-30) E(t, x) |
æ è |
2p |
¶ |
ö ø |
n 2 |
H(t |
これを t についてFourier
変換すれば、
(4-31) G |
|
||||||||||
|
|||||||||||
|
|||||||||||
|
w のかわりに - w
(4-32) G |
æ è |
2p |
¶ |
ö ø |
n 2 |
e iw r ±2 iw |
あるいはこの2つの平均をとって、実数値の基本解:
(4-33) GR |
G(x)+ G- (x) 2 |
æ è |
2p |
¶ |
ö ø |
n 2 |
sin( |
が得られます。特に、 = 3
(4-34) G |
e iw r 4pr |
さて、恒等式:
(4-35) div( )= Ñj ·Ñy + jDy - Ñy ·Ñj - yDj = jDy - yDj |
の両辺を滑らかな境界を持つ領域 Ω で積分して Gauss
の定理を使うと、
(4-36) |
( |
æ è |
¶ |
¶ |
ö ø |
dS |
という公式が得られます。これをGreen
の公式といいます。
ここでGreen
の公式の y にHeaviside
方程式 (4-26)
又はPoisson
方程式 (4-1)
の解を、j に同方程式の基本解を - x
(4-37) ²y = - |
(4-38)ただし ( y)= d (y - ) ) |
ですから、
(4-39)G ²G y - G f - yDG = ydx - |
となるので、(4-36)
から、
(4-40) |
G fdV |
æ è |
G | ¶ |
¶ |
ö ø |
dS |
という表示式が得られます。
特に、w = 0 = 0Laplace
方程式の場合、Ω を x を中心とする半径 r の球にとれば、
(4-41) |
|
|||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
という形になります。ただし Dy = 0(4-22)
を使いました。これを調和関数に対する平均値の定理といいます。
特に ® ¥0 に近づく調和関数は 0 しかないことがわかります。このことから、無限遠で 0 に近づく Poisson
方程式 (4-1)
の解は存在すれば一意的であることもわかります。
一方、解の存在については、例えば ³ 3(1-50)
によって、 * f0 に収束することがわかり、これが唯一の解になります。
なお、無限遠で 0 に近づくという条件を外し、解の一意性にこだわらなければ、Poisson
方程式 (4-1)
は、一般の領域 Ω における更に一般的な f に対しても解を持ちます。紛れを防ぐため、今までの超関数は必ず緩増加超関数とよび、R
n の領域 Ω を多様体とみなしたときの0次カレント( 「微分多様体」第13節参照。)を今後は Ω 上の超関数とよぶことにします。
Ω を R
n の領域、f を Ω 上の任意の超関数とします。jÎWoo(Ω)
DjÎWoo(Ω)
(4-40)
により
(4-42) |
GdV+ |
æ è |
G | ¶ |
¶ |
ö ø |
dS ( x |
が成り立ちます。従って、Dj = 0j は解析関数であり、しかも Ω の境界付近で恒等的に 0 ですから、j は実は Ω で恒等的に 0 です。
ゆえに、jÎWoo(Ω)
Dj- á f , jñ
次に連続性を調べるため、jjÎWoo(Ω)
DjjÌΩDjj ® 0 \
K¶Ω と共通点を持つと仮定しても一般性を失いません。
すると、 \
KDjj = 0 \
Kjj は \
Kjj は ¶Ω の近傍で恒等的に 0 ですから、 \
K0 になることがわかります。すなわち jj の台はすべて K に含まれています。
そこで、(4-42)
で Ω' を Ω に含まれ K を含む滑らかな境界を持つ有界領域とし、j に jj を代入すると、右辺第2項は消えるので、右辺第1項のみとなり、これは K で一様に 0 に収束します。
jj のかわりにその任意階の微分を代入すれば、同様にして jj の任意の微分が K で一様に 0 に収束することがわかります。これは、Woo(Ω)
jj ® 0Dj- á f , jñ
ゆえに、関数解析のハーン・バナッハの定理により、この写像は Woo(Ω)
(4-43) |
これは (4-1)
を意味していますから、これで任意の超関数 f に対し、Ω 上で (4-1)
を満たす超関数解 u が存在することが証明されました。
この節の最後に ただし、 が成り立っていなければなりません。そこで を満たすベクトル値超関数 M が存在します。そこで の解とすれば、
は、連立方程式 次に となるので、 畳み込み演算 ただし
実際にこれが また、 これと となって、確かに さらに ただし、 最後に、台がコンパクトな と書けますが、 と置くと、V' も なので = 3 の場合に対するHelmholtz
の定理について解説します。
r , J を、それぞれスカラー値、ベクトル値の超関数とし、ベクトル値超関数 V に関する次の連立方程式を考えます:
(4-44) div
V = r(4-45) rot
V = Jdiv rot
= 0(4-45)
の解が存在するためには、
(4-46) div
J = 0(4-46)
は成り立っているものと仮定します。超関数に対するポアンカレの補題(「微分多様体」第16節及び第20節 (20-40c)
参照 )により、
(4-47) J
M= rot y をPoisson
方程式
(4-48)
MDy = r - div
(4-49) V
= M + grad y(4-44),(4-45)
の解になることがわかります。
r , J の台がコンパクトな場合について、無限遠で 0 となる解の存在と一意性を確かめ、解の具体的な表示を求めてみましょう。(4-44),(4-45)
の解 V に - D
(4-50)
J- D V = - grad div V + rot rot V = - grad r + rot (4-41)
の直後に述べたPoisson
方程式の解の存在と一意性により、無限遠で 0 となる V は一意的に定まって、次の形を持つことがわかります。
(4-51)
V =1r
4p* (
- grad r + rot J )* と微分は可換ですから、これは 次のように変形できます。
(4-52) V
A= - grad j + rot
(4-53)
j =1r
4p* r =1
4pòR³
r
rdV'
(4-54) A
=1r
4p* J =1
4pòR³
J
rdV'
(4-44)
と (4-45)
を満たすことを確かめてみましょう。まず、div rot
= 0
(4-55) div V
= - div grad j = - D j = r(4-54)
と (4-46)
により、
(4-56) div
A =1r
4p* div
J = 0rot grad
= 0
(4-57) rot V
J= rot rot A = grad div A - D A = - D A = (4-44)
と (4-45)
の解になっていることがわかります。これを Helmholtz
の定理といいます。
- grad
jrot
A(4-53),(4-54)
により、
(4-58)
- grad j = - gradæ
è1r
4p* rö
ø= - grad
1r
4p* r =r
4pr³
* r =1
4pòR³
rr
r³
dV'
(4-59) rot A
= rotæ
è1r
4p* Jö
ø= grad
1r
4p´* J = -r
4pr³
´* J =1
4pòR³
J
´ r
r³
dV'
´*r , J に対する (4-44),(4-45)
が2乗可積分な解 V を持つ場合を考察します。(4-44),(4-45),(4-53),(4-54)
により、j と A のFourier
変換は
(4-60)
Ùj =
£
é
ë1r
4p* div
Vù
û= £é
ë1r
4pù
û£
[ div V ]
=1
k²
ik ·
Ù
V =
i
k
k²
·
Ù
V
(4-61)
Ù
A =
£
é
ë1r
4p* rot
Vù
û= £é
ë1r
4pù
û£
[ rot V ]
=1
k²
i
k ´ Ù
V =
i
k
k²
´ Ù
V
ik
/k²Fourier
変換は2乗可積分です。よってそれらの積は、可積分関数と2乗可積分関数の和になります。
したがって、それらのFourier
逆変換である j と A は、有界可測関数と2乗可積分関数の和となり、特に局所可積分な関数であることがわかります。
さて、これらの j , A を使って
(4-62) V'
A= - grad j + rot (4-44),(4-45)
を満たしますから、 - Vdiv
も rot
も共に 0 となり、したがって
(4-63)
D(V' - V ) = grad div (V' - V ) - rot rot (V' - V ) = 0 º V' - VD V" = 0Fourier
変換すれば
となり、これは、V" を
(4-64) k²
Ù
V" = 0
Fourier
変換したものが、原点のみに台を持つ、したがってデルタ関数の有限階の微分の線形結合であることを意味しますから、V" は多項式です。ところが V' も V も共に遠方では2乗可積分ですから V" も遠方で2乗可積分であり、そのような多項式は 0 しかありませんから、 = 0
これは、V が上記の j , A により (4-52)
で表わされることを意味しています。