本節では、変数係数偏微分方程式の解の滑らかさについて論じます。
通常の微分作用素 P の場合、いわゆる局所性 supp Pu
uÌ supp
(6-1) sing.supp u |
で定義すると、階数下降度が正であるような任意の擬微分作用素 (x, D)
(6-2) sing.supp P(x, D)u |
となることが証明できます。その証明ですが、(6-2)
を示すには
(6-2)' sing.supp P(x, D)u |
が証明できれば十分であることに注意します。
実際、o
uÏ sing.supp o
o
1 となる滑らかな関数 j をとると、ju(x, D)(
ju)
一方、o
uÏ supp (1 - j)(6-2)'
が成り立つという仮定により o
Ï sing.supp P(x, D){(1 - j)u}(x, D){(
1 - j)u}o
以上の結果を合わせると、(x, D)
uo
o
uÏ sing.supp P(x, D)(6-2)
が証明されます。
さて、(6-2)'
を示すために、擬微分作用素を振動積分によって書き直してみましょう。
(6-3) P(x, D)v(x) |
|
|||||
|
||||||
|
さて、o
uÏ supp o
0 であるようなものを取り、o
Ì V Ì V Ì U
次に、原点で 1 となる急減少関数 c と、台が単位球に含まれる滑らかな関数 r を取り、re(x)
º e-n r(x
/e)ce(x)
º c(
ex)e = re * (
ce u)ee が十分小さければ e0 です。
さて、ÎWe(x
+ z) / | z |2k
(6-4) P(x, D)u |
|
||||
|
|||||
|
|||||
|
ここで k を - dk £ - n - 1(6-4)
最後の振動積分の被積分関数は可積分になるので、
(6-5) P(x, D)u |
Rn |
(x, y) uyn |
ただし、
(6-6) |
Rn |
( | y |
ei (x đz |
で、c はW と 0 の近傍で恒等的に 0 、 ³ dc(t)
³ 1
ここで任意に p , q , β を取り、k を 2k > p + | β |
+ m - 2kd £ - n - 1| α |
£ q
(6-7) |
C á y - x ñ2k |
Rn |
|β|á x ñl (β)á ζ ñm-2kd đz1¼ đzn £ |
(β) á y ñ2k-p |
Rn |
|β|+m-2kd đz1¼ đzn £ C"á x ñ2k+l (β) |
すなわち任意のコンパクト集合 K に対し、{
j(β,0)(x, · ) | xÎK }(6-5)
に ¶β/¶xβe ¯ 0
(6-8) |
¶ |
P(x, D)u(x) (β,u ñ |
は x に対してコンパクト集合上有界となり、これは W で (x, D)
uo
uÏ sing.supp P(x, D)(6-2)'
は証明されました。
なお、階数下降度が正という仮定は本質的で、例えば (x, ξ )
º ei a·ξ0 の表象ですが、(x, D)u(x)
= u(x + a)(6-2)
が成り立たないことは明らかです。
次に、(x, ξ )
(6-2)
の逆が言えることを示しましょう。
U を R
n ´ R
no
(6-9a) a' | ξ |m' |
(6-9b) | Po(α,β)(x, ξ ) | |
(6-9c) | P' (α,β)(x, ξ ) | |
ただし a' と d は正の定数とします。
この (6-9)
が満たされると、定数を変更して、o
= P = 0(6-9c)
で = β = 00r,
0 -d £ 1/2| ξ |
³ r2 | P'(x, ξ ) |
£ | Po(x, ξ ) |
(6-10) | Po(x, ξ ) | |
となるので、(6-9a)
の第2辺と (6-9b),(6-9c)
の右辺の o
(6-9b)
と (6-9c)
を辺々加えれば、(6-9b)
で o
(6-11a) a' | ξ |m' |
(6-11b) | P (α,β)(x, ξ ) | |
が成り立っているものと仮定します。
さて、 Ì Uj を V の近傍で恒等的に 1 となり、台がコンパクトな U で定義された滑らかな関数とすれば、j(x, ξ )
º j(x)P(x, ξ )d の表象になります。
次に、長さ r 以下のところでで 0 、長さ + 11 となる滑らかな関数 c を用いて
(6-12) Q(x, ξ ) |
(x) |
と定義します。一般に、帰納法で
(6-13) Q (α,β)(x, ξ ) |
å κ+μ1+¼+μk=α |
å λ+ν1+¼+νk=β |
Cκ,λ;μ,ν |
(κ)(x) |
P(μ |
P(μk,νk)(x, ξ ) |
となることがわかるので、 ¹ 0c(λ)(ξ )
(6-11)
を用いれば、(x, ξ )
- m'd の表象になっていることがわかります。
そこで、自然数 N を、 - m' £ dN(5-27)
の展開式:
(6-14) (Q #P |
å |α| |
( α ! |
Q( |
において R は階数 - d
(6-15) Q ( |
å λ+ν1+¼+νk=α |
Cλ;ν |
P(α, |
P( |
P( |
で、
(6-16) |
¶ |
¶ |
{Q ( |
å κ+μ0+μ1+¼+μk=β |
å λ+ν0+ν1+¼+νk=α+γ |
Cκ,λ;μ,ν |
P(α |
P(μ |
P(μk,νk)(x, ξ ) |
ですから、(x, ξ )
º Q (0,α)(x, ξ ) Pj(α,0)(x, ξ )- d | α |
0 = Q(x, ξ ) P
j(x, ξ ) = j(x)² c(ξ )
(6-17) (Q #P |
å 1£ |α|£ |
( α ! |
Rα(x, ξ ) |
となり、1 - c(ξ )
(6-17)
の右辺を (x, ξ )
- d(6-17)
の表象を持つ擬微分作用素を考えると、
(6-18) Q(x, D)P |
となります。
さて、任意の ÎS'nj(x, D)
uj の取り方によりませんから、U 上の超関数 ÎD'(U)
j(x, D)
u(x, D)
u
(6-19) f |
Rn |
ei x·ξ P(x, ξ ) |
u (ξ ) |
đ |
と書くことにします。このとき、(6-2)
と逆向きの関係:
(6-20) sing.supp P(x, D)u |
が成り立つ、いいかえると = P(x, D)
u
ところで (6-20)
を証明するには、台がコンパクトで U に含まれる u に対し、j(x, D)
u
(6-21) ( u |
ということを証明すれば十分です。ただし記号 (Ω)
(Ω)
実際、任意の o
uÏsing.supp P(x, D)o
Ì W Ì W Ì U º P(x, D)
ujÎE(W )
1 となるように取り、yÎE(U )
1 となるように取ります。このとき
(6-22) P |
となりますが、右辺第1項 jfsupp P
j(x, D)( · ) Ì W Ç supp {(
1 - y)u} = Æj(6-2)'
を適用すれば Ç sing.supp
Pj(x, D){(
1 - y)u} = Æsing.supp P
j(x, D){(1 - y)u} = Æ(6-22)
右辺第2項が滑らかであることを意味しています。
よって (6-22)
の左辺は滑らかなので、(6-21)
を仮定すれば yuy は V 上 1 ですから、これは u が o
o
uÏsing.supp
以上で、(6-20)
を証明するには (6-21)
が証明できればよいことがわかりました。
さて、(6-21)
の証明ですが、任意に ÎE'(U)
(6-23) | |
が成り立ちます。ただし
(6-24) || |
x |
| |
です。特に j(x)
= e-i x·ξFourier
変換となる緩増加関数を与え、
(6-25) | |
u (ξ ) |
|q |
が成り立ちます。そこで、任意に与えた自然数 p に対し、自然数 k を d ³ p + q + n + 1(6-18)
を
(6-26) |
と書き直して、この両辺を k 乗すれば、
(6-27)k |
ただし (x, D)
(x, D)
j(x, D)
(x, D)
(x, D)
(x, D)
1 - j(x)²
(6-28) uku |
まず右辺第1項を考えます。j(x, D)
u(6-2)'
により特異台が supp
u Ì U(x, D)
(6-2)
により至るところ滑らかです。
次に右辺第2項を考えます。{
u1 - j(x)²}Hi(x, D)0 ですから、それに階数下降率が正、又は V で恒等的に 0 であるような擬微分作用素を施したものは、(6-2)
により V で滑らかです。ゆえにそれらの総和である右辺第2項は V で滑らかです。
最後に右辺第3項を考えます。この擬微分作用素を (x, D)
kº (-1)k R'(x, D)(x, ξ )
(x, D)
- dd ですから、
(6-29) | Rk (α, |
Cα |
また、
(6-30) |
¶ |
Rk(x, D)u(x) |
å μ+ν=α |
Cμ,ν |
Rn |
ei x·ξ ξ μ Rk(ν, |
u (ξ ) |
đ |
ですから、| α |
£ p(6-25),(6-29),(6-30)
により
(6-31) |
½ ½ ½ |
¶ |
Rk(x, D)u(x) |
½ ½ ½ |
Rn |
á ξ ñp+q+n+1 |
đ |
すなわち p 階以下の微分がすべて有界な関数です。
ゆえに、(6-28)
の右辺、従って u は、V において p 階以下の微分がすべて任意のコンパクト集合上有界な関数であることがわかります。p は任意ですから、これは u が V で滑らかであることを示しています。以上で (6-21)
が、従って (6-20)
が証明されました。
最後に、以上の結果の応用として、変数係数の楕円型と放物型の微分作用素について (6-20)
が成り立つことを証明します。
R
n
(6-32)P |
n i ,j=1 |
aij(x) |
² |
n i=1 |
bi(x) |
|
(x) |
と書け、更に
(6-33) ξ |
を満たすとき、楕円型微分作用素といいます。
(1-6a)
により ¶u/¶xiFourier
変換は、u のFourier
変換に i
xi
(6-34) P(x, ξ ) |
n i ,j=1 |
aij(x) |
n i=1 |
bi(x) |
と置いたとき、P に台がコンパクトな j を左から乗じたものは、階数 2 、階数下降度 1 の表象 j(x, ξ )
(6-35a) Po(x, ξ ) |
n i ,j=1 |
aij(x) |
(6-35b) P'(x, ξ ) |
n i=1 |
bi(x) |
と置くとき、U の任意の相対コンパクト集合 U' において = m' = 2d = 1(6-9)
が成り立つことを確かめましょう。まず、
(6-36a) |
|
n i ,j=1 |
aij(x) |
(6-36b) |
|
n i ,j=1 |
aij(x) |
と置くと、両者ともコンパクト集合である単位球面上の上限と下限なので、実は最大値と最小値です。従って、いずれの左辺も正値であり、かつ x の連続関数です。よって
(6-37a) |
(6-37b) |
と置くと、いずれも正値で、すべての ÎU'ÎR
n
(6-38) |
n i ,j=1 |
aij(x) | ξ |² |
が成り立ちます。よって ³ 0 = m' = 2(6-9a)
が成り立つことがわかります。
また、すべての ÎU'| ξ |
³ 1ÎR
n
(6-39a) | Po(α,β)(x, ξ ) | |
(6-39b) | P' (α,β)(x, ξ ) | |
が成り立ちますから、 = d = 1(6-39)
と (6-9a)
により、(6-9b),(6-9c)
が成り立つこともわかります。以上で (6-9)
が成り立ち、楕円型微分作用素について (6-20)
が成り立つことが証明されました。
次は放物型です。R
の開区間 I と R
n ´ U ´ U
(6-40)P |
¶ |
n i ,j=1 |
aij(t, x) |
² |
n i=1 |
bi(t, x) |
|
(t, x) |
と書け、更に (t, x)
(
t, ξ )
(6-41) P(t, x ; |
n i ,j=1 |
aij(t, x) |
n i=1 |
bi(t, x) |
と置いたとき、P に台がコンパクトな j を左から乗じたものは、階数 2 、階数下降度 1 の表象 j(x, ξ )
(6-42a) Po(x, ξ ) |
n i ,j=1 |
aij(t, x) |
(6-42b) P'(x, ξ ) |
n i=1 |
bi(t, x) |
と置くとき、I に含まれる任意の閉区間 J と U の任意の相対コンパクト集合 U' に対し、 ´ U' = 2 = 1d = 1/2(6-9)
が成り立つことを確かめましょう。
まず最初に (6-38)
により、
(6-43) |
また、max { |
t |, | ξ | } ³ 1| ξ |
³ 1| ξ |
£ 1|
t | ³ 1
(6-44a) | ( |
また、max { |
t |, | ξ | } ³ 1|
t | ³ 1|
t | £ 1| ξ |
³ 1
(6-44b) C ( |
ですから、max
ノルムと2乗ノルムの同値性と (6-43),(6-44)
により、r をうまく選べば = 2 = 1(6-9a)
が成り立つことがわかります。
また、すべての ÎJÎU'tÎR
ÎR
n
(6-45a) | Po(α,β)(t, x ; |
(6-45b) | P' (α,β)(t, x ; |
が成り立ちます。したがって d = 1/2max { |
t |, | ξ | } ³ 1(6-9b),(6-9c)
を示す(ただし (6-9b)
で | β |
= 0
(6-46a) | ξ | |
(6-46b) |
あるいは (6-43)
により
(6-47a) | ξ | |
(6-47b) |
を証明すれば十分です。そこでこれらを2乗した形の
(6-48a) |
(6-48b) |
が成り立つことを示しましょう。場合分けによることにし、まず | ξ |
³ 1
(6-49a) |
(6-49b) |
ですから成り立ち、| ξ |
£ 1|
t | ³ 1
(6-50a) |
(6-50b) |
となって証明されました。以上で (6-9)
が成り立つことがわかり、放物型微分作用素についても (6-20)
が成り立つことが証明されました。