偏微分方程式


11.解の存在と一意性

 本節では、最初に前節 (10-30) で定義した U を使って、] s, T [ ´ Ω で、ある b > 0 に対するHölder連続性:

(11-1)  |  f(t, x) - f(t, y) | £ C d(x, y)b

を満たす f に対して

(11-2)  u(t, x) º ò  t 
  dr
s 
òΩ U(t, x ; r, y) f(r, y) drVy

と置くとき、u が初期値境界値問題:

(11-3a)  Lu = f       in  ] s, T [ ´ Ω

(11-3b)  Bu = 0       on  ] s, T [ ´ ¶Ω

(11-3c)  u(s, · ) = 0       in  Ω

の解になっていることを確かめます。まず (10-30) により

(11-4)  u(t, x)
= ò  t 
  dr
s 
òΩ H(t, x ; r, y) f(r, y) drVy - ò  t 
  dt
s 
òΩ H(t, x ; t, z) dtVz ò  t 
  dr
s 
òΩ K(t, z ; r, y) f(r, y) drVy

= ò  t 
  dr
s 
òΩ H(t, x ; r, y){ f(r, y) - p(r, y)}drVy

 ただし

(11-5)  p(r, y) º ò  r 
  dt
s 
òΩ K(r, y ; t, z) f(t, z) dtVz

です。(11-1) により f は有界ですから、(10-24),(10-7a) により

(11-6)  | p(r, y) | £ ò  r 
  dt
s 
òΩ | K(r, y ; t, z) f(t, z) | dtVz £ C ò  r 
  dt
s 
òΩ { (r - t)-1/2 El(r, y ; t, z) + (r - t)m }dtVz £ C' ò  r
  (r - t)-1/2 dt £ C"
s 

 また (10-29) により

(11-7)  | p(r, x) - p(r, y) |
£ ò  r 
  dt
s 
òΩ | K(r, x ; t, z) - K(r, y ; t, z) | | f(t, z) | dtVz

£ C ò  r 
  dt
s 
òΩ Ö______
d(x, y)

 
é
ë
(r - t)-3/4 { El(r, x ; t, z) + El(r, y ; t, z) } + (r - t)m ù
û
dtVz 

£ C' Ö______
d(x, y)

 
ò  r
  (r - t)-3/4 dt
s 

£ C" Ö______
d(x, y)

 

ですから、q º f + pb' º min {b, 1/2} > 0 に対してHölder連続で、特に有界です。従って

(11-8a)  | q(r, x) | £ C

(11-8b)  ò  t 
  dr
s 
òU (t - r)-n/2 - a exp( - k"| ξ |² ) | q(r, y) | drVy £ C ò  t
  (t - r)- a dr = C' (t - s)1-a         ( a = 0, 1/2 )
s 

(11-8c)  ò  t 
  dr
s 
òU (t - r)-n/2 -1 exp( - k"| ξ |² ) | q(r, y) - q(r, x) | drVy
£ C ò  t 
  dr
s 
òU (t - r)-n/2 -1 exp( - k"| ξ |² ) | y - x |b' drVy

£ C' ò  t 
  dr
s 
òU (t - r)-n/2 -1 + b'/2 exp( - k"| ξ |² ) | ξ |b' drVy

£ C" ò  t 
  dr
s 
òU (t - r)-n/2 -1 + b'/2 exp( - k'"| ξ |² ) drVy         ( 0 < k'" < k" )

£ C'" ò  t
  (t - r)-1 + b'/2dr
s 

£ C''"

が成り立ち、これは Λ(t, x) をある定数と置いたときの (8-20)(8-27) が成り立つことを意味しています。

 ゆえに (8-44)(9-19) により、uÎF (s, t ; Ω) がわかり、特に (11-4)t = s と置けば (11-3c) が、(8-44b)(10-3) により (11-3b) が得られます。

 更に、(10-39) により J * K + K = J ですから

(11-9)  Lu(t, x)
=  
å

iÎI
L ò  t 
  dr
s 
ò


Ui
Hi(t, x ; r, y){ f(r, y) - p(r, y)}drVy

=  
å

iÎI
ò  t 
  dr
s 
ò


Ui
Ji(t, x ; r, y){ f(r, y) - p(r, y)}drVy +  
å

iÎI
hi(x)²{ f(r, y) - p(r, y)}

= ò  t 
  dr
s 
òΩ J(t, x ; r, y){ f(r, y) - p(r, y)}drVy +  f(t, x) - p(t, x)

= ò  t 
  dr
s 
òΩ (J - J * K - K )(t, x ; r, y) f(r, y) drVy +  f(t, x)

=  f(t, x)

となって (11-3a) が成り立ち、(11-2)u が初期値境界値問題 (11-3) の解であることがわかりました。

 さて、以上の結果から直ちに基本解の一意性が証明できます。
 実際、U1 , U2 を共に初期値境界値問題 (7-3) の基本解とし、] s, T [ ´ Ω にコンパクトな台を持つ滑らかな任意の f を取ります。このとき f は明らかにHölder連続性 (11-1) を満たすので、u(11-2) で定義すれば、u(11-3) を満たすので、基本解の定義 (7-38) により

(11-10)  ò  t 
  dr
s 
òΩ U1(t, x ; r, y) f(r, y) drVy = u(t, x) = ò  t 
  dr
s 
òΩ U2(t, x ; r, y) f(r, y) drVy

が成り立ちます。f は任意ですから、U1(t, x ; r, y) = U2(t, x ; r, y) すなわち基本解の一意性が得られます。

 さて、(7-3) の共役問題 (7-6) で、- t を改めて t とみなすと、(各係数は当然 (7-3) と異なりますが)通常の初期値境界値問題になるので、今までの議論がこの共役問題についても成立します。

 ゆえに (10-40),(10-43),(10-45) に対応して、0 £ s < t £ T で定義され、

(11-11a)  L*s, yU*(t, x ; s, y) = 0

(11-11b)  B*s, yU*(t, x ; s, y) = 0

(11-11c)  òΩ U*(t, x ; s, y) v(t, x) dtVx ® v(t, y)         ( s < t  ;  s, t ® t )

を満たす U*(t, x ; s, y) が存在し、(11-1)~(11-3) に対応して、(11-1)Hölder連続性を満たす任意の g に対して

(11-12)  v(s, y) º ò  t 
  dr
s 
òΩ U*(r, x ; s, y) g(r, x) drVx

と置くとき、v は共役問題:

(11-13a)  L*v = g       in  ] 0, t [ ´ Ω

(11-13b)  B*v = 0       on  ] 0, t [ ´ ¶Ω

(11-13c)  v(t, · ) = 0       in  Ω

の解になります。このとき

(11-14)  U*(t, x ; s, y) = U(t, x ; s, y)*

が成り立ちます。実際、fg] s, t [ ´ Ω にコンパクトな台を持つ滑らかな関数とし、u(11-2) で、v(11-12) で定義すると、u, vÎF (s, t ; Ω) で、uv はそれぞれ (11-3)(11-13) の解です。よって (7-13) により、

(11-15)  ò  t 
  dr
s 
òΩ g* u drV = ò  t 
  dr
s 
òΩ v* f drV

が成り立ちます。これに (11-2),(11-12) を代入して変形すれば

(11-16)  òò         dr dt 
s < r < t < t
òò Ω ´ Ω g(t, x)* {U(t, x ; r, y) - U*(t, x ; r, y)*} f(r, y) dtVx drVy = 0

となりますが、fg の任意性により、被積分関数の { } の中は 0 、すなわち (11-14) が成り立つことがわかります。

 さて、(7-37) を満たす任意の uÎF (s, t ; Ω)] s, t [ を取り、v(r, y) º U*(t, x ; r, y) と置くと、(11-11b) により B*v = 0 が成り立つので (7-11) が成り立ち、更に (7-37a) により (7-11) の右辺各項は 0 となり、したがって (7-9) の右辺第2項は消えますが、(7-37b) により (7-9) の左辺第2項も消えます。更に (11-11a) により L*v = 0 が成り立つことから、(7-9)

(11-17)  òΩ v(t, · )* u(t, · ) dtV = ò  t 
  dr
s 
òΩ v* Lu drV

となります。一方、(11-14) により v(t, y)* = U(t, x ; t, y) であり、(7-37a) により S1u = 0 ですから、(11-17)t ® t とすれば、(10-45) により左辺は u(t, x) に収束し、右辺は t = t としたものに収束するので (7-38) が得られ、U は初期値境界値問題 (7-3) の基本解であることがわかり、これで基本解の存在と一意性が証明されました。
 このことから双対的に、U* が共役問題の唯一の基本解であることがわかり、(7-38) に対応する式として

(11-18a)  B*v = 0       on  ] s, t [ ´ ¶Ω

(11-18b)  v(t, · ) = 0       in  Ω

を満たす任意の vÎF (s, t ; Ω) に対して

(11-19)  ò  t 
  dr
s 
òΩ L*v(r, x) U*(r, x ; s, y) drVx = v(s, y)

が成り立つことがわかります。

 次に、初期値境界値問題 (7-3)弱解の存在と一意性について考えます。

 まず弱解の一意性ですが、] s, T [ ´ Ω で可積分な u が、可積分な f , j , uo に対する初期値境界値問題 (7-3) の弱解であるとします。
 ] s, T [ ´ Ω でコンパクトな台を持つ任意の滑らかな関数 g に対し、v(11-12) で定義すると、v(11-13b),(11-13c) を満たすので、弱解の定義により、(7-14) すなわち

(11-20)  ò  t 
  dt
s 
òΩ (L*v)* u dtV = ò  t 
  dr
s 
òΩ  f v* drV + òΩ uov(s, · )* dsV - ò  t 
  dr
s 
ò


S1
j  ¶v*
—–
 ¶n
drS + ò  t 
  dr
s 
ò


S2
jv* drS

が成り立ちます。ここに (11-12),(11-13a),(11-14) を代入すれば、

(11-21)  ò  t 
  dt
s 
òΩ g(t, x)* u(t, x) dtVx

= ò  t 
  dr
s 
òΩ  f(r, y) drVy ò  t 
  dt
r 
òΩ U(t, x ; r, y) g(t, x)* dtVx + òΩ uo(s, y) dsVy ò  t 
  dt
s 
òΩ U(t, x ; s, y) g(t, x)* dtVx

          - ò  t 
  dr
s 
ò


S1
 j(r, y) drSy ò  t 
  dt
r 
òΩ U(t, x ; r, y)
—————–
 ¶ny
g(t, x)* dtVx + ò  t 
  dr
s 
ò


S2
 j(r, y) drSy ò  t 
  dt
r 
òΩ U(t, x ; r, y) g(t, x)* dtVx

= ò  t 
  dt
s 
òΩ g(t, x)* dtVx ì
í
î
ò  t 
  dr
s 
òΩ U(t, x ; r, y) f(r, y) drVy + òΩ U(t, x ; s, y) uo(s, y) dsVy ü
ý
þ

          + ò  t 
  dt
s 
òΩ g(t, x)* dtVx ì
í
î
- ò  t 
  dr
s 
òΩ U(t, x ; r, y)
—————–
 ¶ny
j(r, y) drSy + ò  t 
  dr
s 
òΩ U(t, x ; r, y) j(r, y) drVy ü
ý
þ

となり、g は任意ですから、次の主張のうち、弱解 u存在すればそれが (11-22) の表示を持つことが、したがって特に解の一意性が得られます:


■ 放物型初期値境界値問題の解 ■

 1 £ p £ ¥ に対し、p乗可積分な uo , f , j に対する初期値境界値問題 (7-3) の弱解 u はただ一つ存在し、

(11-22)  u(t, x)
= òΩ U(t, x ; s, y) uo( y) dsVy + ò  t 
  dr
s 
òΩ U(t, x ; r, y) f(r, y) drVy

            - ò  t 
  dr
s 
ò


S1
U(t, x ; r, y)
—————–
 ¶ny
j(r, y) drSy + ò  t 
  dr
s 
ò


S2
U(t, x ; r, y) j(r, y) drSy

で与えられ、up乗可積分である。



 逆に、任意に与えられた p乗可積分な uo , f , j に対し、(11-22) の右辺の各積分は存在し、u(11-22) で定義すると、これは初期値境界値問題 (7-3) の弱解になり、( uof , j )u を対応させる線形写像は Lp ノルムで連続になることを証明しましょう。

 まず一般論として、測度空間 (X, m)(Y, n) および X ´ Y 上の可測関数(積分核) K(x, y) が与えられ、

(11-23)  òX | K(x, y) | m(dx) , òY | K(x, y) | n(dy) £ C

が成り立てば、uÎLp(Y ) に対して

(11-24)  Tu(x) = òY K(x, y)u( y)n(dy)

と置くと、TLp(Y ) から Lp(X) への連続線型作用素で、

(11-25)  || Tu ||Lp £ C || u ||Lp

となることに注意します。実際、p = 1 のときは

(11-26)  || Tu || £ òY | K(x, y) | m(dx) òY | u( y) | n(dy) £ C || u ||

 また p = ¥ のときは

(11-27)  || Tu ||L¥ £ || u ||L¥  
sup

xÎX
òY | K(x, y) | n(dy) £ C || u ||L¥

 また 1 < p < ¥ のときは、1/p + 1/q = 1 となる q を取ると、Hölderの不等式により

(11-28)  | Tu(x) | £ òY | K(x, y) |1/q+1/p | u( y) | n(dy) £ ì
í
î
òY | K(x, y) |q/q n(dy) ü
ý
þ
1/q ì
í
î
òY | K(x, y) |p/p | u( y) |p n(dy) ü
ý
þ
1/p

となりますが、右辺第1因子に (11-23) を用い、両辺を p乗して x で積分すれば、

(11-29)  òX | Tu(x) |p m(dx) £ C p/q òX m(dx) òY | K(x, y) | | u( y) |p n(dy) = C p/q òY | u( y) |p n(dy) òX | K(x, y) | m(dx) £ C p/q + 1 || u ||  p
Lp
= C p || u ||  p
Lp

となるので両辺の p乗根を取れば (11-25) が得られます。

 さて、(10-41a)(10-7a) により、| U(t, x ; r, y) |x 又は y に関する Ω 上の積分は有界なので (11-22) 右辺の第1項と第2項の積分核は、(t, x) に関する積分も、y 単独あるいは (r, y) に関する積分も共に有界で、(11-23) が成り立ちます。なお、(11-22) 右辺第4項の積分核の (t, x) に関する積分も有界です。
 また、同じく (10-41a)(10-7a) により、| U(r, x ; s, y)nx |(t, x) に関する積分も有界ですから、この結果を共役問題の基本解に適用して (11-14) に注意すれば、(11-22) 右辺第3項の積分核の (r, y) に関する積分も有界です。
 また、(10-30),(9-14a),(10-7a),(10-24) により

(11-30a)  ò  t 
  dr
s 
ò


S2
| U(r, x ; s, y) | drSx £ ò  t 
  dr
s 
ò


S2
| H(r, x ; s, y) | drSx + ò  t 
  dt
s 
òΩ | K(t, z ; s, y) | dtVz ò  t 
  dr

t 
ò


S2
| H(r, x ; t, z) | drSx

も有界で、この結果を共役問題の基本解に適用すれば、(11-14) により

(11-30b)  ò  t 
  dr
s 
ò


S2
| U(t, x ; r, y) | drSy £ C

となるので、(11-22) の右辺第4項の積分核の (r, y) に関する積分は有界です。
 同様に (10-30),(9-14b),(10-7a),(10-24) により

(11-31a)  ò  t 
  dr
s 
ò


S1
½
½
½
U(r, x ; s, y)
—————–
 ¶nx
½
½
½
drSx  £ ò  t 
  dr
s 
ò


S1
½
½
½
H(r, x ; s, y)
—————
 ¶nx
½
½
½
drSx + ò  t 
  dt
s 
òΩ | K(t, z ; s, y) | dtVz ò  t 
  dr

t 
ò


S1
½
½
½
H(r, x ; t, z)
—————
 ¶nx
½
½
½
drSx 

も有界で、この結果を共役問題の基本解に適用すれば、(11-14) により

(11-31b)  ò  t 
  dr
s 
ò


S1
½
½
½
U(t, x ; r, y)
—————–
 ¶ny
½
½
½
drSy £ C

となるので (11-22) の右辺第3項の積分核の (r, y) に関する積分は有界です。
 以上で (11-22) 右辺に現れるすべての積分核について (11-23) が成り立つことがわかり、(11-22) の右辺の各積分が定義でき、この線形対応が Lp ノルムで連続であることがわかりました。

 さて、(11-18) を満たす任意の vÎF (s, t ; Ω) に対し、g º L*v と置いて、g*u] s, t [ ´ Ω で積分すると、(11-21) が成り立ち、(11-19)(11-14) を使うと (11-20) が得られ、これは u が初期値境界値問題 (7-3) の弱解であることを示しています。以上で (11-22) の主張はすべて証明されました。

 次に (2-25) に対応する式として、s < r < t のとき

(11-32)  U(t, x ; s, y) = òΩ U(t, x ; r, z) U(r, z ; s, y) drVz

が成り立つことを証明しましょう。そのために Ω にコンパクトな台を持つなめらかな任意の関数 uo を取り、s < r < t に対して

(11-33a)  v(t, x) º òΩ U(t, x ; s, y) uo( y) dsVy

(11-33b)  w(t, x) º òΩ U(t, x ; r, z) v(r, z) drVz

と置くと、解の表示公式 (11-22) により、v , w は共に

(11-34a)  Lu = 0       in  ] r, T [ ´ Ω

(11-34b)  Bu = 0       on  ] r, T [ ´ ¶Ω

(11-34c)  u(r, · ) = v(r, · )       in  Ω

の解になりますから、解の一意性により、t ³ r において v(t, · ) = w(t, · ) が成り立ちます。ゆえに

(11-35)  òΩ uo( y) dsVy òΩ U(t, x ; r, z) U(r, z ; s, y) drVz = òΩ U(t, x ; r, z) v(r, z) drVz = w(t, x) = v(t, x) = òΩ U(t, x ; s, y) uo( y) dsVy

となり、uo の任意性により (11-32) が得られます。

 さて、共役問題の基本解に対しても (10-41) の評価式が成り立つので、(11-14) により、2l + | β | £ 2 なら

(11-36)  ½
½
½
l+βU(t, x ; s, y)
——————–
sl
yβ
½
½
½
£ Cm { (t - s)-l- |β|/2 Emm(t, x ; s, y) + (t - s)m }

 また (11-32)r º (s + t)/2 と置けば、t - r = r - s = (t - s)/2 ですから、(10-41),(11-36),(11-32),(10-7) により、| α | + 2k £ 2 かつ | β | + 2l £ 2 のとき

(11-37)  ½
½
½
k+lα+βU(t, x ; s, y)
————————–
 ¶tkslxα
yβ
½
½
½
£ òΩ ½
½
½
kαU(t, x ; r, z)
———————
 ¶tk
xα
lβU(r, z ; s, y)
———————
 ¶sl
yβ
½
½
½
drVz 

£ C òΩ { (t - r)-k-|α|/2 El(t, x ; r, z) + (t - r)m }{ (r - s)-l-|β|/2 Em(r, z ; s, y) + (r - s)m }drVz

£ C' { (t - s)-k-l-|α|/2-|β|/2 En(t, x ; s, y) + (t - s)m' }

という評価が成り立ち、(11-37) の左辺の絶対値の中は、全変数について境界まで含めて連続です。

 この節の最後に、初期値境界値問題 (7-3) の弱解 (11-22) の滑らかさについて考察します。

 まず (11-22) の右辺第1項 u1 についてですが、(10-6) により、任意の e > 0 に対し、t - s ³ e のとき El(t, x ; s, y) は有界なので (10-41) の被積分関数は有界、したがって境界も含めて t に関する1階以下の微分又は x に関する2階以下の微分は連続です。ゆえに (10-45) により、Ω で連続かつ S1 上で 0 となる uo に対して u1ÎF(s, t ; Ω) であることがわかります。

 次に (11-22) の右辺第2項 u2 については、既にこの節の冒頭で確かめたように、fHölder連続なら u2ÎF(s, t ; Ω) です。
 しかも更に f が滑らかなら、] s, T [ ´ Ω で台がコンパクトかつ滑らかな任意の v に対して、u2uo , j0 と置いた (7-14) を満たす、すなわち

(11-38)  ò  T ' 
  dt
s 
òΩ (L*v)* u2 dtV = ò  T ' 
  dt
s 
òΩ v* f dtV

が成り立つので、これは超関数の微分の意味で (7-3a) が成り立つことを意味し、第6節の結果により、u2] s, T [ ´ Ω で滑らかであることがわかります。

 次に (11-22) の右辺第3項 u3 について考えます。(11-36) により、xÎΩ \ S1t の1階以下又は x の2階以下の微分が連続です。
 そこで S1 の近傍での連続性を調べるため、[s, T ] ´ S1 の近傍で 1[s, T ] ´ S2 の近傍で 0 となる滑らかな v' を取り、(11-22)f- Lv' を、uo- v'(s, · ) を、j0 をそれぞれ代入したときの uv" と書くと、今までの議論により v"ÎF(s, t ; Ω) ですから、v º v' + v" と置くと、vÎF(s, t ; Ω) であり、vfuo0 と置き、jv' と置いた (7-3) の弱解になり、(11-22) により殆ど至るところ

(11-39)  v(t, x) = - ò  t 
  dt
s 
ò


S1
U(t, x ; t, y)
—————–
 ¶ny
dtSy 

が成り立ちます。S1 の点の近傍 URn+ の開集合と同一視し、x º (x¹ ,¼, xn ) に対して x' º (x¹ ,¼, xn-1) と書き、VU に含まれる xoÎS1 の近傍とすると、(11-39)j(t, x' ) を乗じたものを u3 に辺々加えれば、

(11-40)  u3(t, x)
= j(t, x' ) v(t, x) + ò  t 
  dt
s 
ò


S1
U(t, x ; t, y)
—————–
 ¶ny
{j(t, x' ) - j(t, y)} dtSy

= j(t, x' ) v(t, x) + ò  t 
  dt
s 
ò


S1ÇV
U(t, x ; t, y)
—————–
 ¶ny
{j(t, x' ) - j(t, y)} dtSy + ò  t 
  dt
s 
ò


S1 \ V
U(t, x ; t, y)
—————–
 ¶ny
{j(t, x' ) - j(t, y)} dtSy

 ゆえに j連続なら、任意の e > 0 に対し、(11-31b) の積分の有界性により、V を十分小さくとれば、(11-40) の右辺第2項は e で押さえらます。
 また、更に閉包が V に含まれる xo の近傍 W を取ると、xÎW のとき、右辺第3項は t , x について連続で、しかも (10-43) により UxÎS1 のとき恒等的に 0 なので、それを y で微分しても 0 、よって、これらの積分は xÎS1 のとき 0 です。
 一方、v(t, xo) = 1 ですから、(11-40) により、u3S1j(xo) に一致し、Ω の境界を含めて連続で境界条件 (7-3b) を満たすことがわかります。

 最後に (11-22) の右辺第4項 u4 について考えます。今度は xÎΩ \ S2t の1階以下又は x の2階以下の微分が連続です。
 そこで S2 の近傍での微分可能性を調べるため、[s, T ] ´ S1 上で 1[s, T ] ´ S2 上で 0 と置いた関数 j から (11-24),(11-25) によって定義される u2w' と書き、(11-22)f- Lw' を、uo- w'(s, · ) を、j0 をそれぞれ代入したときの uw" と書くと、 今までの議論により w"ÎF(s, t ; Ω) ですから、w º w' + w" と置くと、wÎF(s, t ; Ω) であり、wfuo0 と置き、jS10S21 と置いたときの (7-3) の弱解になり、(11-22) により殆ど至るところ

(11-41)  w(t, x) = ò  t 
  dr
s 
ò


S2
U(t, x ; r, y) drSy

が成り立ちます。(11-41)j(t, x' ) を乗じたものを u4 に辺々加えれば、

(11-42a)  u4(t, x) = j(t, x' ) w(t, x) + ò  t 
  dr
s 
ò


S2
U(t, x ; r, y) {j(t, x' ) - j(r, y)} drSy

 また (11-41)xi で微分して j(t, x' ) を乗じたものを u4xi で微分したものに辺々加えれば、

(11-42b)  u4(t, x)
———–
 ¶xi
= j(t, x' ) w(t, x)
———
 ¶xi
+ ò  t 
  dr
s 
ò


S2
U(t, x ; r, y)
—————–
 ¶xi
{j(t, x' ) - j(r, y)} drSy

が得られますから、j がある g > 0 に対して tx に関するHölder連続性

(11-43)  | j(t, x) - j(r, y ) | £ C ( | x - y |g + | t - r |g/2 )

を満たせば、(10-41a) により、被積分関数は、0 < m' < m に対して

(11-44)  ½
½
½
U(t, x ; r, y)
—————–
 ¶xi
½
½
½
| j(t, x' ) - j(r, y) | £ C { (t - r)-1/2 Em(t, x ; r, y) + 1 }( | x - y |g + | t - r |g/2 ) £ C' (t - r)g/2-1/2 Em' (t, x ; r, y) + C'

と評価でき、その y に関する積分は (t - r)g/2-1 + 1 の定数倍で押さえられ、よってその r に関する積分は有界です。
 ゆえに u4 は、x に関する1階以下の微分が Ω の境界も含めて連続で、(10-43) により境界条件 (7-3b) を満たすことがわかります。

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