偏微分方程式


12.解作用素と解析半群

 1 £ p £ ¥ のとき、s < tuÎLp(Ω) に対し、Ω 上の関数 Utsu

(12-1)  Utsu(x) º òΩ U(t, x ; s, y) u( y) dsVy

で定義し、uUtsu を対応させる線形作用素 Uts を、方程式 (7-3)解作用素といいます。(11-25) により、解作用素は Lp(Ω) からそれ自身への連続線型作用素で、s < t において一様に有界:

(12-2)  || Utsu ||Lp £ C || u ||Lp       ( s < t )

で、C

(12-3)  || Uts ||p £ C = max ì
í
î
òΩ | U(t, x ; s, y) | dtVx , òΩ | U(t, x ; s, y) | dsVy ü
ý
þ

にとることができます。ただし左辺は Lp(Ω, dsV) から Lp(Ω, dtV) への作用素としての Uts の作用素ノルムです。
 また p = ¥ のときは、作用素ノルムについて

(12-4)  || Uts ||¥ = òΩ | U(t, x ; s, y) | dsVy

が成り立ちます。実際、(左辺)£(右辺)は明らかです。逆に、任意に選んで固定した x に対し、u( y) を、U(t, x ; s, y) = 0 のとき 0U(t, x ; s, y) ¹ 0 のとき U(t, x ; s, y)* / | U(t, x ; s, y) | と置けば、|| u ||L¥ = 1 で、

(12-5)  || Uts ||¥ ³ ½
½
½
òΩ U(t, x ; s, y) u( y) dsVy ½
½
½
= òΩ | U(t, x ; s, y) | dsVy

となるので、x の任意性により (12-4) の(左辺)³(右辺)が得られ、(12-4) は証明されました。

 さて、u が連続で、S1 上で 0 となるならば、Ussu º u と置くと、(10-45) により UtsuΩ で一様に

(12-6)  Utsu  ®  u       ( t ¯ s )

となり、t ³ s で連続になります。一般の uÎLp(Ω) ( 1 £ p < ¥ )に対しては、任意の e > 0 に対し、滑らかで台が Ω に含まれる v

(12-7)  || u - v ||Lp £ e

となるものが存在します。一方、(12-2) により

(12-8)  || Utsu - Utsv ||Lp £ C || u - v ||Lp £ Ce

 ゆえに (12-6)v に対して適用することにより、t - s < d  Þ  || Utsv - v ||Lp £ e となる d > 0 が取れるので、t - s < d のとき、

(12-9)  || Utsu - u ||Lp £ || Utsu - Utsv ||Lp + || Utsv - v ||Lp + || v - u ||Lp £ Ce + e + e

となりますから、これは、任意の uÎLp(Ω) に対して Lp(Ω) の位相で (12-6) が成り立つことを意味しています。また、(11-32) により

(12-10)  Utr Urs = Uts       ( s < r < t )

が成り立ちます。また、| α | + 2k £ 2 のとき、(10-41),(10-6) により

(12-11)  ½
½
½
kαUtsu(x)
—————
 ¶tkxα 
½
½
½
£ C òΩ { (t - s)-k-|α|/2 El(t, x ; s, y) + 1 } | u( y) | dsVy £ C' (t - s)-n/2-k-|α|/2 || u ||

という評価式が得られます。また (10-7a) により、この積分核に対して (11-23) が成り立つので (11-25) により

(12-12)  ||
||
||
||
||
kαUtsu
————
 ¶tkxα 
||
||
||
||
||


Lp
£ C (t - s)-k-|α|/2 || u ||Lp

が成り立ちます。

 さて、(12-11) により、s < t のとき UtsL¹(Ω) から C²(Ω) への連続写像ですから、Ascoli-Arzelà により、特に L¹(Ω) から C¹(Ω) へのコンパクト作用素であることがわかります。
 一方、C¹(Ω) ® C(Ω) ® Lp(Ω) ® L¹(Ω) の各埋め込みはいずれも連続ですから、XC¹(Ω) , C(Ω) , Lp(Ω) のいずれであっても、UtsX からそれ自身へのコンパクト作用素であることがわかります。

 さて (10-40) により、s < r < t なら

(12-13)  Utsu - Ursu
= òΩ { U(t, · ; s, y) - U(r, · ; s, y) }u( y) dsVy

= ò  t 
  dt
r 
òΩ U(t, · ; s, y)
—————–
 ¶t
u( y) dsVy

= ò  t 
  dt
r 
òΩ AtU(t, · ; s, y) u( y) dsVy

= ò  t 
   dt At
r
òΩ U(t, · ; s, y) u( y) dsVy

= ò  t
   AtUtsu dt
r

 ここで rt に、tt + h と書き換えると、0 < d < t - s のとき AtU(t, · ; s, y)(t, x, y)Î[t - d, t + d] ´ Ω ´ Ω で一様連続ですから、| h | £ d なら

(12-14)  ||
||
||
||
||
Ut+hsu - Utsu
——————
 h 
- AtUtsu ||
||
||
||
||


C(Ω)
£ 1
—–
 h
ò  t+h 
  dt
t 
òΩ || AtU(t, · ; s, y) - AtU(t, · ; s, y) ||C(Ω) | u( y) | dsVy

£  
sup
|t-t| £ d , yÎΩ
|| AtU(t, · ; s, y) - AtU(t, · ; s, y) ||C(Ω) || u ||L¹(Ω)

 ゆえに、L¹(Ω) から C(Ω) への演算子ノルムに対し、d ® 0 のとき

(12-15)  ||
||
||
||
||
Ut+hs - Uts
—————
 h 
- AtUts ||
||
||
||
||
£  
sup
|t-t| £ d , yÎΩ
|| AtU(t, · ; s, y) - AtU(t, · ; s, y) ||C(Ω)  ® 0

すなわち s < t のとき Utst に関して L¹(Ω) から C(Ω) への作用素ノルムに対して(従って XC¹(Ω) , C(Ω) , Lp(Ω) のいずれかとするとき X からそれ自身への作用素ノルムとしても)微分可能で

(12-16)  dUts
——
 d
t 
= AtUts

が成り立つことがわかります。ゆえに (12-12) により Lp(Ω) からそれ自身への作用素ノルムについて

(12-17)  ||
||
||
||
dUts
——
 d
t 
||
||
||
||


p
= || AtUts ||p £ C
——
 t - s

が成り立つことがわかります。

 さて、以下微分演算子 ABt によならい場合を考えることにします。このとき、任意の t ³ - t に対して Lt-t = Lt , Bt-t = Bt ですから、(7-37) を満たす uÎF (s, t ; Ω) に対して ut(t, x) º u(t - t, x) と置けば、t ³ - s のとき ut

(12-18a)  But = 0       on  ] s + t, t + t [ ´ ¶Ω

(12-18b)  ut(s + t, · ) = 0       in  Ω

(12-18c)  Lut = (Lu)t       on  ] s + t, t + t [ ´ Ω

を満たすので、基本解 U は、その定義 (7-38)st をそれぞれ s + tt + t に置き換えた式により

(12-19)  ò  t + t 
    dr
s + t 
òΩ U(t + t, x ; r, y) Lut(r, y) drVy = ut(t + t, x)

を満たしますが、(12-18c) により、(12-19) の左辺は

(12-20)  ò  t + t 
    dr
s + t 
òΩ U(t + t, x ; r, y) (Lu)t(r, y) drVy = ò  t + t 
    dr
s + t 
òΩ U(t + t, x ; r, y) Lu(r - t, y) drVy = ò  t 
  dr
s 
òΩ U(t + t, x ; r + t, y) Lu(r, y) drVy

と変形され、(12-19) の右辺は u(t, x) ですから、(7-38) と比較すれば、基本解の一意性により

(12-21)  U(t + t, x ; s + t, y) = U(t, x ; s, y)

が成り立ちます。ゆえに t = - s と置き、U(r, x ; 0, y)U(r ; x, y) と書くことにすれば、

(12-22)  U(t, x ; s, y) = U(t - s ; x, y)

が成り立ちます。そこで t ³ 0 に対して Ut º Ut0 と置けば、(12-22) により

(12-23)  Uts = Ut-s

が成り立つので、(12-10)

(12-24)  Us+t = UsUt       ( s, t > 0 )

が成り立ち、(12-6) から、C¹(Ω) , C(Ω) , Lp(Ω) のいずれにおいても

(12-25)  Ut u  ®  u       ( t ¯ 0 )

が成り立ちます。 Utst に関して L¹(Ω) から C(Ω) への作用素ノルムに対して(従って XC¹(Ω) , C(Ω) , Lp(Ω) のいずれかとするとき X からそれ自身への作用素ノルムとしても)微分可能で

(12-26)  dUt
——
 d
t
= AtUt

が成り立ち、Lp(Ω) からそれ自身への作用素ノルムについて、0 < t £ T のとき

(12-27)  ||
||
||
||
dUt
——
 d
t
||
||
||
||


p
= || AtUt ||p £  C
—–
 t

が成り立つことがわかります。これは { Ut | t > 0 }解析半群になることを意味しています。

 さて、微分演算子 A は、Ω の超関数に超関数を対応させる線形作用素として連続ですから、その位相でグラフは閉集合です。ゆえに XC¹(Ω) , C(Ω) , Lp(Ω) のいずれかとするとき、A のグラフを X ´ X に制限したものは、その位相で閉集合です。以下、A はこのように考えた場合の X 上の閉作用素とみなすことにします。これは、Ω にコンパクトな台を持つ滑らかな関数のみを定義域とする A の作用素としての閉包に他なりません。

 ところで (12-13)s = 0 と置いたものは、A = Att に依存しないので積分の外に出せて

(12-28)  Ut u - Ur u = A ò  t
   Ut u dt
r

 ここで r ¯ 0 とすると、(12-25) により

(12-29a)  Ut u - Ur u  ®  Ut u - u

(12-29b)  ò  t
   Ut u dt  ® 
r
ò  t
   Ut u
 dt
0

となりますが、A が閉作用素であることから、(12-29b) の右辺は A の定義域に属し、

(12-30)  Ut u - u = A ò  t
   Ut u
 dt
0

となります。ゆえに

(12-31)  Ut u - u
———–
 t 
= A æ
ç
è
1

 t
ò  t
   Ut u
 dt
0
ö
÷
ø

となりますが、

(12-32)  1

 t
ò  t
   Ut u
 dt  ®  u       ( t ¯ 0 )
0

ですから、uUt の生成作用素の定義域に属せば (12-31) の左辺は t ¯ 0 のとき収束し、A が閉作用素であることから、uA の定義域に属し、

(12-33)   
lim

t ¯ 0
Ut u - u
———–
 t 
= Au

となります。
 逆に Ω にコンパクトな台を持つ滑らかな任意の u に対し、t = 0 の近傍で恒等的に 1 となり、[ 0, T [ にコンパクトな台を持つ滑らかな実数値関数 c を用いて

(12-34)  v(t, x) º c(t) u(x) - ò  t 
  dr

0 
òΩ U(t, x ; r, y) Lr, y{c(r) u( y)} drVy

と置くと、(11-2),(11-3) により、v

(12-35a)  Lv = 0       in  ] 0, T [ ´ Ω

(12-35b)  Bv = 0       on  ] 0, T [ ´ ¶Ω

(12-35c)  v(0, · ) = u       in  Ω

を満たしますから、解の一意性により

(12-36)  v(t, · ) = Ut u

が成り立ちます。ゆえに t が十分 0 に近ければ、c(t) = 1 ですから、(12-34),(12-36) により

(12-37)  Ut u - u
———–
 t 
= - 1

 t
ò  t 
  dr

0 
òΩ U(t, x ; r, y) Lr, y{c(r) u( y)} drVy = 1

 t
ò  t 
  dr

0 
òΩ U(t, x ; r, y) Au( y) drVy = 1

 t
ò  t 
  Ut-r Au dr

0

となりますが、t ¯ 0 とすれば右辺は Au に収束するので、u{ Ut | t > 0 } の生成作用素の定義域に属すことがわかります。
 以上により、A は解析半群 { Ut | t > 0 } の生成作用素になっていることが証明されました。

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