相対性理論


0.時空と作用積分

 4次元Riemann多様体 M「微分多様体」第19節参照 )の各点 s に対し、M の計量 g が、L 上で正定値、L の直交補空間 L^ 上で負定値であるような1次元部分空間 L Ì TsM が存在するとき、M時空といいます。ただし TsMs における M の接空間(「微分多様体」第1節 (1-6) 参照 )です。

 M の任意の相対コンパクトで向きのついた領域 Ω において、いくつかの積分を考えます。まず

(G)  Sg(Ω) = - 1
——
 2k
c
òΩ R dW

と置いて、Einstein-Hilbert作用といいます。ここで R は時空のスカラー曲率(「微分多様体」第23節 (23-48) 参照 )、kc は、それぞれEinsteinの重力定数光速度とよばれる定数、dW は計量 g に伴う M の(4次元)体積要素(「微分多様体」第19節 (19-34) 参照 )です。スカラー曲率は計量 g のみの汎関数ですから、Sg(Ω)g のみの汎関数になります。

 次に、

(C)  Sc(Ω) = - l
—–
k
c
òΩ dW

という積分を考え、これを宇宙の作用とよびます。l宇宙定数と呼ばれる定数です。Sc(Ω)g だけの汎関数です。

 次に、時空上に1形式 aを考え、これを電磁ポテンシャルと呼びます。電磁ポテンシャルの外微分 da「微分多様体」第7節参照 )を電磁場といいます。電磁場とその共役微分形式 *da「微分多様体」第24節 (1-6) 参照 )から da ^ *da という量を作れば、これは4形式ですから、時空での積分:

(E)  Se(Ω) = 1
——
2m
c
òΩ da ^ *da

を考えることができます。これを電磁場の作用とよびます。m真空の透磁率と呼ばれる定数です。Se(Ω) は電磁ポテンシャル a の汎関数であることはもちろんですが、共役演算を通じて計量 g の汎関数にもなっています。

 次に、

(P)  Sp(Ω) = - c òΩ ho dΩ

と置いて、これを粒子の作用といいます。ho固有質量密度と呼ばれ、個々の粒子 i固有質量密度 hoi とよばれるスカラーにより、

(M)  ho = åi hoi

で定義され、粒子 i固有比速度 ui とよばれる“長さ”が 1 の4元ベクトル:

(U)  ui · ui º g(ui , ui) = 1

との間に連続の式:

(MC)  Div(hoiui) = 0

が成り立っているものとします。ここで Div は時空の計量に伴う4次元の発散(「微分多様体」第20節 (20-2) 参照 )、“ · ”はその計量に伴う内積(「微分多様体」第19節 (19-9) 参照 )を表わします。
 Sp(Ω) は、各 hoi と計量 g の汎関数ですが、hoi は、条件 (MC) を通じて各 ui と関係があるほか、ui 自身が (U) を通じて g とも関係しています。

 最後に、

(I)  Si(Ω) = òΩ a( j) dW

と置いて、これを粒子と電磁場の相互作用といいます。ここで、 j固有電流密度とよばれ、粒子 i固有電荷密度 roi と固有比速度 ui から

(J)  j = åi roiui 

で定義され、連続の式:

(JC)  Div(roiui) = 0

を満たしているものとします。
 Sp(Ω) は、各 roiui と電磁ポテンシャル a 、それに計量 g の汎関数ですが、roi は、条件 (JC) を通じて各 ui と関係があります。

 以上で5つの作用積分を定義したわけですが、これらの和をとり、

(A)  S(Ω) = Sg(Ω) + Sc(Ω) + Se(Ω) + Sp(Ω) + Si(Ω)

と置いて、これを一般相対性理論の作用といい、以下単に作用とよびます。
 作用は g , a , uihoi , roi の汎関数ですが、これらを (U),(MC),(JC) を満たすように変化させるという条件のもとで Ω の内部で任意に変化させたとき、作用が停留値をとる、すなわち

(D)  d S(Ω) = 0

が成り立つことを要請し(最小作用の原理)、この原理から導かれる理論を一般相対性理論といいます。

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