Lorentz座標
まず最初に時空 M の接空間 º TsM·
”で表わすことにします:
(1-1) u · v |
さて、
(1-2) u ·u |
を満たす ÎV
(1-3) Su |
を、u-
空間とよぶことにします。さて、V の任意の元 v は
(1-4) v |
と一意的に書けます。実際、(1-4)
のように書ければ、u との内積をとって
(1-5) u · v |
(1-6) v(u |
となるので一意性が成り立ちます。また逆に、vo
と 3)(1-5),(1-6)
によって定義すれば、
(1-7) u · v(u |
となるので 3)ÎSu(1-4)
の分解の存在も示されました。
さて時空の定義により、固有比速度 ÎVÎSu
(1-8) A²A |
と書き、A² の正の平方根 A を A の大きさということにします。さて、任意の ,
wÎV
(1-9) v · w |
が成り立ちます。ただし · w(
u3) = v(3) · = 0
(1-10) |
ここで
(1-11) |
と置きます。(1-10)
により = g ¹ 0
(1-12) β |
v( |
と置くことができますが、この β
を u から見た v の比速度とよび、これに光速度を乗じた º cβ
(1-10)
の両辺を g²
で割れば、
(1-13) |
v² |
が成り立ちます。この式から特に、比速度の大きさは 1 未満、速度の大きさは光速度未満であることがわかります。
以上の結論は、特定の固有比速度 u だけでなく、任意の固有比速度 v に対しても成り立つことを示すことができます。
まず、v-
空間 Sv で gs が負定値であることを証明します。もし負定値でないとすると、ある 0 でない ÎSv
(1-14) w ·w |
となります。v と w は1次独立ですから v と w の張る V の部分空間 L は2次元空間です。また、任意の実数 a, b に対し、
(1-15) (avw |
ですから、gs は L 上で非負です。ところが gs は Su 上負定値ですから、L と Su は 0 以外に共通元を持ちません。
ところが L は2次元、Su は1次元空間の直交補空間として3次元、V は4次元ですから L と Su は 0 でない共通元を持たなければならず、これは上記の結論と矛盾します。よって Sv 上 gs が負定値であることが証明されました。
以上により、Sv に属すベクトルの Sv における大きさや、v から見た固有比速度の比速度を定義することができ、その大きさはやはり 1 未満となることがわかります。
さて、
(1-16) VO |
(1-17) VT |
(1-18) VS |
と置いて、VO
を光錐、VT
の元を時間的ベクトル、VS
の元を空間的ベクトルとよびます。固有比速度は時間的ベクトルであり、逆に時間的ベクトルは、ある固有比速度の定数倍になっています。また、上で示したとおり、VT
のある元に直交する 0 でないベクトルは VS
に属します。
さて、2つの固有比速度 u, v については (1-10),(1-11)
により g = u · v ¹ 0T
の元に対しても
(1-19) u · v |
が成り立ちます。このことから、VT
上の関係 ·
v > 0T
上の同値関係になる、すなわち
(1-20) u, v, ww |
が成り立つことが証明できます。実際、もし u · w
£ 0 · v
v - u · w ³ u · > 0
(1-21) |
u· vw |
と置くと、0 < l £ 1
(1-22) u · { |
が成り立ちます。一方、
(1-23) {v |
ですから、これは
(1-24)v |
を意味するので、(1-22),(1-24)
は (1-19)
と矛盾します。これで (1-20)
は証明されました。
以上により、VT
は2つの同値類に分かれることがわかります。そこで、一方を未来錐とよんで T
+T
-
次にLorentz
座標について解説します。
固有比速度 u と、3個の互いに直交する大きさ 1 のベクトル ÎSu( i
=1, 2, 3 )ÎV
(1-25) ξe |
の成分からなる R
4(
x0, x¹, x², x³ )Lorentz
座標と言います。(1-25)
と直交性から
(1-26) ξ · η |
が成り立ちます。また、あるLorentz
座標から別のLorentz
座標への座標変換をLorentz
変換とよびます。定義から明らかに、Lorentz
変換は正則な線形変換であり、その全体は合成演算に対して群をなします。そこでこの群をLorentz
変換群とよびます。
ここで「電磁気学」第34節 (34-6)
の結果において、c を 1 に、v を β
にそれぞれ置き換えることにより、4次の正方行列 Λ がLorentz
変換であるための必要十分条件は、
(1-27) GGΛ |
を満たすことであることがわかります。ただし G は
(1-28)G |
æ ç ç è |
ö ÷ ÷ ø |
||||||||
で定義される4次の正方行列です。そして同節 (34-30)
〜(34-35)
により、Lorentz
変換 Λ の一般形は、長さが1未満の3次元列ベクトル β
の方向へのLorentz
変換
(1-29) Λβ |
æ ç è |
β |
ö ÷ ø |
|
β |
Γβ |
と、3次の直交行列 Y による空間部分のみを回転させるLorentz
変換
(1-30) Y( |
æ è |
| ö ø |
|
| Y |
により、
(1-31) Λ |
æ ç è |
βY |
ö ÷ ø |
|
β |
ΓβY |
と書けます。ただし g は β
から (1-13)
により定義され、Γβ
は
(1-32) Γβξ |
すなわち β
の方向に g 倍に引き伸ばす1次変換の行列です。ここで
(1-33)e |
æ ç ç è |
0 0 0 |
ö ÷ ÷ ø |
(1-34)e' |
æ è |
ö ø |
|
β |
と置けば
(1-35)e' |
となりますが、e と e' が、同じ4元ベクトルのそれぞれ v ,u を静止系とするLorentz
座標であるとすれば、
(1-36) ve |
ですから、b¹e
e1 + b²e2 + b³3β
は、u を静止系とするLorentz
座標で見た、v を静止系とするLorentz
座標の移動比速度です(このことを略して、β
は、u から見た v の比速度である、ということにします)。
特に、 = Λβ
(34-36)
により -1 = Λ- β
- β
Lorentz
変換を、対称なLorentz
変換とよぶことにしましょう。
この節の最後に速度の合成則を導いておきましょう。u から見た v の比速度を β
、v から見た w の比速度を β
' とするとき、u から見た w の比速度 β
" を β
と β
' で表わしてみましょう。ただし、いずれのLorentz
変換も、対称なLorentz
変換を選んでおくものとします。
w を静止系とするLorentz
座標を u を静止系とするLorentz
座標に変換するLorentz
変換(以下 ®u-
®v-
®u-
(1-37) ΛβΛβ' |
æ ç è |
β |
ö ÷ ø |
æ ç è |
β' |
ö ÷ ø |
æ ç è |
( |
β' ' |
ö ÷ ø |
|||
β |
Γβ |
β' |
Γβ' |
β' |
ββ' ' |
となります。ただし β·β
'β
,β
' の内積を表わします。ここで、この右辺を (1-31)
と比較すれば、β
" は、右辺の行列の左下成分を左上成分で除したもので与えられることがわかりますから、
(1-38) β" |
β |
β |
という比速度の加法公式が得られます。特に β
と β
' が平行な場合は
(1-39) Γββ'' |
ですから、(1-38)
は β
と β
' について対称な式:
(1-40) β" |
β |
になりますが、一般の場合は β
と β
' について必ずしも対称にならないのが相対論の特徴です。(1-40)
を比速度でなく速度で表せば、
(1-41)v" |
v · v' |
となります。