相対性理論


2.運動方程式

 本節では、各粒子 i に対する固有比速度の場 ui 、固有質量密度 hoi 、固有電荷密度 roi を、第0節の (U),(MC),(JC) を満たすように任意に変化させ、作用積分 S(Ω) が停留値をとるための条件を求めてみましょう。
 作用積分に第 i 粒子の uihoiroi が含まれているのは Sp(Ω)Si(Ω) だけですから、そこから第 i 粒子に関係する部分のみを抜き出したものを S(i)(Ω) と書くと、(M)(J) により、

(2-1)  S(i)(Ω) = òΩ {a(roiui) - choi} 

となります。ここで、第0節 (U) により、

(2-2)  hoi = hoiui · ui = (ui · ds)(ui)hoi       ( ds は4次元の線素 )

ですから、(2-1) は、

(2-3)  S(i)(Ω) = òΩ {a(ui)roi - c(ui · ds)(ui)hoi} 

と書くことができます。第0節の (MC),(JC) により、これは「微分多様体」第26 (26-53) の形をしており、また第2項についても、同節 (26-22) により、同節 (26-3) の条件が満たされています。ゆえに同節 (26-54) により、最小作用の原理から

(2-4)  roiiuida - choiiuid(ui · ds) = 0

という式が導かれることがわかります。一方、「微分多様体」第26 (26-25) により

(2-5)  iuid(ui · ds) = Ñuiui · ds

ですから、(2-4)

(2-6)  roiiuida = choiÑuiui · ds

と変形されます。そこで

(2-7)  κi º croiiuida/ds

とおいて(「微分多様体」第19 (19-24) 直後の注参照)、これを第 i 粒子に働く固有電磁力密度とよべば、(2-6)

(2-8)  c²hoiÑuiui = κi

と書くことができます。これを荷電粒子に対する一般相対論的運動方程式といいます。(2-7) により、κi は、

(2-9)  κi · ui = (κi · ds)(ui) = (croiiuida)(ui) = croi(da)(ui , ui) = 0

を満たします。

 次に、(2-7),(2-8) を局所座標によって成分表示してみましょう。以下 ¶/¶xnn と略記することにし、

(2-10)  Fmn º (da)(m , n) = d(aldxl)(m , n) = (kaldxk ^ dxl)(m , n) = ¶man - ¶nam = ¶man - Γlmnal - ¶nam + Γlnmal = an;m - am;n

と置けば、(2-7) は、n との内積をとると右辺が croida(ui , n) となるので

(2-11)  kin = croiFmn uim

と成分表示され、(2-8) は、

(2-12)  c²hoiuim uin;m = kin

と成分表示されます。

 さて、パラメター t に対する常微分方程式:

(2-13)   dsi
——
dt 
= cui

の解 si を質点の世界線といい、パラメター t をこの世界線の固有時といいます。(2-13) を局所座標の成分で表わし、si の第m成分を xim と書けば、

(2-14)   dxim
——
 d
t 
= cuim

ですから、(2-11)

(2-15)  kin = roiFmn dxim
——
 d
t 

となります。また、共変微分の成分表示(「微分多様体」第21 (21-40) 参照)により、

(2-16)  uin;m = ¶muin + Γnml uil

ですから、(2-14),(2-16)(2-12) に代入すれば、

(2-17)  kin = choi dxim
——
 d
t 
( muin + Γnml uil ) = choi æ
è
duin
——
 d
t 
+ Γnml dxim
——
 d
t 
uil ö
ø
= hoi æ
è
xin
——–
 dt² 
+ Γnml dxim
——
 d
t 
dxil
——
 d
t 
ö
ø

と書くことができます。したがって、特に電磁場が存在しない場合、世界線は測地線を描きます。

 さて、4次元時空の3次元面素を dS(4) で表すと、第0節 (MC),(JC) 及び「微分多様体」第20 (20-2) により、hoiui · dS(4)roiui · dS(4) は、外微分が 0 ですから、「微分多様体」第15 (15-14) により、これらの3次元超曲面上での積分値は超曲面の取り方に依存しません。そこで前者の積分値を第 i 粒子の質量、後者の積分値を第 i 粒子の電荷といい、それぞれ miqi で表します。
 さて、roihoi が、ciui · dS(4) の3次元超曲面上での積分値が 1 であるような共通のスカラー場 ci によって

(2-18)  roi = qici

(2-19)  hoi = mici

と書ける場合を考えると、(2-6)

(2-20)  qiiuida = cmiÑuiui · ds

と書けますから、

(2-21)  Ki º cqiiuida/ds

とおいて、これを第i粒子の各点に働く固有電磁力とよべば、(2-9) と同様に

(2-22)  Ki · ui = 0

が成り立ち、また (2-20) は、

(2-23)  c²miÑuiui = Ki

と書けます。(2-21) の成分表示は (2-11) に対応して

(2-24)  Kin = cqiFmn uim

となり、(2-23) の成分表示は (2-12) に対応して

(2-25)  c²miuim uin;m = Kin

となりますが、これらを世界線の方程式として表わせば、(2-15),(2-17) に対応して

(2-26)  Kin = qiFmn dxim
——
 d
t 

(2-27)  mi æ
è
xin
——–
 dt² 
+ Γnml dxim
——
 dt 
dxil
——
 dt 
ö
ø
= Kin

となります。

 最後に、局所座標の第0成分が

(2-28)   dxi0
——
 dt 
> 0

を満たす場合を考えてみましょう。このとき、時間 t

(2-29)  t =  xi0
——
 c 

で定義すれば、t のかわりに t を世界線のパラメターに用いることができます。以下、粒子の番号 i を固定し、i 以外のラテン文字の添字は 1~3 を表わすものとして、

(2-30)  gi º  dt
—–
d
t

(2-31)  vij º dxij
——
 dt 

と置けば、(2-14),(2-29)~(2-31) により、

(2-32a)  ui0 = gi

(2-32b)  uij º givij
——–
 c 

がわかります。(2-32)(2-9),(2-22) により、

(2-33)  ki0 = kijvij
——–
 c 

(2-34)  Ki0 = Kijvij
——–
 c 

が成り立ち、(2-29)~(2-31) により、(2-15)

(2-35)  kij = roigiFmj dxim
——
 dt 
= croigiF0j + roigiFkjvik

となります。そこで、

(2-36)  g º det gx < 0

と置き、fjriJikEjBl

(2-37)  fj º - kij  ___
Ö- 
g

(2-38a)  ri º roigi  ___
Ö- g

(2-38b)  Jik º rivik = roigivik   ___
Ö- g

(2-39a)  Fj0 = - F0j º Ej
—–
 c 

(2-39b)  Fjk = - Fkj º ejklBl

で定義すれば、(2-35)-   ___
Ö- g
を乗じたものは、

(2-40)  fj = riEj + ejklJikBl

となり、ユークリッド空間におけるLorentz力の式(「電磁気学」第0節 (Li) 参照)の成分表示と全く同じ形の式が得られます。同様に、

(2-41)  Fj º -  Kij
——
 gi

と置けば、(2-26),(2-30),(2-29),(2-31),(2-39) により、

(2-42)  Fj = - qiFmj dxim
——
 d
t 
= qi(Ej + ejklvikBl)

が得られます。また、

(2-43)  F j º  Kij
——
 gi

と置けば、(2-30) により (2-27) は、

(2-44)  mi ì
í
î

—–
d
t
æ
è
gi dxij
——
 d
t 
ö
ø
+ giΓ jml dxim
——
 d
t 
dxil
——
 d
t 
ü
ý
þ
= F j

という形になります。そこで相対論的質量 mi*

(2-45)  mi* = migi

で定義して (2-29),(2-31) を用いれば、(2-44) は、

(2-46)  
—–
d
t
(mi* vij) = F j - m*(c²Γ j00 + 2 jk0vik + Γ jklvikvil)

という形になり、Newtonの運動方程式に見かけの力が加わった形に表わされます。

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