集合と位相


8.コンパクト性

 「数学の基礎」では一様空間のコンパクト性を定義しましたが(「数学の基礎」第20節参照)、排中律を仮定した場合は、コンパクトという概念を位相空間に対しても定義することができます。しかし本節ではこの概念を更に一般化して、フィルターに対してもコンパクト性を定義することにします。

 位相空間 X の収束フィルターより細かいフィルターは収束し、集積フィルターより粗いフィルターは集積するのでした(「数学の基礎」第17節 (17-19) の直後参照)。しかし集積フィルターより細かいフィルターについては何とも言えません。
 そこで、X 上のフィルター F は、それより細かい任意のフィルターが集積するときコンパクトであるということにします。集積フィルターより粗いフィルターは集積するので、コンパクト・フィルターと共終なフィルターは集積することがわかります。また、収束フィルターは明らかにコンパクトです。

 一般に、超フィルターは x に集積すれば x に収束しますから、コンパクト・フィルター F より細かい超フィルターは収束します。
 逆に F より細かいすべての超フィルターが収束すれば、F より細かい任意のフィルター G に対し、超フィルターの定理により G より細かい超フィルター H が存在し、仮定により H は収束するので G は集積し、G は任意ですから F はコンパクトであることがわかります。
 すなわち F がコンパクトであるための必要十分条件は、F より細かい任意の超フィルターが収束することです。

 さて、(7-5) によれば、F がコンパクトであるための必要十分条件は、F より細かい任意のフィルター G に対して

(8-1)  Ç{ A | AÎG } ¹ Æ

となることです。SX の閉集合からなる有限交叉的な集合で、fil S がコンパクトフィルター F と共終であるとします。このとき fil S は集積するので

(8-2)  ÇS  = Ç{ A | AÎfil S } = Ç{ A | AÎfil S } ¹ Æ

 すなわち S無限交叉性を持ちます。
 逆に X の閉集合からなる有限交叉的な集合で、それに伴うフィルターが F と共終なら必ず無限交叉的であるとします。このとき F より細かい任意のフィルター G に対して S = { A | AÎG } と置けば、SX の閉集合からなる有限交叉的な集合で、fil SF と共終です。よって仮定により S は無限交叉性を持ちますが、これは G が集積することを意味しています。

 これを S の元の補集合からなる集合 U の言葉で言い換えると、“ U の任意の有限部分集合 U'ÈU' ¹ X を満たし、更に任意の AÎF に対して A \ ÈU' ¹ Æ を満たすなら、ÈU ¹ X ”となります。
 ところが A \ ÈU' ¹ Æ から ÈU' ¹ X は導かれるので、結局“ U の任意の有限部分集合 U' が任意の AÎF に対して A \ ÈU' ¹ Æ を満たすなら ÈU ¹ X ”と言い換えられることになります。
 そこで更にこの対偶を取ることにより、X のフィルター F がコンパクトであるための必要十分条件は、X の任意の開被覆 U に対し、その有限部分集合 U'AÎF が存在して A Ì ÈU' が成り立つことであることがわかりました。

 このことを用いると、コンパクト・フィルターの連続写像による二重逆像もコンパクトであることが証明できます。
 実際、F を位相空間 X のコンパクト・フィルター、f : X ® Y を連続写像、UY の開被覆とすると、f #U = { f -(O) | OÎU }X の開被覆ですから、有限部分集合 U' Ì UAÎF が存在して A Ì È f #U' = f -( ÈU' ) が成り立ちます。ところがこれは f [A] Ì ÈU' を意味し、かつ f [A] Î f#F ですから、f# はコンパクトであることがわかります。

 また、Y を位相空間 X の閉部分空間とすると、Y のフィルター F は、X で生成するフィルター fil F がコンパクトなら Y でもコンパクトです。
 なぜなら F より細かい Y のフィルター GX で生成するフィルター fil G はコンパクトフィルター fil F より細かいので X で集積点を持ちます。すなわち fil G の集積点の全体は Ç{ A | AÎfil G } = Ç{ A | AÎG } ¹ Æ となり、Y が閉ですから AÎG なら A Ì Y = Y なので、これは GY でも集積することを意味しているからです。

 更に、位相空間の族 { Xi | iÎI } と、各 Xi におけるコンパクト・フィルター Fi が与えられたとき、フィルターの圏における { ( Xi , Fi ) | iÎI } の積を ( X, F ) と書けば、F は積位相空間 X のコンパクト・フィルターです。
 実際、GF より細かい超フィルターとすると、標準写像を pi : X ® Xi とするとき pi#Gpi#F より細かい Xi の超フィルターです。ところが pi#FFi より細かいので、pi#G はコンパクト・フィルター Fi より細かい超フィルターであることから収束します。よって「数学の基礎」第18節 (18-9) 直後の注意により GX で収束します。これで F はコンパクトであることが証明されました。

 また、F を位相空間 X のコンパクト・フィルター、RXHausdorff空間 Y の積 X ´ Y の部分集合とすれば、

(8-3)  Ç{ R[A] | AÎF } Ì  R [ Ç{ A | AÎF }]

が成り立ちます。
 実際、y が左辺に属せば、任意の VÎV ( y) と任意の AÎF に対して VÇR[A] ¹ Æ すなわち (A ´ V )ÇR ¹ Æ となります。
 一方、FV ( y) はともにコンパクト・フィルターですからその積フィルターもコンパクトで、上の式は fil { (A ´ V )ÇR | AÎF , VÎV ( y) } がコンパクト・フィルターより細かいフィルターであることを示しているので、ある点 (x, z) に集積します。ゆえに x の任意の近傍は F の任意の元と交わり、z の任意の近傍は y の任意の近傍と交わり、(x, z) の任意の近傍は R と交わります。すなわち xÎÇ{ A | AÎF } , z = y , (x, z)ÎR となるので、y(8-3) の右辺に属します。

 さて、位相空間 X は、すべてのフィルターが集積するときコンパクトであるといいます。X ¹ Æ のとき集合 { X }X の最も粗いフィルターですから、X のコンパクト性は、“X ¹ Æ ならフィルター { X } がコンパクト”という条件に言い換えることができます。従って、フィルターのコンパクト性に関する上述の議論により、次の各項は同値であることがわかります:

(8-4a)  X はコンパクト。

(8-4b)  X の任意の超フィルターは収束する。

(8-4c)  X の任意の開被覆は有限部分開被覆を持つ。

 ところがこれらに加えて、更に次の条件:

(8-4d)  任意の位相空間 Y に対し、Y への射影 p : X ´ Y ® Y は閉写像。

も同値であることが証明できます。
 実際、X をコンパクト、FX ´ Y の閉集合とし、任意に yÎp[F] を取ると、y の任意の近傍 VÎV ( y) に対し、p[F]ÇV ¹ Æ すなわち p-(V )ÇF ¹ Æ が成り立ちますから、Ffil { p-(V )ÇF | VÎV ( y) }F を元に持つ X ´ Y のフィルターで、その X への射影はコンパクト空間 X のフィルター基底をなすので、集積点 x を持ちます。
 一方、yFY への射影の収束点ですから、これは (x, y)F の集積点であることを意味していますが、F は閉集合なので (x, y)ÎF すなわち yÎp[F] となり、p[F] は閉集合であることがわかりました。

 逆に、位相空間 X が、任意の位相空間 Y に対して Y への射影が閉写像と仮定します。X 上の任意のフィルター F に対し、X に一点 w を付け加えて得られる集合 YX È{w} を考え、O{ B | B Ì X }È{ AÈ{w} | AÎF } と置けば、これは任意の合併と有限個の共分について閉じているので、O の元を開集合とする Y 上の位相を定めます。
 一方 X ´ Y における D{ (x, x)ÎX ´ Y | xÎX } の閉包 DY への射影は、X を含み、かつ仮定により閉集合です。ところが Y の位相の定義により、X を含む Y の閉集合は全空間 Y しかありませんから、特に p[D] すなわち (x, w)ÎD となる xÎX が存在します。
 これは、X における x の任意の近傍 U と、Y における w の任意の近傍 V に対し、(U ´ V )ÇD ¹ Æ が成り立つことを意味しますが、VF の元 A によって V = AÈ{w} と書けますから、これは (U ´ A)ÇD ¹ Æ すなわち UÇA ¹ Æ を意味し、xF の集積点であることがわかりました。これは X がコンパクトであることを示しています。

 さて、位相空間の部分集合は、部分空間としてコンパクトであるときコンパクト集合とよびます。(8-4c) により、コンパクト集合の有限個の合併はコンパクトです。また、あるコンパクト集合に含まれる集合は相対コンパクトであるといいます。

 また、f : X ® Y が上への連続写像のとき、f#{ X } = { Y } ですから、X がコンパクトなら Y もコンパクトであることがわかります。言い換えると、コンパクト集合の連続像はコンパクトです。

 また、Y をコンパクト集合 X部分空間とすると、X において集合 { Y } が生成するフィルター fil { Y }X でコンパクトですから { Y }Y でコンパクトです。すなわちコンパクト空間の閉部分空間はコンパクトです。

 更に、位相空間の族 { Xi | iÎI } に対し、その要素のいずれかが空ならそれらの積は空なのでコンパクトです。また、すべての要素が空でないときは、{ ( Xi , { Xi }) | iÎI } はフィルターの圏における対象の族であり、その積は、X = Õ{ Xi | iÎI } と置けば ( X, { X }) と書けますから、各 Xi がコンパクトすなわち { Xi } がコンパクトなら { X } もコンパクトすなわち X はコンパクトです。すなわちコンパクト空間族の積はコンパクトです(チホノフの定理)

 また、Hausdorff空間 X のコンパクト集合 K は閉集合です。
 実際、FK を元に持つ X の収束フィルターとすると、XHausdorffなので F の極限 x は唯一つです。一方 F ' = { KÇA | A ÎF }K のフィルターなので K に集積点 y を持ちます。ところが F 'x に収束するフィルター F より細かいので V (x)V ( y) は共終であることがわかり、XHausdorff性により x = yÎK となり、K は閉であることがわかります。

 この定理により、コンパクト空間 X からHausdorff空間への連続写像 f に対し、X の任意の閉集合はコンパクトなので、その f による像はコンパクト、従って閉ですから、f閉写像です。特に f が全単射の場合は f - が連続であることを意味するので、f位相同型になります。
 特に f が同じ集合 X の恒等写像の場合を考えると、コンパクト空間 X において、X の位相より弱いHausdorff位相はすべてもとの位相に一致することがわかります。

 また YHausdorff空間、K が位相空間 Xコンパクト集合FX ´ Y閉集合ならば F[K ] = { yÎY | $xÎK : (x, y)ÎF }Y閉集合です。
 なぜなら、K = Æ なら F[K ] = Æ であり、K ¹ Æ なら F = fil {K} と置いて (8-3) を適用すれば、F[K ] は閉包が自分自身に含まれるからです。

 さて、可算基底を持つ任意のフィルターが集積する位相空間を可算コンパクトであるといいます。明らかにコンパクト空間は可算コンパクトです。
 点列フィルターは可算基底を持ち、逆に第6節の議論により、可算基底を持つフィルターは、それより細かい点列フィルターの共分ですから、可算コンパクトの定義を任意の点列が集積する空間としても同じです。

 さて、(8-1) と同様に、X が可算コンパクトであるための必要十分条件は、可算基底を持つ任意のフィルター F に対して

(8-5)  Ç{ A | AÎF } ¹ Æ

となることです。SX の閉集合からなる高々可算で有限交叉的な集合とします。このとき fil S は集積するので

(8-6)  ÇS  = Ç{ A | AÎfil S } = Ç{ A | AÎfil S } ¹ Æ

 すなわち S無限交叉性を持ちます。
 逆に X の閉集合からなる有限交叉的な集合は必ず無限交叉的であるとします。このとき任意のフィルター F に対して S = { A | AÎF } と置けば、SX の閉集合からなる有限交叉的な集合ですから、仮定により無限交叉性を持ちますが、これは F が集積することを意味しています。

 これを S の元の補集合からなる集合 U の言葉で言い換えると、“ U の任意の有限部分集合 U'ÈU' ¹ X を満たせば ÈU ¹ X ”となります。そこで更にこの対偶を取ることにより、X が可算コンパクトであるためには X の任意の可算開被覆は有限部分開被覆を持つことが必要十分であることがわかりました。
 このことから、可算コンパクト集合の有限個の合併が可算コンパクトであること、Lindelöf空間ではコンパクト性と可算コンパクト性が同値になることがわかります。

 また、コンパクトの場合と同様にして、可算コンパクト集合の連続像が可算コンパクトであること、Hausdorff空間の可算コンパクト部分集合は列的閉であることがわかります。

 さて、可算コンパクトの定義では任意の点列が集積することを要請しましたが、ここで点列の集積より強い概念を定義しましょう。
 点列 f : N ® X に対して N から自分自身への単調増加な一対一写像 i を合成した f ° i を、もとの点列の部分列というのでした(「数学の基礎」第18節参照)。明らかに、部分列に伴う点列フィルターは、もとの点列に伴う点列フィルターより細かいフィルターですから、特に収束する点列の部分列は収束し、逆に点列のある部分列が集積すれば、もとの点列は集積します。

 点列は、その任意の部分列に対して、さらにその部分列で a に収束するものが存在すれば a に収束します。
 実際、点列 f : N ® Xa に収束しないとします。このとき a の近傍 U が存在して、任意の nÎN に対し、f(k)ÏU となる k > n が存在します。ゆえに帰納法により、N からそれ自身への単調増加な一対一写像 i で、任意の kÎN に対して f(i(k))ÏU となるものが存在します。このとき、f の部分列 f ° i は、そのどんな部分列も a に収束しないことは明らかです。

 また、X第一可算公理を満たすときは、集積点 a を持つ点列は a に収束する部分列を持つのでした(「数学の基礎」第18節)。

 この部分列の概念を用いて、任意の点列が収束する部分列を持つ位相空間のことを点列コンパクトであると定義します。上述の議論により、点列コンパクトなら可算コンパクトであり、第一可算公理を満たす位相空間では可算コンパクトと点列コンパクトの概念は同値になります。

 点列コンパクト集合 K の列的連続写像 f による像は点列コンパクトです。
 実際、f [K ] の任意の点列 { yi | iÎN } Ì f [K ] に対して f(xk) = yk となる点列 { xk | kÎN } Ì K を作ると、部分列 i が存在して { xi(k) | kÎN }K で収束します。f は列的連続ですから、この f による像 { yi(k) | kÎN } は収束し、これは f [K ] が点列コンパクトであることを示しています。

 また、点列コンパクト集合の有限個の合併 K = È{ Ki | iÎI } も点列コンパクトです。
 実際、K に含まれる点列 { xk | kÎN } を取ると、その無限部分集合 { xk | kÎJ } を含む Ki が存在します。ここで JN の無限部分集合です。このとき単調増加な全単射 i : N ® J が存在しますが、{ xi(k) | kÎN } を点列と見れば、それの部分列で収束するものが存在しますが、この部分列はもとの点列 { xk | kÎN } の部分列にもなっています。

 コンパクト性と点列コンパクト性の間には一般に関係はありませんが、第二可算公理を満たす空間の場合、第一可算公理が成り立ち、更にLindelöf空間になるので、コンパクト、可算コンパクト、点列コンパクトの三概念はすべて同値になります(第10節で示すように、可算基底を持つ一様空間の場合でも同値になります)。

 さて、一般に、開被覆 O の任意の元が開被覆 O' のある元に含まれるとき、前者は後者より細かいといいます。Hausdorff空間 X は、その任意の開被覆に対してそれより細かい局所有限開被覆が存在するときパラコンパクトであるといいます。
 有限被覆は局所有限であり、部分被覆はもとの被覆より細かいので、コンパクトHausdorff空間はパラコンパクトです。
 パラコンパクト空間 X の閉部分空間 F の開被覆 O に対し、{ X \ F }ÈOX の開被覆で、従ってこれより細かい局所有限開被覆 O' が存在し、X \ F に含まれる元を捨てれば、これは F の局所有限開被覆です。すなわちパラコンパクト空間の閉部分空間はパラコンパクトです。

 また、パラコンパクト空間は正規です。
 実際、まず X が正則であることを証明しましょう。AX の閉集合、aA に属さない X の点とします。任意の xÎA に対し、XHausdorffですから、互いに交わらない開近傍 UxÎV (a)VxÎV (x) が存在します。{ X \ A }È{ Vx | xÎA }X の開被覆ですから、それより細かい局所有限開被覆 O が存在します。ゆえに O の有限個の元 Oi ( 0 £ i £ n ) としか交わらないような UÎV (a) が存在します。
 ゆえに { 0, 1 ,¼, n } の分割 I , JxiÎA ( iÎJ ) が存在して、OiÌ X \ A ( iÎI ) , OiÌ Vxi ( iÎJ ) となります。そこで

(8-7a)  U' = UÇ Ç{ Uxi | iÎJ }

(8-7b)  V' = È(O \ { Oi | iÎI })

と置けば、U'V' は互いに交わらない開集合で、aÎU' , A Ì V' となり、X は正則であることがわかりました。
 次に A , BX の互いに交わらない閉集合とします。任意の xÎA に対し、X は正則ですから、互いに交わらない開集合 Ux ' xVx É B が存在します。{ X \ A }È{ Ux | xÎA }X の開被覆ですから、それより細かい局所有限開被覆 O が存在します。ゆえに O の分割 O' , O" が存在して OÎO'  Þ  O Ì X \ A 及び OÎO"  Þ  $xÎA : O Ì Ux となります。そこで U = ÈO" と置くと、UA を含み B と交わらない開集合です。
 一方、任意の xÎB に対し、x の近傍 WxO の有限個の元としか交わらないものが存在し、もちろん O" の有限個の元 Oi ( 0 £ i £ n ) としか交わりません。そこで、各 i に対して Oi Ì Uyi となる yiÎA を取り、V(x) = WxÇ Ç{ Vyi | 0 £ i £ n } と置くと、V(x)x を元に持ち、U と交わらない開集合です。よって V = È{ V(x) | xÎB } と置けば、V は、U と交わらず、B を含む開集合です。これは X が正規であることを示しています。

 特に、コンパクトHausdorff空間は正規です。

 さて、Hausdorff空間 X は、その各点がコンパクトな近傍を持つとき局所コンパクトであるといいます。
 局所コンパクト空間の各点には、コンパクト集合からなる近傍系の基底が存在します。
 実際、各 xÎX の任意の近傍 U に対し、U に含まれる x のコンパクトな近傍が存在することを示せば十分です。X は局所コンパクトなので、x のコンパクトな近傍 K が存在します。
 一方 K は正規、従って正則なので、K における x の近傍 KÇU に対し、xÎKÇO Ì KÇF Ì KÇU となる X の開集合 O と閉集合 F が存在します。このとき KÇFx を元に持つ X の開集合 K°ÇO を含むコンパクト集合ですから、x のコンパクトな近傍で、かつ U に含まれます。
 Hausdorff空間 X のコンパクト集合は閉集合ですから、特に局所コンパクト空間は正則であることもわかります。

 コンパクトHausdorff空間 X から1点を除いてできる集合 Y = X \ {a} は、各点が a を元に持たないコンパクトな近傍を持つので、Y は部分空間として局所コンパクトです。
 逆に Y を局所コンパクト空間とすると、Y に属さない点 w を持ってきて X = YÈ{w} と置き、“Y の開集合”又は“Y のコンパクト集合の補集合に点 w を付け加えたもの”を X の開集合とよべば、これは X 上のHausdorffな位相を定め、YX の部分空間になります。また X の任意の開被覆 OO となる元 O を持ち、O の補集合はコンパクトですから、XO の有限個で覆えるので、X はコンパクトです。この XY一点コンパクト化といいます。

 Hausdorff空間 X は、高々可算個のコンパクト集合の合併と表わされるときσ-コンパクトであるといいます。明らかに、σ-コンパクト空間の閉部分集合はσ-コンパクトです。

 チホノフの定理により、局所コンパクト(σ-コンパクト)空間の有限個の積は局所コンパクト(σ-コンパクト)です。また局所コンパクト(σ-コンパクト)空間の無限個の積 Õ{ Xi | iÎI } については、有限個の Xi を除いてコンパクトなら局所コンパクト(σ-コンパクト)であることは明らかです。

 さて、局所コンパクトかつσ-コンパクトな位相空間はパラコンパクトです。
 実際、局所コンパクト空間 X が可算個のコンパクト集合 Ki ( iÎN ) の合併と表わします。このとき X = È{ K'i | iÎN } かつ K'i Ì K'i+1° となるコンパクト集合の族 { K'i | iÎN } が存在することを帰納法で証明しましょう。
 K'k まで作れたと仮定すると、各点 xÎK'k がコンパクトな近傍 Ax を持ち、{ Ax° | xÎK'k }K'k の開被覆になります。ゆえに、有限個の点 xiÎK'k ( 0 £ i £ n ) が存在して K'k = È{ Axi° | 0 £ i £ n } となるので、K'k+1 = Kk+1È È{ Axi | 0 £ i £ n } と置けばよいことがわかります。
 さて、X の任意の開被覆 O に対し、各 k に対するコンパクト集合 K'k \ K'k-1° を覆う有限部分被覆 Ok が存在します。ゆえに

(8-8a)  O'k = { O Ç Kk+1° \ Kk-2 | OÎOk }

(8-8b)  O' = È{ O'k | kÎN }

と置けば、O'O より細かい局所有限開被覆です。

 また、Hausdorff空間 X は、任意の開被覆に対してそれより細かい局所有限被覆が存在すればパラコンパクトです。
 実際、任意の開被覆 O に対し、それより細かい局所有限被覆 A を取り、各 AÎA に対して A Ì OA となる OAÎO を取ります。
 次に、各点 xÎX の開近傍 Vx で、ある OÎO に含まれ、かつ A の有限個の元としか交わらないものを取ります。このとき O'{ Vx | xÎX }O より細かい X の開被覆です。
 そこで、O' より細かい局所有限閉被覆 F を取り、各 AÎA に対し、CAÈ{ FÎF | FÇA = Æ } と置くと、これは局所有限な閉集合族の合併ですから閉集合です(前節参照)。そこで GAOA \ CA と置くと、これは開集合で、A Ì GA Ì OA かつ A は被覆ですから、G{ GA | AÎA }O より細かい X の開被覆です。あとは G が局所有限であることを示せば証明は完成します。
 任意の FÎF に対し、F Ì V となる VÎO' が存在し、A の有限部分集合 AF が存在して、AÎA \ AF ならば AÇV = Æ となります。ところが、このとき AÇF = Æ となり、F Ì CA すなわち FÇGA = Æ が成り立ちます。
 任意に xÎX を取ると、x の近傍 U で、F のある有限部分集合 F ' の元としか交わらないものが存在します。そこで AxÈ{ AF | FÎF ' } と置けば、これは A の有限部分集合で、AÎA \ Ax のとき、FÎF ' なら FÇGA = Æ となりますが、FX の被覆なので U Ì ÈF ' ですから UÇGA = Æ となり、これは G が局所有限であることを意味しています。

 更に、X正則な位相空間なら、任意の開被覆に対してそれより細かい局所有限被覆が存在すればパラコンパクトです。
 実際、任意の開被覆 O に対し、各点 xÎX の開近傍 Vx で、その閉包がある OÎO に含まれるものが存在します。このとき O'{ Vx | xÎX }O より細かい X の開被覆です。
 そこで、O' より細かい局所有限被覆 A を取り、B{ A | AÎA } と置くと、これは X の閉被覆ですが、これが O より細かい局所有限被覆であることを示せば、前段の結果により証明は完成します。
 まず任意の AÎA に対し、A Ì V となる VÎO' が存在し、更に V Ì O となる OÎO が存在します。ゆえに A Ì V Ì O となって BO より細かいことがわかりました。
 また、A は局所有限なので、任意の xÎX に対し、有限個の AÎA を除いて AÇU = Æ となるような x の開近傍 U が存在しますが、U は開集合なので、このとき AÇU = Æ となります。これは B が局所有限であることを示しています。

 さて、上記の結果の応用として、正則なLindelöf空間はパラコンパクトであることを証明しましょう。
 O を正則なLindelöf空間 X の開被覆とすると、O は可算部分開被覆 { Ok | kÎN } を持ちます。そこで各 kÎN に対し、AkOk \ È{ Oi | i < k } と置けば、A{ Ak | kÎN }O より細かい X の被覆です。しかも任意の xÎX に対し、xÎAk となる k を取れば、Okx の近傍で、かつ i > k に対しては OkÇAi = Æ となるので A は局所有限です。X は正則ですから、上記の結果により X はパラコンパクトです。

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