集合と位相


10.一様空間

 集合 X に対し、P (X ²) の部分集合 U

(10-1a)  X ² ÎU

(10-1b)  U, VÎU  Þ  UÇVÎU

(10-1c)  ( UÎU  Ù  U Ì V )  Þ  VÎU

(10-1d)  "UÎU : DX ÌU

(10-1e)  "UÎU : $VÎU : V -1 Ì U

(10-1f)  "UÎU : $VÎU : V ° V Ì U

をすべて満たすとき、UX 上の一様構造といい、一様構造の与えられた集合 ( X, U )一様空間というのでした(「数学の基礎」第19節参照。ただし同節の (19-2d) は古典論理では無意味な条件なので除いています)。
 ここで DXX ² の対角集合、U -1U の第1成分と第2成分を入れ替えた集合を表わします。

 また、一様空間 ( Y, U ) と集合 X から Y への写像  f : X ® Y に対し、

(10-2)  f #U fil ( f ´ f )-[U ] = { V Ì X ² | $UÎU : ( f ´ f )-(U ) Ì V }

と置き、一様空間 ( X, U ) から一様空間 ( Y, U' ) への写像  f : X ® Y は、

(10-3)  f #U' Ì

を満たすとき一様連続であるというのでした。

 一様空間を対象、一様連続写像を射とする圏を一様空間の圏とよび、一様空間の圏から集合の圏への関手を考えたとき、一様空間 X の部分集合 A に埋め込み写像 i : A ® X による導入構造を入れたものを部分一様構造といい、X の同値関係 @ による商空間 X/@ に標準写像 p : X ® X/@ による余導入構造を入れたものを商一様構造というのでした。一様空間の部分空間や商空間を考えるときは、断りない限り、これらの一様構造により一様空間とみなすことにします。

 集合 X 上の2つの一様構造 UU' について、X の恒等写像が ( X, U ) から ( X, U' ) への一様連続写像になるとき、UU' より強いU'U より弱い)といいます。X には最も強い一様構造と最も弱い一様構造が存在します。前者を離散一様構造、後者を密着一様構造といいます。

 また、一様空間 ( X, U ) が与えられたとき、xÎXUÎU に対して

(10-4)  U(x) { yÎX | (x, y)ÎU }

は、(19-2a) により x を元に持ちますから { U(x) | UÎU } はプレフィルターで、

(10-5)  V (x) fil{ U(x) | UÎU }

と置くと、( X, V  )X 上の位相を定めるので、これを一様構造 ( X, U ) が定める位相とよぶのでした。一様連続写像は連続であり、特にこれを恒等写像について適用すれば、同型な一様空間は同一の位相空間を定めます。
 また、任意の一様構造には、その定める位相の積位相における開集合からなる基底と閉集合からなる基底が存在します。

 さて、UÎU に対して V -1 ° V Ì U となる VÎU を取れば、yÏU(x)  Þ  V(x)ÇV( y) = Æ ですから、T0-一様空間はHausdorff空間です。
 また、一般の一様空間 ( X, U ) において、U に伴う二項関係 ~ を、

(10-6)  x ~ y  :º  "UÎU : (x, y)ÎU

で定義すれば、これは X 上の同値関係になりますが、U の元のうち、この同値関係と両立する、すなわち

(10-7)  [ (x, y)ÎU  Ù  x ~ x'  Ù  y ~ y' ]  Þ (x', y')ÎU

を満たす UÎU だけで U の基底をなすことがわかります。
 実際、任意の
UÎU に対し、V ° V ° V Ì U となる VÎU を取り、U'{ (x, y)ÎX ² | $(u, v)ÎV : u ~ x, v ~ y } と置くと、これは明らかに ~ と両立し、しかも u ~ x なら (x, u)ÎV で、v ~ y なら (v, y)ÎV なので、U' Ì V ° V ° V Ì U となるからです。
 従って、pX から X/~ への標準写像とするとき、( p ´ p)+[U ] = { ( p ´ p)[U ] | UÎU }X/~ の一様構造を定め、この一様構造により、X/~T0-一様空間、従ってHausdorff空間になります。これを X分離化といいます。
 明らかに、X/~ の一様構造は X の一様構造の余導入一様構造になっていますが、逆に、X の一様構造は X/~ の一様構造の p による導入一様構造にもなっています。

 ところで、一様空間 XHausdorff空間なら、閉集合であるような UÎU に対して {x} ´ U(x) = ({x} ´ X )ÇU は閉集合ですから U(x) は閉集合です。これは X は閉集合からなる基本近傍系を持つことを意味しますから、T0-一様空間は正則空間であることがわかります。

 そこで、T1-位相空間は、その上のある一様構造が定める位相に一致するとき完全正則空間といいます。完全正則空間は正則です。
 また X が完全正則空間で、その位相を与える一様構造を U とすると、X の部分空間には ( X, U ) の部分空間としての一様構造が付くので、完全正則空間の部分空間は完全正則であることがわかります。

 さて、一様空間 ( X, U ) の2つのフィルター F , G は、F ÏGU より細かいプレフィルターであるとき(この一様構造に関して)同値であるといって F  » G と書き、特に自分自身と同値なフィルターをコーシー・フィルターとよぶのでした。コーシー・フィルターより細かいフィルターはコーシー・フィルターです。

 あるフィルターと同値なフィルターはコーシー・フィルターであり、共終な2つのコーシー・フィルターは同値です。また x の近傍系はコーシー・フィルターで、収束フィルターはコーシー・フィルターです。
 また、x に収束するフィルターと同値なフィルター F  は x に収束し、x に集積するコーシー・フィルターは x に収束します。

 一様空間 ( X, U ) は、任意のコーシー・フィルターが収束するとき完備であるというのでした。
 完備一様空間 X の閉部分空間 F は完備で、Hausdorff一様空間 X の完備部分空間 FX の閉集合です。
 また、完備一様空間の族からなる任意の図式の完備一様空間の圏におけるの極限は完備です。

 更に、完備Hausdorff一様空間を対象、一様連続関数をとよべば一つの圏を構成しますが、この圏から一様空間の圏への関手を考えるとき、任意の一様空間に対する普遍構造が存在し、それを X完備化というのでした。

 また、( X, U ) を一様空間とし、UÎU とするとき、X の部分集合 A は、A² Ì U となるとき U-小集合といい、任意の UÎU に対し、U-小集合からなる X有限被覆が存在するとき、X全有界であるというのでした。
 ( X, U ) が全有界なら、任意の UÎU に対して U-小集合からなる有限被覆 A があり、A の元うち、空でない集合から代表元を一個ずつ選んで集めた集合を F とすれば X = U [F ] と書けます。これは「数学の基礎」第20節プレコンパクトと呼んだ性質に他なりません。すなわち、古典論理のもとでは全有界とプレコンパクトは同一の概念です。ゆえに今後はこの両語を同義に使用することにします。一様構造が可算基底を持つプレコンパクト空間は可分です。
 なお、一様空間の部分集合は、部分空間としてプレコンパクトなときプレコンパクト集合といいます。一様空間のプレコンパクト集合の閉包はプレコンパクトです(同節参照)。
 f : X ® Y をプレコンパクトな一様空間 ( X, U ) から一様空間 ( Y, U' )上への一様連続関数とすれば、( Y, U' ) もプレコンパクトです。
 また、集合 X とプレコンパクトな一様空間の族 { ( Xi , Ui ) | iÎI } および写像の族 {  fi : X ® Xi | iÎI } が与えられたとき、これらの写像により X に導入された一様構造を U とすると、( X, U ) もプレコンパクト、従って特に、プレコンパクト一様空間の部分空間や、プレコンパクト一様空間たちの極限はプレコンパクトです。

 さて、一様空間 X は、その定める位相についてコンパクトなら完備です。
 なぜなら、X の任意のコーシー・フィルターは、X の位相がコンパクトであることから集積し、集積するコーシー・フィルターは収束するからです。

 また、一様空間 X は、その定める位相について可算コンパクトならプレコンパクトです。
 実際、X がプレコンパクトでないとすると、ある UÎU が存在して、任意の有限集合 { xi | 0 £ i £ n } Ì X に対して È{ U(xi) | 0 £ i £ n } ¹ Æ となります。ゆえに帰納法により、xnÎX \ È{ U(xi) | 0 £ i < n } を満たす点列 { xi | iÎN } が存在します。
 一方 X は可算コンパクトですから、この点列は集積点 a を持ちます。そこで V ° V -1 Ì U となる VÎU を取ると、点列 { xi | iÎN }a に集積するので、少なくとも2つの添字 i < j に対して xi, xjÎV(a) となり、(xi , xj)ÎU すなわち xjÎU(xi) となり、点列 { xi | iÎN } の作り方に反します。

 以上により特に、一様空間がその定める位相についてコンパクトなら、完備かつプレコンパクトであることがわかりました。

 次に、一様空間 X がプレコンパクトであるためには、任意の超フィルターがコーシー・フィルターであることが必要十分であることを証明しましょう。
 まず X がプレコンパクト、FX の超フィルターとします。このとき、任意の UÎU に対し、X がプレコンパクトであることから、U-小集合からなる X の有限被覆 A が存在します。すなわち ÈA = X となりますが、XÎF と、超フィルターであることの同値な言い換え (6-3) を繰り返し用いることにより、ある AÎAF に属すことがわかります。A の元は U-小ですから、これは F がコーシー・フィルターであることを意味しています。
 逆に X の任意の超フィルターがコーシー・フィルターであるとします。もし X がプレコンパクトでないとすると、ある UÎU が存在して、U-小集合のいかなる有限個も X を覆わないので、U-小集合の有限個の合併の補集合の全体は有限交叉的で、したがってあるフィルター F を生成します。
 そこで、F より細かい超フィルター G を取ると、仮定により G はコーシー・フィルターですから、ある U-小集合 A を元に持ちます。ところが F の定義により A の補集合 X \ AF に属し、従って G に属しますが、AÎG ですから Æ = AÇ(X \ A)ÎG となって矛盾します。

 以上により、一様空間が完備かつプレコンパクトなら、任意の超フィルターは収束し、従ってその定める位相はコンパクトになります。従って、一様空間がその定める位相についてコンパクトであるためには、完備かつプレコンパクトであることが必要十分であることがわかりました。これは「数学の基礎」第20節において、コンパクト一様空間を完備かつプレコンパクトな空間と呼んだことを正当化するものです。よって同節の議論により、一様空間がプレコンパクトであるための必要十分条件は、完備化がコンパクトなことであることもわかります。

 UU' を集合 X 上の一様構造で、前者は後者より強く、前者は後者に伴う位相の積位相における閉集合からなる基底を持つものとします。このとき U' が完備なら U も完備です。
 実際、FU のコーシー・フィルターとすると、これは U' でもコーシー・フィルターなので、U' に伴う位相で、ある aÎX に収束します。
 U' に伴う位相で閉集合であるような任意の UÎU に対し、FU のコーシー・フィルターですから、AÎF が存在して A ´ A Ì U となりますが、これは "xÎA : A Ì U(x) を意味し、U' に伴う位相で、Fa に収束し、U(x) は閉集合ですから、aÎU(x) よって A ´ {a} Ì U がわかり、これは FU に伴う位相でも a に収束することを意味しています。

 さて、一様空間の点列は、それに伴う点列フィルターがコーシー・フィルターであるときコーシー列といい、任意のコーシー列が収束するとき列的に完備というのでした(「数学の基礎」第20節参照)。また、完備なら列的完備ですが、一様構造 U可算基底を持つ場合(後の節で、古典論理のもとではこれが距離付け可能と同値であることを証明します)は逆も成り立つのでした。

 また、一様空間 X が可算コンパクトなら、任意のコーシー列は点列なので集積し、この点列フィルターは集積するコーシー・フィルターなので収束します。つまり可算コンパクトな一様空間は列的に完備です。

 これらの結果を用いると、一様構造が可算基底を持つ一様空間 X では、コンパクト、可算コンパクト、点列コンパクトの3条件はすべて同値であることが証明できます。
 実際、X の近傍系も可算基底を持つ、すなわち第一可算公理を満たすので、第8節で示したように、可算コンパクトと点列コンパクトは同値です。
 また、コンパクトなら可算コンパクトですから、可算コンパクトならコンパクトであることを示せば証明は完成します。
 まず上でで示したように、可算コンパクトならプレコンパクトです。また、上に述べたように、可算コンパクトなら列的に完備ですが、X の一様構造は可算基底を持つので、実は完備です。ゆえに X は完備かつプレコンパクトであることがわかったのでコンパクトです。

 次に、コンパクトHausdorff位相空間には、その位相を定める一様構造が唯一つ存在することを証明しましょう。X をコンパクトHausdorff空間とし、X ² の対角集合 DX の近傍の全体を U と置きます:

(10-8)  U = { U Ì X ² | DX Ì U° }

 この UX の一様構造を定めることを証明します。
 まず U(10-1a)~(10-1d) を満たすことは明らかです。また (10-1e) については UÎU  Þ  U -1ÎU なので明らかです。
 次に (10-1f) を証明するため、DX Ì U となる開集合 U Ì X ² を任意に取り、K = X ² \ U と置きます。K はコンパクト集合の閉部分集合なのでコンパクトです。そこで DX Ì V ° を満たす X ² の閉集合 V の全体を と書くとき、V ° V Ì U となる VÎ が存在することを帰謬法で証明しましょう。
 もし存在しないとすれば、任意の VÎ に対して V ° V Ë U すなわち (V ° V )ÇK ¹ Æ すなわち (V -1 ° K )ÇV ¹ Æ となります。一方

(10-9)  (x, y)ÎV -1 ° K  Û  $zÎX : [ (x, z)ÎK  Ù  ( y, z)ÎV ]  Û  (x, y)ÎV #(K )       ( V # = { ((x, z), (x, y)) | xÎX , ( y, z)ÎV } @ DX ´ V )

で、V #X ² ´ X ² の閉集合、KX ² のコンパクト集合ですから、V #(K ) = V -1 ° KX ² の閉集合です。ゆえに { (V -1 ° K )ÇV | VÎW  } はコンパクト空間 X ² の閉集合からなるフィルター基底ですから、共分は空でない、すなわち "VÎW  : (x, y)Î(V -1 ° K )ÇV となる x , y が存在します。
 ここで x ¹ y と仮定すると、DXX ² の閉集合ですから x の閉近傍 Ay の閉近傍 B が存在して (A ´ B)ÇDX = Æ となるので、V = X ² \ (A° ´ B°) と置けば、(x, y)ÏV かつ VÎ となって矛盾します。
 ゆえに x = y であり、任意の VÎ に対して (x, x)ÎV -1 ° K すなわち KÇV ¹ Æ となります。ところが V Ì U = X \ K となる VÎ が存在するので矛盾です。
 以上で (10-8)UX の一様構造を定めることがわかりました。しかも任意の xÎXx の任意の開近傍 V に対して U = X ² \ ({x} ´ (X \ V )) と置けば、UÎU かつ U(x) = V となるので、U は位相空間 X の位相を定めることがわかります。
 最後にこのような一様構造の一意性を示すために、一様構造 U'X の位相を定めるとすると、開集合であるような UÎU' はすべて U に属すので、U' Ì U となります。
 一方、逆向きの包含関係を示すには、DX を含む任意の開集合が U' に属すことを示せば十分です。これを帰謬法で示すために、ある開集合 V É DXU' に属さなかったとすると、閉集合であるような任意の UÎU' に対して U Ë V すなわち U \ V ¹ Æ となります。よって、このような U \ V の全体は、コンパクト集合 X ² の閉集合からなるフィルター基底なので、共分は空でないはずですが、XHausdorffなので U すべての共分は DX です(「数学の基礎」第19節 (19-24) 参照)から矛盾です。以上で証明は完成しました。

 以上の結果により、コンパクト空間から一様空間への連続写像は一様連続であることがわかります。
 実際、f がコンパクト空間 X から一様空間 ( Y, U' ) への連続写像なら、開集合であるような任意の UÎU' に対し、f の連続性により f ´ f も連続で、従って ( f ´ f )-(U )DX を含む開集合ですから、(10-8) で定義される U に属します。これは f が一様連続であることを示しています。

 上の結果の応用として、局所コンパクト空間は、その一点コンパクト化の部分空間で、コンパクト空間は完全正則ですから、完全正則空間の部分空間として、局所コンパクト空間は完全正則であることがわかります。

 さて、X をプレコンパクトHausdorff空間、YHausdorff一様空間、f : X ® Y を一様連続写像とします。このとき、X , Y の完備化をそれぞれ X , Y とし、それに伴う f の一様連続な拡張を f : X ® Y と書くことにします。このとき、f が全射(単射)なら f も全射(単射)です。
 実際、f が全射なら、f[X] はコンパクト空間 X の連続像ですからコンパクト、従って完備ですが、これは Y を稠密な部分集合として含むので、完備化の一意性により Y に一致します。これは f が全射であることを意味します。
 また f が単射なら、X の同値関係 x ~ yf(x) = f( y) で定義し、X/~ に商一様構造を入れると、これはコンパクト空間の商空間なのでコンパクト、従って完備ですが、f の連続性と、YHausdorff空間であることからHausdorff空間です。一方 YHausdorff空間なので、ffX への制限であり、更に f は単射ですから、X から X/~ への標準写像は単射です。一方 XX/~ の稠密な部分集合ですから、完備化の一意性により X/~X に一致し、これは f が単射であることを意味しています。

 ゆえに、特に f が全単射なら f はコンパクトHausdorff空間からHausdorff空間への連続な全単射なので位相同型です。しかも定義域、値域は共にコンパクト空間なので、一様構造も一致します。ゆえにそれぞれの部分一様空間として XY も一様空間として同型になります。
 このことから、プレコンパクトHausdorff空間 X において、もとの一様構造より弱いHausdorff一様構造は、もとの一様構造に一致することがわかります。実際、X にもとの一様構造より弱いHausdorff一様構造を入れた一様空間を Y とし、X 上の恒等写像を f として上記の結果を適用すればよいからです。

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