自然数の集合 N
は、濃度の加法と乗法に関して単位元を持ち、結合律、交換律、分配律を満たすので(第5節参照)、単位的モノイド環(「数学の基礎」第14節参照)ですが、それに伴う単位的可換環の普遍構造 Z
= { ± n | nÎ N }
また、環 Z
は整域(「数学の基礎」第15節参照)なので、それに伴う商体 Q
= { n/m | n, mÎZ ; m ¹ 0 }
また、Q
は、順序に関する区間で近傍系を導入することにより位相環(「数学の基礎」第22節参照)になるので、一様空間とみなすことができ、その完備化 R
の元を実数とよぶのでした(「数学の基礎」第23節参照)。
さて、古典論理のもとでは、「数学の基礎」第23節 (23-12),(23-16f)
と排中律により、任意の実数 x , h に対して
(11-1) |
が成り立ち、しかも同 (23-12),(23-15a)
により、これらは背反であることがわかります。従ってこれと同 (23-13)
により
(11-2a) |
(11-2a) |
が成り立ちます。
ゆえにこれらと「数学の基礎」第23節 (23-16l),(23-16k),(23-17a),(23-24i)
により、古典論理のもとでは R
は「数学の基礎」第15節 (15-32)
を満たすので順序環です。しかも R
は体ですから(「数学の基礎」第23節参照)、R
は順序体であることがわかります。
さて、R
のコンパクト集合は最大値と最小値を持つのでした(「数学の基礎」第24節参照)。更に本稿がベースにしている古典論理では、位相空間の有限部分集合はコンパクトですから、特に実数の有限集合は最大値と最小値を持ちます。
また古典論理では、一様空間のすべての部分集合は可視的(「数学の基礎」第20節参照)ですから、R
の上(下)に有界な空でない任意の部分集合は上限(下限)を持ちます(「数学の基礎」第24節参照)。
このことから、任意の上半拡張実数(「数学の基礎」第25節参照)は、実数であるか、± ¥
実際、 = ((a
+)e, a+ )+ = R
+ ¹ R
= - ¥+$sÎa+ :
r > s(25-1c)
により Îa+"sÎa+ :
r £ s+
また、再度排中律により + = Æ+ ¹ Æ(a
+ )e = R = ¥+R
の部分集合なので、下限 aÎR
(25-1c),(25-1d)
により、 > a Û $sÎa+ r > s Û rÎa++ = { r
ÎQ | r > a }(a
+ )e = { rÎQ | r £ a }° = { rÎQ | r < a } = a
以上の結果によれば、上半拡張実数からなる任意の集合 A の上限と下限は上半拡張実数であることがわかります。
実際、下限の定義により、 = Æ = {
¥ }inf
A = ¥ÇR
R
で下に有界でないか - ¥ÎAinf
A = - ¥ÇR
¹ Æ- ¥ÏAÇR
R
で下に有界なら inf A
= inf (AÇR)ÎR
また、上半拡張実数 a と b の上半和(「数学の基礎」第25節参照)は、一方が ± ¥(25-29a)
により、一方が ¥ なら、その上半和は ¥ 、一方が - ¥- ¥- ¥
一方、古典論理のもとでは、強い上限(下限)(「数学の基礎」第24節参照)と上限(下限)は意味が同じであり、部分集合に対して常に上限と下限の存在が保障されていれば十分なのですから、わざわざ拡張実数を考える必要がなく、上半拡張実数のみを考えれば十分です。そこで、以後上半拡張実数のことを単に拡張実数とよんで R
と書き、上半拡張実数の上半和を単に + と書くことにします。
さて、任意の一様空間 X は、ある擬距離、すなわち ²
(11-3a) d(x, x) |
(11-3b) d(x, y) |
(11-3c) d(x, z) |
を満たすものの族 D によって定まる一様構造 fil { {(x, y)
ÎX ² | d(x, y) £ e } | dÎD , e > 0 }
これらの擬距離は実数又は ¥ の値を取りますが、次のようにして、¥ の値を取ることを防ぐことができます。擬距離 d に対し、これが実数値と取るところでは d' を「数学の基礎」第26節 (26-17)
で定義し、値 ¥ を取るところでは 1 と置けば、(x, y)
( y, z)
¥ のときでも (11-3c)
が成り立つことがわかります。
すなわち一様構造が可算基底を持つことと距離空間、すなわち単独の実数値擬距離の定める一様空間であることは同値になります。なお、今後距離空間というときには、
(11-4) d(x, y) |
が成り立つことを条件に加えることにします。すなわち距離空間はHausdorff
です。
なお、距離空間の可算個の積は距離空間であり、可分な距離空間の任意の部分集合は可分です(「数学の基礎」第26節参照)。また、距離の付くプレコンパクトな空間は可分です(「数学の基礎」第20節参照)。
更に、距離空間については第二可算公理を満たすことと可分であることは同値です。
実際、必要性は明らかなので十分性を証明します。S を X で稠密な可算集合とすると、,
nÎN
:º { x
ÎX | d(x, am ) < 1/n }
さて次に、位相空間の完全正則性(第9節参照)を、実数を用いて特徴づけてみましょう。
完全正則空間 X は、その位相がある一様構造の定める位相に一致しますが、「数学の基礎」第26節 (26-39)
により、任意の ÎX0 、V 以外で 1 を取り、0 £ f(x)
£ 1
逆に T
位相空間 X がこの条件を満たすとします。X 上の実数値連続関数の全体を F と書き、各 1-ÎF
(11-5) df (x, y) |
と置けば、ÎXÎF(a, x)
< 1 Þ | f(x) | < 1 Þ xÎV{ df | f
ÎF }
さて、X を完全正則空間とし、X で定義され、実数の区間 :º [
0, 1]ÎXÎFix( f )
= f(x)ixixÎI Fixi は X からその値域への位相同型です。
実際、まず一対一であることの証明ですが、,
yÎX{x}
(x)
= 1( y)
= 0ÎFix ¹ iyi は一対一です。
また、各 ÎFi は連続です。
逆に、任意の ÎX(a)
= 0(x)
< 1 Þ xÎUÎF :º { s
ÎI F | s( f ) < 1 }iaixÎVÎU
以上で i は X からコンパクト空間 i[X ]
Hausdorff
空間の部分空間と位相同型であることです。
上で構成した i[X ]
Čech
のコンパクト化といいます。
次は位相空間の正規性(第7節参照)の実数による特徴づけです。Hausdorff
位相空間 X について、次の各条件:
(11-6a) |
X は正規。 |
(11-6b) |
X の閉集合 F とそれを含む開集合 O に対し、 |
(11-6c) |
X の互いに交わらない2つの閉集合 A , B に対し、A 上 : X |
(11-6d) |
X の閉集合 F で定義された連続な実数値関数 : F : X |
は同値であることを証明しましょう。
まず (11-6d)
ですが、Þ (11-6c) :º AÈB0 、B 上で 1 と定義した F 上の関数 j は、任意の集合の逆像が Æ , A , B , ÈB[
0, 1]
次に (11-6c)
ですが、X の互いに交わらない2つの閉集合 A , B に対し、Þ (11-6a)(11-6c)
を満たす f を取ると、f は連続で { t
ÎR | t < 1/2 }{ t
ÎR | t > 1/2 }R
の開集合ですから、 :º { x
ÎX | f(x) < 1/2 } :º { x
ÎX | f(x) > 1/2 } Ì O Ì O'ÇO' = Æ
次に (11-6a)
ですが、F と Þ (11-6b) \
O Ì G \
O Ì G' \
G' Ì G Ì G Ì XO \
G' Ì
ゆえに、あとは (11-6b)
を示せば証明は完成します。
Þ (11-6d)
そこで、 = { a
+ 2-kq(b - a) | qÎN ; q £ 2k } = È{ Sk | k
ÎN }{ Os | s
ÎS }
(11-7a)Oa |
(11-7b)Ob |
(11-7c)s |
(11-7d) { f |
(11-7e) { f |
を満たすように構成しましょう。ただし { f
< s }{ x
ÎF | f(x) < s }
まず、 = 0(11-7a),(11-7b)
と置けば、これですべて定義したことになります。
あとは、k に関する帰納法により、{ Os | s
ÎSk }{ Os | s
ÎSk+1 },
tÎSk = (s
+ t)/2
そこで、開集合列 { Gn | n
ÎN }{ G'n | n
ÎN }
(11-8a)G |
(11-8b)G' |
(11-8c) G |
(11-8d) { f |
(11-8e) G |
(11-8f) G |
が成り立つように構成します。これが可能であることは以下のようにして確かめられます。
まず = 0(11-8a),(11-8b)
と置くと、(11-7c),(11-7e)
により (11-8c)
が、(11-7d)
により (11-8d)
が成り立ちます。
次に < n - 1(11-8c),(11-8d)
が成り立つので、(11-8e)
の左辺は右辺に含まれます。しかも左辺は閉集合、右辺は開集合なので、(11-6b)
の仮定により (11-8e)
を満たす開集合
また (11-8e)
と - 1(11-8d)
により、(11-8f)
の左辺は右辺に含まれます。しかも左辺は閉集合、右辺は開集合なので、(11-6b)
の仮定により (11-8f)
を満たす開集合
更に、(11-8e),(11-8f)
により、(11-8c),(11-8d)
が成り立つこともわかり、これらの開集合列の存在は証明されました。ゆえに
(11-9a) Or |
(11-9b) Fr |
と置けば、前者は開集合、後者は閉集合です。また任意の i , j に対して = max {i, j}
(11-8e),(11-8f)
により
(11-10) Gi |
となるので Ì Fr Ì Fr(11-9),(11-8e),(11-8f)
により
(11-11a)Os |
(11-11b) { f |
(11-11c) { f |
となり、任意の ÎSn(11-7)
を満たすように
(11-12) g(x) |
と定義すれば、(11-7a),(11-7b),(11-7c)
により £ g(
x)
£ b
また ÎFÎS(x)
< s(11-7d),(11-12)
により (x)
£ s(x)
> s(11-7e),(11-12)
により (x)
³ s[a, b]
(x)
= f(x) = f
更に、 £ a < b £ ba , b に対し、(11-7c),(11-12)
により
(11-13a) g(x) |
(11-13b) g(x) |
となり、(
b)(
a)
(11-14) g |
は開集合で、従って g は連続になります。以上で (11-6b)
の証明が完成し、 Þ (11-6d)(11-6)
の各項の同値性は証明されました。正規空間が (11-6c)
を満たすことをUrysohn
の定理、(11-6d)
を満たすことをTietze
の拡張定理とよぶことがあります。
さて、R
の各点 a に対し、 (a)
:º fil { [a, a + e [ | e > 0 }[a, b[
ÎV (x) Û a £ x < b Û xÎ[a, b[(7-2)
を満たし、R
上の位相を定めます。この位相を入れた R
から位相空間 Y への写像 f が連続なとき、f は右連続であるといいます。
同様に、R
の各点 a に対し、 (a)
:º fil { ]a - e , a] | e > 0 }
これらの位相は R
の通常の位相より強いので、連続写像は右(左)連続です。
また、 :º {
Æ, R }È{ ]a, ® [ | aÎR }(7-1)
を満たし、R
上の位相を定めます。位相空間 X からこの位相を入れた R
への写像 g が連続なとき、g は下半連続であるといいます。
同様に、 :º {
Æ, R }È{ ]¬, a[ | aÎR }R
上の位相を定めますが、g がこの位相で連続なとき上半連続であるといいます。
これらの位相による R
の導入位相は R
の通常の位相より弱いので、R
への連続写像は下(上)半連続です。
さて、次に距離空間はパラコンパクトであることを証明しましょう。
距離空間は完全正則で、特に正則ですから、第8節の終りの方の注意により、任意の開被覆に対し、それより細かい局所有限被覆が存在することを示せば十分です。
:º { Oi | i
ÎI }( X, d )
ÎI
(11-15) Oi, k |
(11-16) Ai, k |
(11-17) Gi, k |
と置くと、{ Oi, k | k
ÎN },
k Ì Oi,
k,
k Ì Gi,
k Ì Oi,
k Ì Oi
さて、任意の ÎXÎOiÎIÏÈ{ Oj | j
< i }ÎOi,
kÎAi,
kÎGi,
k :º { Gi, k | i
ÎI }È{ Gk | k
ÎN }
一方、任意に相異なる ,
jÎI < j < iÎAi,
kÎAj,
kÎX \
OjÎOj,
k(x, y)
> 2-kdist (Ai, k , Aj, k )
³ 2-kdist (Gi, k , Gj, k )
³ 2-k-1
ゆえに任意の ÎX2-k-2
そこで、各 ÎN
:º È{
ÈGl | l < k }{ Xk | k
ÎN }
ここで :º { O \ Xk
-1 | OÎGk } :º È{ Ak | k
ÎN }
まず、任意の ÎXÎXkÏXk-1 < kÏÈGlÎÈGkÎÈAk
また、各
任意の ÎXÎXkÈ{ Gl | l
< k }È{ Al | l
< k } > k
以上により、or
コンパクト空間) Þ パラコンパクト空間 Þ 正規空間 Þ 完全正則空間 Þ 正則空間 Þ Hausdorff
空間
位相空間 X は、その位相が X 上のある距離が与える位相に一致するとき距離が付くといいます。
この節の最後に、第二可算公理を満たす正則空間は距離が付くことを証明しましょう。
既に第7節で、第二可算公理を満たせばLindelöf
空間であり、第8節で正則なLindelöf
空間はパラコンパクトで、従って正規であることがわかっていますから、第二可算公理を満たす正規空間は距離が付くことを示せば十分です。
{ Ok | k
ÎN } Ì Oj(i, j)
ÎN²Urysohn
の定理 (11-6c)
により、各 (i, j)
ÎI0 、 \
Oj1 となる [
0, 1] :º [
I0, 1]
次に X から H への写像 f を (x)
= ( fij(x))(i, j)ÎI
また任意の ÎXÎOj Ì U Ì OjÎOi Ì V Ì Oj(i, j)
ÎI
ゆえに :º {
xÎH | x(i, j) < 1 }(x)
( y)
ÎW( y)
< 1ÎOj Ì UHausdorff
空間ですから、これは f が一対一であることを意味していますが、更に f が X から H の部分空間 [X ]
一般に可算集合 C に対する [
C0, 1]Hilbert cube
といいますが、これは可分な距離空間で、その部分空間も可分な距離空間です。
逆に可分な距離空間は、正則で第二可算公理を満たしますから、位相空間 X について、次の3条件は同値であることがわかりました:
(11-18a) |
X は第二可算公理を満たす正則空間。 |
(11-18b) |
X はHilbert cubeの部分空間と位相同型。 |
(11-18c) |
X は可分で距離が付く。 |