集合と位相


12.連結性

 位相空間 X の元を持つ開集合全体を O+ で表すとき、条件:

(12-1)  "O, O'ÎO+ : ( OÈO' = X  Þ  OÇO' ¹ Æ )

を満たす X連結空間というのでした(「数学の基礎」第27節 (27-1) 参照)。
 ところで OÈO' = X のとき、O の補集合が元を持てば、O' = Æ と仮定すると矛盾することから、O' は元を持ちます。OO' の役割を入れ替えても同様なので、X が条件 (12-1) を満たすとき、補集合が元を持つ X の開集合全体を O- で表せば、

(12-2)  "O, O'ÎO- : ( OÈO' = X  Þ  OÇO' ¹ Æ )

が成り立ちます。この (12-2) を補集合 FX \ OF'X \ O' の関係で表して対偶を取り、元を持つ X の閉集合全体を C + で表せば、これは

(12-3)  "F, F'ÎC + : ( FÈF' = X  Þ  FÇF' ¹ Æ )

と書き直すことができます。
 対称的に、FÈF' = X のとき、F の補集合が元を持てば、F' = Æ と仮定すると矛盾することから、F' は元を持ちます。FF' の役割を入れ替えても同様なので、X が条件 (12-3) を満たすとき、補集合が元を持つ X の閉集合全体を C - で表せば、

(12-4)  "F, F'ÎC - : ( FÈF' = X  Þ  FÇF' ¹ Æ )

が成り立ちます。そこで (12-4) を補集合 OX \ FO'X \ F' の関係で表して対偶を取れば、(12-1) が得られます。
 すなわち (12-1)~(12-4) はすべて同値であり、従って特に、古典論理のもとでは連結性と強連結性(「数学の基礎」第27節参照)を区別する必要はありません。
 また、古典論理では閉集合と閉集合の合併は閉集合なので、連結と極強連結(「数学の基礎」第27節 (27-4) 参照)も同じ意味になります。

 更に、位相空間 X に、空でも X 自身でもない開かつ閉な部分集合 S が存在すれば、開集合の組 (S, X \ S ) は条件 (12-1) を満たさないので X は不連結です。逆に X が不連結、すなわち条件 (12-1) を満たさなければ、OÈO' = X かつ OÇO' = Æ となる O, O'ÎO+ が存在するので、O = X \ O' は空でも X でもない開かつ閉な部分集合です。
 以上により、X が連結であるためには、X の開かつ閉な部分集合は ÆX しかないことが必要十分であることがわかりました。

 また、連結空間族の積は連結であり、部分空間として連結な部分集合を連結集合とよべば、連結集合の閉包は連結なのでした。

 また、連結な集合の族が共通元を持てば、その合併は連結であり、このことから、位相空間 X の各点 a に対し、a を元に持つ最大の連結集合が存在し、これを a(連結)成分とよぶのでした。また、成分は閉集合です。

 また、位相空間 X の各点の近傍系が連結な集合からなる基底を持つとき局所連結であるというのでした。局所連結空間の成分は開集合です。

 ここで、R の部分集合 C が連結集合であるための必要十分条件を考えてみましょう。
 「数学の基礎」第27節 (27-8)~(27-10) 前後の議論により、閉区間は連結です。また、空集合 Æ や一点からなる集合 {a} が連結であることも、定義から明らかです。
 また、- ¥ £ a < b £ ¥ のとき、a < c < b となる c を取り、実数の減少列 { an | nÎN }a < an < c かつ inf { an | nÎN } = a となるものと、実数の増加列 { bn | nÎN }b > bn > c かつ sup { bn | nÎN } = b となるものを取れば、

(12-5a)  ] a, b [ = È{ [ an , bn ] | nÎN }

(12-5b)  [ a, b [ = È{ [ a , bn ] | nÎN }       ( - ¥ < a )

(12-5c)  ] a, b ] = È{ [ an , b ] | nÎN }       ( b < - ¥ )

で、右辺を構成する各閉区間は共通元 c を持つので、左辺は連結です。
 逆に、C Ì R が連結なら、C は空か、一点集合か、閉区間か、(12-5) の左辺ような開区間あるいは片開区間のいずれかであることを証明します。
 C が空でも一点集合でもない場合、a = inf C , b = sup C と置けば、a < b ですが、このとき a < c < b なら cÎC であることを示せば十分です。
 ab の定義により F{ xÎC | x £ c } , F'{ xÎC | x ³ c } と置けば、FF' も空でない C の閉集合で、しかも FÈF' = C ですから、C の連結性により FÇF' ¹ Æ すなわち cÎC が証明されました。

 さて、連結空間 X で定義された実数値連続関数 f に対し、f [X]R の連結集合ですから、上記の結果を適用すれば、次のような古典論理における中間値の定理が得られます:


 f を連結空間 X で定義された実数値連続関数とする。
 もし a, bÎX において f(a) < f(b) が成り立てば、[ f(a), f(b)] Ì f [X] 、すなわち f(a) £ r £ f(b) であるような任意の実数 r に対して

(12-6)  f(c) = r

を満たす cÎX が存在する。



 また、古典論理のもとでは連結集合 X から集合 Y への局所的に定数な写像 f は大域的に定数であることが証明できます。
 実際、f の値域から任意に元 a を取ると、f が局所的に定数なので、Of -({ a}) = { xÎX |  f(x) = a }X の開集合です。同様に、任意の yÎY に対して f -({ y}) も開集合ですから、O'{ xÎX |  f(x) ¹ a } = È{ f -({ y}) | y ¹ a } も開集合で、OÈO' = X , O ¹ Æ , OÇO' = Æ ですから、もし O' ¹ Æ なら連結性の定義 (12-1) に反するので、O' = Æ すなわち f は定数です。

 なお、古典論理のもとでは連続性と擬連続性(「数学の基礎」第18節参照)は同じことですから、弧状擬連結と弧状連結は同義です。更に、区間的に連続で、端点で値が等しい連続関数を繋ぎ合わせたものは連続ですから、位相空間 X弧状連結であるとは、任意の a, bÎX に対し、R の閉区間 [0, 1] から X への連続写像 j で、j(0) = a , j(1) = b となるものが存在することです。

 弧状連結なら連結であり、弧状連結空間の連続像は弧状連結です。また、共通点を持つ弧状連結空間の族の合併は弧状連結であり、位相空間の各点に対して、その点を含む最大の弧状連結集合が存在し、これを弧状連結成分といいます。
 また位相空間 X は、各点の近傍系が弧状連結な集合からなる基底を持つとき局所弧状連結であるというのでした。また局所弧状連結空間の弧状連結成分は開集合です。

 なお、連結空間は、局所弧状連結なら弧状連結です。
 実際、連結空間 X が2個以上の弧状連結成分を持ったとすると、各弧状連結成分は開集合なので、その内の一個を O 、残りすべての合併を O' と置くと、これらは共に空でない開集合で、OÈO = X かつ OÇO' = Æ となるので、X が連結であることに反します。ゆえに X の弧状連結成分は唯一つであり、これは X が弧状連結であることを意味しています。

 この節の最後に、実数の区間で定義された写像の連続性を、連結性の概念を用いて特徴付けてみましょう。
 IR の区間、X を位相空間、f : I ® X を写像、G Ì I ´ X をそのグラフとします。

 まず f は連続と仮定し、g(x) (x, f(x)) と置くと、gI から I ´ X への連続写像ですから、G = g[I ] は連結集合の連続像なので連結です。
 更に、任意の (a, f(a))ÎG とその近傍 U に対し、f の連続性により、a の連結な近傍 V Ì If(a) の近傍 W Ì X を、f [V ] Ì W かつ V ´ W Ì U となるように取ることができます。このとき GÇ(V ´ W ) = g[V ] は、連結集合の連続像ですから連結で、しかも U に含まれ、(a, f(a))G における近傍になっています。aU は任意でしたから、G は局所連結であることがわかります。

 逆に G を連結かつ局所連結と仮定し、aÎIf(a) の開近傍 W を任意に取ります。GÇ(I ´ W ) は局所連結空間 G の開集合ですから局所連結です。ゆえに GÇ(I ´ W ) における (a, f(a)) の連結成分 CGÇ(I ´ W ) の(従って G の)開集合です。
 ゆえに a の連結な開近傍 Uf(a) の開近傍 V Ì W を、GÇ(U ´ V ) Ì C となるように取ることができます。このとき、aI の左端の点でない限り、b < a かつ g(b)ÎC となる bÎI が存在することを証明しましょう。
 O-GÇ{(x, y)ÎI ´ X | x < a } , OGÇ(U ´ V ) , O+GÇ{(x, y)ÎI ´ X | x > a } と置くと、これらはすべて G の開集合で、O-ÈOÈO+ = G が成り立ちます。一方 aI の左端の点でないので O- ¹ Æ です。また (a, f(a))ÎO ですから、G の連結性により、(12-1) を2つの空でない開集合 O-OÈO+ に対して適用すれば、O-Ç(OÈO+ ) ¹ Æ がわかります。 ところが O-ÇO+ = Æ ですから O-ÇO ¹ Æ です。ゆえに (b, f(b))ÎO-ÇO を取ると、 b < a かつ g(b) = (b, f(b))ÎO Ì C が成り立ちます。
 さて、p : I ´ X ® Ip(x, y) = x で定義すると、b, aÎp[C] で、連続写像 p による連結集合 C の像 p[C]R の連結集合なので、[b, a] Ì p[C] 、言い換えると g[[b, a]] Ì C が成り立ち、C Ì GÇ(I ´ W ) ですから f [[b, a]] Ì W となります。
 同様に、aI の右端の点でなければ c > a かつ g(c)ÎC となる cÎI が存在し、f [[a, c]] Ì W となります。すなわち f [[b, c]] Ì W が得られ、これは fa で連続であることを意味しており、aÎI は任意ですから f は連続であることがわかりました。

 以上により、R の区間から位相空間への写像が連続であるためには、そのグラフが連結かつ局所連結であることが必要十分であることがわかりました。

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