集合と位相


付録1.再帰的集合論からZF集合論へ

( 作 成 中 に つ き 暫 定 版 )

 「数学の基礎」では、「数学理論における推論の出発点である推論規則公理それ自体の“根拠”はどういう議論によって正当化できるのか」という一種哲学的な議論への一つの答である「任意に与えられた理論から出発して、ある構文論的な状態と、それが持つ構文論的な性質を、理論体系内部の記号と推論規則・公理に“翻訳”することのみによって理論を拡大する」という形式化の原理同付録2参照)に基づいて、直観主義論理同第1節参照)のもとで、等号ε 量化記号同第4節参照)を持つ集合論として、冪理論と、それを高階化したものを再度形式化して得られた再帰的集合論同第5節参照)を構築し、これらのもとで実際に数学理論を展開してきました。
 この最後に挙げた再帰的集合論は、公理系として

(Set-1)  $Set a "t x : xÎa

(Set-2)  "t' a "t' b $Tran c ( aÎc  Ù  bÎc )

(Set-3)  "Set a $Set b "x Ì a $yÎb : y =s x

(Set-4)  "Set a $Set b "x [ xÎb Û ( xÎa Ù R(x) ) ]

を持ち、全体集合 [t] 、空集合 Æ 、非順序対 {a, b} 、推移包 tran(a) 、和集合 Èa 、合併 aÈb 、共分 aÇb 、差集合 a \ b 、冪集合 P (a) 、命題 R(x) により分出された集合 { xÎa | R(x) } の存在が保証されるのでした。

 しかしこの集合論は、「外延性公理」すなわち素朴集合論や現代の標準的な公理的集合論であるZF集合論をはじめ、他の多くの公理的集合論(New FoundationsPositive set theory など)でも採用されている「集合は、その元のみによって特徴付けられえる」、言い換えると「元が共通な2つの集合は等しい」ことを保証する公理を持っていません。
 これは、再帰的集合論のベースである冪理論において、集合という概念が、まず { x | R(x) } という記号列そのもののことであると定義してそれを形式化したものであるため、命題 P(x) と命題 Q(x) がたとえ x に対して同値であっても、{ x | P(x) }{ x | Q(x) }記号列としては等しいとは限らない、という事実に対応しています。
 しかしながら、外延性公理が無いと、上で挙げた空集合や冪集合などが一意的に定まらず、できれば外延性公理が成り立った方が便利です。
 そこで本節では、この再帰的集合論から出発して、その中に外延性公理を満たす(ただし ε量化記号の使用は一部制限される)集合論が構築できることを解説します。

 この目的のための準備として、最初に Î-帰納法について考察します。まず

(A1-1)  Wf(a) :º t¢(a) Ù "Set x [ ( [t] Ì x Ù "Set zÎtran(a) ( z Ì x Þ zÎx ) ) Þ aÎx ]

という性質を考察してみましょう。このとき

(A1-2)  "a [ Wf(a)  Û  ( t(a) Ú WS(a) ) ]       (  WS(a) Set(a) Ù "bÎa Wf(b)  )

が成り立つことを証明します。
 最初に右辺から左辺を導きます。
 まず t(a) なら定義より明らかに Wf(a) が成り立ちます。
 次に、WS(a) すなわち Set(a)"bÎa Wf(b) を仮定し、集合 x[t] Ì x Ù "Set zÎtran(a) ( z Ì x Þ zÎx ) を満たすとします。aÎtran(a) なので、もし a Ì x が証明できれば、z として特に a を取れば aÎx が得られ、これは Wf(a) が成り立つことを意味するので (A1-2) の左辺が得られます。
 ゆえに任意の bÎax に属すことを証明すれば十分ですが、仮定により Wf(b) です。一方、bÎaÎtran(a)tran(a) は推移的ですから bÎtran(a) なので tran(b) Ì tran(a) ですが、x の取り方から [t] Ì x Ù "Set zÎtran(b) ( z Ì x Þ zÎx ) となり、WF(b) の定義により bÎx が得られます。

 逆、すなわち (A1-2) の左辺から右辺を示すために、任意の命題 R(x) に対して Î-帰納法

(A1-3)  [ "t x R(x) Ù "WS z ( "Wf uÎz R(u) Þ R(z) ) ] Þ "Wf a R(a)

が成り立つことを証明しておきましょう。
 実際、左辺が成り立つとし、Wf(a) を仮定して x{ uÎtran(a)È[t] | Wf(u) Ù R(u) } と置きます。
 既に証明されている (A1-2) の「右辺 Þ 左辺」と (A1-3) の左辺が成り立つという仮定により [t] Ì x が得られ、また WS の定義から明らかに WS(x) が成り立ちます。
 次に z Ì x を満たす任意の集合 zÎtran(a) を取ります。任意の uÎz に対し、uÎx なので Wf(u) かつ R(u) となりますが、まず定義により WS(z) が得られ、(A1-2) の「右辺 Þ 左辺」は既に証明されているので Wf(z) が得られ、また (A1-3) の左辺が成り立つという仮定により R(z) が得られ、従って x の定義により zÎx となります。
 ゆえに、仮定 Wf(a) と定義 (A1-1) により aÎx となり、x の定義により R(a) となり、(A1-3) は証明されました。

 さて、(A1-3) を特に R(x)  :º  t(x) Ú WS(x) に対して適用すれば、(A1-2) の「左辺 Þ 右辺」は明らかです。以上で (A1-2) は証明されました。

 以上の結果を用いると、再帰的集合論の公理 (Set-1)~(Set-4)Set を一斉に WS に置き換えたもの(従ってもちろん Set である WS と同値な Wf に置き換え、TranTran*(a) WS(a)  Ù  "WS xÎa : x Ì a で定義される Tran* に置き換える。)が成り立つことがわかります。

 実際、まず (Set-1) についてですが、a[t] と置くと、"t x : xÎa は明らかですが、逆に任意の xÎa は、t(x) なので (A1-2) により Wf(x) となり、WS の定義により WS(a) となります。

 次に (Set-2) は、Wf(a)Wf(b) を満たす任意の ab に対し、c{ xÎtran(a)Ètran(b) | Wf(x) } と置くと、まず明らかに a, bÎc で、しかもすべての xÎcWf(x) を満たすので、WS の定義により WS(c) となります。
 また WS(x) を満たす任意の xÎc を取ると、任意の zÎx は、WS の定義により Wf(z) を満たしますが、xÎtran(a) 又は xÎtran(b)Set(x) ですから、tran(a)tran(b) の推移性により、それぞれ zÎtran(a) あるいは zÎtran(b) となります。これは c の定義により zÎc を意味し、以上により x Ì c が、従って Tran*(c) が証明されました。

 次に (Set-3) は、WS(a) を満たす任意の a に対し、bP (a) と置くと、任意の xÎbx Ì a を満たすので、WS(a)WS の定義により WS(x) は明らかですが、(A1-2) により Wf(x) となるので、x の任意性と WS の定義により WS(b) がわかります。
 また、WS(x) を満たす任意の x Ì a に対し、Set(x) なので、P (a) の定義により、y =s x となる yÎb が存在しますが、y Ì x ですから、WS(x)WS の定義により WS( y) となり、従って (A1-2) により Wf( y) となります。

 最後に (Set-4) は、WS(a) を満たす任意の a と任意の命題 R(x) に対し、b{ xÎa | R(x) } と置くと、WS(a)b Ì aWS の定義により WS(b) となります。
 更に、b の定義により、(x) のとき xÎbxÎa Ù R(x) は同値であり、またこれらのいずれからも Wf(x) が得られます。

 さて、以上の結果により、1変項述語 WS を改めて Set だと思うことにより、再帰的集合論は、(Set-1)~(Set-4) に加えて次のÎ-帰納法

(Set-5)  [ "t x R(x) Ù "Set z ( "uÎz R(u) Þ R(z) ) ] Þ "a R(a)

も満たすと仮定してよいことがわかりました。

 さて、空な理論 s 、すなわちそれに関する公理も推論規則も一切仮定しない理論を考え、s 上の再帰的集合論の再帰的集合論の … の再帰的集合論を取る、という操作を n 回繰り返して得られる理論を sn と書くことにします(特に s0 º s )。
 このような snt と書くと、その冪理論「数学の基礎」第5節参照)の高階集合論を形式化した再帰的集合論の存在述語記号 Set における Set 項は、もとの t 項とは異なる項ですから、この事実を形式化すると、

(Set-0)  "x : Ø[t(x) Ù Set(x)]

という公理が得られます。なお、(Set-0)SetWS に置き換えた命題も当然成り立ちますから、理論理論 sn(Set-0)~(Set-5) を満たすとしてよいことがわかります。
 さて、理論 si-1t だと思ったときの Set , Î , Æ , P (a) , { xÎa | R } , [si-1] , {a, b} , tran(a) , aÈb のことを、それぞれ順に、Seti , Îi , Æi , P i(a) , { xÎia | R }i , [si-1]i , {a, b}i , trani(a) , aÈib と書くことにし、

(A1-4a)  Setn(a)  :º  Set1(a) Ú ¼ Ú Setn(a)

(A1-4b)  aÎn b  :º  aÎ1b Ú ¼ Ú aÎnb       (  aÎib Seti(a) Ù Seti(b) Ù aÎib  )

(A1-4c)  a Ì n b  :º  "n xÎn a : xÎn b

(A1-4d)  a =n b  :º  a Ì n b Ù b Ì n a

と置き、Setn 項のことを n 集合とよぶことにします。このとき、各段階で (Set-0) が成り立つことから

(A1-5a)  "x : Ø [s(x) Ù Set i(x)]

(A1-5b)  "x : Ø [Seti(x) Ù Set j(x)]       (  i ¹ j  )

が成り立つことに注意します。また、"Setn 及び "Setn をそれぞれ "n 及び "n と略記することにします。$ε についても同様です。このとき

(A1-6a)  $n a "n x : Ø xÎn a

(A1-6b)  "n a "n b $n c ( aÎn c  Ù  bÎn c )

(A1-6c)  "n a $n b ( aÎn b  Ù  Trann(b) )       (  Trann(b)  :º  "xÎn b "yÎn x : yÎn b  )

(A1-6d)  "n a $n b "n x Ì n a $n yÎn b : y =n x

(A1-6e)  "n a $n b "n x [ xÎn b Û ( xÎn a Ù R(x) ) ]

(A1-6f)  "n x ( "n zÎn x R(z) Þ R(x) ) Þ "n x R(x)

が成り立ちます。
 実際、(A1-6a) は、a :º Æ1 と置けば、xÎn a なら xÎka となる k について場合分けをすれば、Set1(a) かつ Setk(a) ですから、k > 1 のときは (A1-5a) により矛盾し、k = 1 のときは xÎ1a となるので Æ1 の定義によりやはり矛盾します。
 次に (A1-6b) は、c{a, b}n と置けば、Setn(c) , Setn(a) , Setn(b) かつ a, bÎnc なので a, bÎnc すなわち a, bÎn c となります。
 次に (A1-6c) は、Setk(a) となる k について場合分けをして、b[sk-1]k Èk trank(a) と置きます。明らかに Setk(b)aÎkb ですから aÎkb で、従って aÎn b となります。
 更に xÎn b かつ yÎn x と仮定し、xÎib 及び yÎ jx となる ij について場合分けをしますが、i ¹ k あるいは j > i の場合は (A1-5a) により矛盾するので j £ i = k の場合のみを考えれば十分です。このとき j = k なら yÎkxÎk trank(a)trank(a) の推移性により yÎk trank(a) が成り立ち、j < k なら Setk-1( y) なので yÎk [sk-1]k ですから、いずれにせよ yÎkb となり、従って yÎn b となります。
 次に (A1-6d) は、Setk(a) となる k について場合分けをして、bP k(a) と置きます。明らかに Setk(b) です。
 また任意に取った x Ì n a に対して y{ zÎka | zÎnx }k と置きます。明らかに Setk( y)yÎkb で、従って yÎn b です。
 任意の zÎn y に対し、zÎiy となる i について場合分けすると、i ¹ k なら (A1-5a) により矛盾するので i = k とします。このとき y の定義により zÎn x となります。逆に zÎn x なら x Ì n a により zÎn a であり、zÎia となる i について場合分けすると、i ¹ k なら (A1-5a) により矛盾するので i = k とします。このとき y の定義により zÎn y となり、以上により y =n x がわかりました。
 次に (A1-6e) は、Setk(a) となる k について場合分けをして、b{ xÎka | R(x) }k と置きます。明らかに Setk(b) です。
 任意の xÎn b に対し、xÎib となる i について場合分けすると、i ¹ k なら (A1-5a) により矛盾するので i = k とします。このとき b の定義により R(x) かつ xÎka 従って xÎn a となります。逆に R(x) かつ xÎn a なら xÎia となる i について場合分けすると、i ¹ k なら (A1-5a) により矛盾するので i = k とします。このとき b の定義により xÎn b となり、以上により (A1-6e) が成り立つことがわかりました。
 最後に (A1-6f) は、まず P(x) :º s(x) Ú R(x) と置き、(A1-6f) の左辺である "n x ( "zÎn x R(z) Þ R(x) ) を仮定します。
 このとき、(Set-5) により、各 k £ n に対して [ "sk-1 x P(x) Ù "k x ( "zÎkx P(z) Þ P(x) ) ] Þ "sk x P(x) が成り立ちますが、Setk(x)"zÎkx P(z) を仮定すると、Setn(x) であり、しかも任意の zÎn x に対し、Setk(x) なので zÎkx が成り立ち、従って P(z) が成り立つので特に R(z) が成り立ちます。ゆえに (A1-6f) の左辺の仮定により R(x) が成り立ちますが、(A1-5b) により Ø s(x) なので P(x) が成り立ちます。
 以上により "k x ( "zÎkx P(z) Þ P(x) ) が証明されたので、"sk-1 x P(x) から "sk x P(x) が導かれることがわかり、一方で "s x P(x) は明らかに成り立ちますから、結局 "sn x P(x) が成り立つことがわかり、従って (A1-5b) により "n x R(x) が得られ、(A1-6f) は証明されました。

 さて、(A1-6) により、理論 Setn においても n 集合 a推移包 trann(a)和集合 Èn a冪集合 P n(a) や、n 集合 ab非順序対 {a, b}n合併 aÈn b共分 aÇn b や、n 集合 a から命題 R(x) により分出された n 集合 { xÎn a | R(x) }n の存在が保証されます。

 さて、理論 Setn では、これらの公理に加えて、以下に解説する選択公理が、更に n ³ 2 の場合には無限公理が成り立つことが証明できます。

 まず選択公理や無限公理について述べる前に、n 集合 a 上の順序対2項関係を次のように定義します。
 各 x, yÎn a に対し、xya 上の非順序対{x, y}n, a { zÎn a | z º x Ú z º y }În P n(a) で定義して {x}n, a {x, x}n, a と置き、xya 上の順序対(x, y)n, a {{x}n, a , {x, y}n, a }n, P n(a) で定義します。
 このとき更に、n 集合 ra 上の2項関係であるとは、Reln, a(r) :º "n zÎn r $n xÎn a $n yÎn a : z º (x, y)n, a が成り立つことであると定義します。
 a 上の2項関係 f は、(x, y)În f かつ (x, z)În f なら y º z であるとき n 写像といい、更に Dn( f ) { xÎn a | $n yÎn a : (x, y)n, aÎ f }n =n b であってかつ Rn( f ) { yÎn a | $n xÎn a : (x, y)n, aÎ f }n Ìn c であるとき、fb から c への n 写像であるといって f :n b ®n c と書くことにします。また、このとき f(x)n εn y [ (x, y)n, aÎn f ] と書くことにします。
 以上の準備のもとで、次の選択公理

(A1-7)  "n a "n b [ "n xÎn a $n yÎn b R(x, y) Þ $f :n a ®n b "n xÎn a R(x, f(x)n ) ]

が成り立つことが証明できます
 実際、caÈn b と置き、F(x) εn y[ yÎn b Ù R(x, y)] と書いて、f{ zÎn P n(P n(c)) | $n xÎn a : z º (x, F(x))n, c }n と置けば明らかです。

 次に、n ³ 2 の場合、無限公理

(A1-8)  $n a [ $n xÎn a "n y ( Ø yÎn x) Ù "n xÎn a $n yÎn a "n z ( zÎn y  Û  ( z º x  Ú  zÎn x ) ) ]

が成り立つことを証明しましょう。
 実際、a[s1]2 と置けば十分であることを確かめます。
 まず、xn Æ1 と置き、yÎn x と仮定すると、yÎk xk について場合分けすることにより、k = 1 なら x の定義により矛盾し、k > 1 なら (A1-5b) に矛盾するので、いずれにせよ矛盾します。
 また、xÎn a を満たす任意の n 集合 x に対し、xÎk ak に対して場合分けすると、k ¹ 2 なら (A1-5b) により矛盾します。また k = 2 なら、s1(x) となるので Set1(x) となります。ゆえにこの場合は yxÈ1{x}1 と置けば、命題 zÎn y は、zÎk yk に対して場合分けすると、k ¹ 1 なら (A1-5b) により矛盾し、k = 1 なら z º x 又は zÎ1x となり、後者は Set1(x) により zÎn x と同値です。

 さて、理論 Setn において、新たに同値関係 = と2項述語 Î をうまく定義することにより、選択公理を一部犠牲にして、外延性公理が成り立つような集合論が構築できることを証明しましょう。

 以下、理論 Setn における推移的な集合 a を任意に選び、a 上の2項関係 r同値関係であるということを Equivn, a(r) と書くことにします:

(A1-9)  Equivn, a(r)  :º  Reln, a(r) Ù "n xÎn a [(x, x)n, aÎn r] Ù "n xÎn a "n yÎn a "n zÎn a [( (x, y)n, aÎn r Ù (x, z)n, aÎn r ) Þ ( y, z)n, aÎn r]

 そして、a 上の2項関係 r に対して

(A1-10a)  x Ìn, r y  :º  "n uÎn x $n vÎn y : (u, v)n, aÎn r

(A1-10b)  Exn, a(r)  :º  Equivn, a(r) Ù "n x "n y : [ ( x Ìn, r y  Ù  y Ìn, r x )  Þ  (x, y)n, aÎn r ]

(A1-10c)  en, a  :º  { zÎn P n(P n(a)) | "n r ( Exn, a(r) Þ zÎn r ) }

と定義します。このとき a 上の2項関係 rs に対し、明らかに

(A1-11)  ( x Ìn, r y  Ù  r Ìn s )  Þ  x Ìn, s y

が成り立ち、r同値関係なら

(A1-12a)  x Ìn, r x

(A1-12b)  ( x Ìn, r y  Ù  y Ìn, r z )  Þ  x Ìn, r z

(A1-12c)  ( x Ìn, r y  Ù  r Ìn s )  Þ  x Ìn, s y

が成り立ちます。また、

(A1-13a)  Exn, a(r)  Þ  en, a Ìn r

(A1-13b)  Exn, a(en, a )

(A1-13c)  ( x Ìn, en, a y  Ù  y Ìn, en, a x )  Û  (x, y)n, aÎn en, a

(A1-13d)  [ Trann(a)  Ù  Trann(b) ]  Þ  "n x, yÎn aÇn b [ (x, y)n, aÎn en, a  Û  (x, y)n, bÎn en, b ]

が成り立つことが証明できます。

 実際、(A1-13a)en, a の定義 (A1-10c) から明らかです。このとき更に (A1-12c) により x Ì n, en, a y  Þ  x Ìn, r y が成り立つことに注意します。

 また (A1-13b) は、この注意と (A1-10c) から明らかです。

 次に (A1-13c) を示すために

(A1-14)  r  :º  { zÎn P n(P n(a)) | $n x $n y ( x Ìn, en, a y  Ù  y Ìn, en, a x  Ù  z º (x, y)n, a ) }

と置くと、まず (A1-12a)(A1-12b) により Equivn, a(r) が成り立つことがわかります。
 また、(A1-14)(A1-13b) により (x, y)n, aÎn r  Þ  ( x Ìn, en, a y  Ù  y Ìn, en, a x )  Þ  (x, y)n, aÎn en, a となるので r Ìn en, a がわかります。
 従って (A1-11) により ( x Ìn, r y  Ù  y Ìn, r x)  Þ  ( x Ìn, en, a y  Ù  y Ìn, en, a x) が得られるので、r の定義により (x, y)Înr となり、これは Exn, a(r) が成り立つことを意味します。
 ゆえに (A1-13a) により en, a Ìn r となり、以上で en, a の元であることと r の元であることは同値であることがわかり、(A1-13c) は証明されました。

 最後に (A1-13d)Î-帰納法 (A1-6f) を使って証明しましょう。
 すなわち caÇn b と置き、xÎn c Þ "n yÎn c [ (x, y)n, aÎn en, a  Û  (x, y)n, bÎn en, b ] という命題を R(x) と書き、"n zÎn x R(z) を仮定して R(x) を証明すれば十分です。
 そこで x, yÎn c を仮定し、任意に uÎn xvÎn y を取ると、仮定により R(u) が成り立ち、しかも c の推移性により u, vÎn c となります。
 ゆえに (u, v)n, aÎn en, a  Û  (u, v)n, bÎn en, b が成り立ち、従って (A1-10a) により x Ìn, en, a y  Ù  y Ìn, en, a xx Ìn, en, b y  Ù  y Ìn, en, b x は同値になり、従って (A1-13c) により R(x) が得られます。

 以上の準備のもとで、2項関係 =Î と省略記法 Ì

(A1-15a)  x = y  :º  $n a [ Trann(a)  Ù  xÎn a  Ù  yÎn a  Ù  (x, y)În en, a ]

(A1-15b)  xÎ y  :º  $n zÎn y : z = x

(A1-15c)  x Ì y  :º  "n z ( zÎx  Þ  zÎ y )

で定義します。このとき、Trann(a) なら

(A1-16a)  "x, yÎn a [ x = y  Û  (x, y)n, aÎn en, a ]

(A1-16b)  "x, yÎn a [ x Ì y  Û  x Ìn, en, a y ]

が成り立ち、

(A1-17a)  x =n y  Þ  x = y

(A1-17b)  xÎn y  Þ  xÎy

が成り立ち、また =同値関係、すなわち

(A1-18a)  x = x

(A1-18b)  ( x = y  Ù  x = z )  Þ  y = z

を満たし、Î=両立する、すなわち

(A1-19a)  ( x = y  Ù  xÎz )  Þ  yÎz

(A1-19b)  ( x = y  Ù  zÎx )  Þ  zÎy

を満たし、更に外延性

(A1-20)  ( x Ì  y  Ù  y Ì x )  Û  x = y

が成り立ちます。
 実際、(A1-16a)= の定義 (A1-15a)(A1-13d) から明らかです。
 また (A1-18) は、任意の x , y , z に対して atrann({x, y, z}n ) と置けば x, y, zÎn a なので、Equivn, a(en, a )(A1-16a) により明らかです。
 また (A1-17b)(A1-15b)(A1-18a) から明らかです。
 また (A1-16b) は、x Ì yuÎn x なら、(A1-17b) により uÎx なので (A1-15c) により uÎy で、従って (A1-15b) により u = v かつ vÎn y となる v が存在し、x Ìn, en, a y が得られます。
 逆に x Ìn, en, a y かつ zÎx なら、(A1-15b) により u = z となる uÎn x が存在します。ゆえに (A1-10a) により (u, v)n, aÎen, a となる vÎn x が存在し、従って (A1-16a) により u = v がわかるので、(A1-15b) により xÎy が得られます。
 また (A1-17a) は、x =n y なら、zÎn xzÎn y は同値で、Equivn, a(en, a ) により (z, z)n, aÎen, a ですから (A1-10a) により x Ì n, en, a yy Ì n, en, a x が成り立ち、従って (A1-13c) により (x, y)n, aÎn en, a が得られ、(A1-15a) により x = y となります。
 また (A1-20) は、atrann({x, y}n ) と置けば x, yÎn a なので、(A1-16)(A1-13c) により明らかです。
 また (A1-19b)(A1-20) により明らかです。
 最後に (A1-19a) は、x = y かつ xÎz なら、(A1-15b) により w = x かつ wÎn z ですから、(A1-18) により w = y となるので、(A1-15b) により yÎz となります。

 以上のようにして2項関係 =Î を定義すると、命題 R(x)=整合的、すなわち

(A1-21)  ( R(x)  Ù  x = y )  Þ  R( y)

を満たすならば

(A1-22a)  "n a "n b [ "n x ( xÎa  Û  xÎb )  Þ  a = b ]

(A1-22b)  $n a "n x : Ø xÎa

(A1-22c)  "n a "n b $n c ( aÎc  Ù  bÎc )

(A1-22d)  "n a $n b ( aÎb  Ù  Tran(b) )       (  Tran(b)  :º  "n xÎb "n yÎx : yÎb  )

(A1-22e)  "n a $n b "n x Ì a : xÎb

(A1-22f)  "n a $n b "n x [ xÎb Û ( xÎa Ù R(x) ) ]

(A1-22g)  "n x ( "n zÎx R(z) Þ R(x) ) Þ "n x R(x)

が成り立ち、更に n ³ 2 のときは

(A1-22h)  $n a [ $n xÎa "n y ( Ø yÎx) Ù "n xÎa $n yÎa "n z ( zÎ y  Û  ( z = x  Ú  zÎx ) ) ]

が成り立ちます。
 実際、(A1-22a)(A1-20) から明らかです。
 また (A1-22b) は、(A1-6a)a を取り、xÎa と仮定すると、Î の定義 (A1-15b) により z = x となる zÎn a が存在し、矛盾します。
 また (A1-22c) は、(A1-6b)c を取ると、(A1-17b) により a, bÎc となります。
 また (A1-22d) は、(A1-6c)b を取り、xÎb かつ yÎx とすると、Î の定義により z = x となる zÎn b が存在しますが、(A1-19b) により yÎz となり、再び Î の定義により w = y となる wÎn z が存在し、Trann(b) なので wÎn b となり、Î の定義により yÎb となり、Tran(b) がわかります。
 また (A1-22e) は、(A1-6d)b を取り、任意の x Ì a を取ると、y =n x となる yÎn b がありますが、(A1-17a) により y = x となるので (A1-19b) により xÎb となります。
 また (A1-22f) は、(A1-6e)b を取り、xÎb とすると、Î の定義により y = x となる yÎn b が存在し、従って yÎn a かつ R( y) となりますが、Î の定義と (A1-21) により xÎa かつ R(x) となります。
 逆に xÎa かつ R(x) とすると、Î の定義により y = x となる yÎn a が存在しますが、(A1-21) により R( y) となるので (A1-6e) により yÎn b となり、再び Î の定義により xÎb となります。
 次に (A1-22g) を示すため、"n x ( "n zÎx R(z) Þ R(x) ) を仮定します。ここで更に "n zÎn x R(z) を仮定して、任意に zÎx を取ると、Î の定義により w = z となる wÎn x が存在し、従って2番目の仮定により R(w) となり、従って (A1-21) により R(z) が成り立ちます。これは "n zÎx R(z) が成り立つことを意味するので、最初の仮定により R(x) が成り立ちます。
 以上により、最初の仮定のもとで、( "n zÎn x R(z) ) Þ R(x) が成り立つことがわかりました。x は任意ですから、(A1-6f) により "n x R(x) が得られ、(A1-22g) は証明されました。
 最後に (A1-22h) を示すため、(A1-8)a を取ります。最初に "n y ( Ø yÎn x) を満たす xÎn a を取ると、yÎx を仮定すると Î の定義により z = y となる zÎn x が存在して矛盾するので Ø yÎx とあります。
 また任意の xÎa に対し、Î の定義により x = w となる wÎn a があるので、(A1-8) により "n z ( zÎn y  Û  ( z º w  Ú  zÎn w ) ) となる yÎn a を取ることができますが、(A1-17b) により yÎa です。
 ここで任意に zÎ y を取ると、Î の定義により u = z となる uÎn y が存在し、従って u º w 又は uÎn w となりますが、前者の場合は (A1-18) により z = x となり、後者の場合は Î の定義により zÎw となり、従って (A1-19b) により zÎx となります。
 逆に z = x 又は zÎx とすると、前者の場合、(A1-8) により xÎn y なので Î の定義により zÎ y となり、後者の場合、Î の定義により w = z となる wÎn x が存在しするので (A1-8) により wÎn y となり、再び Î の定義により zÎ y となります。

 この (A1-22) は、上から順に、外延性公理空集合の公理非順序対の公理推移性公理冪集合の公理分出公理Î-帰納法無限公理とよばれています。

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