中学受験 母の孤独を救う法

子育ての時期も10年が過ぎ、受験準備が始まり成績が偏差値で表されるようになると、今までは子どもの長所や個性ととらえていたものが、短所や正すべき点というように親の気持ちが変化してしまうことがあります。 子どもたちはテストのたびに、きつく、悲しい言葉をお母さんから言われたり、そばでため息をつかれたりすることを経験するようになります。初めての受験生生活というだけでも緊張を強いられているのに、その上、自分の何かがお母さんから受け入れられていないことを感じ、心が不安で一杯になってしまいます。

お母さんたちも、実は子どもたちと同じく不安なのです。何を勉強させればよいのか、塾の勉強にはどのようにかかわればよいのか、初めての経験なのでわからないことが沢山あります。誰かに相談したいと思っても、「受験するらしいわよ」、「熱心ね」などと話が広がるだろうことを思うと、それもできません。塾の言う通りにしていれば何とかなるだろうと考え、出された宿題をすべてこなすことに一生懸命になります。しかし、ただこなすだけでは学力はつかず、成績は伸びません。さらに、「親子関係が悪くなるので、子どもの勉強は見ないように」、「プリントの整理ぐらい自分でさせなければ子どもは自立できない」などと塾で言われると、「そうなのかな」とも思ってしまいます。余計に子どもを見る目が厳しくなり、「そんなことじゃあ、合格できないわよ。」とつい言ってしまいます。
 このような日常生活が原因となって親子関係がぎくしゃくするのですが、 そんな状況を「子どもが反抗期に入ったから」と思ってしまいます。少し勉強すれば自分の学歴レベルぐらいには合格できるだろうと思っているお父さんには、この現実を理解してもらえません。お母さんは一人で、子どもと受験を抱え込んでしまいます。相談する人や愚痴を言い合える人がいないことは本当につらいことです。

こんなときには子どものテキストを開いて、「こっそり勉強」をしてみてください。そして、自分ができないことは、たぶん子どももできないのですから、子どもに「塾で聞いてきてお母さんに教えて」と言ってみます。自分がテキストを開いて勉強をすれば、必ず何かが見えてきます。その見えたものをもっと具体的にしようとする気持ちが、お母さんを孤独から解放してくれます。不安なことを頭でばかり考えないで行動してみてください。そして、うまくいかないときには塾に相談しましょう。
 塾の先生方には、子ども一人ひとりをよく見て、その子にふさわしいアドバイスをしてくださることを、この場をお借りしてお願いいたします。

               読売ウイークリー カリスマ講師の教え 第21  2007.9.30