中学受験 国語

 年生 秋の学習 

9月から始まる模擬試験を受けた結果、国語が思うように伸びないと、お悩みのご家庭も多いことと思います。丁寧な読みを心がけてきたにもかかわらず、良い結果が得られない原因の一つに、「時間の制約」があるために読み取りが浅くなる、ということが挙げられます。

=では、どのようにすれば良いか=
子どもをはっきりと目覚めさせればよいのです。「時間が足りない」ことを言い訳にしているうちはまだまだ自覚がたりません。過去問をやらせます。まだ無理ではないかとお思いになるでしょうが、今から11月半ばまでの期間には、強引にでも第一志望校の国語の過去問を5年間分やります。今まで乗り越えられなかったハードルを、何とか越えさせるには、過去問という厳しい現実に向かわせて、目を覚まさせなければなりません。

親御さんも、是非、実際に過去問を時間内に解いてください。 他教科と違い、国語の入試問題は、普段のテストとは違うことがお分かりになると思います。たとえば、社会は、日々の学習の積み重ねという点では、普段のテストと入試問題では本質的な差はありません。しかし、国語は問題として選ばれる文章、あるいは設問(記述か選択式か)等に、各学校の特色がはっきりと表れています。

=具体的に=
時間を計って本番と同じにします。(「印つけ」は今まで通りにすること)時間がきたら、甘やかさずにそこで一度止めます。その後、引き続きやり残しのものを、やはり時間を計ってやり終えます。時間内にできたものだけを採点します。30〜50点しかとれないかもしれません。それでも良いのです。

子どもは(もちろん親も)志望校の過去問が出来ないと、当然、ショックを受けます。 「この学校を受けるのは無理なのではないか」とも思うでしょう。しかし、そんなことでめげてはいけません。国語に関しては、志望校の特色を体感しない限りは、思うような点数はとれません。(できなかったからといって、親の感情を子どもにぶつけないようにしてください。)

「やっぱりこの学校の問題はよい問題ね。とても難しいし、今までやってきたものとはちょっと違うのではないかしら。」と声をかけてあげてください。「よい問題」、「今までとは違う」ということを強調することで、子どもは少しほっとして「そうなんだ。 やっぱり違うんだ。どうすれば良いのだろう。」と心の中で思いをめぐらせるはずです。「解き直しをきちんとすれば大丈夫」と励ましてあげてください。解き直しを丁寧にすることが最も大切です。正しい答えにたどり着いた時には、必ず正答の根拠を言わせます。また、なぜ間違えたかを子どもに考えさせ、その問題の余白に、たとえば「抜き出しの書き写しミスをした」、「選択肢の設問を読み飛ばした」のように、理由をはっきりさせて赤ペンで書かせます。いくつか同じ理由があるはずです。

子どもたちは「だって時間が足りないんだもん」と言います。まさに時間に追われるがために、読み取りが浅くなっているのです。「時間がない」ことを改めて自覚します。  (今までも自覚がなかったわけではないけれど、これほど切実に感じてはいなかったでしょう

まず、子ども自身に「時間内に読み取るにはどのようにしたら良いか」を考えさせてください。自分なりの対策を言わせます。「時間対策の手引き」@〜Eは重要ですから、欠けている場合には言い添えて、指導なさってください。次回の過去問からはこの手引きに沿って進めていきます。また、3年分であきらめずに5年分はやってください。

「時間対策」の手引き
  @     漢字、知識問題は先にやること。ここに時間をかけすぎないように。
  A     何回も読み直す時間はないので、一回で読み通すこと
  B     一つの問題に時間をかけすぎると、その後の易しい問題をやる時間がなくなるの
   で、ひっかかったままそこに止まっていないこと。

  C     段落分けの問題、文章を入れ戻す問題がある場合には、読みながらやってしまう
   こと。

  D     記述は白紙にしてはいけないこと。
  E     自分の印つけを信用すること。


国語に関しては、「時間内に解くこと」は、過去問をやることにより解決していきます。子どもは志望校の問題を、大人とは違う不思議な力で体感していくようです。 時間内に正確にやり終えなければならないという緊張感の中で3年間分位やり終えた頃には、「時間」の意識もかなりはっきりし、集中力もぐっと高まってくるはずです。


今まであんなに勉強してきたのだから出来るはずと、勢い込んで取り組んだ過去問が、思うようにできなかったという経験は、子どもの意識を変えます。何とか頑張ろう、どう頑張ればよいのだろうと考え始めます。少しずつ背中を押しながら頑張らせてください。「頑張る」ということは今まで学んだ多くの知識を土台として、問題文としっかり向き合うということです。短時間に集中する一本の神経を作るということです。抽象的な言い方ですが「神経を一本作る」という言い方がぴったりします。大人には無理ですが、子どもたちは自分でこれを作ってしまいます。夏休みまでに身に付けた多くの知識や方法が、集中力と共に統合されていくのです。志望校への熱い思いがそうさせるのでしょう。

尚、過去問5年間分は古いものから順に解き、11月半ばまでに一回終え、本番までにもう一回やります。子どもたちは問題文も答えも覚えてはいません。学校の特色を体感させるためには、少なくても2回はなさってください。

第一志望以外のものは、なかなか時間が取れないので、大問を一つずつ、15分〜20分時間を割いて日々の学習の中に組み込んでいくのが良いでしょう。

過去問はコピーをし、解答用紙は拡大コピーをして、なるべく本番に近い形式でなさって下さい。

模擬試験

大手のものを少なくても4回はお受けになることをお勧めします。多くの受験生の中(03年の四谷大塚の合不合判定テストの受験者数は17,000人前後)での自分の位置を知ることは必要です。しかし、偏差値はあくまでも目安です。学校により問題傾向が違うので、志望校に特化したやり方をしている場合は、傾向の違うものは当然得点できません。それで良いのです。

直しは必ず丁寧にしてください。第一志望校と違うパターンの問題は、この解き直しで身につけていきましょう。

以上が、11月半ばまでの学習に対する私の考えです。      04-09-21