大村はま先生 白寿記念講演会に伺って
10月31日、東京国際フォーラムでの、大村はま先生の白寿記念講演会には全国各地から多くの方たちが集い、心から先生の白寿をお祝い申し上げました。
「忘れ得ぬことば」の演題での、先生のご講演では、先生のお心にふれさせていただき、一時間半の間に何度も涙が頬を伝いました。「考えなさいではなく、響きのあたたかな、つい、できるような言葉をかけてあげること」、
「言葉を育てることは、心を育てること、心を育てることは人を育てること、教育そのもの」
というお話を、この時、この場で、目の前にいらっしゃる先生のお声で直々に伺いましたこと、まことに大きな感動をいただき、まさに「ことばの力」を実感いたしました。
また、祝辞を述べられたそれぞれの時代の教え子の方たちの何人かが、授業のノート、先生のおつくりになった教材を、メモの一枚も残らず保存なさっていたというお話に、どんなにか生徒の心に残る授業をなさったのかを思い、私も授業を受けさせていただきたかったと、大変うらやましくさえ感じました。
この会は、何か特別の気高さと、しみじみとした空気の漂う、不思議な雰囲気の集いでした。ご挨拶をなさった相賀先生、倉沢先生、野地先生はじめ、どなたもが難しいことをおっしゃらず、どなたもが形式的なお祝いの言葉をおっしゃらず、わかりやすく、あたたかみのあるお言葉でお話をなさってくださいました。まさに、宮城様のおっしゃる「大村先生のメロディー」そのものでした。
帰りのエスカレーターは長い列ができていましたが、一人一人が心に持ちきれないほどのプレゼントをいただき、それを壊さずにそっと歩いているかのような、シンとした空気が流れておりました。
大村先生の白寿のお祝いを心から申し上げます。 2004年10月