目標を持って今まで学び、努力を重ねてきたことも、いよいよ仕上げの時期に入りました。
模擬試験の結果や過去問の合格ラインに、はらはらなさる毎日でいらっしゃることでしょう。
結果に一喜一憂しないようにといっても、それは無理というものです。
充分に落ち込んだり悩んだりして、そして、なるべく早く現実に戻ってください。これからやらなくてはならないことがあります。
一斉の模擬試験では、その偏差値により、今年の受験生の中でのおおむねの位置を知ることができます。一方、志望校の過去問を解くことにより、その年度に志望校を受験した子どもたちの中での、おおよその位置を知ることができます。子どもの様子は、模擬試験よりも、むしろ過去問での得点の方がより近い目安になるでしょう。(一回目に解いたものの点数ではなく、それ以降のもので判断なさったほうが良い場合もあります。)
過去問に対しては子どもたちは、自分が合格ラインに達するかどうかに、大きな期待をもって積極的に取り組みます。時間配分、問題、設問の傾向を体感し、どうすればより合格点に近づけるかを自分で考えるようになります。ここで、志望校と自分との距離、あるいは、志望校への自分の思いを見つめることにより、子どもたちは急に成長します。ですから、一回目のものではなく、志望校に向けての意識のはっきりした時点のもので、判断なさることをお勧めします。。また、過去問をやることで、より合格に近づけるためには、親が過去問を丁寧に分析し、傾向をつかむことが重要になります。それが、この時期からの学習をよりコンパクトに、より深いものにします。
各学校では、先生方が長い時間をかけて、それぞれ特色ある問題をおつくりになります。振り分けて落とすことが目的ではなく、どのような力のある子を望むかが明確に示されているのが過去問です。よく「過去問は過去の問題だからやっても無駄。もう出ない問題だから」と言われます。しかし、説明会でのお話以外は、過去問からでしかその学校のメッセージは受け取れないのではないでしょうか。心を込めて作られた過去問からの情報を大切に受け止めましょう
具体的に
@
この時期は、国語に関しては、最後まで過去問を繰り返しなさることをお勧めします。第一志望は5年分を最低2回、他は、2〜3年分を1回はなさって下さい。(今までなさったものも含めて)
A
親御さんも実際に問題を解いて、学校による設問のスタイルの違いを分析なさって下さい。
設問形式の分析
・・・記述式か選択式か
・・・抜き出しか自由に書くのか
字数制限のスタイルを分析する
・・・何字で〜
・・・何字以内で〜
・・・何字以内を一文(部分)から抜き出し、最初と最後の5文字を書き抜きなさい
このようなことを把握するだけでも子どもを導く支えになります。
B
やり終えた過去問の点数にだけ目を向けて一喜一憂するのではなく、どんな問題を、どのように間違えているのかを厳しく分析してください。
分析したものを点数につなげるには
漢字、知識問題、抜き書きミス、設問の読み取りミスは、今からでも正せます。
また、選択肢問題のミスも相当正せるはずです。
記述問題は、質を少し高めることはできるでしょう。
@漢字のミスが多い場合
漢字のミスはしないことです。勉強をすれば、誰でもが得点できるところです。
毎朝、(これがポイント。苦手を克服するには辛い思いをしなければ身につきません)四谷大塚の「四科のまとめ」・第1章の漢字の項目の基本レベルを繰り返します。
大きなます目のノートを用意して、止め、はねのはっきりとした大きな字を書かせます
子どもに答えあわせを任せると、思い込みで正解としてしまう場合があるので、必ず親がチェックしてください。
今日のミスは今日中に定着させ、次の日の、朝の学習の最初に確認します。。あやふやに覚えて前に進むことは絶対にしないこととします。
A
知識問題
ミスをした分野の類題をやります。たとえば敬語でミスをしたならば、問題集のその分野の類題をやり、定着させます。
ことばの識別の問題は、 (〜の、、〜ような等)は、何とか他のことばに言い換えることで区別するようにします。(たとえば、格助詞の「の」などというように、細かい知識を覚える必要はありません)
B
設問の読み取りのミスは、設問のポイントに「印つけ」をすることで解決します。
ポイントとは、
・・正しいものを選ぶのか、正しくないものを選ぶのか。
・・文末を、(〜から)にする解答か、(〜こと)にする解答か。
・・文中からの抜き出しか、自由記述か、あるいは、文中のことばを使って書くのか。
・・字数制限は様々なので、特に気をつけます。
・・・・・・・・・・何字で書き抜きなさい
・・・・・・・・・・何字以内で書き抜きなさい
・・・・・・・・・・何字程度で書きなさい
・・・・・・・・・・何字以上、何字以内で抜き出し、最初と最後の5字を書き抜きなさい
特に、「書き抜き」の場合は、答えがわかったら、必ずそこに「〜」をつけてはっきりさせてから、解答用紙に書きます。
最初と最後の5字という場合は、横着をせず5字を○で囲みます。。
字数を数える時は、10字ごとに区切りをつけ、数え間違えをしないようにします。
学校によっては、大問1題の中で、上記の四種類の条件をまぜて出題なさるところもあります。そこには、「丁寧に情報を読み取る力を必要とする」という学校側のメッセージが伝わってきます。
実は、国語の試験では、読解力ではなく、以上のような手作業をしないためのうっかりミスで点数を落としている場合が多いはずです。今一度、お子さんの答案の内容を分析してみてください。
手作業をすればあと4〜12点ぐらいは点数が上がるのではないでしょうか。
C選択肢問題
選択肢の文章を一つ一つ調べ、それぞれ○、△、×を文中の語につけます。 文章が長い場合は、読点を境にして上下に分け、それぞれに○、△、×をつけます。この時、気をつけなければならないことは、はっきり○か×かに分けられないものを△にするということです。どうしても答えを早く、はっきり出したいために、つい△をつけない場合があります。そうすると、見直しをする時に○か×という自分の印で判断をするために、、正すことができません。あいまいなものには△をつける勇気が必要です。
この手順をもう一度確認して、定着させてください。
設問や選択肢を最後まで読みきらずに、途中で目を離してしまうお子さんがいますが、設問への線引きおよび、選択肢を分けての○、×、△の印しつけをさせることで、ずいぶん改善されます。当然、解答のミスも減ります.。.
D記述問題
答えなければならないことは何かを確認して、その最後のことば、たとえば、気持ちならば「〜の気持ち」、理由ならば「〜だから」の〜の部分をメモ書きしておきし、それに添った解答をつくります。
一文は短く、主語と述語をあまり離さないこと、話し言葉ではなく、書き言葉で書くこと、「なので、あと〜、、〜だったんで、〜してます(しています)」を使わないことを心に留めておいてください。
文章の質を高めるには、親御さんが本文、設問、模範解答を読んで、キーワードを大人の常識で判断し、それを含んだ文章を12歳の子どもの文体で書いて、お手本を作ってあげることをお勧めします。
キーワードが含まれ、筋道だったものなら、生き生きとした子どもらしい書き方で大丈夫です
以上のようにして、分析を点数に反映させてください。10点〜20点のアップを望みます。コツコツと一点ずつ積み上げていきましょう。
確認と心構え
@
今までもHPで述べてまいりましたように、「印つけメモ書き」という手作業を決して省かないことを再確認してください。これがしっかりできていれば、解答の際には、それを手がかりにすればよいのですから、時間の短縮にもなります。
A
一つのところで引っかからないようにすることも確認してください。後半の易しいものまで手がまわらなくなることがあります。
B
文章に対する集中力は、今からでも高められます。
時間を意識させて、繰り返し過去問をやることで、子どもは時間を身体で覚えていきます。、
前回よりも良い答案にしようという、前向きな姿勢で取り組ませてください。「どうせだめだから」などということは、決して言わないでください。否定的な言葉をかけないかぎり、子どもたちは、必ず伸びていきます。
C
国語は精神に大いに関係のある教科です。苦手意識をなくしてあげてください。
心が開放されているときは、文章が流れるように、頭と心に入っていきます。
「ミスをしないように」という言葉よりも、「ここに印をつけたから正解したのね」というように、改善されたものを見つけ、具体的にそれを示して褒めてあげてください。
「頑張れ」という言葉ではなく「頑張ったわね。えらいね。」と、結果を充分に評価してあげてください。何よりも「この学校の問題に慣れてきたみたいね」という言葉は、不安になっている子どもを安心させます。
まだ12歳です。萎縮させるも、「できるようになった気」にさせるも、親の声かけひとつです。「できるようになった気」になった子どもは、不思議なことですが、本当にできるようになるものです。
D
この時期は、もう及び腰ではいけません。計画を綿密にたてて、がむしゃらにスケジュールをこなしていきます。「これをすれば大丈夫」と子どもに言えるような計画をたてます。それは大変なことですが、残りの日数を考えると、日々、こなすものがはっきりしていなければ、先は見えてこないでしょう。子どもは「頑張れ」と言われても、どのように頑張ればいいのか、何をすればよいのかがわからないのです。子どもに「頑張って」という言葉ではなく、「今日はこれをやること」と具体的に示してあげてください。子どもが、「よし、今日も頑張ろう」と思うものを示してあげることが、親子の安定剤になります。国語の場合は、とにかく過去問をこなすことに尽きます。他の科目よりもスケジュールはたてやすいですね。
最後に
「12歳の試練」も、一区切りの時期になりました。辛さも苦しさも、そのまましっかりと受け止めて、どうか前向きに、積極的に、そして確実な日々をお過ごしください。
子どもは不思議な力を持っています。試験の前日まで、学力も精神力も確実に伸びます。
もう一歩です。
どうか、御身体には充分に気をつけてお過ごしください。
04-11-26