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Last updated on 6/17/2003
テレマークスキーは、19世紀にノルウェーのテレマーク地方モルゲタールで生まれた近代スキーの最初の姿です。 モルゲタール派の中心人物ソンドレ・ノルハイムによってサイドカーブのあるスキー板やターン技術が完成されました。
その後長い間歴史の片隅に追いやられていましたが、 1970年代のコロラドで甦り、モダンテレマークスキーとなりました。 日本でも'80年代中頃からテレマーカーの姿が徐々に増えてきています。
爪先部分だけで足を板に固定するヒールフリーのスキーで、足を前後に開いて内足を折り畳む独特のテレマーク姿勢で滑ります。 スキージャンプ競技の着地の姿勢と言えば分かりやすいでしょうか。 滑降のみに特化する形で進化したアルペンスキーとは違い、雪の野山を自由に駆けることにこだわったスキーです。
テレマークスキーのように踵の固定されない道具でアルペンポジションで滑ると、前後方向に非常に不安定になります。 このため、同じように歩くスキーである山スキーの締具では、滑降時には踵を板に固定できるようになっています。 しかし、板を前後に開くことでも滑降姿勢を安定させることは可能です。 逆に、この動作はスキー板に踵を固定しないからこそできるとも言えます。 これがテレマーク姿勢です。
レースでは前足の踵と後足の爪先の間を靴一足分以上開く必要がありますが、通常の滑りではそれほど開かないのが近年の傾向です。
テレマークポジション。 ターンの外足→谷足が前、内足→山足が後ろ。 |
前足荷重になってしまった悪い例。 前後に開き過ぎで、後ろ足を全く使えていない。 |
まず、一目で分かるのがポジションの違いです。 アルペンスキーとは逆に、テレマークスキーではターンの外足が前、内足が後ろになります。 また、アルペンスキーでは主に谷足に加重しますが、テレマークスキーでは両足均等加重が基本です。 外向・外傾・ポールアクションなど、そのほかは多くの点で共通です。
ステップのないシングルキャンバーの板では、山スキーと同様にシールと呼ばれる滑り止めを滑走面に貼ります。 シールにはモヘア(山羊の毛)やナイロンの細かい毛が後ろ向きにびっしり生えていて、スキーは前には滑りますが後ろには進みにくくなります。 昔はアザラシの皮(sealskin)を用いていたのでシールと呼ばれています。
最近あまり見かけないワックスレスタイプと呼ばれる板では、グリップゾーンにステップ(ウロコ状の刻み)が切られていて緩い斜面なら登ったり歩いたりすることが可能になっています。
この数年で板は山スキーとほとんど同じものになってしまいましたが、締具の重さには依然として差があります。 板を担いで歩くこともあるスキーツアーではシンプルなテレマークの締具の軽さは大きなメリットです。 また、爪先よりも前に回転軸がある山スキーに比べて歩行時の感覚が自然です。 一方で、踵の上がる角度が小さい分、歩幅が狭くなったり急な直登が苦しかったりします。 堅い斜面での滑りや斜登行などで山スキーにやや劣ることも否定できません。 滑走時に踵の固定ができる/できないをどう評価するかは人それぞれです。