@物語文
物語文は、気持ちの表れているところと気持ちの変化した原因に「印つけ」するということが基本になります。
物語文を苦手とするのは男の子さんのほうが多いようです。
そのようなお子さんは、物語のなかに表されている気持ちは、その話の中でつくられたものであって、自分たちの日常生活で感じる気持ちとは違うものと思っていることがあります。
ある日、一人の男の子さんと「走れメロス」を読むことにしました。前半は、つまらなそうに仕方なく読んでいましたが、後半は、すっかり本の中に入り込みました。あの作者の、あの内容ですから当然なのですが。読み終わって、まず深く息をつき、「うーん、どきどきした。あぶないところだった。」と頬を紅潮させて言いました。物語の主人公の気持ちを自分のことのように感じたそうです。
今まで物語文をやりたがらなかった子の「目」が開いた瞬間でした。自分にぴったりと合う物語に今まで出会っていなかったのでしょう。
それ以来、物語文を嫌がることは少なくなりました。
その子にとって、「物語はつまらない」という思い込みから離れて、新たな自分を発見した日ともいえると思います。
短編で心情がわかりやすく、また、子どもが自分では選ばないが、是非読ませたい名作のなかで、私が実際にこのようなうれしい経験をした本を3つ挙げます。
「走れメロス」 太宰治 著
「一房のぶどう」有島武郎 著
「君たちはどう生きるか」の中の「雪の日の出来事」吉野源三郎 著
A説明文
女の子さんのほうが、説明文は苦手なようです。
説明文は、段落ごとに、何についての文章か(話題)、具体例、説明、意見、結論と読み分けて、それを文章の上にメモ書きしておくことが基本になります。さらに、段落ごとの要点に「印つけ」をします。
問題文で読み分けの練習をしても良いのですが、子どもはどうしても設問や解答を意識しますので、訓練をするときは、実際の本の文章のほうが指導しやすいでしょう。
「科学のなんでだろう?」白鳥 敬 著
この本の表紙には、子どもに問いかけ、親子で楽しく会話しながら「考える力」
を育てる本とあります。たとえば、「風邪をひくとどうして熱がでるのか?」に
対して、短くてわかりやすい説明が書いてあります。
これを一つずつコピーして、(「ポイント」と書いてあるところは省いて)読ま
せてください。
段落ごとに読み分けをして、余白にメモをするという練習をします。そして、や
り終えたら要旨をまとめます。印つけやメモが正確にできていれば口頭でもよい
でしょう。書かせると面倒くさがり、長続きしない可能性があります。
これは短い文章なので、毎日やることをお勧めします。
「自然をつかむ7話」木村 龍治 著
内容は高度です。選んでコピーして読み分けの練習をしてください。
親子でじっくり取り組む、その他のお勧めの本
「詩」の世界」 高田 敏子 著
作者は前書きに「専門的な解説書ではない、楽しい詩の話」と書いていらっしゃ
います。
「ガラスの地球を救え」 手塚治虫 著
解説には、手塚漫画が内包していた作者の思想が端的に記されている、とありま
す。